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先日行ったXmas企画での
TreasureHantフリリク、
まりあ様リクのお話になります。
こちらは前編の分割になります。

分割のページリンク

その1 その2 その3 その4

1つの記事で
前編を読まれたい方は
こちらからどうぞ。


以下、創作になります。
創作である事を
ご了承の上、
ご理解くださる方のみ
どうぞお読み下さい。

**** その3 *******






真壁さんが連れてきてくれたのは
大きな観覧車だった。

テムズ河沿いの
ロンドン・アイと呼ばれる
大きな観覧車。
世界最大級の観覧車で
床以外は全面ガラス張りの
観覧車だった。


「・・・・なんだかとても高いわ」


パンフレットを渡されて
手袋のままそれを持って・・・
観覧車を敷地入り口から眺めた。


真壁さんが観覧車を見上げて
溜息をついているあたしを
くすっと笑った。


「この観覧車からでしたら、ロンドンの名所が一望できます」

それはわかってるけど・・・。

もう夜になってしまっている
ロンドンの街を
この観覧車に乗ってみると
きっと綺麗だと思う。


「でも、あたし、高いところそんなに得意じゃないのに」


ちょっと不安げに漏らしたら
真壁さんが真面目な顔で


「じゃあ、お嬢様。観覧車はやめましょうか?」

「え?」

「お嬢さまが高所恐怖症とは存じませんでした。申し訳ございません」


深々と一礼されちゃって
慌てて訂正する。


「あ、違うの!だ、大丈夫、だって真壁さんがついててくれるんでしょ?」


あたしの言葉で
顔を上げた真壁さんが
これまた真面目な顔で


「勿論、常にお傍におりますよ」

「ならよかった。全面ガラス張りなのが、ちょっと怖いだけ」

「この真壁がお嬢さまの傍についておりますので、ご安心下さい」



さあ、どうぞ。

真壁さんが手を差し出してくれる。
あたしはパンフレットを
バッグに仕舞いこんだ。



観覧車の入り口まで
歩いていく。
楡の木、マロニエの木。
青いイルミネーションの装飾。
青い電飾が施された
とても素敵な素敵な観覧車。


まっすぐに続く道を
真壁さんと2人で歩く。



それにしても。


「ねえ、真壁さん。なんでここを最初に選んだの?」

勿論、夜のロンドンの街を
こうやって観覧車で
一望するなんて・・・
とっても素敵だけど・・・
さっきホテルを出るときに
ロンドン・アイを
迷わず選んだのを
あたしは知ってる。


ロンドンに着く前に
日本で既にチケットも
手配していたみたい。
いつの間に、と思った。



今回の観光は
あたしの希望を聞いて
真壁さんが全て計画を立てて
予約もチケットもしてくれたけど。
この観覧車のことは
全然教えてくれなかった。


ただロンドンについた最初の夜は
もし疲れていなければ
ロンドンの夜の街を
少し歩いてみよう、というぐらいの
予定だったのに・・・。


日付入りの予約のチケット。


きっと来る、って
わかってたんだはず。


(真壁さんの中でロンドン・アイははずせないポイントだったのかな?)



