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ヘビイチゴ・サナトリウムヘビイチゴ・サナトリウム
(2003/12)
ほしお さなえ

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『ヘビイチゴ・サナトリウム』 ほしおさなえ

どこかの読書ブログで見かけ、女子高関係の
それも、学園ミステリーに惹かれ、図書館で借りてきた。
著者のほしおさなえは、詩人であり、作家。

中高一貫教育の女子高の屋上から、高校三年生の生徒が
墜落死した。様々な噂が飛び交う中、続いて、
男性国語教師も墜落死する。二人の死を結びつけるものは?
死の真相は?
男性国語教師が死ぬ前に応募していた文学賞の作品と、
彼の亡くなった妻が残したネットサイト、
「ヘビイチゴ・サナトリウム」に隠された秘密とは?
その謎を解くべく、死んだ高校3年生の生徒と同じ美術部だった
海生と双葉は、学校内の噂や死んだ先輩の自宅へ赴き
原因を探る。一方、男性国語教師の同僚である高柳は、
独自のルートから、彼の死んだ妻のネットサイトから謎を探る。
双方向からの真相への捜索は、時に混乱し、交わりあいながら、
真相に迫っていく。

読み終わって思ったこと。
作品末についている書評を笠井潔が書いているのだけど、彼曰く
この作品のテーマが「自分と他人の境界のくずれ」であるという。
読み進めていると、なぜそうなのかというのは、スグに思いわたる。

この作品に出てくる登場人物は、中高一貫教育の女子生徒で、
特に、美術部の先輩・後輩の間で、強烈に年上の先輩に憧れて、
憧れの人と一心同体になりたいと、その人に成り代わりたいと、
その人に自分自身になってもらいたい、という願望の話とか
出てくる。それと共に「自分は自分でしかありえない」という反発も
同じように含みながら、誰かに自分自身を投影する、
そして投影される、人間関係の繋がりが多い。

誰かになりたいが、なりえるのが自分だけだということ、
まだ自分自身を、自我を確立していない不安定で
揺れ動く少女の精神が、誰かに利用され、そしてそれが元で
事件が起こる。そこにあるのは、狂気という名前ではっきりと
理解できるものではない。
ただ単にに、あちらのせかい・こちらのせかいと言ったような、
曖昧な境界線をつい踏み越えてしまっただけの、
安易で、そして不安定で、不可解かつ混沌として無意識の世界だ。

映画『バージンスーサイド』の原作となった、
『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』(ジェフリー・ユージェニデス)が
引用されている節を読みながら、まさにあの作品の空気を感じられるような、
そんな気がした。というより、引用を読んで、作者があの作品の空気を
この作品中に取り入れたかったのか、ということで合点した。

2段組で文量も多く、読み始めるまでは躊躇したけれども、
ほしおさなえの文章が柔らかいからか、
その言葉のセンスが柔らかい、というかな、
すらすらと読めた。二つの死の真相を巡る双方向からの推理を
読者である自分は、情報を与えられているわけで。
その情報から(犯人はあの人?)と思っていたら、
とんだどんでん返しで、目下の犯人ははずれてしまった。
その代わり、一番最後に判明する真相には、
自分の推理、かなり近づいていたけどね。

面白かった。意外にミステリーな要素が多くて、
情報も多いし、登場人物たちが推理しているシーンも多いし。
推理する楽しさもあった。学園物っていうのも、
その限られた特殊な世界での出来事、って感じで好きだな。
少女時代にある、あの独特の感性が生きている作品でした。
混沌として、深層心理の世界。

それにしても、ヘビイチゴ・サナトリウムってタイトル。
この言葉の選びようが素敵。乙女って気がするな。
ヘビイチゴとサナトリウムを組み合わせるセンスが良い。
流石は詩人ですね、と感心した。



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