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手袋  11/08/2008  


【秘密シリーズ】真壁直樹


********* 手袋 ********


Nobody can know it.
It’s secrets in my heart.
I remove my gloves,
Because want to touch you more.
Please notice my love.

【Secrets Serise】











「ね、真壁さん」

「はい」

「手袋、貸して?」

「は?」


「執事の手袋ってどうなってるんだろう?っていつも疑問に想ってたの」



にっこりと彼女が笑った。


午後から学校が休みの日。
彼女にアフターヌーンティを
入れていたときの出来事。


やけにカップへティを注ぐ
俺の手を見ているなと想ったら
俺のお嬢様はにっこり笑って訊いてくる。


よく表情が変わる可愛い。
くりっとした目で
見つめられると
そういうおねだりでさえ
はねつけられなくなってしまう。


思わず俺は自分が
微笑んでしまっていることに気がつく。


恥ずかしくても
認めてしまうしかない。

俺はこの、「俺のお嬢様」に
おねだりされるのが弱いんだ。


そういう素振りは
あまり見せないけれども
彼女が俺にしてくるおねだりは
いつも叶えてあげたいと
想っている。


そうやって甘えてくるのは
「俺の」お嬢様だからだ、
とわかっているから。







いつから俺は彼女に
こんなに甘くなったんだろう。



そう思いながら思わず
自分自身に苦笑してしまう。

くすっと笑った俺に
彼女は首を傾げる。


その仕草さえ可愛くて。
子どものようだと想う。






「普通の手袋とそうたいして変わりはありませんよ」


「そう?」

「ええ。しいて変わっている点を挙げるのなら、ボタンがついていることでしょうか」


ふ~ん。


そう感心する彼女の目は
俺の手袋に注目だ。

俺の手袋を借りたい様子が
ありありな彼女。


俺の顔と手袋を交互に見ながら
無言で(いい?)って
目をキラキラさせて
俺を見つめてくる。


(しょうがないな)


その子どもっぽいおねだりに
思わず苦笑しながら、
手袋を右手だけ脱いだ。


指一本一本を
手袋からすっと抜き出す。


脱いだ手袋の指先を揃えて
彼女に渡した。

大事そうに受け取る彼女。


「ボタンがついてるし、普通の手袋よりもっときちんと作られてるね」


彼女が俺の手袋を持って
ひっくり返したりして見ている。


(どう見たって手袋なだけなのに)


俺の手袋を彼女が
自分の手にはめてみる。


「真壁さんの手って大きいんだね」


ぶかぶかの手袋の
余った指先の布を摘む
小さなその指。



さっきまで真壁さんがはめてたから
あったかいや。


にっこり笑って
ぶかぶかの手袋をはめた
手を見せる彼女。


「お嬢さまには少し大きめですね」

「うん」

ぶかぶかの手袋の
指先を遊ぶように
指を動かしてみせる。



そんなに喜んでいる様子が
思わず可愛いと笑ってしまう。


まだ高校生の彼女は
たまに大人っぽい顔も見せるが
こうやって「執事」の俺と
一緒にいるときに
小さい子どもに
戻ったかのように
甘えてくることがある。


それは執事への「信頼」から
成り立っているものだと
わかりながらも。


俺よりも幼くて
純粋で天然な彼女に
・・・なぜか心惹かれてしまう。


彼女がこうやって甘えてきたとき
俺はその甘えに心を許しながらも
それをもっと引き出して
俺に甘えさせたいと願ってしまう。







もっと俺に甘えるといい。


お前は「俺の令嬢」なのだから。






この気持ちは。
執事としてなのか
彼女に心惹かれる男としてなのか。



あくまでも「執事」として
彼女の傍にいればいい。


そう思いながらも・・・・。


甘えられて嬉しく想いながら
これ以上彼女に近寄られたら
執事としていられるかどうか
自信がない自分がいる。


自分で自分自身を
隠せなくなることがある。



たまに俺は
外れそうになる
執事の仮面を
俺は震える手で
もう一度つけなおす。



そういう時は
いつも彼女が
俺に触れてくるときだ。



真壁さん。



そう呼ぶ声。


ねえ、あれをみて。


俺の腕に手をかけながら
向こうを指差したりする。


触れられたところから感じる
熱を感じないふりをしながら
俺は執事として彼女に接する。


なんですか、お嬢様?