「ロンドン・アイを選んだ理由は、お嬢さまに私のロンドンでの一番のお気に入りをお見せしたかったからです」


「え?」


「このロンドン・アイから眺める景色、夜景や名所の一望は、きっと忘れることができない思い出になるでしょう」


「・・・・真壁さんは留学していた時にここによく来てた?」


「ええ。ここからの景色が好きで、たまに乗っていました」


乗らなくても
近くにはまさに
イギリスらしい風景ですからね。
国会議事堂、ビック・ベン。
ウエストミンスター寺院。


真壁さんが近くの
観光名所を指折り数える。
とても楽しそう。



歩きながら手がかじかむ。
真壁さんに繋がれている手は
暖かいけれど
でも反対の手は寒いから
息をはーっと吐いて暖める。



目の前の観覧車を見つめる
真壁さんの遠い視線。
留学していた頃を
思い出しているのかな?
懐かしそう・・・。


向かいから歩いてくる人たちは
きっと観覧車に
乗り終わった人たちだろう。
とっても楽しそうな顔をして
くっつきあって
楽しそうに喋る恋人同士と
すれ違う。


「・・・真壁さん、前は誰と一緒に乗ったの?」


もしかして、真壁さんも
ここで誰か・・・大切な人と
観覧車に乗ったのかな?と
一瞬だけちらりと思った。
横顔を見ていたら
なんだか思わず聞いてしまった。


だって、デートするには
格好の場所だもの。


真壁さんがびっくりした顔で
あたしを見る。


「あ・・・ごめんなさい」


真壁さんが
とても驚いた顔をしたから
思わず場違いな事を
聞いてしまったと思って。


「デートに格好の場所だと思ったら、つい」



それに真壁さんが
最初にここを何も言わずに
決めてしまったから。


・・・・女の子がここをとても喜ぶって
わかって、ここにしたのかな、って
思ったの・・・。


「思わず立ち入った事を聞いてしまったわ。ごめんなさい」


そんなの、あたしには
関係ないことだよね、ごめんね。



「真壁さんに恋人がいたとしても、あたしには全然関係ないことなのに」


聞かれてもないのに
思わず気まずさを
誤魔化すために
あたしはずらずらと
言い募る。




真壁さんは
あたしの執事さんだけど
プライベートまで
あたしが立ち入ることは
しちゃいけないのに、ね。
ごめんね。



思わずそう笑って誤魔化すと
真壁さんが真面目な顔をして



「お嬢さま」

と呼んだ。


「・・・・。」


続きに何か言おうとして
でも口をつぐんじゃった。
そして眉をしかめて
難しい顔をしてる。



気まずい事を
言っちゃったな。


あたしは真壁さんに
恋人がいないって
思っていたけど・・・
でもそれは日本で
九条院家で働いている時の
彼をみていて、そう思っただけで
ロンドンに留学していた頃は
恋人もいたかもしれない。


(ありえなくないこと、だよね・・・)


だってさっき観覧車を眺めた
真壁さんの視線は・・・
少し切なげで
その表情からは
想いが量れないような
立ち入っちゃいけないような
そんな感じだったの。


真壁さんは眉間に
皺を寄せて
なんだか考えてるみたい。


「ごめんね、真壁さん」


もういいよ、って笑って
もう一度誤魔化して。


「さあ、行こう。入り口、あっちだよ」


見えてきた観覧車の入り口。
わざと話題を変えた。
胸が痛む。


あたしだけが
“これはデートみたい”って
勝手に思ってて。
真壁さんが前に誰と
これに乗ってデートしたんだろう?って
自分の想像の中で
ちょっと嫉妬して。
詮索して。


