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Xmas企画TreasureHantにて
第2位だったミカ様からの
リクエスト作品になります。


真壁のお話で
名前を呼ぶお話になっています。
詳しいリク内容は
あとがきにて。

長いので分割にしてあります。
携帯機種によって
1つの記事で読めない方は
どうぞこちらから。

その1 その2


リクエスト作品ですので
名前は「ミカ」になっています。

Xmas企画作品集に
このお話は収録しています。
名前変換希望の方は
Xmas企画のバナーより
サイトへお越し下さい。



以下、創作になります。

創作である事を
ご理解とご了承の上
興味のある方のみ
どうぞお読み下さい。











******** その響きは甘くて *****************
FOR MIKA!!







いつか―――



呼んでみたいと思っていた。
真壁さんのことを、直樹って。


下の名前で呼んだら
どう反応するのかな、って。



・・・真壁さんはあたしよりも
5歳年上なだけじゃなくて
年以上に落ち着いてて
とてもじゃないけど
呼び捨てでなんかできない感じ。



専属執事を
真壁さんにお願いした時、
真壁さんからは
「真壁」と呼び捨てするようにと
言われた。使用人だから
「さん」づけじゃなくていいって。



でも、「さん」なしで
「真壁」と呼び捨てにするのも
にわかお嬢さまのあたしには
とても気が引けて・・・

結局、「真壁さん」と呼び
専属執事から恋人になった彼にも
この名前で呼び続けている。



たまに、九条院家主催のお茶会や
白凛学園のお友達に
招かれて、そのお屋敷に行く時は
人前だから、それを気にして
「真壁」と呼び捨てするけど・・・。



真壁さんに告白する時も
「真壁」って呼んだ。
執事な彼への気持ちの伝え方は
きっとそれがいいと思ったから。


「真壁、私の恋人になりなさい」


そう命令した日から
真壁さんはあたしの
専属執事だけじゃなくて
恋人としても
傍に居てくれるようになった。


呼び名なんて関係ないの。
真壁さんは「真壁」であろうが
「真壁さん」であろうが・・・
なんだって、彼が彼であることには
変わらない。


でもね。


毎晩、あたしの部屋で
執事としての仕事が
終わった挨拶をした後、
お辞儀から頭を上げた彼が
あたしをじっと見つめて
名前で呼ぶ。

「ミカ」って。

その瞬間、いつも
世界が切り替わる。


恋人の時間が始まる。
あの時、彼が呼ぶ
あたしの名前の響き。


とても好きなの。
とても特別で。
大事そうに呼んでくれる
その響きは
とても甘くて
とても優しくて・・・。


名前を呼ばれるだけでわかる。

真壁さんが
あたしのことを
大事に思ってるって。



(名前って不思議・・・)


他の誰かに呼ばれても
そんな気持ちにならない。





・・・・・・




いつもの昼下がり。

授業が午後からない日は
部屋でのんびりしている。

たまに真壁さんと一緒に
街へお買い物にいったりも
するんだけど
真壁さんは執事服のままで
街に2人で出かけても
ずっとお仕事モードだから
全然デートのようにならなくて。


それだったら
部屋でのんびりしてる時のほうが
真壁さんが恋人らしいから
自然と、のんびり過ごす午後は
2人で部屋に居ることが多くなった。


「本日のアフターヌーンティはココミルクティです」

「ココ?」


真壁さんが出してくれた
今日のお茶はミルクティだけど
でもほんのりと甘い香りがする。


「ケニア産の茶葉独特のスパイシーな香りに、ココナッツパウダーを加え、ベトナム風ミルクティにいたしました。」
「ココナッツとミルクの相性がとてもよいので、まろやかで自然な甘さを味わっていただけると思われます」


「この甘い香りはココナッツの香りなのね」


「そうです」


「カップも可愛いわ。素焼きのような素朴な感じね」


「ベトナム風ということで、本日はこのようなカップを選びました」


一口飲んでみる。
いつもの甘さよりも
自然な甘さだけど
でもコクがあって
美味しい。


「優しい味で美味しい」

「ありがとうございます」


あまり表情も変えずに
真壁さんがいつも通りに
給仕をしてくれる。


カップのそばに置かれた
小さなビスケット。
ぽりっと齧りながら
あたしは横目で真壁さんを盗み見る。




(今日は課題も終わったし・・・夕食まであまり何もすることないし・・・)



