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柔らかい身体  11/08/2008  


********* 柔らかい身体 **********

Nobody can know it.
It’s my secrets in my heart.


【Secrets Serise】






「ねえ、中岡さん」

「はい、お嬢様?」

「今日、どれを着ていけば良いかな?」


クローゼットの前で
彼女はいくつかの服を
身体に当てて
交互に見せてくれる。

その迷っている姿が
可愛くて、俺は
こっそりと笑った。

彼女は鏡に映る
自分に夢中で
俺が少し笑ったのに
気がつかない。

子どものように
口を尖らせて真剣な表情で
クラスメートに招かれた
お茶会に着ていく服を
選定している。


「それでしたら、こちらのほうがよろしいかと」

俺は彼女が選んだ
コーディネイトの中から
1つを選ぶ。

途端に彼女が
ぱあっと笑顔になり
嬉しそうに、
その服を抱きしめる。


「うん、あたしもこれがいいかな、って想ってたんだ」
ありがとう、中岡さん。


あたし、今日これ着ていくよ。
そういってにっこり笑う。



着替えるから外にいてね。



そう言われて
俺はパウダールームの外で待つ。


出されていた服は
全て俺が可愛いと
想うようなコーディネイトだった。

一緒にいるうちに
俺の好みに似てくるんだろうか。


その服を選んだのは
後ろ手にある
背中のホックを多分
彼女が1人では留められないだろうから。


きっと彼女は
無理して1人で
着ようとせず
俺に甘えるだろう。




案の定、
パウダールームから
俺を呼ぶ声がする。



「お嬢様、中に入りますね」


そう断って開けた
ドアの向こうには
やっぱり背中のホックを
留めて欲しいと
お願いする彼女がいる。


俺は勿論
にっこり笑って
彼女の背中に回り
背中にかかる髪の毛を
ゆっくり触って前へ流す。


背中のファスナーを
ゆっくり、ぐっと上げる。

そしてホックを留める。



その時に見える彼女の白いうなじ。
背中のライン。
少しだけ見える下着の線。


思わず見惚れる。


華奢な身体。



自分がそういうのを望んで
この服を選んだのに。
誘惑されているような気になって。

ファスナーを
下ろしてしまいたくなる。







「どうしたの?中岡さん、顔が赤いよ?」






そう無邪気に
鏡越しに俺を見て
微笑む彼女は
とてつもなく純粋だ。



思わず、前に流した
髪の毛を整えるフリをして
俺は彼女の長い髪の毛に触る。



ただ前に寄せた髪の毛を
後ろに持っていくだけの
仕草だけれども。


彼女の柔らかくて
綺麗な髪の毛が
俺の指をすーっと馴染む。
指に絡んでくる。


この感覚が触り心地よくて。


彼女の髪の毛を触ってしまう。


「執事」として
おかしくないような
タイミングで、いつも。


彼女の髪の毛を
指で梳くような
仕草をしながら
俺は密やかに
自分だけがわかるよう
彼女を愛撫する。


勿論、彼女はそれに気づかない。

でもちょっと気持ちいいのか
目を細めてじっとしている。


その表情が、撫でられた時の
小動物を彷彿させて
俺は本当に心の底から
彼女のことが可愛いと想う。



あと少しで
髪の毛を掬い取って
そこにキスをしそうになる
衝動を押さえ
「できたよ」って合図で
俺は彼女の頭を撫でる。



「さあ、お嬢様、お着替え完了ですか?」


そう、小さい子どもにするように。
彼女を甘やかす仕草。


「ええ、ありがとう。中岡さん」


そういって微笑む彼女は
俺の下心なんて
気づいていないだろう。


「この服、どう?」


「とてもよくお似合いですよ」



今日のお出かけに
とてもふさわしいと想います。


にっこり笑って保証する。




その笑顔で安心したのか。
彼女は俺に抱きついてきて

「中岡さんが選んでくれた服だから今日は安心して出かけられるわ」


なんて可愛いことを言う。



「ありがとね」


抱きついてきた彼女が
ちょっと頬を赤らめながら
俺を見上げる。


「中岡さんが選んでくれる服っていつも可愛いから好き」

だからずっと
あたしの専属でいてね。



にっこり笑う。


たまに、いや
彼女の専属執事になってから
だいぶ慣れ親しんできた頃から、
彼女がこうやって
俺に甘えるように
抱きついてくるようになった。


嬉しいときは特に。

わがままを聞いて欲しい時も特に。


