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Xmas企画、きょう様との
対連載になります。
第8話は、引き続き
ヒロイン視点にて、
あたし、つぐみが書きました。

BackNumber
第1話:すれ違いの始まり
第2話:嫉妬というもの
第3話:優しさの半分
第4話:苦いショコララテ
第5話:想うが故に
第6話:好きなら好きと
第7話:プレゼント選び



以下、創作になります。

創作である事を
ご理解とご了承の上
興味のある方のみ、
どうぞお読み下さい。
****** Christmas Story 第8話 ************
written by tugumi


~ デートのような ~








殆ど買い物も終わって。
午後の昼下がり。


ちょっと喉乾いたな。

そう言ったら近くの
中岡さんが
カフェに入ってくれた。


フレンチスタイルの
白いペンキ塗りされて
アイボリー色の
木製テーブルが置かれてて
その上にはガラスの
小さな一輪挿し。
すっごく乙女ちっくで
可愛いお店だった。


イスに座るときも
中岡さんがイスを
引いてくれる。
周りのお客さんが
ちょっとびっくりしていた。


傍に立っててもらうと
すごく目立っちゃうから
同席して、と頼んで
中岡さんには
正面に座ってもらった。


女の子グループのところは
こっちのテーブルにちらちらと
視線を送ってくる。


(中岡さん、かっこいいもんね)


そんなのを気にしないように
中岡さんがメニュー表を広げて
あたしに見せてくれる。


中岡さんも頼んでくれないと
あたしだけ飲んでて変だから!


そうお願いしたら
中岡さんが苦笑しながら
自分の分の飲み物も選んだ。


中岡さんはコーヒーを
あたしはティーパンチ風
ベリーティを注文した。
イチゴ、ラズベリー、
ブルーベリーが入ってる。


フルーティで美味しいだろうって
中岡さんが勧めてくれた。
柑橘類の香りと蜂蜜の甘さで
買い物の疲れが取れますよ、って。


美味しかったら今度
真壁さんに作ってもらうように
言ってみよう。


あと、ケーキも頼んだ。


ケーキが食べたい、
って言ったら
中岡さんがザッハトルテを
注文してくれた。


あれ?あたし選んでないよ?


そう言ったら
中岡さんが


チョコ好きなお嬢さまが
きっとこれを頼むと
思いましたので。


そうにっこりと
微笑む中岡さんは
すごく優しかった。


なんであたしが
チョコレート好きなのが
ばれてるんだろう?



真壁さんと喧嘩したあとも
とても優しかった。
あの時のガトーショコラも
すごく美味しかった。





ケーキを食べながら
ティを飲んで。


さっき買い物したものや
行ったお店のことや
あれこれを中岡さんと
お喋りする。




ふとした瞬間に。


「失礼します」

と中岡さんが、
テーブル越しに。


ザッハトルテのチョコレートが
口元についていたのを
ティッシュで拭いてくれた。



その仕草は
真壁さんのそれと似てて。



びっくりした。



もっとも真壁さんとのデートで
こうやって汚した時は
拭いてくれたあとで
「お嬢さま、お行儀が悪いですよ」と
私服だったのに
さりげなく執事口調で叱られたけど。


中岡さんはそんなことなくて
拭いてくれた後も
にこにこしてる。


(本当にデートみたいだわ・・・)


思わずそう思っちゃうけど
でも・・・
真壁さんとデートする時みたいな
そんなドキドキはない。



真壁さんのときは
こうやって拭かれた瞬間
ものすごくドキっとした。

その後、軽く叱られたけど
きっとあたしは顔が
真っ赤になっていただろう。


恋人同士の定番みたいな
そんな仕草を
真壁さんがしてくれたことが
とても嬉しくて
とても恥ずかしかったから。
どうしようもなく
いたたまれなくて。


真っ赤になったあたしを
真壁さんがくすっと笑ってた。

そして―――
テーブルの上においていた
あたしの手に軽く手を重ね
その指で優しく撫でてくれた。





こんなことで赤くなるって
本当に可愛いな、って。





驚いて真壁さんを見たら
その瞳がとても優しかった。


それを見たら
あたしは何も言えなくなって・・・。



普段、お屋敷に居る時は
そんなことしないから
それだけで、あたしの
限界メーターは
オーバーヒートで
それ以降、
その日のデートのことは
よく覚えてない。


執事モードで叱った後に
恋人モードで可愛いっていうのは
反則中の反則で重罪だよ。


ずっとこの言葉が
頭の中でエンドレスだった。






「―――お嬢さま、どうかしました?」


思わず真壁さんとの
デートでの出来事を
思い出してて
中岡さんをまじまじと
見つめたままだったらしい。

中岡さんが目を丸くして
あたしを見返してる。


「ううん、なんでもない」


あたしはまた
ケーキを頬ばった。


ザッハトルテから
しっかりした
カカオの味がする。

ちょっと苦いほど
きりっとした甘さで
スポンジはしっとりとして
ずっしり重い。
チョコレートが詰まってる
気がする。


ちょっとづつ食べる。
ベリーティの
爽やかさが
このザッハトルテの重さを
軽くしてくれる。


このずっしりチョコレート感が
ドイツのケーキって感じだよね!