アフターヌーンティ終わったら
真壁さんとゆっくりしたいな。
あ、でも真壁さんは
自分のお仕事あるかなぁ。
さっき明日の学校の準備も
全部済ませていたし・・・
あたしのことでの仕事は
終わってるよね。
夕食まで一緒に居ようって言ったら
真壁さん、いいよ、って
言ってくれるかな。
いいよって言って欲しい。
・・・まだ勤務中だからだめ、と
言われてもしょうがないけど。


いつも夜、お仕事終わってからの
ちょっとの間しか
恋人の時間が過ごせないなんて
本当は寂しいよ。
もっともっと一緒にいて
真壁さんにくっついていたい。


真壁さん、毎晩執事の挨拶して
ハグして、で、おでこに
おやすみなさいのキスしたら
すぐに部屋に帰っちゃうし。
まだ帰らないでと拗ねても
真壁さんは余裕で笑い飛ばしちゃって
また明日、って帰っちゃうし。


あたしだけなのかな。
もっと一緒にいたいって。
もっと真壁さんと
いちゃつきたいって。


一緒にいる時間は
たっぷりあるけど
真壁さんに甘えて
抱きついたり、触ったり
キスしたりする時間は・・・


「ミカお嬢さま、なにか?」

「え?」

真壁さんの声で気がつく。


「こちらをずっと見ておりましたが」

「あ、なんでもないよ」


あたしがじっと
盗み見ていたのさえ
気づいていたよう。
盗み見、なつもりだったけど
真壁さんにはばればれだったね。


真壁さんがじーっと
あたしを見ている。
う・・・考え事してたの
ばればれだね。


ビスケットばっかり
食べていたらしく
口の中がいっぱい。


慌てて、ココミルクティを
飲み干すと
すぐさま真壁さんが
おかわりを入れてくれる。


その仕草は洗練されてて
無駄がない。


「悩み事ですか、お嬢様?」

「っ・・・な、なんでもない!」


コポコポと注がれるティ。
零すこともなく
正確な動作。
その合間に尋ねられる。


慌てて誤魔化して・・・。
さっきみたいに思ってること、
きっと真壁さんに伝えたら
またいつもみたいに
それでからかわれて・・・
真壁さんがまたもっともっと
余裕になっちゃうもの。


「それならいいのですが」

「うん」

あたしの返事に
納得してない感ありあり。
でも、教えないもん。


ココミルクティが美味しい。
今日みたいに寒い日は
こういう暖かい飲み物が
身体温まるわ。


できたら真壁さんも
一緒に飲んでくれたら。
そしてあたしの隣に
座ってくれて。
一緒にお茶が飲めたら。
美味しいね、って言いながら
そっと手を繋ぐかもしれない。
ただ、そうやって触れるだけで
自分の部屋だけど
でもなんだかちょっとした
デートみたいで・・・
すごく嬉しいのにな。


一緒に居るのに
こうやって真壁さんは
仕事モード。
直立不動!の姿勢で
あたしのすぐ横に控えてる。
確かに一緒に居るけど!
でも、なんだか物足りない。
うん、甘さが足りない。
恋人同士の甘い時間が足りない。




あたしは思い出す。




いつも真壁さんが
執事モードを終えて
恋人モードに
スイッチ切り替わる時を。



あたしの名前を優しく呼ぶ声。
とても優しい瞳。



じっと見つめる真壁さんに
あたしは引き寄せられるかのように
そっと寄り添う。
その執事服のポケットあたりに
頬を当てるあたしを
真壁さんは片手で抱き寄せて―――



「ミカ」

「っ!」

いきなり名前で呼ばれて
びっくりした。
ぱっと真壁さんを見ると
そっと近づいてきてたのか
あたしのすぐ傍に居て―――


「こら」

「!!」

真壁さんの細いけれど
すっきりとした指が
あたしの顎をぐいっと
自分のほうに掴んでいた。


「さっきから、上の空だぞ」

「え・・・」

「ずっと俺ばっかり見ているし、なに考えてるんだ?」

「うっ・・・」

「当ててやろうか。おおかた、俺といちゃつきたいけれど・・・なんて考えてたんだろう?」

「っ!!!ち、違うよ」

図星で慌てふためくあたしを見て
真壁さんがその目を細めて
にやりと笑う。
眼鏡ごしのその瞳は
キラキラと光ってる。



「じゃあ、何考えてた?」


あ・・・カマかけられた。
意地悪!


