2017 11 / 10 last month≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12 next month
スポンサーサイト  --/--/--  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 | スポンサー広告  | Page Top↑
執恋お友達のsana様から
戴いたお話です。
長いので分割を作っています。
( その1 その2 その3 )
1つの記事で読まれたい方は
こちらからどうぞ。


以下、創作になります。
Authorはsana様です。
創作であることをご了承の上
ご理解いただけた方のみ
どうぞお読み下さい。
****** Smile in.... その3***************











結局、プレゼントの灰皿は、
記念の吸いがらを
入れるという役割をしっかり果たした。


それを樫原さんの部屋に飾った時、
ふと思い出したように私に尋ねた。


「そういえば、どうしてあのとき遊戯室から出て行ったんだ?」

「え?ええと・・・その・・・な、なんでだったかな」



樫原さんがかっこよくて
意識しちゃって、なんて
あらためて説明するのが
ものすごく恥ずかしい。
必死でごまかそうとしている
私を見る目が鋭く細められる。



(こ、こわいんだけど・・・)



恋人同士になって、
あらためてわかったこと。


プライベートでも、
樫原さんに嘘やごまかしは
絶対通用しない。

私は観念してぼそぼそとつぶやいた。


「・・・なんだか、意識しちゃって・・・」

「そんな小さな声じゃ聞こえないよ」



俯いた私の顔を
横から覗き込むようにして、
わざと聞きなおしてくる声は、
低くて甘くて
ますますドキドキが止まらなくなる。


「・・・っもう!聞こえてる!」

「聞こえてないよ。あのあとずっと気になって僕のことを
こっそり見てた―――とか、まだ言ってくれてないし」

「――――――――!!!」



樫原さんなら
何を知っててもおかしくないって
わかってはいた。
いたけれど。



あまりの恥ずかしさに、
もう声にもならなくて、
顔から火が出るんじゃないかと
思うほど真っ赤になった私は、
そのまま部屋から
逃げ出そうと試みて、
後ろから樫原さんの腕の中につかまえられた。


「ぜ、ぜんぶお見通しのくせに、ずるいよ!」

「お見通しじゃないよ。今のは“カマをかける”っていうんだ」

「・・・・・っ」



悔しい。
悔しい悔しい。
私ばっかり樫原さんの
言葉のひとつひとつに翻弄されて、
まるでジェットコースターに
乗っているみたいに目が回りそう。



「****は本当に可愛いな」


後ろから抱きしめられたまま、
唇が触れるほど近くで
吐息まじりに囁かれると、
立っていられなくなりそうなほど
くらくらする。


こんな雰囲気を
どうしたらいいのかわからなくて
いっぱいいっぱいな私に
追い討ちをかけるように、
樫原さんは更に腕に力を込める。


「・・・我慢できなくなりそうだよ」


耳に直接熱い唇を感じて、
体がびくんと反応する。


「か、樫原さん・・・っ」

「名前で呼んで」

「・・・・・・っ」

「名前で呼んだらやめてあげる」


もうほとんど
足に力の入らない私の体を
強く抱きしめて支えながら、
ゆっくりと甘く噛むように
耳朶に口付けを這わせる。


「ゆ・・・ゆ、と・・・」

「もう一度・・・」

「んっ・・・侑、人・・・さんっ・・・」


耳元でふっと笑う気配がして
唇が離れる。
恥ずかしいくらいに
息があがっている私の体を
自分の方に向けさせて、
長い指で顎をすくうように上向かせ、
優しく唇を重ねてから、ゆったりと微笑む。



「よくできました」


少し潤んで揺れる
薄茶色の瞳が
すごく艶めいていて
私はただもううっとりと
見惚れるしかできなかった。



私ばっかりドキドキさせられて
ずるいとか悔しいとか、
そんなものも全部一瞬で
吹き飛ばされてしまう。
何もかもどうでもよくなって、
ただ樫原さんの腕の中で
愛されていたいと思ってしまう。