「ほら、お嬢様、だめですよ、こんな風に抱きついちゃ」


だから俺は仕方がないな、と
苦笑するフリをして
彼女を軽く抱きしめる。

本当はとても嬉しいのに。
戸惑っているフリをする。






その柔らかい身体。





抱きしめたら
膨らみが潰れるんじゃないかと
思うほどの柔らかさ。


ほんのりと
彼女の使っている石鹸や
香水の香り、
そして彼女自身の温かさが
俺の感覚をくすぐる。



抱きついてきた彼女に
最初のうちはびっくりして、
胸が高鳴るのを
押さえられなかったが
今はもうだいぶ慣れた。


それどころか
そういう状態に仕向けて
役得とばかりに
彼女を抱きしめたりする。


その柔らかい感触を
味わうために。




「だめ?」


少し不平そうに口を尖らせ
上目がちに甘えてくるのには
いつでも変らない。


俺の心など知らずに。
君はちょっとした仕草で
俺を誘惑するよ。



だから、俺は
抱きついてきた彼女の背中に
そっと手を回して
少し背中を撫でながら
子どものような扱いで
それを許す。


「しょうがないお嬢様ですね」


と甘やかして。

こうやって他の男には
抱きついたりしてはだめだよ、
なんて、たまに言うけれども。


彼女が俺以外の男に
こうやって抱きつくのは
見たことがない。


「だって中岡さん優しいんだもん」


ぬいぐるみみたいに
抱きつくと安心するんだ。


胸にうずめていた顔を
ちょっとだけ上げて
彼女が俺を見つめる。



・・・今日のお茶会、
沢山クラスメートの
お嬢様来るから少し不安なの。
ちゃんとやっていけるかって・・・。



そう言って抱きつく彼女は
とても愛らしくて守りたくなる。

少し困った顔を
しているのがわかるよ。


「中岡さん、あたしがヘマしないように、近くで見ててね?」


舌ったらずで
見つめてくる瞳。

なんのてらいもなく
そこに映し出されるのは
俺への全面的な信頼。


だから俺は
彼女の信頼を裏切らぬよう
小さな「妹」である
彼女に対して、
「兄」のように振舞う。



「ええ、いつも傍におりますよ」



子ども扱いしているうちは
彼女は俺のことを
男だと意識せずに
その柔らかい身体で
抱きついてくるだろう。



柔らかさを独占してしまいたい。












彼女の専属執事についた時。


彼女をこんなにも
好きになるとは
想ってもいなかった。


そして自分が
「執事」の立場を利用して
彼女の信頼を得て
「執事」の顔をしながら
「男」として抱きしめるなんて。


想ってもいなかった。


毎日傍にいて
彼女が日々変っていくのを
目にするたびに。



俺の心は彼女に釘付けだ。


本当にこんなに・・・
綺麗になるとは
想ってもいなかった。


俺よりも8歳年下の女の子。
泣き虫で甘えん坊で
すぐに不安になって。
心配性で。


俺がいないときっと彼女は
やっていけないだろう。


年の離れた妹のように、
俺を「兄」のように慕う彼女。


小さくて可愛い彼女を守る
「執事」としての俺の役割は
職務以上の楽しみと
喜びを俺にくれた。


彼女を守って
彼女を支える。

これが毎日の俺の仕事。





「中岡さん」



彼女の口から
こぼれる俺の名前。



その響きが特別に
感じられるようになったのは
いつからだ?


俺を見つめる瞳が
たまに潤んでいるように
感じられるのは
俺の思い過ごしだろうか。







最初は妹のように
可愛がっていた彼女を
今では1人の女性として
愛してしまっている。






君は俺の「妹」じゃないんだ。





俺は君の「兄」でもなくて
君に想いを寄せる男だよ。




でもこの気持ちは
いまだ俺の胸だけに
封印されたまま。



この封印の鍵は
彼女が握っている。


その封印が解かれるまで。


俺は彼女の「執事」として
傍にいよう。


いつか彼女が
俺のことを「兄」以上に
想う日まで。


抱きついてくる、
その柔らかい身体が
俺に抱きしめられて、
嬉しさと恥ずかしさと
愛しい気持ちで
震えるくらいになるまで。







今、この気持ちは
俺だけのもの。



そしてこの柔らかい身体を
抱きしめる特権も。



いつか、彼女が気づくまで。












―――これが俺の秘密。













********* 柔らかい身体 Fin.*********
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