「・・・やだ、言わない」


「言わないってお前」



あたしが真っ赤になりながらも
口をへの字にして
拒否したものだから
真壁さんが目を一瞬丸くした後で
もっと意地悪になった。


「だ、だって、真壁さん、今勤務中でしょう?」


苦し紛れの言い訳で
拒否権を振りかざしたけど
そんなあたしを
真壁さんは余裕で交わしてしまう。

「別にいいだろう?」

「だ、だめだよ!い、いわないからね、そんな風にされても」



あたしの必死の抵抗もむなしく。


「じゃあ、言わせてやろうか?」
「え―――」

驚く間もなく。


ぎゅっと身体を反転させられて。
真壁さんに襲われてしまった。









・・・・・・・・・・




「・・・・ヤダ・・・・ちゃんと唇にして」

「言うまで、唇はお預けだ」

「意地悪・・・」


何度も繰り返されるキスの音。
部屋にそれだけしか
聴こえないのが
なんだかとても淫らで
でも・・・それがたまらない。


「素直にならないお前が悪い」


いつもだったら
こんなことないのに。

長椅子に押し倒されて
真壁さんがあたしの
両腕を塞ぐ。
まるで逃がさないというように。

そしてそのまま
キス・・・してくれると思ったのに。


いつまで経っても
真壁さんの唇は
あたしの唇に触れず。


唇の端や頬にキスするばかり。


「だって、だって、真壁さんが・・・・」


どうしてそんなに焦らすの?


あたしが軽く睨んでも
真壁さんは平気なふり。



それでも。


そんなキスでも。
すごく熱くて、
何度も繰り返されて。
キスで蕩ける。


「真壁さんのせいだよ・・・」

「俺が・・・?」

あたしが話し始めたから
真壁さんがキスをやめるかと思ったら
全然そうじゃなくて。


キスの合間に話せって?

本当にもう、どうしてこう・・・
この人は・・・


「一緒に居るのに、執事な時ばっかりなんだもん・・・・」

「今は、恋人だよ」

くすっと笑うのがわかる。


「・・・ずるい、そんな言い方」

だっていつもは
そうじゃないはずなのに―――

そう反論する前に。


ずるくないよ、と囁かれ
耳朶を舐められて
身を竦めた。


「いつも、こんなってしてくれないのに」

悔しくて拗ねても。
この人の言葉は
とても甘くて。



「・・・いつもこれだと困るだろう?」


指先が髪の毛の間に入り込んで。
梳くように撫でる。
その指先がとても優しくて。
誘っているように感じるよ。


「・・・真壁さんのケチ」


「ミカ・・・」


真壁さんがあたしの名前を呼んだ。

その響きが心地いい。


目を瞑ったら
ようやく唇にキスしてくれた。
キスの合間に
何度も囁かれる、あたしの名前。

ミカ、ミカ、ミカ・・・。


あたしの名前が
すごく特別な言葉に聴こえるの。

その響きはとても甘くて。


さっき飲んだココミルクティの
ココナッツの匂いと
混じるような
独特の甘さがある。


「ココナッツの味がする」


真壁さんがくすっと笑う。


「キスする前に飲んでいたから当然か」


その言葉で思わず
真っ赤になる。

思わず目を開けると
真壁さんが優しく
あたしを見つめていた。


「どうした?」

「・・・・ううん、なんでもない」

もっとキスして。
ねだるように
また目を閉じる。

また真壁さんの顔が
あたしに近づいてくるのがわかる。


「ミカ・・・」


あたしの名前を
とても愛しそうに呼ぶ唇。
どうしてそんなに
大事そうに呼ぶの?


