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赤朽葉家の伝説  11/20/2007  
赤朽葉家の伝説赤朽葉家の伝説
(2006/12/28)
桜庭 一樹

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『赤朽葉家の伝説』桜庭一樹

ものすごい大作だった…。
3部構成と知っていたから、まずは今日は1部だけ読もうか、と思ってたら、
なんと、読み始めたら止まらずに、そのまま最後まで読んじゃった。

“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、
長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、
赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である
赤朽葉万葉だ。千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。
高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、
鳥取の旧家に生きる三代の女たち。そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の姿を
比類ない筆致で鮮やかに書き上げた渾身の雄編。

というストーリーだった。

・第一部 最後の神話の時代
一九五三年~一九七五年 赤朽葉万葉

・第二部 巨と虚の時代
一九七九年~一九九八年 赤朽葉毛毬

・第三部 殺人者
二〇〇〇年~未来 赤朽葉瞳子

以上の3部に分かれて、それぞれの時代背景とともに、
三代の女の生き様を描いている。
語り手は現在を生きる、孫の赤朽葉瞳子。
彼女が祖母の万葉から、万葉自身のこと、
そして自分の記憶をあわせながら、母であり、早くに亡くなった
毛毬のことを書き綴ったのが第一部と第二部だ。

上下段組で、なおかつページ数も多い作品なので、
実は本の雑誌などで書評を読むまでは、お気に入りの桜庭一樹作品だとしても
手に取る勇気がなくて、そのままだった。
しかし、読み始めたら、圧倒されるかのように読み通してしまった。
時代背景は50年代から始まるのだけど、
あたし自身が生まれた70年代を通り越して、あの時の文化背景、
懐かしのバブル時代や、その50年の間から現在に至る
サブカルチャー的なことから、生活のことまで、
その時代を生きている人たちの意識とか、あらゆることが積み込まれてた。

一番面白かったのは、祖母の万葉の話だった。
千里眼として、未来視する能力があった祖母の万葉が、
それによって、赤朽葉家に嫁ぐところから話は始まるのだけど、
その万葉が見る未来視。時には死んでしまった人とも会話をすることがある。
最後の神話の時代、と名づけられた祖母の生きていた時代が
近い過去なんだけど、もうすでに失われた、遠いものとして感じられた。
文盲ではあるが、未来を予知する能力のある万葉が赤朽葉家を支えていく。
時には、製油ショックやバブル崩壊、そして家長の死なども予知しながら、
どうにか家族を取り持っていく万葉の生き方が印象深かった。

その娘の毛毬の話も強烈だった。学生時代に中国地方を制圧した
元レディースの頭でありながらも、引退後は漫画家に転向し、
そして大ヒットの漫画を生み出して、その連載に命をかけつつも、
家を継いだものとして、次なる赤朽葉家の未来を作ろうとする。
万葉の一風変わった性格も良かったのだけど、強烈過ぎる毛毬の猛々しさや
そして仁義を通すところや、そして強くありながらも、
時々子供のように不安な顔を見せる側面を持つ毛毬。
この二人の姿が強烈だった。

いやぁ、毛毬の第2部はかなり濃いかったね!
毛毬と、その異母姉妹の百夜の寝取り合戦や、レディースのころの話とか。
その際立ったキャラがすごすぎて、千里眼の万葉も強烈だけど、
こんな母・祖母がいたのなら、孫が平凡でもしょうがないわけだ、なんて
思ったりしてしまった。

確かに一番最後の部である、現代を生きる瞳子の章は、
その祖母、母の章に比べて地味であるし、どちらかというと、
本当に「なんにもない」章ではあるんだけど、
その祖母と母の跡を受け継ぐものとして瞳子の役割は、
二人について書き記し、そして覚えておくことなのではないかと
勝手ながら推測してしまった。

激動の時代を過ぎ去った二人の肉親の姿を胸に、
瞳子が自分の人生を歩いていく物語だとも、言えると思う。
祖母、そして母が偉大であったからといって、
その子供が同じような意味で、偉大であるわけのは稀であるだろう。
身近にそんな強烈な人がいて、そしてなおかつ、
「自分とは、こういう人間だ」と自分を見定めるのは、意外と難しいと思う。
瞳子の章は、ほんと祖母の万葉のように千里眼の不思議ことがあるわけじゃないし、
毛毬のように、女一人で運命を切り開くような強さと鮮やかな生き様はない。
それでも、その二人の血を引いた自分をきちんと認め、
自分らしく生きていこうと思う瞳子の姿っていうのは、
第一部、第二部ともに、瞳子の語り手であるので伝わってくる。

非常に面白かった。内容が濃く詰まっている分だけ楽しめた。
読んでよかったな。確かに渾身の雄編だった。



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