2017 08 / 07 last month≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09 next month
スポンサーサイト  --/--/--  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 | スポンサー広告  | Page Top↑

『After the party』の分割になります。
1つの記事で読まれたい方は
こちらからどうぞ

分割はこちらから。
その1その2その3その4

ハロウィンパーティ後の
お話になります。
パーティ後の話だから
夜の情景があります。

ハロウィンの夜ですので
ダークな感じで書いています。
少し大人向きかな。
けして裏ではないと想うのですが
夜の情景もあるので
苦手な方はどうぞ避けてください。


以下、創作になります。
ダークな部分もあります。
夜用のお話です。
以上の注意点をふまえ
ご理解とご了承された方のみ
どうぞお読み下さい。



*********** その2 ************











オレンジ色の絨毯。


ホールの電気は消えていた。


飾り付けのされた窓は
カーテンがひかれずに
そのままの状態。

黒の総レースに
紫色の刺繍が入った
ハロウィン特別仕様のカーテン。


(こんなところまで凝ってるって素敵)


窓から月の光が入ってくる。

窓から覗くと
庭園の外灯も
かぼちゃの形に変わっていた。
思わず可愛らしくて笑ってしまう。


ホール中に飾られた
かぼちゃやお化けなんかの
オーナメント。


本当に今日のハロウィンパーティは
とても素敵だった。


オーケストラの演奏で
ダンスも踊れた。
いつものお屋敷の人たちも
とても素敵だった。

だからこそ・・・
侑人さんに逢えなかったのは
とっても残念だった。



でも・・・・確信はあった。


ここで待っていたら
きっと侑人さんが
探してきてくれるって。


誰もいないホールは
しーんとしてて。
さっきまでの華やかなパーティが
終わった後の静けさ。



(こんな静けさ、好きだな)


いつからか、パーティよりも
パーティが終わった後のほうが
好きになっていた。


きっとそれは
侑人さんに想いを告げた日から。


華やかなパーティで楽しむより
パーティが終わって
その余韻が残った時間を
侑人さんと味わいたい。


その時間のほうが
もっと大切。


終わった後の静けさが好きだなんて
きっとあたし、変わってるのかな?





窓際に置かれたソファに座る。
きっと会場の片付けは
明日なんだと想う。


明日には無くなってしまう
今日だけの、この空間。


月の光でも
十分に明るいくらい。
そっと窓から
庭を覗いてみる。


10月の終わりの庭園は
コスモスや秋の花が
咲き乱れている。


月も満月に近くて。


(早く侑人さん来ないかな・・・・)

待ち合わせをしたわけじゃないのに。
きっと来てくれると
信じてるから。


あたしはパーティの疲れもあって
近くのソファで
うたた寝してしまった。












・・・・・・・・・・・




ふと目が覚めた
何か音が聞こえる。


え・・・?


あ・・・眠っちゃってた?



思わずびっくりして起きたら
ホールの隅から
音が聞こえる。

なんかいつもとは違う音。


電気はついていない。
ホールは月の光だけ。


でも・・・。


あれ?と想って
そこに近づくと
古いレコード機があった。

レコード盤が回ってる。

じーっという音と共に
ジムノペディが流れた。








「*****」


優しい声が
あたしの名前を呼ぶ。
その声で誰かわかるよ。




「・・・侑人さん」



振り向けば
あたしがずっと逢いたくて
待ち焦がれていた人。


両手には2つの
中にろうそくが入れられた
ジャックランタン。


かぼちゃの目や口から
柔らかい灯りがこぼれている。


思わず駆け寄ると
侑人さんが仮装しているのが分かる。

思わずその仮装に
目を丸くする。


「侑人さんそれって・・・」


両手に持っている
ジャックランタンの光で
その姿が浮かび上がる。


「****がここで僕を待っていると想ったから、着替えてきたよ」


「え?」


「約束しただろう?パーティが終わったら戻るって」


「うん」


「どうしたの、そんなきょとんとした顔をして」


「だって・・・」


あたしが驚いている様子に
侑人さんがくすっと笑う。
そしてホールの隅に置かれた
テーブルにそれぞれ1個づつ
ジャックランタンを置いた。


「ね、侑人さん。その格好って・・・」


「ヴァンパイアだよ」


灯りをテーブルに置いて
近づいてきた侑人さんは
吸血鬼のマントを羽織っていた。


真壁から借りたんだ。


そう言いながら
近づいてくる侑人さんの影が
蝋燭の光でゆらゆらと揺れる。



黒の燕尾服に
黒の蝶ネクタイ。
そして黒いマント。


(さっきの真壁さんのヴァンパイア姿もよく似合っていたけど・・・・)


