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先日行ったXmas企画での
TreasureHantフリリク、
まりあ様リクのお話になります。
こちらは前編の分割になります。

分割のページリンク

その1 その2 その3 その4

1つの記事で
前編を読まれたい方は
こちらからどうぞ。


前編はここ、
その4までです。
この続き、後編は後日UP.


以下、創作になります。
創作である事を
ご了承の上、
ご理解くださる方のみ
どうぞお読み下さい。

*******その4 ********







周りの乗客は
それぞれ歓声をあげながら
外の景色を楽しんでいる。
子供達は立ち上がって
左右の窓を言ったりきたりして
360度の景色を楽しんでいる。


そんな中、ただ
あたしと真壁さんだけは
気まずい雰囲気のまま。





不意に真壁さんが口を開く。


「お嬢さま、先ほどのお話ですが」

「え?」

「恋人などおりません」

「っ・・・・!」

その言葉でびっくりして
真壁さんを振り返った。


真壁さんは
とっても真面目な顔で
あたしを見つめていた。


「職務優先ですので、今後も恋人など作ろうとは考えておりません」
「ですから、私に恋人ができてお嬢さまの専属執事を離れるなど、そういうことは一切ありませんので、ご安心下さい」


真壁さんがふっと笑う。
いつもの我侭なあたしを
たしなめるような微笑。


傍を離れない、という
言葉よりも
ただ最初の
職務優先、って言葉が
耳に残った。


「・・・・恋より仕事の方が大事なのね」


・・・そんなことわかってるのに。
真壁さんに聞き返すこと無いのに。


「はい」


迷いも無い
きっちりとした返事。


「そんなに執事の仕事が好き?」


あたしの呟きを聞いた真壁さんが
少しくすっと笑った気がした。


「これは私の天職でございます」

そして真面目な顔で言う。

「九条院家に使えさせていただき、お嬢様の専属執事として日々お仕えできることに深く感謝しております」


真壁さんが視線を伏せて
深々と一礼した。
そのあくまでも
執事の姿勢を見ているのが
―――辛かった。


感謝、か・・・。


「真壁さん・・・」


頭をあげた真壁さんが
そっとあたしの手を取った。


「お嬢さまは先ほど、私がお嬢さまを大事にしすぎるとおっしゃいましたが、それは私にとって当然のことです。」

「・・・・」


「お嬢さまは私の主人ですので、専属執事として当然の事をしているだけです」


「・・・真壁さん」


「お嬢様が私の身辺の心配をする必要はありません。誤解をうけるようなことも一切ありません。」


きっぱりと言い切られた。
あたし達の関係は
「主人と使用人」、
ただそれだけだって
断言されていることと同じ。


心の中に苦いものが
広がっていく。



「しかし、お嬢様がもし私が専属執事として気に入らないのでしたら、いつでも他の執事にこの役目は渡しますので、遠慮なくおっしゃってください」


「・・・そうね。わかった」


カプセルの中は暗いから
外の夜景の光が
真壁さんの眼鏡に映ってる。
どんな表情をしてるか
逆光でわからない。


・・・・でもその真面目そうな顔を
みていられなくて
あたしは真壁さんに包まれた手を
抜き取って、また背中を向けた。




窓の外に目を移す。


なんでロンドンなんか
真壁さんと一緒に
来ちゃったんだろう?

なんで単純に一緒に来たら
楽しいだろう、って思ったんだろう。

・・・なんで2人で楽しくするはずが
あたしは拗ねてるんだろう?
こんな風に真壁さんを困らせて。
挙句の果てには
その我侭で真壁さんからは
聞きたくない言葉を聞く。



なんでこんな風な
まわりになっちゃってるの?



あたしは思い出す。



―――こうやって
執事と令嬢じゃないで
出逢っていたら
きっともっと違ってた?


こんなに、この関係に縛られて。



出会った頃は
こうじゃなかった。
もっとぎこちなかったけど
でもこんなにきっちりと
線は引いてなかった。


初めてのお茶会での夜
真壁さんに抱きついて
「真壁さんがいてくれたらなんでもできる」と
その時のあたしと真壁さんは
こんなじゃなかった。


真壁さんがここまで
「執事然」とはしてなかった。


真壁さんとこの関係から
抜け出すことはできないの?


あたしは1人の女の子で・・・
真壁さんの一番近くに居て
真壁さんのいいところも
悪いところも・・・
色んなところを知ってる。


知ってて心惹かれてる。


真壁さんが執事なんていやなの。
あたしの恋人になって欲しい。


でもそれを告げることはできない。




いつから、こうなった?