再び食べ始めたあたしを
中岡さんがにっこり
微笑みながら見守ってくれる。



中岡さんと一緒のお出かけは
デートみたいだけど
デートじゃない。
すごく仲のいいおにいちゃんと
一緒に遊びに来てるような
そんな感覚。


今日の中岡さんは私服姿。


本当は仕事であたしの付きだから
執事服で行くべき、らしいけど
今日は頼んで私服にしてもらった。


あっちこっち
見て回りたかったんだもの。


執事服の中岡さんを
連れて歩いたら
人目をひくし・・・。


そう思って私服にしてもらったら
なんだか一緒に歩いてると
デートみたいになってしまって
それであたしはまた慌てた。


でも中岡さんは
そんな様子はないみたい。


(真壁さんだったら、私服をお願いしても、断固として拒否しそうよね・・・)


中岡さんと真壁さんの違い。
色んなところがあるけど
あたしは・・・。


中岡さんと一緒にいたら
楽しいし、楽だと思う。
中岡さん優しいし。


でも真壁さんと居ると・・・・
他の誰とは全然違うんだ。



とっても幸せになったり
とても気恥ずかしかったり
とっても居心地が悪かったり。


たまにとっても
胸がざわつく。
たまにとっても
胸が苦しくなる。



その一瞬一瞬が
他の人とすごす一瞬と違う。

同じ1秒なのにきっと
真壁さんと一緒にすごす1秒は
違う1秒なの。

長かったり
短かったり。
キラキラしてる。
そこだけ切り取ったかのように。





前に真壁さんに
聞いてみたことがある。


あたし、真壁さんと一緒にいると
緊張することもあるし
胸がざわつくし
たまにとっても居心地悪いよ、って。


そしたら真壁さんは
何も言わずにいきなり
ぎゅっと抱きしめてくれた。





それって俺を男として意識してるからだよ。




・・・しばらくして
そう囁いた声は
とても優しかった。




「ねえ、中岡さん」

「はい」

「中岡さんは好きな人と一緒にいて、緊張したり、胸がざわついたり、居心地悪かったりとかいうことある?」

「え?」

「胸が苦しくなったりとか」

「お嬢さま・・・それは・・・?」


「あたしね、中岡さんと一緒にいるとすごく楽しいわ。中岡さん優しいし。それなのに、なんで中岡さんじゃなくて、真壁さんが好きなんだろう?って考えてたの」


だいたいは、優しい中岡さんを
好きになるものよね?


「っ・・・!」


コーヒーをすすっていた
中岡さんが思わぬ言葉で
驚いたのか、噴き出した。

慌てて、テーブルにこぼれた
それを拭くのを手伝いながら
あたしはくすっと笑った。


だって中岡さんの慌てぶりが
あまりにも可愛いいんだもの。


「驚くとこじゃないよ」

「って、お嬢様!!」


中岡さんが真っ赤な顔をしてる。


「いきなり、そんなストレートに言われると驚きます」


「あ・・・ごめんなさい」


中岡さんが真面目な顔で
でも頬を染めている。


大人をからかっちゃいけません。


そう真っ赤な顔で
中岡さんがいうけど
でも、そのぎこちなさが
とても新鮮で可愛かった。


その表情を見て
あたしはまた思う。



なんで真壁さんは
あたしの中で
他の人と違うんだろう?って。



「真壁さんと一緒にいるときに、今日買い物していた時みたいじゃないよ」

「お嬢さま・・・」

中岡さんとの買い物、
すごく新鮮だったの。


あたしが真面目な顔で
そう言ったせいか
中岡さんがじっと
あたしを見詰めてる。


「真壁さんと一緒にいるときも楽しいけど、でも楽しいだけじゃなくて・・・緊張したり、ドキドキしたり、落ち着かない。」



中岡さんと一緒の買い物は
ずっと笑ってて楽しかった。
でも、好きな人は
真壁さんなの。
どうしてなんだろう。


「お嬢さま・・・・」


中岡さんも真面目な顔で
黙り込んでしまったから
あたしもそのまま
目をそらせた。



あたしは真壁さんのことになると
どうしても振り回されてしまう。


日ごろ能天気なあたしでも
喧嘩しちゃったら
とっても傷ついて
沢山泣いちゃうし
沢山悩む。
他の誰かと喧嘩してもこうならない。


真壁さんと、だから、
だと思う。
あたしがあたしでは
なくなったみたいになってしまうのは。




(早く仲直りしたいな・・・)