「ミカ・・・」


何度も呼ばれる
あたしの名前。

胸が苦しくなって。










「直樹・・・・」




気がついたら
あたしの唇からも
真壁さんの名前がこぼれてた。









「あ・・・」

(いっちゃった―――)


呟いた途端に
自分でもびっくりして。
目を開けたら。



同じように驚いたらしい
真壁さんが目を見開いていた。



(え・・・・)




まじまじとあたしを見た
真壁さんがはっと気がついたのか
次の瞬間、真っ赤になった。



「え・・・・!!?」




真壁さんが真っ赤になって
苦虫をつぶしたかのように
眉間に皺を寄せて
目を伏せてる。



でも、あたしを抱きしめてる
その両腕はそのまま。


「お前・・・今、なんで?」


問われて、困る。


「え・・・思わず・・・」

「思わずってお前・・・」


なんだか動揺しているように
顔を真っ赤にしながらも
どうにかポーカーフェイスを
作ろうとしている真壁さんを見て
思わず、あたしは目が点になる。



「・・・ま、真壁さん?」


かーっと赤くなった真壁さんが
しばらく何も言わず
無言でうつむいていた。

繰り返されてたキスも
いきなり止んで。


「もしかして照れてる?」


びっくりした拍子に
そう聞いたら
真壁さんが図星だったらしく
反応したから
思わずおかしくて
笑ってしまった。


「こら、笑うんじゃない」

「だって!」


顔を見られないように
伏せちゃってるのを
だめ!って頬を両手で包んで
あたしの方を向かせようとしたら
真壁さんに抵抗された。


思わずまたそれで
あたしはくすくすと
笑ってしまう。


こんな余裕がなくて・・・
一生懸命隠そうとしたって
ばればれだよ、真壁さん。


「だって、真壁さんが照れるのって、滅多にないんだもん」


思わず嬉しくなる。


なんで?
あれでこんなに
照れちゃうの?
初めて知ったよ。
真壁さんが名前呼ばれるのに弱いって。

だって・・・今まで
呼んだことなかったもの。
真壁さんの弱み、
見つけちゃった。

くすくす笑っていたら
真壁さんが頬を染めながら
こっちを睨んだ。



「それはそうだが、笑いすぎだ」


言葉とともに
ぎゅっと捕まえられる。


「きゃ!」


抱きしめられて
真壁さんの顔が見えない。

でもわかる。
いつもの真壁さんじゃない。
いつも余裕たっぷりで
あたしを抱きしめる
そんな感じじゃない。


もっと・・・余裕がなくて。
ぎりぎりなのを
抑えてるのが伝わってくる。


「真壁さん・・・・」


ぎゅっと抱き返した。


今まで見たことなかった
真壁さんの一面を見て
あたしはとても幸せだよ。


だって・・・
この人がこういう顔をして
こんな風にさせるのは
きっとあたしだけ。

じんわりしながら
抱き返していたら
真壁さんが押し殺したように
一息吐くのがわかった。



力が弱まった腕の中から
真壁さんを見上げる。


眼鏡の奥の瞳には
あたししか映ってなくて・・・
きっと真壁さんが見つめている
あたしの瞳にも
真壁さんしか映ってないだろう。


ずっと見つめ合ってると
なんだか2人しかいない
世界に迷い込んだ気持ちになる。


不意に真壁さんが囁く。


「・・・さっきみたいに、もう一度呼んでみろよ」

「え?」

「さっき呼んだだろ、俺のこと、名前で」

「・・・うん」


「どうしたんだ、いきなり」

「・・・・だって」

「真壁さんがあたしの名前を呼ぶから・・・」


真壁さんが
あたしを名前で呼ぶのは
2人の時間が始まる合図。


あたしがそれを
どれだけいつも
待ち望んでいるか・・・
