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サイトのClap御礼においてあった
中岡さんのお話です。

とても静かなお話です。

少々長いので分割しました。
1つの記事で読まれたい方は
こちらからどうぞ。

分割( その1 その2

以下、創作になります。
ご理解とご了承の上、
読まれたい方のみ
どうぞお読み下さい。












******** 雨の中  その1 ********




小雨が降ってきた。

「あ・・・雨だね」


校舎を出ようとしたら
ぽつぽつと降ってきた雨が
あたしの鼻先に落ちてきた。


空を見上げたら
灰色に染まった空から
雨が落ちてくる。

その視界をさっと傘が覆う。




「ん?」


ぱっと傍を振り返ると
中岡さんが微笑みながら
あたしに傘を差してくれていた。


「濡れますよ、お嬢様」


そっと近づきながら
あたしが濡れないように
傘を差してくれる。

その優しい微笑とか
その自然な仕草に
どきっとしてしまう。


傘は1本。


(相合傘だ・・・・)

中岡さんがあたしに近づく。
いつもより距離が近い・・・。




傘に落ちてくる雨の雫。
その傘を握る
中岡さんの白い手袋。
雨の匂い。




「あ・・・ありがと」



思わずどきまぎしてしまう。

大き目の傘に差されると
その傘の中に
あたしと中岡さんしか
いない気がするから。


恋人同士になって
もう時間は経ってるのに。


いまだにこうやって
近い距離で横に並んで歩くとか
あんまりない。
慣れないから、少し緊張しちゃう。


中岡さんの定位置は
あたしの斜め後ろ。

それが今は横にいる。


傍にいるのが
なんだか気恥ずかしいけど
とても嬉しい。



顔が赤くなってくるのを
見られたくなくて。





「いこ。」



そう短く言って歩き出した。







中岡さんが横から
傘を差してくれる。
片手には傘、
もう片手にはあたしの鞄。


歩くうちに少しづつ
雨足が強くなってくる。




水溜りを避けながら
歩いていると
ふと気づく。



あたし、全然濡れてないや。



ふと横を見ると中岡さんは
ほとんど傘を被っておらず
あたしにだけ傘を差してる。


・ ・・これじゃあ車に行くまで
ずぶぬれになっちゃうかも。




「中岡さん、濡れてるよ」



傘を差している中岡さんの手を
中岡さん側に押した。



「私は大丈夫です」



中岡さんがいつもの
優しい笑顔で笑ってくれる。


きっと本気で
濡れてもいいって
思ってるんだはず。



「だめだよ」



思わず立ち止まって
傘を握った中岡さんの手を
ぐっと握って引っ張った。
ちょっと真剣な顔で
中岡さんの顔を下から見上げる。



「濡れたら風邪ひいちゃう」


風邪ひいたらやだよ。


思わず責めるように
言ってしまって。


中岡さんが目を丸くしてる。
あたしは自分がまた
赤くなるのがわかる。


慌てて目を逸らせた。




「だ、だって中岡さんはあたしの大事な執事さんだし、それに」


(あたしの大好きな人だから)


あたしが言葉に詰まったのを
中岡さんがびっくりしたように
見つめていたけど、
何かわかったのか
ふっと表情を緩めて
そっと微笑んでくれた。


「それに?」


くすくす笑いながら
中岡さんが尋ねてくる。


たまにしてくる意地悪。
きっとあたしが
言いたい言葉さえ
わかってるのに。



「もう。雨がひどくなる前に行こう」



そう思って歩き出そうとして
前に広がる水溜りを避けようとしたら


「待って。あっちの方が濡れないから」



呼び止められた。

え?


傘を差している手が
あたしの肩を軽く触る。
触れられたところが
なんだか温かくてくすぐったい。


あっちだよ。


そう指されて
肩を抱かれるように
並木の下へ行った。






木々に落ちてくる雨。
確かに普通に歩いてるより
木の下のほうが
そんなに濡れないや。




葉の間から落ちる雨が
静かな音を立てる。


「いつもの雨の音じゃない気がする」

「ん?」


雨降りの日に
教室からぼんやりと外を眺める。
雨に打たれた木々を
ざわめかせる風の音。
雨足の密やかな流れ。


いつもの音なはずなのに。


「中岡さんと一緒にいる時はなんだって特別に感じられるのかな?」


「え・・・・」


きっとそれは―――。
あたしが中岡さんのことが
大好きだから。


答えはわかってるけど
でもストレートに好きだっていえないから
思わず質問しちゃった。


そう思って歩いてたら。



不意に名前を呼ばれた。


(え・・・名前?)


