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Xmas企画、対連載、第3話です。
あたし、つぐみが書いた
ヒロインSideです。

副題は「優しさの半分ぐらい」

続きの第4話は
本日夜か明日かな。
リクUPもあるので
様子をみつつ。


BackNumber

第1話:すれ違いの始まり
第2話:嫉妬というもの



以下、創作になります。
創作である事を
ご理解とご了承の上
興味のある方のみ
どうぞお読み下さい。




********** ChristmasStory 第3話 *********



~ 優しさの半分ぐらい ~





++++++++ あたしがみる景色 +++++++++





「だいたい、なんで真壁さんって不機嫌になったら、いっつも黙りこくっちゃうわけ?」


「言わないと、わかんないよ」


部屋を飛び出したあたしは
廊下を足早に通り過ぎて
ひとり、庭を歩いていた。

さっきの真壁さんの態度に
絶対おかしかった。
なのに真壁さんは
何も言ってくれない。

それどころか
あたしと話すことさえ
拒否して・・・・。
邪魔だって言われた。


行き場のない怒り、
気持ちが伝わらなかった悲しさ。
子ども扱いされた
言いようのない悔しさ。
冷たくされたショック。


色んな気持ちが
ぐちゃぐちゃになって
気を抜いたら、ぼろぼろに
涙が出てくる。


(こんなので泣いているのを誰にも見られたくない)


ぎゅっと目を瞑る。
でも、瞑った目から
涙がこぼれる。



「・・・・真壁さんのばか、大っ嫌い」




「----お嬢さま?」


あたしが誰も居ないと
思って呟いた言葉に
返事が返ってきた。


「え?」

誰も居ないと思ってたのに
人声でびっくりして
あたりを見渡したら
後ろから中岡さんが足早に
近づいてきてた。



「中岡さん・・・・」


中岡さんが目を丸くして
あたしを見つめてる。
思わずびっくりした拍子に
ぽろりと一粒だけ
涙がこぼれた。


それをみて中岡さんが
とてもびっくりした顔で
慌て始めた。


「何かございましたか、お嬢様?」


あたしも慌てて
涙をぬぐった。
でも、ぬぐっても
また涙が出てくる。

思わず誤魔化そうにも
誤魔化せなくて
あたしは平気な振りして
泣き笑いをした。

「な、なんでもないよ」


心配そうな顔をした
中岡さんが胸ポケットから
ハンカチを出して、
そっとあたしの涙を拭いてくれる。


「何でもない、ではないですよ」

「・・・・うん」

「先ほど、廊下を走って庭に出られる様子がいつもと違っていたので、気になりまして」


「中岡さん・・・」



「真壁の名前が聞こえてきましたが・・・あいつと何かあったんですか?」


真壁、って名前で
思わずはっとして
中岡さんを見つめた。

中岡さんはとても
心配そうに
あたしを見つめてる。


「・・・・」


喧嘩した、なんて言えない。


あたしと真壁さんが
恋人同士なのは
中岡さんも知ってるけど
でも痴話喧嘩でこうなったなんて
そんなの恥ずかしくて言えないもの。


「・・・なんでもないよ」

表情が曇っているのを
みられないように
あたしは顔を伏せた。


「お嬢さま・・・」

「心配かけてごめんね。でも大丈夫だから」


ちょっと笑って見せたら
中岡さんが溜息ついたのが
聞こえた。

きっとあたしと真壁さんに
なにかあったって
わかってるはずだけど・・・
今は何も言いたくないの。



「・・・・」


思わず黙り込んだあたしの手を
中岡さんがそっと取った。

「ん?」

顔を上げると
中岡さんが優しそうな顔で
にっこり笑ってくれた。


「お嬢さま。パティシエがとても美味しそうなガトーショコラを作っておりました。それをお持ちいたしますので、お茶をあずまやでお召し上がりになりませんか?」

「ガトーショコラ?」

「ええ。お嬢様お好きなチョコレートです」


「美味しい?」

「ええ、うちのパティシエ得意の焼き菓子ですからね」


さっきアフターヌーンティも飲んだし
今はお茶を飲む気にも
慣れなかったけど・・・
でも部屋に帰る気にもなれない。

「チョコレートを頂くと、きっとお嬢さまも笑顔になると思いますよ」

「中岡さん…」

「甘くて美味しいものは、心を癒してくれますからね」

そう言って、中岡さんが
いつもよりも
にっこりと笑ってくれた。

そのわざとらしさが
きっとあたしを元気にさせようって
気遣ってくれたんだな、と思って
なんだか心がじんわりとした。


「そっか・・・じゃあ、頂こうかな?」

「わかりました。どうぞあずまやの方でお待ちください」


やさしく笑った中岡さんが
あたしの頭をそっと撫でる。

触れていいのか
触れてだめなのか。
かすかな距離で
感じられる
中岡さんの手のひらの温かさ。


そしてあずまやのほうへ
あたしを促したあと
お辞儀して立ち去っていった。


あたしはその後姿を見て
溜息をついた。


なんでだろう。


一番好きな人は
あたしに優しくないのに
他の人はとても優しい。



…真壁さんが中岡さんの
半分ぐらい優しかったらいいのに。
真壁さんが中岡さんの
半分ぐらい・・・・。













あずまやでひとり
さっきのことを
思い返してた。



なんで真壁さん・・・
あんな態度を取ったんだろう?
いつもだったら
甘えるのを許してくれるのに。




邪魔をしないでいただけますか。




執事の口調でそう言われた時の
真壁さんの硬い表情を思い出す。


機嫌悪いの?と聞いたときも
敢えて、淡々と答えてた気がする。
追求しようとしたら
それ以上聞くなって感じで
課題のことをだして、
話逸らされたし・・・。


なんであんな風になっちゃうの?