いつか、私ももっと大人になって、
樫原さんをドキドキさせてみたいけれど。
そんなささやかな野望も、
叶うのは当分先かな・・・。



そうして私は今日も、幸せなため息をつく。














= 終幕~樫原の見る景色 =



カツン、と小気味いい音とともに、
狙った玉がポケットに吸い込まれる。


「あーあ、絶好調ですね、樫原さん」



そう言って中岡が天井を仰いだ。
実際、ここのところ
負けなしが続いている。
軽く笑って次のショットに狙いをつけた時。


「まっすぐエプロンに向かって打っちゃう、
なんていうのはあの一回だけでしたねー。残念」


がつん、と鈍い音をたてて
キューがテーブルにぶつかる。
私の動揺を見透かしたように、
今度は中岡がにっこりと微笑んだ。


「せっかく私が水を向けたのに、樫原さんらしくもなく
お嬢様を怒らせてしまって、どうなることかと思いましたが」

「・・・・・・」

「まあでも、結果良ければすべて良し、ですね」



変な汗が出てくるのを感じながら、
平然とキューを構える中岡を睨む。


「・・・・・・なんでわかった」

「え、わかりますよそれは。お嬢様とビリヤードしてるときに
樫原さんが私に向ける笑顔、仕事でミスしたときの3倍くらい
怖かったですし」

「・・・・・・・・・・・3倍ってなんだ」


不覚にも顔が熱くなってくる。
感情を表に出さないことにかけては
誰にもひけはとらないつもりだったのに。



あの誕生日の前日、慎一郎様に



「今年のプレゼントは“好きな子を口説く時間”をあげるよ。
あずまやなら誰にも邪魔されないようにしておくから」


と、ものすごく悔しそうな顔で、
唐突に言われたときと
同じくらい恥ずかしい。


慎一郎様の場合は
夏実様の入れ知恵の可能性が大だが、
まさか中岡にまでバレているとは・・・。


執事長としての威厳を守り、
家令としての職務を
隙なく遂行するためにも、
常にいつもの笑顔を崩さず
心の中を読ませないようにしなくては。





決意もあらたに自分の部屋に戻ると
ほどなくして習い事を終えた
****がやってきた。



「おかえり」



ドアを開けて出迎えると、
****はその場に立ったまま
複雑な顔をして私の顔を見ている。


「どうした?」

「・・・・・・」


****は唇をかんで、少し俯いた。
拗ねたような表情に
さらさらと長い髪がかかる。
その可愛さに思わず手をのばして
髪を梳きやりながら頬に触れる。


すると急に
思い切ったように顔をあげて
私をまっすぐに見つめた。
柔らかい肌の感触を
味わうのに夢中で
会話の続きを忘れかけていた私は
内心その視線に焦りながら
あらためて聞き直した。


「何かあった?」

「・・・いつもの笑顔」

「え?」

「樫原さん、いつもの笑顔だ」

「いつもの、って・・・」


****が何を気にしているのか、
全くわからない。

会話の糸口が見つけられずに
言葉に詰まる。
次の言葉を乞うように
ひたすら見つめることしか
できない自分がもどかしい。


少しためらうように目を伏せて
****が小さくつぶやく。



「その顔で笑ってるときは、本当は笑ってないの」

「・・・!」


驚いた。


さっきのことで
決意を新たにしていたせいか
****に対しても
とっさに繕ってしまっていたらしい。




・・・それにしても。



いつから****は
私の笑顔を見分けていたのだろう。
中岡や真壁も、
私が笑顔の下で笑っているのか
怒っているのかくらいは
見分けられるだろう。



けれど、
“本当に笑っているかどうか”
まではわからないはずだ。




****は知らない。



本当の笑顔を
知っているからこそ、
“いつもの笑顔”を
見分けられていること。


冗談に紛らせて
****が理想だと伝えたときに
完全に見当違いの方向に
ショットをしたこと。


毎日ふとした瞬間に心を奪われて
返す言葉に詰まること。

****にとって当たり前の私の姿は、
****にしか見せていないということ。



(ひとまわりも年が上のくせに、
それを気づかせないのが精一杯なあたりが
逆に情けないといえば情けないが・・・)



「実はね、私・・・その笑顔がずっと、苦手だったの」



さっきまでの決意が
既に端からボロボロと
崩れていくのを感じながら
私はドアを閉めて
****を腕の中に誘い込み、
会えない間ずっと焦がれていた
柔らかい体を抱きしめる。



まだ少し緊張気味に
私を見上げてくる愛らしい顔を見て、
自然とこぼれてくる笑顔を止められず、
今日は彼女が苦手だという
笑顔との違いについて
じっくりと教えてあげよう、と心に決めた。



しかし・・・。



(理解するまでお互いマトモに会話ができる状態でいられるかな)




そうして私は今日も、幸せなため息をつく。












了。











Thanks SANA!!

*******************









◆ つぐみの感想◆

sana様の『Smile in….』でした。
樫原侑人誕生日企画の
作品参加予定だったのを
ちょっと遅れましたが
ご紹介できて
なによりです。
いかがだったでしょうか?


