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Xmas企画、きょう様との
対連載 ChristmasStoryの
第4話です。

ヒロイン視点から、
あたし、つぐみが書いています。

Book Number
第1話:すれ違いのはじまり
第2話:嫉妬というもの
第3話:優しさの半分

以下、創作になります。
創作である事を
ご了承の上、
ご理解くださった方のみ
どうぞお読み下さい。



******** ChristmasStory 第4話 *******
written by tugumi


~苦いショコララテ~











・・・仲直りしなきゃ。

真壁さんがいきなり
あんな態度だったのは
やっぱり腹が立つけど
でも腹が立つより
悲しいの。


大好きな人に邪魔だって言われて。



大っ嫌い。

思わずそう言っちゃったけど
でもきっと
言ったあたしでさえ
心が痛かったのだから
口喧嘩だったとはいえ
そう言われた
真壁さんのほうは
もっと心が痛かったかもしれない。


(傷つけちゃったかな・・・)



思わず部屋を
飛び出してしまったけど
でも何もきかずに
ああいう風に
かんしゃくを起こして
そのままって言うのは
流石に後味が悪い。


仲直りしなきゃ。


なんで真壁さんが
あんな態度取ったのか。
よくわからないけれど
怒っている理由を
あたしは真壁さんに
きかないといけないし
あたしには聞く権利があるよね?







部屋に戻ったら
真壁さんは既にいなくて
あたしの明日の学校の準備が
きちんとされていた。


丁寧に磨かれたカバン。
ハンガーに吊るされた
埃1つない制服。
きちんと片付けられた机の上。


あんな喧嘩をした後でも
真壁さんが仕事に関して
手を抜くことは1つもない。


きっとあたしが
部屋を飛び出した後でも
不機嫌そうな顔で
でも正確な手つきで
明日の準備を手早く済ませる
真壁さんが容易に想像できる。



(・・・課題、やろうかな)


仲直りしなくちゃ、って
勢いづいて
あずまやから帰ってきたけど
でも・・・
きっとさっきの様子だったら
どうあたしが話しても、
またはぐらかされるかもしれない。



課題やってから
真壁さんを呼んで
その時に話をしよう。


そう想ってあたしは
課題のノートを広げた。















しばらく課題をやっているうちに
だんだんと集中してきて。



カタン。


ドアが開いた音で
びっくりして振り向いたら
真壁さんがさっきと同じように
しかめっ面で
カップを持って入ってきた。


「あ、真壁さん、さっきは」

「休憩にどうぞお飲み下さい」


あたしの言葉をさえぎるように
真壁さんがカップを
サイドボードの上に置きながら
一言添える。

ちらりと表情を見ると
やっぱり眉間に皺を寄せて
目を合わせてくれない。


コトン、と
カップが置かれる音。


あたしが大好きな
ショコララテだ。

苦いコーヒーも
ショコラの甘さで
独特の味になって・・・。


ついでにあたしは
特別にその上に
また甘い甘い
ホイップクリームを
載せてもらう。

勿論。
ホイップクリームの上には
銀色の小さなアザランが
飾り付けられている。


真壁さんに見習って
紅茶贔屓のあたしでも
これはお気に入りのメニュー。


いつも紅茶ばかりだから、と
たまに真壁さんが入れてくれる
コーヒー類は
正統派の紅茶と違って
飾り付けがあったり
香りをつけていたりと
遊び心があって楽しい。



きっとさっきの
アフターヌーンティで
たっぷり紅茶を飲んだから、って
真壁さんが気を回してくれたのかな。


「ありがとう」


あたしはどうにか
笑顔を作ってみたけど
真壁さんは表情さえ替えず
ただ一礼しただけだった。


置いてすぐさま
部屋から出て行く
素振りなものだから、
慌ててあたしは引きとめようとした。


「まって、真壁さん」


「邪魔になるといけませんので。御用がありましたら何なりとお呼び下さい」


「じゃ、邪魔って、別に」


でも・・・あたしの言葉が
聞こえてないかのように
真壁さんが深々と一礼して
部屋から出て行ってしまった。

最後にちらりと
あたしの顔をみた
真壁さんの表情は
それこそ「執事」の顔そのものだった。



(あ・・・)



扉がカタンと静かに閉まる。
殆ど音も無く
真壁さんが出て行った。


あっけに取られるぐらい
真壁さんがあからさまに
あたしを避けていた。




(・・・かなりわかりやすく不機嫌だったよね)



それも
「邪魔だからでていく」
なんて言葉、明らかに
あたしへの嫌がらせかしら?
さっきの喧嘩を思い出す。


どうして喧嘩って
全然予測もできないときに
起きてしまうんだろう。



今の真壁さんはまだ不機嫌で
話し合う予知なんて
まるっきりなし。

いえ、まるっきり無視。


きっと気持ちが治まるまで
あの「執事」の顔をし続けて
応対するつもりなんだろう。







・・・・ずるいよそんなの。



都合がいい時に
「執事」に戻っちゃう恋人。


何だか、そこを考えると
むかむか腹が立ってくるけど・・・。



でも、きっとあたしが言った
「大っ嫌い」って言葉は
それなりの重さがある。




あーあ。


なんだか
ちょっとだけの喧嘩で
終わるかなって想ってたのに。


お互いに話して
終わりだと想ってたのに。


思った以上に
真壁さんは不機嫌で。
会話すらできない状態って
こういうのを言うのかしら?


