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大好きな人と交わす
「ただいま」「おかえり」って
それだけで幸せだよな。


と想う気持ちで書きました。


中岡さんのお話です。

中岡さんに「おかえり」って
言ってもらいたかったのw

学校の送迎で
毎日来てくれる
中岡さんとのやりとり。
恋人に毎日迎えに
来てもらうって
すごく贅沢で幸せだろうな。

「おかえり」って言ってくれる
中岡さんは、いつもの笑顔で
優しく微笑んでくれるはず。


以下、創作になります。
創作であることを
ご了承の上、
ご理解いただけた方のみ
どうぞお読み下さい。











********** おかえり *********

For My Friends








―――そろそろ時間だな。


俺は執事服のポケットから
懐中時計を出した。
時計の針は、
そろそろ授業終了時間をさす。

彼女の学校まで
お屋敷から車で20分。
いつもの時間に出れば
いつもの時間に着く。

既に通いなれた道。

運転手を車に残し
俺は授業が終わる
彼女を迎えに
校門をくぐり、
教室前の廊下を歩く。



カチカチカチ

時計の針の音。

規則正しい針の音が
リズムのように
歩く速度が速くなる。


けして遅れることなどないのだけれど。


教室の前。

廊下には俺のほかに
迎えに来ている
他家の執事や使用人が
何人もいる。




カチッ。
懐中時計の蓋を閉める。


終わって出てくる彼女が
出てくるまで待つ時間。

実はそれが
すごく好きだ。

壁一枚、廊下の向こうに
愛しい彼女がいる。
ここで待っていたら
もう少しで逢えるってわかる。

出てきた時に彼女が―――



授業終了のチャイムが鳴る。





その鐘の音と共に
急に高鳴り始める
俺の心臓の音。

教室のドアが開き
中から生徒が出てくる。
人ごみの中から
声が聞こえる。


「中岡さん」


彼女はすぐに
俺を見つける。

「ただいま」


セーラー服の彼女が
俺を少し見上げるように
にっこり笑いながら言う。

まっすぐにその瞳は
俺を見つめる。
その可愛らしさが
大好きなんだ。

「おかえりなさいませ、お嬢様」

彼女の笑顔につられたように
俺も微笑む。
思わず顔がほころぶのを
止められない。

俺をまっすぐに見て
こんなに幸せそうに笑う彼女がいるから。

この笑顔を見れるから
待つ時間が好きなんだ。



好きだという気持ちが
溢れる笑顔。
それは彼女だけじゃなくて
きっと俺も、そうだろう。


他家のお嬢さまや
使用人達もいる廊下なのに
俺の気持ちは
ただ一人に向いていて。
彼女しか見えないんだ。

時計の音と共に刻まれていた
俺の時間は、
彼女と一緒にいると溶けて
どこかへいってしまう。
逢えば、もっと
高鳴るはずの胸音は
不思議と静かになる。
時計の音よりもっと静かで
力強く満たされ
何かに押されるような強い気持ち。