こんな関係になる前に戻りたい。




ビック・ベンの時計台。
涙がにじむ。
夜景の光のキラキラが
瞼で広がる。


涙がこぼれたら
きっと真壁さんが気づいてしまう。
だから泣いちゃだめ。


わかってたのに。
わかってたのに・・・。

切ないよ。
すごく切ないよ。



一番大好きな人が傍にいるのに。
傍にいてくれることが
とても切ない。


だって真壁さんの心は
あたしに無いから。

だってこの人が
あたしを好きになることはないから。
あたしを1人の女の子として
好きになることは―――。


真壁さんを専属執事に
しなければよかった。


専属じゃなくて
ただ屋敷の使用人で
顔をたまにあわせるだけの関係なら
こんなにぎちぎちに
主従関係に縛られなかったかもしれない。






あの時計の針を
逆に回して
出逢った頃から
もう一度時間が戻るなら。


真壁さんとこんな関係になる前に。



ううん。
出会う前からでいい。


こんな関係になる前の
もっと前からでいい。




もっとあたしに
勇気があったら。

あの時、もう一度
問いただしていたら。
無理にでも真壁さんに
質問していたなら。




こんな関係じゃなかった頃に――――――





(お願い。時間を戻して)



ぎゅっときつく瞼を閉じた。





その時。




時計台の鐘の音が聞こえた。


(ビック・ベン?)


聞こえたと同時に
観覧車が激しく揺れた。


「きゃあっ」

思わず悲鳴を上げる。

「お嬢さま!!」

「真壁さん!!」


足元がぐらつく。


他からも悲鳴が聞こえる。
大きい横揺れ。
地上からだいぶ高いところで
観覧車が揺れる。


(怖い!!!)


思わずぎゅっと目を瞑った。
よろめいて
窓に激しくぶつかった。
他の乗客ともぶつかる。
足を踏まれる。
観覧車内で悲鳴や
荷物が落ちる音が聞こえる。




どうにか身体を支えようとして
足をひねった。

「っ・・・・!!!!」


痛んだ足首でよろめいて
窓にぶつかった拍子に
尻もちをついた。

(やだ!また何か落ちてくる!!)



身体が震えてる。
高いところは苦手。
真壁さんと一緒だと思ったから
大丈夫だと思って乗ったのに。


怖くて、涙が出てくる。
身体が動かない。
震えてくる。


観覧車内が騒がしい。

その時、ぎゅっと膝を抱え
床に崩れたあたしを
誰かがぐっと抱きしめてくれた。


(え!?)

揺れが続く。


(・・・お願い!!!止まって!!)


落ちたらどうしよう
身体が大きく震える。
怖くて、ずっと目を瞑っていた。


横揺れが1度大きく来たあと
だんだん収まってきた。
震えるあたしを
きつく抱きしめる誰か。


(大丈夫、大丈夫)



耳元で小さく呟く声が聞こえる。


揺れが小さくなって止まった。
他の乗客たちが
動き出す音が聞こえる。

でもあたしは
まだ身体が震えてて。
そのまま座り込んでた。
息を殺していたから
苦しくて、息を呑んだり
激しく呼吸をした。

そんなあたしを
抱きしめていた人が
腕を解く。


耳元で聞こえる。


「・・Hey, Are your all right?」


え?えいご?
真壁さん・・・じゃない・・・?


あたしでもわかる片言の英語。

びっくりして
あたしは膝を抱えて
ぎゅっと瞑っていた目を
見開いた。


そこには。


乱雑になった観覧車内の中で
慌しいほか乗客にまぎれて
あたしのすぐ前には
膝を突いた人がいた。



逆光でよく顔が見えない。
でも真壁さんじゃない。
服が違う。
ダークグレイのコートじゃない。
・・・黒のジャケット。


かと思ったら・・・・
夜景の光でその顔が
映し出される。


端正な顔。
白い肌。
きりっと涼しげな目元。
一文字に結ばれたような唇。
スレンダーな身体。
長身を折り曲げて
座り込んだあたしを
落ちてくる荷物や
倒れこんでくる乗客から
守ってくれたのか
少し乱れた髪の毛。


軽く後ろに撫で付けられた
濃紺の髪の毛・・・。

眼鏡をしていない。


でも・・・すぐ近くにいるからわかる。
真壁さんがつけている香水の香り。



知ってる人・・・・え・・・?



「・・・真壁・・・さん?」

「え?」

「・・・・え・・・誰?」


お互い驚いたまま
目を見開いて
相手を見てる。

すごく知ってる顔なのに
頭の中で
「違う」って声がする。
それと同時に
「あの人だ」って声も。



・・・この人・・・もしかして・・・
心臓がどきっとする。
思わず驚きのあまり
あいた口がふさがらない。


心臓が激しく鳴り出す。


「お前、何で・・・名前を・・・?」



声を聞いてわかる。
真壁さんだ。


でも、真壁さんじゃない。

だって・・・
さっきまで
あたしの傍にいた真壁さんは
こんな服を着ていなかったし
眼鏡をかけてた。



それに・・・・
雰囲気が違う。


「・・・真壁さん、なの?」


震える声で聞き返した。


混乱してくる。
え?なにこれ?


「そうだけど、お前、誰・・・?」


あっちも驚いた顔で
目を見開きながら
聞き返してくる。


この人は真壁さんだって
頭の中ではすぐさま一致した。


でも・・・え?

何が起こったの・・・?!
頭が混乱してくる。




だって、目の前にいる人は
いつもの真壁さんじゃない。



22歳には見えないくらい
落ち着いている
真壁さんじゃない。







どう見ても
あたしと同じ年頃の
男の子だった。





********** If you would love me…. 前編終了 ********






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