いつも学校ではお嬢様としか
呼ばれないのに。
下の名前で呼ばれて
思わずびっくりして立ち止まったら。


中岡さんがじっと
あたしを見つめてる。



胸が高鳴る。


ただ名前を呼ばれただけで。
ただ見つめられるだけで。



不意に傘がぐっと下がった。

木の陰。


優しく手を引かれる。
中岡さんがすぐ近くにいる。




「ちょっとだけこっち向いて」


っ・・・!




思わず顔を上げたら
そこには中岡さんの顔があってーーー。



(あ・・・)




そっと中岡さんの唇が
あたしの唇に触れた。




確認するように触れた唇が
少し冷たい。
でも触れられた途端に
温度が上がっていくのがわかる。
中岡さんの唇が
あたしの唇を啄ばむ。


キスしてくれた瞬間に
中岡さんの香水の香りがした。



あまりの突然のキスで
びっくりして固まったあたしに
中岡さんがくすっと笑った。



そして傾けていた傘を元に戻した。



「ごめん、あんまりにも可愛いから、思わず」


「・・・・・中岡さんったら」



目をぱちぱちしながらも
今起こったことで
赤くなるのがわかる。

手で自分の口を押さえながら
とても幸せな気持ちが
あたしの中に生まれる。



「誰にも見られてないよ」



木の陰だし、傘で隠れちゃったからね。
中岡さんが少し照れたように言う。



あ・・・・そうだった。
思わずチラリと回りに
視線をやったけど
雨の中、こんな並木の下を
歩いているお嬢様と執事なんていない。


でも。
傘で隠れたって言っても・・・


いつもの中岡さんだったら
絶対にしないことをされちゃって
もしかして、今もう恋人モードに
戻っていいのかなって思って。


中岡さん。

「誰も見てないから、・・・・いい?」

思わず聞いてみたら。
肝心な彼は
ええっと、とか言いながら
あっちの方向を見てしまった。



「お嬢様、行きますよ?」



都合のいいときに執事に戻って
こうやって、お嬢様って呼ぶ。


思わず拗ねたくなったけど。
でもあっちの方向を見ている
中岡さんの横顔が
とてもカッコよくて。

思わず見蕩れてしまった。


こんなところでキスするなんて
中岡さんってやっぱり・・・・
大人っていうのかな・・・
なんていうんだろう。


やっぱり、好きだと想うの。
とっても好き。
たまに見せてくれる大胆なところや
年上らしくて、大人なところ。
すぐに照れてしまうところも好き。



いつもはあたしの
少し斜め後ろで
傘を差している中岡さんが
さあ行こう、って
ちょっとだけ先に立って
あたしに傘を差し出している。


その目には
あたししか入っていない。
まっすぐにあたしを見つめてる
その茶色の優しそうな瞳。
思わず見蕩れたら、
中岡さんの瞳がもっと優しい色になった。




さっきまでのキスは
なんでもなかったようにしちゃう
年上の恋人。


その姿がちょっとかっこいいから。


(許してあげる)


思わずそう心で呟いた。


中岡さんに寄り添いながら
その腕に自分の腕を絡ませた。


(いいよね?)

そう、見上げる。

こら、って目で叱りそうな
中岡さんだけど
言いかけた言葉を
そのまま言わずにいてくれた。


何もないふりをして
2人でまた並木の下を歩き出す。



「やっぱりすごい・・・中岡さんといると、なんでも素敵になる」

「・・・・***ちゃん」

「こうやって一緒に歩く道でさえ特別に思えちゃう」


中岡さんとだったら
なんでも特別なの。


そう言って笑ったあたしの髪の毛を
少しだけ中岡さんが撫でる。


「えーっと・・・そんな可愛いことはいわないでくれる?」


照れた中岡さんの言葉。



顔が緩むのがわかるよ。


自分はこうやって道端で
キスなんかしちゃう大胆さなのに
こんな言葉だけで
照れてしまう中岡さん。


さりげないふりをしてるつもりでも
耳たぶが少し赤くなってる。


きっと勤務時間に
恋人に戻ってしまったのを
照れてるんだろうな。



あたしより年上なのに
キスしちゃったり
腕を組んでいることだけで
こうやってどきどきしちゃってる。


甘い言葉を囁いて
大胆にキスしちゃったりしながらも
恥ずかしそうなところが可愛い人。



突然のキスも嬉しかったけど
いつものなんでもない下校の道で
こんな恋人の時間が来たのが嬉しくて。

誰もみてないのならいいいかな。


中岡さんの傍にもっと
寄り添った。






*********** 雨のなかで その1 *********

その2はこちらから。
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