―――きっとあたしの表情が
ぎこちなくて
誤魔化しているのを
真壁さんは知っているはず。


繋がれていた手を
そっと抜き取って
あたしは両手を
自分のコートのポケットに入れた。


気をつけないと
甘えすぎてしまう。
誤解してしまう。


甘えすぎて―
――戻れなくなってしまう。



繋いだ手を離したあたしを
真壁さんは何も言わなかった。
さっきまで繋いでいた
手をちらりと見る。


白い手袋。


真壁さんは
ポーカーフェイスのまま。
たださっきより
少し表情が硬かった。


あたしはコートのポケットに
両手を入れた。


気まずいまま
何も話すことも無く歩いた。





・・・・・・・・・・・・




観覧車の入り口で
他の乗客と一緒に乗り込む。
カプセル型。

あたし達のほかにも
乗客が居る。
家族連れや友達同士、
それに恋人同士も。

皆それぞれ
ガラス張りの窓に
張り付くようにして
ゆっくりと上がっていく
外の景色を見つめている。



ロンドンの夜景は
とても華やかで
テムズ河沿いはすぐわかる。
河の蛇行に沿って
イルミネーションが飾られてるみたいだから。


テムズ河は黒い線のよう。
それを彩る街並みの光。

キラキラと光る
イルミネーションが
水面に映る。
黒い河に揺らめく光の道が
できているように。

ところどころに架かっている
橋もよく映画とかで
見たことがある風景。


遠くに小さく見えるロンドン塔。
ライトアップされている。


近くにある国会議事堂。
ネオゴシック様の
鋭い煙突や直線が
光を受けて、きりっと
夜の街並みの中に
どっしりと座り込んでいるかのよう。


時計台、ビック・ベンの
時計の盤が見えてくる。




観覧車に乗り込んだあと
窓の外の光景を眺めながら。


真壁さんが指差してくれる
ロンドンの観光名所を
一望しながら。


話が切れるのを待って
真壁さんにそれとなく
切り出した。



「ごめんね、真壁さん」

「はい?」

いきなりのあたしの
謝罪で、真壁さんが
ちょっとびっくりしてる。


「・・・こういう素敵なところ、きっと仕事とかのお付じゃなくて、デートとかで来たいところだと思うのに、あたしなんかでごめんね」

「お嬢さま・・・・」


誤魔化そうと思っていたけど
なんだかそれじゃあ
効かなくて。
思わず悪あがきみたいに
話を蒸し返してた。


ううん、さっきのことだけじゃなくて。


これは・・・
いつもあたしが感じてるけど
でも見ないようにしている気持ち。


なんでこれを
ここで真壁さんに
打ち明けちゃうのか
わからなかった。


でも。


一緒に歩くロンドンの街は
きっととても
楽しいものだと思ってた。
こっちに来るまでは。


でも。

来てしまって
2人っきりで
本当に2人っきりでいると
いつも胸の中で
もやもやしていることが
抑えられなくなってくる。


あたし一人、勝手に
意識してるっていうのが
とても切ないから。
そんな気持ち抱いてないって
虚勢じゃないけど・・・
でも切な過ぎて思わず言ってしまった。


「真壁さんに恋人ができたら、教えて」
「いくら執事と令嬢でも、誤解されちゃ困るでしょ?」


「・・・誤解といいますと?」


真壁さんが真面目な声で
聞き返してくる。


「・・・真壁さん、たまにあたしを大事にしすぎて、こうやってマフラーを貸したりとか、手をつないだりとか、それって執事の仕事なのに、恋人に誤解されたりするかもしれないから」

「だから、真壁さんに恋人ができたら、あたしにちゃんと教えてね」

そうしたら
できるだけ沢山
お休みもあげるから。
年頃の女の子の
執事をしてるって
恋人が嫌がるなら
専属変えてもいいから。


中岡さんや隆也くんでも
きっとあたしの専属勤まるわ。
中岡さんはいつも優しいから
お兄ちゃんみたいに
なってくれるだろうし
隆也くんは年が近いから
きっと仲良しになれるわ。


もし真壁さんが
あたしの専属ができなくなっても
あたしは大丈夫だからね。

九条院家の執事さんたちは
すごく優秀だから
きっとあたしの執事さんが
変わったとしても
かまわないよ。

それに、楽しいかもしれないよね。
専属じゃなくて
普通にかわりばんこで
執事をしてもらったら
毎日もっと楽しいかも。

だってみんなそれぞれ
素敵なんだもん。




・・・言いながら
真壁さんの表情が
こわばっていくのがわかる。


(違う、こんなこと、言いたくないのに)

こんなんじゃないのに。
あたし、なんでこんな。
憎まれ口じゃないけど
何でこんなこと言ってるんだろう。



勝手に好きになってしまったことが?
悔しかったから?

それとも正直になれなくて
好きだけど
そんな風に振舞えないから?

素直になれないから?



(こんなの―――ただ拗ねてるだけだよ・・・)


思わず自分に悪態つきたくなる。



でも。

あたしの気持ちがばれたり
負担に思われたくない。
勝手に好きになったなんて
気づかれたくない。


だから、全然真壁さんなんか
意識してないんだよ、って・・・。


それだけのために
こんな変な事を口走って―――


声が震えそう。
でも、きちんとここで
誤魔化しておかなくちゃ・・・。
きっと真壁さんが
困っているだろうから。


「だから、いつ真壁さんがあたしの専属じゃなくなっても大丈夫だよ」


極めつけの言葉を
真壁さんに投げつけて
あたしは顔を背けて
窓を振り返った。

告げた言葉が
とても辛い。
目が潤んできそうになったのを
みられたくなくて。


さっきまで楽しそうに
夜景で見えるところを
指差しして教えてくれた
真壁さんは・・・・
きっとあたしの言葉の真意を
考えてるんだろう。


黙ってしまった。




さっきよりも
もっとぎこちない空気。




窓の外に広がるロンドンの夜景。
涙でにじむ。



(泣いちゃだめ)



あたしと真壁さんは
主人と、その専属執事で
それ以上でも
それ以下でも
・・・なんでもない関係。


ただ、あたしが
勝手に好きなだけ。


そんなの、前から
わかってたじゃない。
あたしだけに優しいのは
ただ、あたしが
「主人」だからだって。


わかってるのに。

そうじゃないって
言ってほしくて。
そうじゃないって
言葉を聞きたくて。

でも、気づいてほしくなくて。
負担だと思われたくなくて。


こんなこと言ってる。




しばらく真壁さんは
何も言わなかった。












*****その3 おわり ******


その4はこちらから。

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