タイトルの『Smile in…』は
煙草を燻らせる中で微笑む
樫原さんのイメージとのことを
sana様から伺いました。


あたしはこれを読んで
正直(本当にすごいな)と
びっくりしました。
前回戴いた幕末LOVERSの
土方のお話「恋歌」も
1つのシナリオとして
充分に読むに値するだけ
きちんとした構成に
しっかりとした文章表現で
感心していたのですが
今回、執恋でこのお話を戴き、
あらためて感動しました。


しっかり1つの世界があって
人物がよく描かれていて
お話として読めるところが
あたしはとても好きです。
酸いも甘いも苦いも
色んな味があって・・・
深みを感じることができると想います。


樫原さんの「いつも」の笑顔。
これが「いつも」だとわかるのは
「本当」の笑顔を知っているから。
取り繕っている表面と
そこに隠された内面の2つが
この樫原さんの魅力と
言いましょうか。


最初の方でヒロインが
この樫原さんの
「いつも」の笑顔が
苦手だって言っているけど
でもそれを知らない
他の女の子に対して感じる優越感。


苦手なのは
嫌いだから苦手なんじゃなくて
意識してしまうから「苦手」。


好きな人って
本当にその人の表面じゃなくて
中身に惹かれていくと
なぜか恥ずかしくなって
躊躇したり
自己卑下ではないけれども
つりあわないのではないかとか
どぎまぎさせるから苦手だとか。

好きだから幸せ、という
一直線とはまた違った感情も
沢山くれると想います。

好きだという気持ちを
そのまま見せてしまうには
あまりにも好きすぎて
だから怖くなる、
だから躊躇ってしまう、
だから苦手だと感じてしまう。

気づいて欲しいけれど
気づかれたくなくて。
なんでもないように取り繕うけど
でもそれもうまくいかない。
気持ちを伝えたいのに
気持ちを伝えるのは怖い。
でもこの状態を何とかしたい。


そういう矛盾や葛藤が
すごくこのお話の中で見られて
そこで共感したあたしでした。


好きならば
素直に好きといえばいい。
好きだという気持ちを
隠さずに
ただ一直線にその人だけを
見つめているというのを
伝えればいい。


そういうシンプルな恋愛を
お話の中で書いている
あたしですが、実際は
きっとそんなに
シンプルな感情だけで
人間は生きてるんじゃなくて
もっと色んなことを感じて
大事にしたい気持ちと
それに拮抗するような気持ちも
同時に抱えてると想います。


好きだから嫌い。
心惹かれるから苦手。


相対的なところにあるものも
全てひっくるめて。
色んな感情があってもいいし
恋愛においても
色んな味を含んでいる方が
きっときっと
とても美味しい恋愛だと想います。


大人の余裕で甘やかして
ドキドキさせてくれる
樫原さんにうっとりするヒロイン。
恥ずかしかったり
悔しかったりするけど
でもそれがたまらなく
居心地良かったり。


樫原さんのほうも
ヒロインの恋で
年甲斐もなく
中岡さんとのビリヤードに
割り込んでみたり
駆け引きをしたり(そして失敗)
自分では悟られてないつもりが
慎一郎(&夏実さん)にも
中岡さんにもばれていたり。

大人の余裕を取り繕ってるのを
隠すのが必死だというのも。
きっときっと好きだから。


ヒロインしかわからない
樫原さんがいて、
でもそれを知ってるのは
自分だけっていうのを
ヒロインは気づいてない。
それはとてもすごいことだけど
でもそれを知らないからこそ
このヒロインをとても
愛しく想うのだろうな。


♪♪
I feel wonderful because
I see the love light in your eyes.
And the wonder of it all
Is that you just don't realize
how much I love you.
♪♪
クラプトンの80’名曲、
『Wonderful Tonight』より。

ホントにすばらしい。
だって君の瞳に
愛の光が見えるから。
なのに、ホントに不思議だよ。
だって、僕がどれだけ
君のことを愛してるか
君は全然わかってないんだから。


思わず読みながら
この歌を口ずさんでいました。
両想いになったところの
樫原さんの気持ちかしら。

読んだあとの余韻が素敵です。
幸せな溜息。
そんな溜息が出るほどの
素敵な恋をしたいな。
そういう気持ちに
させてくれるお話でした。


sana様、とても素敵なお話を
ありがとうございました。
読ませてくださって
とても幸せです♪

19.December.2009 つぐみ
 | 【執/恋】創作ー分割  | Page Top↑

Blog状況

最近の記事

カテゴリー

訪問者数

メールフォーム