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Xmas企画、対連載第2話、
真壁Sideです。
あたし、つぐみが書きました。
きょう様
書かれた第1話を受けて。

副題は『嫉妬というもの』。

続き、第3話は
23日更新予定。

以下、創作になります。
ご了承の上、
創作である事を
ご理解いただける方のみ
どうぞお読み下さい。

*******ChristmasStory 第2話***********

~嫉妬というもの~





++++++ 真壁直樹の見る景色 +++++++






喧嘩は常に些細なことで起きる。


いや、つまらないこと、と
いえるだろうか。


糸にできた小さな捻りが
次の捻りを作っていくように。


・・・俺がもし中岡なら
もっと上手く振舞えただろう。
あいつのように
「お嬢さまが楽しいのであれば、私はそれでいいのです」
と、負けじと劣らない
爽やかな笑顔で言えたのなら。


(嫉妬というものは厄介だな)


堅物。
わからずや。
大嫌い。


気がつけば
自分の気持ちにとらわれる余り
彼女に冷たくして
そして・・・。


彼女の口から
こんな言葉を引きずり出してしまった。


泣きそうな震える声なのに
その言葉は荒々しくて。
言葉と気持ちの両方を投げつけて
部屋から出て行った彼女。


些細な言葉だが
彼女が俺にそれを使うと
思わず息を呑むほどの
鋭い痛みをうけることを
初めて知った。


ポーカーフェイスを
崩さないようにするのが
精一杯で
部屋から出て行く彼女を
引き止められなかった。


いつもだったら。


些細なことで怒って
部屋を出て行く彼女を
捕まえて後ろから抱きしめる。

この腕の中に閉じ込めてしまえば。




そうすれば
「いつも通り」なのに。


それさえもできなかった。








・・・・・・・・・・


ことの起こりは
サロンでのアフターヌーンティ。
ウォルフと山科様と****が
クリスマスについて
話をしていたときのこと。


中岡と俺で
給仕をしていた。


****はこの九条院家での
クリスマスパーティは
今年が初めてだ。


そろそろクリスマスに近いから
早めにクリスマスパーティで着る
ドレスを注文しなくては、と
紅茶を注ぎながら考える。


きっと1年に何度ともある
九条院家でのパーティの中でも
一番派手で大きくやる
クリスマスパーティだから
****にも九条院家の令嬢に
相応しいドレスを選ばなくては。


あとはパーティ会場で
来客と話す際のクリスマスの知識や
ダンスの練習もスケジュールに
入れなくてはいけない。


部屋に帰ったら
世界各地のクリスマスの話をしてやろう。
クリスマスで作られる特別な料理や
菓子類、そして過ごし方など。

きっと彼女は目を輝かせながら
それを聴くだろう。



真壁さんって何でも知ってるんだね。



俺が執事になるために身につけてきた
知識や技術を***に見せるとき
****はとても素直だから
俺の話を聞きながら目を輝かす。


俺よりも背の低い彼女が
目を煌めかせながら
上目がちに俺に微笑む。


俺をじっと見詰めるその瞳が
とても可愛くて。
俺はそれに釘付けになっているのを
彼女に隠すのがいつも精一杯だ。




・・・アフターヌーンティが終わったら
部屋で来るクリスマスの話をしよう。
たっぷりと紅茶を飲み
サンドイッチ、スコーン、そして
ケーキまで食べたのなら
夕食までの間の時間は
紅茶を入れに部屋から出ることはないはず。


彼女が学校から出された課題をしている間
俺は彼女の明日の準備をして。




毎日繰り返される
そんな時間が待ち遠しかった。


(きっとクリスマスのあれこれを話したら喜ぶに違いない)


今年は本物のもみの木を
旦那様が取り寄せたこと。
オーケストラを呼び
生の音で踊れること。


―――彼女が欲しがっていたものを
もう既にプレゼントとして準備していること。


それを渡すために
クリスマスパーティが終わる頃
抜け出す手配を中岡に頼んでいること。


抜け出した後、2人だけになれる場所を
もう見当つけていること。


(最後の3つはサプライズにしよう)


きっとこれを知った時に喜ぶ
彼女の顔が今から楽しみだ。


(まずは、今日あたりからクリスマスの話をするか)






―――そう俺は計算していたのに。











紅茶をサーブしながら
俺は思う。


いまいましい。


この客人、ウォルフが
俺が彼女にする予定だった話しを
今、目の前でしている、自慢げに。
それも彼女の賞賛の眼差しを
一身に受けて得意げに。
歌うように話ながら
彼女を見つめるウォルフの視線。



いまいましすぎる。



もみの木の話をしながら
ウォルフが話の脈絡とは
あまり関係の無い場所で
****にウィンクをする。



それに見蕩れる彼女。


俺が入れた会心の出来である
ディンブラのストレートを
飲み干したというのに
コップを机に置くことを
忘れたようにウォルフに魅入ってる。




あまりにも苦々しくて
俺は思わず彼女に呼ぶ。


「****お嬢さま」


いつもだったら
すぐさま俺を見て微笑むのに
この日は上の空。


・・・何を考えてるかはわかる。
だんだんと腹が立ってくる。


お前は俺の恋人だろう?
他の男に見蕩れて
恋人の存在を忘れるとは
どういうことだ?