専属執事だから
いくら恋人として
喧嘩をしても
真壁さんは
仕事はきちんとこなすだろう。


(そういうポーカーフェイス・・・嫌い)


あたしが真壁さんよりも
年下で、そしてこどもだってことを
否が応でも感じてしまう。



喧嘩しただけで
あたしは不安になったり
イライラしたり
心配になったりするのに。


そういうのを隠し切れないのに。


真壁さんはそうじゃなくて。
いとも簡単に「執事」に
戻ってしまう。

不機嫌そうなところは
隠しきれてないけど
でも体面を取り繕って
会話することさえできる。


それがなんだか・・・。



(ちょっとイラってするけど・・・でもこんな喧嘩で苦しいのはヤダ)



これまで真壁さんに
邪魔だなんて
いわれたことなんかなかった。

確かにあたしは我侭で
甘えっ子で
真壁さんを困らせることは多いけど
でもだいたいは
真壁さんが苦笑しながらも
相手してくれてた。


こうやって突き放されて
距離を置かれるなんてことはなかった。



・・・・なんでいきなり
こうなっちゃったの?
訳わかんないよ。



あたしには真壁さんの心が見えない。
ううん、見えてたと想ってたのが
実は見えてなかったのかもしれない。
そういうことさえ
思えてくる。


だってあんなにいきなり不機嫌で
あんなに冷たくなるなんて・・・
滅多に無いのに
その滅多に無い状態になった
「理由」さえ、あたしには
あまり見当がつかないんだもの・・・。



(あたし、鈍いのかな・・・?)


なんだか、そう想うと
ちょっと泣きそうになった。


課題なんてやってらんない。


真壁さんが持ってきてくれた
ショコララテに口をつける。



あたしが大好きな唐草模様柄の
カフェオレボールに入ってる。
両手で包み込むようにして
それを飲む。


甘い・・・でも苦い。
・・・ううん、美味しいはずなのに
苦味がすごく感じられる。




(これって今のあたしの気持ちかな?)


美味しいはずなのに。
喧嘩して、ぎこちなくて
気持ちがすっきりしないの。

悲しかったり
なんだか心配だったり。
心細いの。



カフェオレボールに満たされた
ショコララテの甘さが
恨めしくて。


その水面に移る
ゆらゆらとした模様は
あたしの心の動揺のようだった。







・・・・・・・・・・




真壁さんと喧嘩をしてから
数日が過ぎた。


相変わらず、ううん
真壁さんは
恋人同士になる前ぐらいに
他人行儀に応対してくれる。



一生懸命真壁さんに
話しかけようとしていた。

でも真壁さんは
門前払い、じゃないけど
シャットアウトで
すぐさま「執事」で
話をさせてくれない。



色んなことを話したいのに
真壁さんは目もあわせてくれない。



専属執事だから
いつも一緒。

朝持ってきてくれる
アーリーモーニングティや
教室までの鞄持ち、
学校が終わったあとのお迎え
食事の時の給仕。
明日の準備。


何もかもいつも通り
「完璧」にやってくれる。
ただ足りないのは
「会話」だけだった。






何度も話しかける。
そのたびに話をそらされる。



でもそういうのが
数日も続くにつれて
あたしの心は
心配で、ただ心配で
きりきり痛み出した。



(もしかして、真壁さん。あたしのこと、嫌いになっちゃったかな?)


大っ嫌い、と言ったのは
あたしの方。
でもその言葉どおりに受け止めて
真壁さんの心が
あたしから離れてしまったら・・・。



そう考えたら
いてもたってもいられなくなった。


でも一緒にいる真壁さんは
そういうあたしの
心配や不安で
きりきり痛んだ気持ちを
聞いてくれる様子は無い。



むしろ避けられてるのだから。


2人で一緒に過ごす時間も
だんだんと減ってきた。
夜の仕事が終わってからは
しばらく寝るまでの間
真壁さんと過ごしていた
恋人同士の時間も
喧嘩をした日からなくなった。



真壁さん、って呼んで甘えて
抱きついたのが
遠い昔のように感じられた。


すぐ傍にいるのに。
全然心を通わすことがない。



(なんでこうなっちゃったの?)



クリスマスの話をして。
そして部屋に帰って
真壁さんに甘えた、
ただそれだけなのに。



あれから何度も考えてみた。

真壁さんが不機嫌になること。



・・・よくよく思い出してみたら
ウォルフさんが
手の甲にキスしたこと?
でもそういうのは
ウォルフさんには日常茶飯事で
頬にキスされたわけじゃあるまいし。

ドイツからシュトレンを
取り寄せるっていうのを
お願いしたから?
・・・でもそれだけで
あんなに不機嫌になるかしら?


義兄さんが本物のもみの木を
クリスマスに準備するから?
・・・別にそれは関係ないか。


あれこれ考えても
そこまであんなに真壁さんが
不機嫌になる理由がわからなかった。


(不機嫌になった理由を教えて?)


そう聞いて
それに答えてくれるだけで
あたしがこうやって
何日も気を揉むことは無いのに・・・。



話が出来ないって辛い。
避けられてるって辛い。


・・・・あたし達
恋人同士だよね?
・・・まだ、恋人だよね?


たくさんの疑問が
あたしの中で渦巻いていた。






********第4話 終わり**********

第5話に続く
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