きっとこの人は知らない。


「いつも名前で呼んでるじゃないか」


「それはそうだけど」


「だけど?」


真壁さんの人差し指が
あたしの唇を
そっと触る。


「・・・真壁さんに名前で呼ばれると、なんだか違うの。なんだかその響きが特別で・・・」

「それで?」

「あたし、真壁さんがあたしを名前で呼んでくれるのが好き。だから―――」


「だから、思わず名前で呼んでしまった、と?」

「うん」


人差し指で
ゆっくりとなぞられた唇。


「俺のこと、好きか?」

「・・・うん」


確認するように
問われる言葉。
言わなくても
わかってるのに
言わせたいのはきっと・・・。



「じゃあ、もう一度名前で呼んでみろよ」

「え?」


思わぬ言葉で
びっくりして
真壁さんを見返したら。

そこには魅惑的に輝く
真壁さんの瞳があった。


「好きなら、俺を下の名前で呼べるだろう?」

「っ・・・!」


あたしが動揺し始めたのを見て
真壁さんがちょっと
意地悪そうに目を輝かす。


「ほら」

「・・・・だ、だめだよ、すごく照れちゃう」


必死で抵抗しようにも
抱きしめられた腕の中から
逃れることは出来なくて。


頬が染まるのがわかる。
恥ずかしくて顔を背けたら
その首筋に真壁さんが
そっと顔を近づける。


「・・・俺だって照れるけど」


でもお前の口から
もう一度聞きたいんだ。
呼んでくれるだろう?


耳元で真壁さんが
低くて甘い声で囁く。


その囁きは呪文のように
あたしの心も身体も
痺れさせていって・・・。

観念した。



そうやって言われると・・・
あたしが駄目って言えないこと
わかってるくせに。
ずるい。


ふてくされても。


いつもあたしは
真壁さんの言うがまま。


だって、真壁さんを
拒否なんか出来ない。
いつだって真壁さんが
あたしの心をぎゅっと握ってて
離してくれないの。



抵抗したくても抵抗できない
そんなあたしを
真壁さんがくすっと笑った。


「ほら」



強引に促されて。


しぶしぶ呟く。



「・・・・直樹」




―――その名前を
呟いた瞬間に
弾けるようにわかる。


心の中に
ストンと落ちてくる感情。


彼の名前はあたしの心を
甘く縛り付ける鎖。
その響きがあたしの心を
震わせ、そして締め付ける。


その切なさで
あたしはぎゅっと目を瞑った。



「もう一度」



「・・・直樹」


呼ぶたびに苦しくなる。
胸がドキドキする。
恥ずかしくて
赤くなる、んじゃなくて
もっともっと居心地が悪くて
照れくさくて・・・。
ここから逃げ出したくてたまらない。


こんなに囚われてることが悔しくて。
こんなにもこの人に夢中なのが
悔しくて。



「もっと」


「直樹・・・」


思わずぎゅっと唇を噛んだら。


「・・・いい子だ」


真壁さんが少し掠れた声で
褒めてくれた。
硬くかみ締めた唇が
真壁さんの優しいキスでほどける。



何度も繰り返されるキス。

思わずこわばっていた
あたしの身体さえ
柔らかくなってしまう。


思わず泣きそうになっている
自分に気がつく。


この人が好きで。
好きでたまらない。


「真壁さん」

「ん?どうした」

「・・・ううん、なんでもない」


名前を呼ぶだけで
とても切なくなったなんて。
この人には言えない。


それって
あたしがどれだけ
真壁さんのことが好きかって
ことだから・・・。



「・・・もう、名前なんかで呼ばないから」


どうしようもない
悔し紛れにそう呟く。

抱きしめられて逃げられない
その腕の中で。
(ずっと離さないで―――)