そう訪ねながらも
俺は自分がとても優しく
笑っていることに気がつく。
背の低い彼女を
少し上から見つめる。




彼女からしたら
なんでもないスキンシップ。

ただそれだけなのに。













「―――真壁さん?」


はっと気がつくと
彼女が俺のほうに
手袋を差し出していた。


嬉しそうに
俺の持ち物を触る彼女に
見惚れていた。


「ありがとうございます、お嬢様」


見惚れてて
返事が遅れたのが
気恥ずかしくて
その気持ちを隠すように
さらっとお礼を言ったら
彼女がにこっとした。


「ね、このボタン、手袋してたら止めにくくない?」


え・・・?
って返事をするより先に
彼女がすっと手を伸ばしてきた。


そして俺の手袋していない手を
ぎゅっと捕まえて。


「真壁さん、手を出して?」



「っ・・・・!お・・・お嬢様?」



俺の動揺に気づかないように
彼女がふと俺の顔を見上げる。


「手袋、はめてあげるよ」


「っ・・・・!」



想わぬことにドキッとする。



手袋をはめてあげる、という
言葉よりも俺を
動揺させているのは
俺の手を掴む彼女の指。


彼女が触れている部分の・・・
皮膚が敏感に
彼女の温度を捕まえる。



「・・・・・・」



思わず何も言えなくなってしまう。


その沈黙を了承と捕らえたのか
にっこり笑って
彼女が浮かせた俺の手に
手袋をそっとはめようとして。


でも次の瞬間
何を思ったのか、悪戯のように
自分の指を俺の指に絡ませた。


「やっぱり真壁さんの指って綺麗」


「!!」


「男の人だけど、真壁さんの指は器用っていうか、細いんだけどしっかりしてるね」



そう言いながら
指を撫でられる。


「いつも手袋の下はどんなんだろう?って想像してたんだよ」



「っ・・・!!!」


何も意図していないだろう
その言葉と彼女の行為に
俺は思わず言葉が出なくなった。



「こんな綺麗な指をしてるから、真壁さんっていつもすごく色んなことが出来ちゃうんだね」



そして自分の手と
俺の手を合わせて
その大きさを確認する彼女。


「やっぱり男の人の手だな、あたしよりこんなに大きいや」



その大きさの違いに
にこっと笑いながら
彼女が俺を見上げる。


その言葉が何も
意図していないと
わかりながらも。







俺は。

俺はこの指で。

その触れている手のひらを
ぎゅっと返して
彼女の手を掴んで
胸に引き寄せたくなる。


もっと彼女に俺が
「男」であることを
教えたくて。



彼女の全てに
触れてしまいたいと
想っている欲求を
思わず解き放ちそうになった。








この指で色んな事が
出来るというなら。



(俺が一番したいことは―――)



この指で彼女の全てに触れること。
彼女が触ってほしいところも
俺が触りたいところも全て。



いや触るだけでは足りない。
この手で彼女の全てを
奪い取りたくなる。












そんな衝動が自分の中に
湧き上がるのを感じて
俺はぱっと目を伏せた。


彼女の目に浮かんでいる
俺への信頼が痛い。



彼女に触れられているのが
永遠に長いように感じる。



合わさった手のひらで
俺よりも小さな手のひらから
伝わってくる
ひんやりとした柔らかさ。


その部分の感覚は
妙に実感があって
そして温かくて
艶かしく感じる。



(それはきっと俺がそう感じているだけ)



なんでもない
ただ手のひらを合わせて
大きさを比べているだけなのに。


その小さな手で
いつもの手袋を
はめてもらうだけなのに。



「なんかうまくはめれないな」


俺の右手に手袋をはめようと
ボタン留めで苦戦している
少し不器用な彼女の
抱きしめそうになった自分を
ぐっとこらえた。



解き放つ前に
この気持ちを捕まえる。


そう。俺は今、
彼女の「執事」だ。

この気持ちは
もってはいけないもの。

指一本触れられないほど、
触れたら最後だと想うほど
彼女のことを想って
思い詰めているか、なんて。



―――伝えるべきことじゃない。



「手袋って面倒だけど、でも真壁さんにこの手袋は似合ってるよ」


嬉しそうに言いながら
彼女が俺の手袋のボタンを
1つ1つ、丁寧に
その指ではめてくれる。



今だけだ。



そう言い聞かせて
俺は彼女にもっと触れたいと
想う気持ちを抑える。
でもその仕草に思わず
目が吸い寄せられる。








息が止まる。

彼女の指が。

触れたところが。

熱い――――。








その指を掴んで
今すぐ噛んでしまいたい
食べてしまいたいほど
可愛い彼女だから

すぐにでも
口に含んで
その全てを
舐め回したい

舌先で彼女の指を
一本一本
その指を口に含んで
舌を絡ませ
甘く噛んで
彼女がどう反応するか
みてみたい




そんな想いが
頭の中をよぎった。















息を凝らして
耐える時間が
どれほど続いたか。


数秒が永遠に感じられ
時が止まってるのではと想ったとき。



「出来た♪」

全てのボタンを
はめ終えた彼女が
嬉しそうに笑った。




「・・・・ありがとうございました」


かろうじて
口から出たのは
掠れた声。


手が震えてきそうなのを
押さえながら
俺は彼女の手から
自分の手を抜き取る。



彼女が触れてくる
その1つ1つに
胸が振るえるような
締め付けられるかのような感覚が
名残惜しい。



俺は自分が狼狽して
赤くなっていることに
気がついた。


その照れた顔を
動揺した顔を
見られたくなくて。
きつく仮面を被った。




手袋のボタンを
無事にはめれたよ、褒めて?