前もそうだった。

真壁さんが急に不機嫌になったり
冷たくなったりすることがある。


恋人同士になる前だってそう。
姉さんの披露宴の時だって。
気持ちを伝え合うまで
しばらくギクシャクしてた。

仲良くなったと思ったら
近づいたと思ったら・・・
真壁さんが距離を置くようになって。



(また、あんな風になるのかな・・・?)


なんで距離を置かれるの?
なんかあったっけ?



思い返しても・・・
さっきはサロンでお茶を
晶さんとウォルフさんと
一緒にいただいて
それからクリスマスのお話をして・・・。



どこか気に障ったこととか
あったのかな?


んー・・・ってひとり
あずまやのベンチに座って
考え事をしていたら



「お嬢さん、こんにちは」


あれ?って声を
かけられてみてみたら
太陽を背中に
隆也くんが笑って
こっちを見ていた。


園芸用の手袋をして
もう片手には袋を持っている。
落ち葉かきしてたのかな?


「あ、隆也君。お疲れ様」


にっこり笑い返したら
隆也くんもにこって笑った。



・・・なんか隆也くんの笑顔って
とっても明るいよね。
いつもほがらかだし。


あたしはいつもあんまり笑わない
自分の恋人を思い出してた。



「お茶ですか?」


「ええ、中岡さんを待ってるところ。隆也くんは?」


「へへ、オレは勿論庭の手入れっすよ」



自慢げに隆也くんが
袋を持ち上げて見せてくれる。


「クリスマス前なんでそれに合わせて庭木の剪定とかありましてね」

「そうなんだ?」

「あ。お嬢さんは今年初めて、お屋敷でのクリスマスですね」

「うん、そうなの」

「きっとお嬢さん、びっくりされますよ」

「え、どうして?」

「もみの木を旦那様が特大サイズで注文していましたからね」

「と、特大サイズ?」

「そうです」

隆也くんが面白そうに笑った。

「いやぁ・・・あれだけデカければ飾りつけも大変だろうなぁ」

「飾りつけ・・・」

「イルミネーションをしても綺麗だと思いますよ」


にっこり隆也くんが笑ってくれる。

「あたし・・・本物は初めて見るわ」

「そうでしょうね、ふつーの家庭育ちでしたら、滅多に本物のもみの木、それも特大サイズで特上なんて見ることないでしょうね」


「特大に特上・・・・」


思わずその表現にびっくりして
想像して笑ってしまった。


「なんだか、すごそうね」


義兄さん、本当に張り切って
準備してるんだ・・・。
これじゃあ、クリスマスパーティ
屋敷中でやりそうね。



「本物のもみの木はすごいですよ。なんていってももみの木自体の匂いが良くて」


真壁さんと2人きりで
クリスマスなんて・・・
やっぱりだめなんだろうな。


・・・それどころじゃなくて
さっき喧嘩しちゃったから
もしかしたらクリスマスまでも・・・
ううん、仲直りできなかったら・・・。


思わず表情がまた曇ってしまう。



「どうしたんすか、なんか、その、深刻そうな顔をして?」


あたしが急に黙りこくったのを見て
隆也くんが心配そうに聞いてきた。


「え?あ・・・なんでもないよ」

慌ててフォローすると
隆也くんはちょっと心配そうだったけど
でもすぐに優しく笑ってくれた。


「もし、なんか困ってることがあったら、オレ、呼んでください」

「え・・・」


思わずびっくりして
目を丸くする。
じっと隆也くんを見詰めてたら
隆也くんがちょっと照れたのか
顔を赤くしながら
指で頬をぽりぽりとかく。


「ほら。オレ、お嬢さんの役に立てるんだったら、なんだってしますから」

「隆也くん・・・」

「お嬢さんには、そんな暗い顔似合わないっすよ」


「・・・ありがとう」

なんだかじーんときちゃって
思わず隆也くんを見つめたら
にかっと笑った。











中岡さんが持ってきてくれた
スイーツはとても美味しかった。
すごく美味しいって伝えると
中岡さんが優しく笑った。


気持ちは落ち込んでいたけど
でもさっきの隆也くんの励ましと
中岡さんがくれた
優しいお茶の時間が
あたしの心を癒してくれた。





(・・・喧嘩なんかやだ)




中岡さんが入れてくれた
シャリマティからは
オレンジの優しい香りがする。

それを飲みながら
あたしは想う。

いつもの味とは違うって。


―――真壁さんの入れた紅茶を飲みたいって。


美味しくないわけじゃないの。


でも、真壁さんが
入れてくれた紅茶は
あたしにとって格別なの。
あたし好みの味、温度、
そしてお気に入りのティカップ。

どれもこれも
真壁さんがあたしのために
してくれてる細かい配慮。

日常のように
さりげなくやってくれてるけど
違う人が入れてくれた紅茶を飲むと
すぐにわかる。

真壁さんが
どれほどあたしに
心を砕いているか。



「中岡さんの入れた紅茶、美味しいね」

「真壁には勝てませんよ」


真壁の紅茶は
ただ入れているだけじゃなく
プラスαで
あいつの愛情が入っていますからね。


お嬢さまはいつも
あいつの特別仕様紅茶を
飲んでるんですよ。



ポットからカップに
コトコトと、紅茶をいれながら、
そう笑った中岡さんの
その一言が
ただ心に残った。








********** 第3話 終わり *********


第4話は夜ごろ。
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