真壁さんがくすっと笑うのがわかる。


「そんなこと言うなよ」

俺の名前さえも全て
お前のためだけだよ。
おまえに呼ばれるためにあるんだ。



真壁さんがそう笑って
またあたしにキスしてくれた。

あたしの名前を何度も
囁きながら。
















++++++++++  真壁直樹の見る景色 +++++++++++







ミカの口から
俺の名前が呟かれる。



「直樹・・・」


そう呟きながら
潤んだ瞳で俺を見返す
2つの瞳。
紅く染まる頬。
なぞると柔らかい唇。
腕の中の小さな身体。


「もっと」


そう促しながら
俺は思う。


ミカが呼ぶ俺の名前の響きが
そのまま俺の心を
茨のように突き刺しながら
柔らかく巻いていくのを感じる。


甘美な痛みを伴うような
そんな縛り。


どこか痛みがあって
どこか切なくて
そして、そこで流される血は
きっと俺の彼女への
愛情とも呼べぬ、もっと濃い感情。



お前のことを
離したくないよ。
一生お前を抱きしめていたい。


お前が俺の名前を呼ぶたびに
俺はお前の虜に成り下がる。


その響きが俺の身体に
俺の心に響いて
離してくれないんだ。
一生それに縛られていたい。



ずっとその声で
ずっと俺の名前を呼んでいて欲しい。


その響きに含まれるのは
甘くて切ない
俺への恋心。


名前を呼ばれるだけで
これほど愛しく募る想いを
誰かを持ったことはなかった。

今までは。



(しかし・・・困ったな)


ミカが俺の名前を呟くたびに。


それがあまりにも甘すぎて。
もっと聞きたくなって。

抱きしめて
キスをし
そして髪の毛を撫でて
その手をきつく握り締めて
そのまま浚っていきたくなる。


ずっと俺はお前を
お前は俺を見つめていられる場所へ。
お前が俺の名前しか呼べない
そんなぎりぎりのところへ。


これじゃあ執事なんか勤まらない。


(・・・しばらく、彼女が大人になるまでは、俺の名前を呼ぶのは禁止だな)


いつもいつも
可愛い声で。
鈴を鳴らすような声で。
甘えるような声で。


名前を呼ばれたら
いつかきっと
理性なんてものは
微塵にも吹き飛ばされて
俺はミカを襲うだろう。



まだ、「真壁さん」でいい。


―――俺がこんなことを
思っているなんて
お前は知らない。
まだ知らなくていいさ。
きっとそのうち。



俺はミカの背中に腕を回した。
首元にミカの腕が絡みついてくる。

俺の心を縛る茨にも似た
その絡みつく細い腕。


首元に顔を近づけると
口付けしやすいように
ミカが耳元を差し出した。


その自然な仕草に
心を奪われつつ
耳元で俺は何度も囁く。


俺がこの世で
一番愛しい名前を。



「ミカ」


愛してる。
お前だけだよ。

ミカ、ミカ、ミカ―――







俺の囁きとともに
彼女の吐息が聴こえた。





************* その響きは甘くて  Fin….*****************















◆ あとがき◆


Xmas企画TreasureHantでの
フリリク作品です。
ミカ様リクで真壁のお話でした。

リク内容は、


専属執事で恋人でもある真壁さんと、部屋で恋人の時間を過ごしている時、ふと名前(直樹さんではなく直樹)で呼んでみたくなったヒロイン。会話の中、緊張しながらも、さりげなく装いながら名前を呼んでみる。驚きながらも、恐悦至極な真壁。理性が吹き飛びそうなのを必死で押さえる。多少、興奮気味に暴れる真壁希望。



とのことだったのですが・・・。
すいません、これが
あたしの限界です。


本来ならリクどおりの流れで
書くべきなんですが
どうしてもこれでしか
書けなくて・・・・
試行錯誤して
このお話になりました。


リク内容となんとなく
似てはいるけど
違うお話になってしまって・・・
ミカさん、申し訳ないです。


以前、恋人に名前を呼ばれる
というシチュレーションで
樫原さんのお話、
「Call My Name」を
書いたことがあり
そのお話とかぶらないように
あれこれとしていたら・・・
こんな感じで出来上がって。


好きな人から呼ばれる
自分の名前は
他の誰かが呼ぶのとは
違って聴こえる。
勿論、その人の名前は
他の人の名前と比べたら
すごく特別な意味を持っていて。


そういう想いだけで
書いています。
ヒロイン視点からだけでは
物足りなかったので
真壁視点を入れました。


本来、リクエスト作品は
リクエストしてくださった方に
気に入っていただければ
それで良し、と思っている
私ではありますが、
今回ばかりは・・・限界で
これ以上書けなかったので
本当に申し訳ないです。


ミカさま、ご希望の真壁に
なっているかどうかは
とても不安ではありますが・・・
よろしかったら、どうぞ
この真壁をお納め下さい。
TreasureHantフリリク
ご参加ありがとうございました♪


30.December,2009 つぐみ
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