そういう様に
俺を見上げる彼女に
理性の限界値ぎりぎりの微笑で
取り繕う。






可愛すぎると襲いたくなる。
そんなに可愛い顔で俺を見るな。






思わず呟きたくなるのを
ぐっと口をつぐんで
その呟きを心の中にしまう。



そして何気ないように
目をそらして
彼女が飲み干した
カップを取り
盆においた。




「お嬢様。何かあったらまたすぐにお呼びください」


お茶を片付けてまいります。




胸に手をあて
静かに腰を折って
お辞儀をする。



「ん、わかった」


彼女が俺に微笑みかける。


その微笑には
俺の狼狽に気づいた様子や
何か不思議そうな様子はない。




ありがとうね、紅茶。


そういう風に彼女が
俺がドアから出て行くのを
見つめているのがわかる。








(何も考えるな今は)




そう言い聞かせて
俺はいつも通りの順序で
ティカップを台に載せ
部屋から出た。


そして廊下に出た後
一人その場で立ちすくむ。
誰にも見られないように
ゆっくりと息を吐き出す。



あまりにも純粋に
俺を見つめるものだから。
惹かれてはいけないと
想いながらも
心が揺さぶられる。



彼女がはめてくれた手袋を
ぎゅっと握り締めた。



彼女が触れた部分が熱い。



その指遣いが
脳裏から離れない。
ほんのりと温かい感触。
彼女に掴まれた部分の
手の感覚を忘れられない。



何度も何度も思い出す。


こんなにも彼女から
何も意図せずに不意に
素手を触れられただけで
動揺しているのに。


ただでさえ
手袋ごしで
彼女に触れても
胸が高鳴るのに。




俺の意思でこの手で
彼女に触れた日には―――。


(きっと俺は自分で自分を抑えられない)



さっきのちょっとした
彼女の仕草でも
充分に動揺して
狼狽して、そして
動けなくなっていたのだから。



もうこの気持ちを
己の心の中だけに
閉まっておくことが
出来なくなる。



そう。
だから俺は
この手袋を
彼女がいるところでは
外せないんだ。











彼女に恋をしている。
彼女に触れたい。
もっと、もっと。




この気持ちは
もう消せないものなのに。



消さなくてはいけないものだと
何度も動揺した自分に
言いきかせる。




俺は彼女がはめてくれた
右手の手袋を
左手で押さえた。











心の中を締める想いは
ただひとつ。



もっと彼女に触れたい。
ただそれだけ。



心の中でうずまく想いを
動揺する心を抑えられず
俺は想いを馳せてしまう。




・・・・もし
この手袋を外して
彼女に触れることが
許されるのならば。




彼女の柔らかいところから触れたい。


毎日いつも、つい見つめてしまうところから。


唇。
耳朶。
鎖骨のくぼみ。



その後は
首筋をなぞって
うなじを撫でた後
彼女の髪を
この指で梳かそう。

口付ける前に
もう一度その唇を
指でなぞる。


俺だけのために
その唇が使われるように。
俺だけがその唇を
奪えるのだと教えるために。


ゆっくりと優しくなぞりながら。


もう片手で彼女を
引き寄せて抱きしめる。


その瞬間の柔らかさを
胸に焼き付けながら。


きっと彼女は
俺の指に触れられたところから
赤くなっていく。

その可愛い口から
吐息を漏らすだろう。
俺の名前と一緒に。



この手で。
一度捕まえたのなら。
俺はけして彼女を離さない。







そんないけないことを
彼女にしたいと想っている
俺の心を抑えいるのは
俺の理性だけ。



俺の理性は
この手袋の布きれ1枚で
抑えられている。


けして・・・・悪さをせぬよう
今は手袋をしておかなくてはいけない。


素手でなど
彼女には触れられない。
素手でふれたら最後
自分が何をしてしまうか
わからない。


きっとその瞬間に
全て消し去られてしまうだろう。


執事の仮面も。
得意のポーカーフェイスも。
詭弁も。
俺の理性も。


全て、ただ指から伝わる
彼女の感触を求める
俺の情動の前には
なんの役にも立たない。





すでに俺の心を
捕まえている彼女が
俺の気持ちに
気がつく日が来るのだろうか。

わからない。



ただわかっていることは
俺が触りたいものは
彼女だけだということ。


気持ちが暴走しないように
俺は手袋をはめる。
これは、俺の理性の枷だ。

枷をしないといけないほど
俺は彼女に恋している。


枷はいつか
外されるだろう。
彼女が俺に恋をする
その時が来たら。


触れた先から
赤く熟するように
彼女が俺に
恋に落ちた瞬間を
見届けた後
俺はその想いと共に
この“手”を解放しよう。


この手で彼女を掴んで
もう離さない。


この仮面を外せるのも。
この手袋も外せるのも。
この気持ちを解放させるのも。




俺のお嬢様である彼女だけだ。




そんな日が来るまで。

それまでは。


激しく熱を帯びた
俺の恋心は
ただ、手袋のなか。

















*********** Fin.... *************





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