しばらく2人とも黙ったままだった。


中岡さんも
なにか考えてるようだし
あたしはティの水色を見ながら
真壁さんがいつも入れてくる
ティの味を思い出していた。




午後の昼下がり。
日差しが優しい。

壁に飾られている
装飾棚には
ポトスがおかれてて
その緑のツタが下へ伸びている。
しっくい塗りのような
白壁にポトスのツタが
よく映えてる。


そのポトスに
天井窓からの
柔らかい木漏れ日が
当たっている。


すごく素敵だな、って
思いながら
あたしは自分の部屋を
思い出していた。




喧嘩した時のこと。
喧嘩したあとも
綺麗に整えられてる部屋。
真壁さんがきちんとしてくれてる。


花瓶には綺麗な花が
いつも飾られてる。

そんな部屋で
いつも真壁さんが
美味しい紅茶を入れてくれる。


2人で過ごすティータイムは
どんな時間よりも大切で―――







「疲れてしまわれましたか?」

「え?」

思わず考え事をしていたあたしを
中岡さんが微笑みながら見ている。


「ううん、大丈夫」

お屋敷に帰ったら
真壁さんが帰ってこないうちに
メッセージカード書いて
机の中に隠しておかなくちゃって
考えてたの。


そう笑ったあたしを
中岡さんがやっぱり
優しく笑いかけてくれる。


「こんなに大事にしてもらって、真壁は本当に幸せ者ですね」

コーヒーを啜りながら
中岡さんが優しく言う。


「そうかな?」

「そうですよ」

「・・・それだといいんだけど・・・」

いつもあたしは子どもで
真壁さんに甘えて
たまに叱られて
たまにそのまま
甘やかしてくれて。

その繰り返し。


あたしが真壁さんを
幸せにしてるとか、
あんまり考えたことなかったよ。


あたしは真壁さんと一緒にいると
とても幸せだって・・・
感じることあるけど・・・。


幸せかぁ・・・。

あたしが幸せだな、って感じるのは・・・。



例えば、ぴしっと糊がきいてる
シーツの上に座って
その感触を楽しんでるときに
真壁さんがそれを
見逃してくれる瞬間かな。


そういうシーツには
座っちゃだめだ、と
真壁さんに何度も注意されてるけど
それをあたしが大好きだって
真壁さんは知っているから
苦笑しながらも許してくれる。

そしてまた綺麗に
ベッドメイキングしてくれる。


(これって真壁さんに甘えてるだけ?)



・・・あと幸せに感じるときって。


真壁さんの入れてくれた
美味しい紅茶を
飲むときだな、やっぱり。


あたしの大好きな人が
あたしのためだけに
入れてくれる
紅茶を飲む瞬間。

暖かい湯気が鼻先をくすぐって
温かい紅茶を飲み干すとき
幸せだなって感じるの。

まあ、美味しいから、って
こともあるんだけど―――


あたしが飲む様子を
真壁さんが嬉しそうに見ているから。
だから、あたしも嬉しくなって・・・


おいしいね、って言うと
そしたら真壁さんが
少しだけ微笑んで目を伏せる。


その時、とっても幸せで
時間が止まったように感じるの。



毎日、ささやかな幸せは
あたしの傍にある。

その幸せは真壁さんが
傍にいて、あたしを
大事にしてくれることから
全て始まってるの。



・・・メッセージカードには
真壁さんが好きって
気持ちだけを正直に
書こうと思ってた。


でもそれと一緒に
真壁さんと一緒にいられたら
とても幸せなの、とか
そういうのも伝えたい。



そう思った。



真壁さんが好きだって気持ちと
真壁さんがいてくれて
あたしはとても幸せだって。



できれば真壁さんにも
同じように思っててほしい。




・・・あんなふうな喧嘩を
した後だからわからないな。
あれからずっと
気まずいままだし・・・。



「あと二日ですね」

「うん」


今日寝たら
明日はXmasイブ。
そして明後日はXmas。


「私からもお嬢さまにプレゼントを用意しておりますよ」

「え?中岡さんが?」


意外な言葉で驚く。


「はい」


中岡さんは満面の笑みだった。


「・・・・どんなの?っていっても、きっと教えてくれないわね」



だって中岡さんの笑みは
樫原さんがその話をしたときの
あの笑みと一緒だったから。


「ええ、当日のサプライズです」

「なんだかずるい、その言い方」

「そうですか?」

「うん」

「でも、それってあたしのためなんでしょ?」

「勿論そうですよ」

「なら、当日まで我慢する」


中岡さんがほっとした顔で
笑った。



・・・真壁さんもあたしに
プレゼント準備してくれてたらいいな。



こうやって中岡さんと
お買い物をしてても
考えてるのは
真壁さんのことばかりだよ。

真壁さんには
何が似合うのかな、とか
真壁さんが好きなものとか・・・。


いつもの真壁さんの姿を
あたし、ずっと考えてる。

プレゼント選びながら
大好きな真壁さんの事を考えると
やっぱり切ないよ。


・・・きっときっと
クリスマスの日には
仲直りできますよう。


そう思いながら
ティを飲み干すあたしを
中岡さんが
優しく見つめていた。











*******第8話 おわり *************

第9話につづく。
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