「今日も終わったね」
ホームルームが
少し長かったー。

歩き出しながら話す
少し拗ねたような表情を
横目で見る。


「中岡さん、待たせちゃってごめんね」


「いえ、そんなことは全然ないですよ」


「そう?」


「ええ、いつもの時間でした」

ポケットから
懐中時計を出して
針盤を見せ、笑うと
彼女もにっこりとした。



ほんとだね。


するっと彼女の手が伸び
俺の手の中に納められた
懐中時計の蓋の模様をなぞる。

蔦模様の中に鳥篭。
鳥篭の取手には
細いリボンが結ばれている。


「いつも思うけど、この時計、本当に素敵」

「旦那様からの戴き物で樫原さんが選んだと聞いております」

「樫原さんのチョイスか。中岡さんにぴったり。」


この時計を見ている時の
中岡さんって
3割増しぐらい
カッコいいもの。



彼女のその言い方が面白くて
俺もくすっと笑ってしまう。


「この執事服にすごく良く似合ってるよね。クラシカルな感じが本当に素敵」


彼女が俺のポケットに
懐中時計を納めた。


彼女は俺の懐中時計が
お気に入りだ。
見るたびに褒める。

そんなに気に入ってるのなら
今度彼女が気に入りそうな
懐中時計を探してきて
プレゼントしようと想う。

不思議の国のアリスが好きな
彼女に似合うような。
あの物語で出てきた時計屋の
ウサギが持っていたような
可愛い懐中時計を
彼女にプレゼントしよう。


俺の懐中時計が
鳥篭の模様ならば
彼女の懐中時計には
鳥の模様でもいいかもしれない。

お揃いのように
見えるものを選んだら、
きっと喜んでくれる。


いや、どんなプレゼントでも
俺からの物だということだけで
喜ぶのは・・・目に見えている。


そこまで考えて、思わず
自惚れのように感じられて
照れくさくなって
話をずらした。


「今日はお嬢さまの大好きなオレンジとチョコレートのケーキをパティシエに準備させております」


これは本当。

柑橘系の爽やかな匂いと
生チョコの組み合わせが絶妙で
前のアフターヌーンティで
絶賛していたのを
覚えている。


「ほんと?」

目をくりっとさせて
訊ねてくる。

「ええ」

「わーい。早く帰ろう、中岡さん」

一瞬にして、彼女が
すごく幸せそうな顔になる。




スイーツは女の子を幸せにしてくれるんだよ。


前にそう言いながら
一生懸命スイーツを食べていた
彼女の言葉を思い出す。



恋は女の子を
綺麗にしてくれるけど
スイーツは女の子を
幸せにしてくれるの。
だから思わず食べちゃうんだ。
こんな美味しいスイーツ作っちゃう
パティシエは罪だよ!



そう、ぺろっと舌を出しながら
2個目のチョコレートケーキを
頬張りながら言い訳した
彼女を思い出す。


美味しそうに食べる顔が
可愛すぎて、真剣味帯びた言葉に
思わず笑った。



今日のケーキと一緒に出すのは
アールグレイのストレートにしよう。
真壁が先日仕入れた茶葉の中に
確か良いのがあったはずだ。
さっぱりとした味で
濃厚なチョコレートケーキと
合うだろう。




「―――部屋に帰ったら、すぐに着替えて、ちょっとだけ宿題をやって・・・、あ、でも宿題の前にアフターヌーンティをしたほうがいいかな?どうしよう?」



独り言のように
帰宅した後のことを
考えている彼女。
その顔は本当に笑顔だ。


・・・ケーキ1つで
無邪気に喜ぶ彼女が
とても可愛らしい。
人目がないのなら
抱きしめたいところ。

(・・・抱きしめたい、とか思っちゃうんだよな、本当に)

思わずそういう衝動に
駆られる自分に苦笑する。
少し頬が赤くなる。


「ん?どうしたの、中岡さん?」

ケーキのことだけ
考えてると思った
彼女が不意に振り向く。

「いえ、なんでも」

自分の考えが
見透かされるようで
思わずもっと赤くなる。

「?顔が赤いよ?」

一瞬、目を丸くして
俺を見つめた後
彼女がくすっと笑った。



あんまりあたしのこと
見つめちゃダメだってば。


冗談交じりにじゃれながら
彼女が俺の胸を少し押す。


・・・俺が照れている理由を
彼女はお見通し、
なのかもしれない。



くすくすと笑い始めた
彼女の歩調が
ほんの少し速くなる。


何か楽しいことが
今からあるように。
まるで幸せが
その先に待っているかのように
迷い無く、楽しそうに歩く。

遠くから見るなら
きっとスキップをしているような。
そんな雰囲気。



彼女の歩く速度は
俺の時計よりも
少し速くて。
歩調を彼女に合わせる。



この速度は
俺と彼女の恋のスピード。
時計には刻まれない
俺と彼女の鼓動の早さ。

到着点はきっと
2人っきりになれるところ。


どんどん加速していく。
君への想いが毎日毎日
優しくて柔らかくて
光に満ちているものに
変わっていく。

きっとそれと同じように
俺と君の距離も
少しづつ近づいて
お互いの存在が大きくなっている。

それを「幸福」と呼ぶことを
俺は知っている。
俺と彼女が今
幸せであることも
よく知っている。



「中岡さん、早く」

「急がなくても、シェフのケーキは逃げませんよ?」

冗談交じりで言うと
彼女が笑って
悪戯っ子のように
目を輝かす。


「急ぐ理由はそれだけじゃないのにな」

早く2人っきりになりたいんだよ、中岡さん?
わかってる。俺の気持ちも一緒だよ。

「はいはい」

「もう、はい、は一回だけでいいの!」
あたしが真壁さんだったら『中岡!』ってこーんなしかめっ面して怒っちゃうよ?てか、今の、真壁さんに聞かれたら、あたしも怒られちゃう?!



真壁の口調を真似をして、おどける彼女。

そしてすぐにまた
あはは、と笑う。


俺といる時の彼女は
本当に楽しそうに笑う。
つられて笑う。
彼女といると
自然と笑顔になる。
こうやってじゃれあっているような
会話が心地いい。


一緒にいなかった時間に感じた
寂しさや物足りなさなんて
なかったかのように
満たされてしまう。


彼女に逢うと
思い出せなくなるんだ。


一緒にいる時間があまりにも
幸せで楽しくて。
あっという間に
過ぎてしまってることも忘れて。
逢えない時間があることさえ
忘れてしまう。


あまりにも彼女が
俺の一日、いや、
俺の心を占めている。


一緒にいるときも。
いない時も。
気がつくと、
彼女のことばかり考えている。


突如、俺は理解する。
ありふれた言葉が
なぜ、「ありふれて」しまうのか。


言葉だけでは
あらわせない想いがあるけれど
どうにかして伝えたくて
言葉を使ってしまう。
他の言葉で表すことを
考えるよりも先に
思わず口から
その言葉が出てしまう。