「***お嬢さま」


少し強めに呼びかけると
慌てたように彼女が
俺のほうを見た。



「****お嬢さま」

「えっ。」

俺の呼びかけが
耳に入っていなかったのは
確かな様子。
俺は自分の眉間に皺が入るのがわかる。

しかし今はアフターヌーンティの時間。

中岡も、山科様もいる。
(きいてなかったんだな)と
ちらりと冷たく***に
一瞥を送りながら
俺は紅茶を注ぐ。


「***お嬢さま。お茶のおかわりはよろしいですか?」


誰も俺が不機嫌に
なってきているのに
気づいていない。

いつもの執事の顔。


「あ、もらうわ。お願いね」


そう。
彼女でさえも。


「かしこまりました」

目線は下げたままで。
ポットから新しい紅茶を注ぐ。


紅茶の温かい湯気が感じられる。
ほのかな香り。透き通った水色。
それらに目を落としつつ
俺は誰にも見られないように
静かに息を吐いた。



―――俺が独占欲強いことを知ってて。
いや、知ってるけれども
覚えないのか。



アドヴェントカレンダー
アドヴェントクランツ
シュトレン。


ウォルフが自国のクリスマスの話を
さも楽しげに話す。
いかにも自国に彼女を連れて帰って
ドイツ式のクリスマスを一緒に過ごしたい。
それがありありと見える態度。

挙句の果てには
シュトレンをドイツから
取り寄せる話をしている。


(シュトレンぐらいなら俺でも焼ける)

九条院家のシェフやキッチンスタッフが
作れぬものなど無いに等しい。
それなのにわざわざとドイツから
シュトレンを取り寄せるなど。



(いかにも***の気をひきたい目的がありありじゃないか)


俺からみたら誘導にしか
聞こえない話さえ
****は目を輝かせて嬉しがる。
さも、話に出てくるクリスマスが
とても素敵だと信じて。


話の流れで***がウォルフに
シュトレンをドイツから
取り寄せることを
「おねがい」した。





・・・・それだけでも
腹立たしいのに。


シュトレンを取り寄せるぐらいなら
俺だって出来る。
ウォルフが出てくる幕じゃない。
執事たるもの、
主人が食べたいものならば
世界の果てまででも
見つけてこようものを。


俺には聞かず
ウォルフの言うがままになったことに
いっそう不機嫌になる。



挙句の果てに
この話の流れに便乗して
****はウォルフに
手の甲へキスされる始末。


(本当に油断も隙もあったものじゃない)


ウォルフと***の話が進むにつれて
段々と眉間に皺が寄ってきた俺を
ちらりと山科様が一瞥した。
敏感な山科様だったら
俺が不機嫌なことに気がつくものを。


傍で同じく給仕している中岡は
ウォルフと***のやり取りを聞きながら
にこにこと微笑んでいる。


きっと中岡の目には
初めてのクリスマスを前に
胸をときめかせる***に見えて
微笑ましいのだろう。


ウォルフにキスされ
少し顔を赤らめて恥ずかしがる
****を見ていると
腹が立ちすぎて思わず
****の耳元で囁いた。
部屋に帰るぞ、と。


「***お嬢さま。そろそろ、お部屋に一度戻られてはどうでしょうか?確か、本日は課題がたくさん、出ていましたよね」



課題の数がいつも以上に多いのは
本当のことだが、
アフターヌーンティーを中断してまで
やるような量ではないことは
わかっていた。


しかし。


ウォルフと引き離したいがために
俺は彼女に「言い訳」を語らせ
部屋から連れ出した。




**************


部屋に戻って。

さっきのクリスマスの話が
とても楽しかったのか
上気した頬で
キラキラした目をしている***。



(俺が何で不機嫌か、こいつには伝わるまい)


今までも何度もあった、こんな場面は。



自分が嫉妬していることは
わかっている。
***と話す男全員に。

俺以外の男に向けられる笑顔。
それがたまらなく苦々しかった。


俺以外の男と話しさえするな、と
禁止したところで、彼女は
その意味をきちんと
同じだけの重さで理解することは
出来ないだろう。


(嫉妬するほど、こいつに惚れてるとはな)


・・・・いつでも
彼女より優位でいたいと思う。
俺がどれだけ***に惚れているか
知られないように。
先手でいたいと思う。
彼女の気持ちを一身に集めて
彼女を振り回すぐらい。



しかし現実は
俺は彼女に振り回されている。


彼女が誰と話すのか
彼女が何に興味を持つのか。
彼女の視線の先に居るのが誰か。


いつもそればかりを気にし
その全てが俺だけであって欲しいと願う。


それだけの思いを
俺が自分に抱いているなど、
****は知らない。




だから無邪気に
さっきのサロンでの話をしてくる。


クリスマスの話が嫌なんじゃない。
それでお前がウォルフに見蕩れ
手の甲であろうとも
触らせたこと
挙句の果てにキスまでされたことが
俺は気に入らないんだ。


(どうして、こう、気安く触らせるんだ)