「好きだ」「大好きだ」という
言葉以上の気持ち。
言葉を越えるほどの「想い」を
俺は感じている。


この気持ちは
一体なんだろう。

名づけるなら「愛しい」という
言葉かもしれない。
いや、もしかしたら、
これは「愛してる」だろう。




・・・前に彼女が言った。




―――中岡さんから「おかえり」って言われると、なんだか嬉しくなるの。
そして、ちょっとくすぐったい。
大事にされてるって感じるし、ほっとして、なんだかね、
すごくあったかい気持ちになるの。

中岡さんの隣があたしの場所って思えるからかな。
・・・大好きだよ、中岡さん。




腕を絡ませながら
少し潤んだ目で
俺を見つめながら
そう言った彼女が
とても愛しくて
思わず抱きしめてしまったことを
思い出す。


ちょっと先を歩く
彼女の後姿。
歩く速度で揺れる
結った髪の毛。
その合間から、
ほっそりとした
彼女の首筋が見える。

制服の中に閉じ込められてる
生き生きとした愛らしさが
伝わってくる。




好きだよ。
大好きだ。



彼女の背中に呟いた。


何度も伝えた言葉。
言葉と一緒に
俺のこの想いが少しでも
伝わっているといい。







迎えの車に乗り込んだら
隣に座った彼女が
甘えるように
俺にくっついてきた。


閉められた車のドア。
景色が静かに流れ始める。
車窓から、夕暮れの
橙色が差し込む。





「ただいま、中岡さん」


外で聞いたのとは違う
特別な響き。



2人の時間が流れ始めた。


また少しづつ速くなってくる
鼓動を落ち着かすように。
照れてしまうのを押さえるように。

髪の毛を撫でたら
彼女が目をそっと瞑ったまま
俺にもたれた。
するりと耳にかけてた
彼女の横髪が落ちる。


彼女の意識が
俺だけに向いてるのがわかる。
もたれられた片側から
彼女の鼓動が伝わってくる。


その速度は
恋の速度。

上気した頬。
細かく震えるように
伏せられた睫の先。

いつも彼女がつけている
バラの香りが微かにする。
彼女の匂いと混じる。
一瞬苦しくなるほど
胸が締め付けられる。


好きで好きで
しょうがないんだ。


年下の彼女の
あどけなさが可愛すぎて。
愛しさでいっぱいになる。
甘酸っぱい気持ちで
満たされる。




だから、そっと
誰にも聞かれないように
耳元で優しく甘く
恋人の声で囁いた。








おかえり、俺だけのお嬢さま。














彼女がふわっと微笑んだ。



















******* Fin.*************








◆ あとがき◆

久しぶりに書きました。
半年以上ぶり!

充電期間中もちまちまと
書いていたのですが
なかなか1つのお話に
するまでに至らず。
ナイトメアを書いたり
連載の続きを書いたりと
散文状態です。

それが今回、このお話は
「よし、書こうか!」
と思い立って
数時間で書きました。
書かなかった間の
リハビリを兼ねて
少し短めで。


テーマはずばりタイトルどおり
「おかえり」(笑)
9ヶ月ぶりにブログ可動なので
そんな自分に対して
書いてみました。

本当はあたし、
「ただいま!」って
言うべきなのかもしれないけど
「ただいま」と言って
「おかえり」と言ってくれる方が
いないかもしれないと思い(!)
敢えて、あたしは今回
「おかえり」側に
まわりました(笑)

まぁ、「ただいま」も
「おかえり」も同じことです。

誰に「おかえり」って
言ってもらいたいかな~と
素直に考えた時
すぐに浮かんだのは
中岡さんでした。
(中岡さん、HappyBirthday!)

大好きな真壁だったら
「おかえりなさいませ」に
なると思うのでwwww

名前変換無しで
さらりと読めるように。

充電期間中でもあって
まだ書くことに対して
不安定でもあるので
次が出るかどうか
不明ではあるけど・・・。


ブログ休止の時にも
応援してくださった方へ。
休止を惜しんでくださった方へ。
特にブログを通じて
仲良くなったきょう様へ。

久しぶりに出すのなら
温かい話にしたかった。
柔らかい話にしたかった。
読んで優しい気持ちになれる、
そんなお話にしたかった。


現実はトゲトゲしてて
痛いもので、マイナスなことが
沢山ある世界ではあるけど
今読んでいる間
少しだけでも優しさや
柔らかさや穏やかさを
チャージしていただけたらいいな。


これはあたしの
勝手な希望なので
読み手の方が
どう捉えるかは
自由なので
なんともいえないけど・・・。

あたしはそう想ってます。


3.Sep.2010 つぐみ
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