お前に触れていいのは
俺だけのはずだろう?
専属執事の俺、
恋人の俺、
俺だけだ。


思わず苛々と共に
憎たらしくなってくる。
ぎちぎちに
縛り付けたいわけじゃない。

でもあまりにもこんなに
心を騒がせるものだから。



その執事の仮面さえ
抑えられない感情が
あふれてくるのを
静かに堪えながら
彼女に背を向ける形で
明日の準備をしていた。


俺の不機嫌さにも気がつかず
彼女はいつものように
甘えて、俺の背中に抱きつく。



いつもだったら
それさえも嬉しいのに。
嬉しい気持ちを隠しつつ
しょうがないというふりをしながら
彼女を抱きしめる。

その瞬間がとても好きなのに。



抱きついてきた瞬間
少し不機嫌さが治って
思わずしょうがない、と
笑おうとしたが、
その時に目に入ったのは
後ろから抱き付いてきた
彼女の細い腕、その先にある手の甲。




さっき他の男からキスされた場所。


彼女の白い手を掴んで
その甲に唇を当て
今すぐその皮膚の記憶を
塗り替えたかった。



思わず、一気に気持ちが醒める。




気がついたら
邪魔だから離れろ、と
彼女に言い放っていた。

我ながら声の響きが
冷たいのがわかる。
しかし、この機嫌の悪さを
隠し通すことは出来なかった。


「真壁さん、おかしい」
「どうして、そんなに機嫌が悪いの?」
「悪くなど、ありませんよ」
「嘘ばっかり。いつもと態度が違うじゃない」
「****お嬢さまの気のせいでは、ありませんか?」
「気のせいとは想わない。あたし、真壁さんに何かしたの?」




・・・なんで俺が不機嫌なのか
まるで気がついていないんだな。


自分は何もしてない、と
思っているからこそ出てくる言葉。



俺がどれだけあのサロンで
お前がウォルフを見つめるたびに
それをみながら感じていた
苦々しい思いも。


許されるのならば
今すぐこのサロンから
彼女を連れ去って
さっきしていた他の男との会話を
全て忘れるぐらいに
激しく抱擁したいと願った
焦げるような想いも。


たかが手を触れただけ
たかが手の甲にキスをしただけ
ただそれだけだ。


これを何度も唱えて
激しく俺を襲う嫉妬を
抑えようとしていることも。


原因はなんでもいい。
ともかく、****を愛するあまり
ただ少しのことだけでも
心乱され不機嫌になる自分を
執事である自分が
叱咤する複雑な心境も。



わからないだろう。
俺がどれだけお前のことが好きで
お前を独占したいか。



こんなやりきれないほどの
腹立たしさや苛々は
執事の仮面で全て隠せる。


「****お嬢さま、課題はたくさん出ていた筈では。」


俺の言葉を聞いて
彼女の顔がさっと陰る。

「それはそうだけど、真壁さんおかしいよ。」


もう質問さえ受け付けぬと
態度で示した。
軽く一度息を吐き
執事の仕事に戻った俺は
目を伏せながらも
痛いほどの視線を感じる。


ちらりと彼女を見ると
涙目になった彼女が
泣くのを必死で堪えているのがわかった。



放っておけ。


相手にするほど
今の俺は余裕が無いんだ。


何もいわず、執事の仮面が外れぬよう
俺は彼女から目を反らせた。




「・・・もう、いい」


搾り出すような小さな声が聞こえた。


その声で顔を上げると
今にも涙を零しそうな
真っ赤な目をした彼女が
苦しそうに顔を歪ませながら
俺の執事服の裾を掴んで
激しく揺さぶりながら叫んだ。


「この堅物の、わからずやの真壁さんなんか、大っ嫌い!」


耳に突き刺さる言葉。
目の前が真っ暗になった。

嫌いだといわれた瞬間
裾を掴んでいた手も
乱暴に振り払われた。



激しい剣幕で
彼女が泣きながら
部屋を出て行く。



「****!」

待てよ、と捕まえようとしたが
手を伸ばそうとして
身体が動かなかった。


(いま・・・なんていわれた・・・?)

耳を疑った。
彼女の口から出てきた言葉。


わからずや。
堅物。
大っ嫌い。


追いかけなくては、と
頭のどこかでは理解してるのに
身体が動かなくて
ただ彼女が部屋から飛び出す
その背中だけを見ていた。


今まで何度も喧嘩をしてきた。
けれども、いつもこの部屋の中で
捕まえて、抱きしめて
そして機嫌を直して終わりだった。



でも彼女は―――。



(泣かせてしまったか・・・・)




心が痛く感じるのは
彼女を泣かせたからか。
怒ってるいるからだとはいえ
きつい言葉を言われたからか。



俺は、ただ部屋に残され
動揺する気持ちを
どうにか抑えようとしていた。






そして、振り出しに戻る。




我に返ったら、
すでに後の祭りだった。













*******第2話 終わり******

第3話は23日更新。
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