侑人さんはとても・・・
淫靡でもっと艶ぽい。


「さっきまで準備や片づけで追われてたからね」


すごくカッコよくて
ドキドキしてしまって・・・
あたしは侑人さんから
目が離せなくなっていた。


「待ちくたびれた?」

「・・・ううん、大丈夫」

侑人さんがあたしを髪の毛を撫でる。
思わず自分が
真っ赤になるのが分かる。


「どうかした?」

「う、ううん」


あたしが見惚れてることに気がついて
侑人さんがくすっと笑う。


「こんなところで寝てたら風邪を引いてしまうよ」

「・・・侑人さんが見つけてくれるって分かってたもの」


侑人さんがあたしの前に立つ。
蝋燭の光が逆光で
その表情は見えないけど。

すごく愛しそうに
あたしを見つめているのが感じられる。


伸ばされたその手が
優しくあたしの頬を撫でた。
あたしはその手を掴んで
自分の頬に当てた。


「侑人さんを待ってたの。侑人さんと踊りたくて・・・」


侑人さんと踊るまで
着替えたくなかったの。
この姿を見せたかったんだ。



「しょうがない子だ」


侑人さんが優しく笑いながら
あたしだけに聞こえるように
囁いてくれた。








おいで。





手を引かれて
ホールの中央に立つ。





部屋に静かに流れる
ワルツの曲。

ジャックランタンから漏れる灯り。

窓から差し込んでくる月光。


そしてヴァンパイアの格好をした恋人。


「いつもだったら、こうやってホールなんかでは踊らないけど・・・」


「うん、わかってるよ」


建前は執事長の侑人さん。
2人でいるときは
執事だったり恋人だったりするけど
部屋で2人きりじゃないときは
大抵は執事の樫原さんだ。



「この蝋燭の光だけで、誰にも見られないなら大丈夫」


「そうだね」

侑人さんがあたしを
ぐっと引き寄せる。


「一曲、踊ってくれますか、マドモアゼル?」

「ええ、喜んで」


優しく組まれる手。
背中に添えられる手。
優しく笑った侑人さんが
ゆっくりと踊りだす。


そのリードに合わせて
あたしも靴で床を滑るように
踊り始めた。

部屋の隅でともる蝋燭の光で
二人の影が揺れるのが分かった。









「やっぱり、侑人さんとの方がすごく踊りやすい」


「それはそうだよ」


なんていっても
僕は君の恋人だから。
君のタイミングや
身体の使い方、
呼吸の速さまで知ってる。


緩やかでありながらも
しっかりとリードしてくれる。
ナチュラル・スピン・ターン、リバース・ターン。


侑人さんに導かれるまま
あたしはステップを踏む。


侑人さんは踊りながら
あたしの瞳を見つめる。
あたしも侑人さんを見つめる。


踊っている間は
あたしと侑人さんは
本当に二人だけの世界になる。



「ねえ侑人さん、覚えてる?」


何も言わないのに
侑人さんが優しく頷く。


「あの時と一緒だね」


あたしが想いを告げた日のこと。
初めてキスした日のこと。
あの日もこうやって
侑人さんと踊った。


「あたし・・・ずっと侑人さんに恋していたのに、その気持ちを言えなくて」

「わかってたよ」

君の気持ちは全て。
嬉しかった。



そう伝わってくる言葉が
あたしも嬉しくて。
そっと肩に頭をもたれさせた。



「今日のこのドレス姿、とても綺麗だよ」


「ありがとう」

侑人さんの手が
あたしの肩や
ドレスから出ている背中をなぞる。


「パーティで誰と踊った?」


「ん?」

侑人さんの目が
じっとあたしを見つめる。

・・・あたしがこうやって
問われることに弱いって
分かってて。


「・・・晶さんと踊ってウォルフさんと中岡さん・・・義兄さん」


真壁とは?と訊かれて
首を振った。
侑人さんがそっと笑うのがわかる。
安心したのかな?


「慎一郎様と踊られてるのは見たよ」


「え?」


「丁度その時会場にいたからね」

いつもの笑顔で
にっこり笑う。

「気がつかなかった・・・」


「踊りながら楽しそうに、どんな話してたの?」


どこにいたの?と聞く前に
質問で返された。
その言葉は・・・疑問系だけど
あたしは知ってる。
これって、全部話しなさいって
軽い命令形。



「・・・とても綺麗だからどこにもお嫁にやりたくないって言われたの」

「あたしの結婚式にはきっと泣くだろうな、って」



思わず義兄さんの
困り顔を思い出して
くすっと笑ってしまう。


そんなあたしを
侑人さんが真面目な顔で
見返した。


「慎一郎様が僕にとって一番の恋敵ですね」


「え?」


さらりと言われた言葉に
ドキッとする。
そのままターンでくるりと回される。
戻ってきたところは
侑人さんの胸の中。


侑人さんは何も言わずに
いつもの笑顔だった。


侑人さんの冗談、
ほんとにわかりにくいよ。



「それにしてもこんなにも綺麗な姿でハロウィンパーティ出席なんて、さすがは僕の恋人だ」


「侑人さんが選んでくれたからだよ」


侑人さんが少し赤くなりながらも
あたしのことを褒めてくれる。
それがとても嬉しい。



「もっとこっちおいで」


侑人さんを見つめたら
ステップを踏むのをやめて
背中に添えていた手で
ぐっとあたしを抱き寄せた。

そして組んでいたその手を
あたしの頭に添えて
じっと見つめる。



「本当に綺麗で、見惚れてしまうよ」


「・・・あたしだって・・・侑人さんがとても素敵で見惚れちゃうよ」


「奇遇だね」


思わず笑ってしまう。
懐かしい言葉。


この言葉を最初聴いたとき・・・
すぐには意味がわからなかったけど
でも、とても嬉しかった。


あたしの中で
忘れることのできない言葉の1つ。


「うん。それにこういうの両想いっていうんだよ、侑人さん」


「知ってるよ」



思い出しているのが
わかったのか、侑人さんが
にっこり笑った。


視線が交わる。



そっと瞼を閉じたら
自然と唇と唇が重なった。


ジムノペティの音階。



緩やかでも静かに激しいキス。
角度を変えて
何度も繰り返される。


唇も吸われて、舐められる。


Kiss off.
キスで口紅を剥いじゃうことって
侑人さんが前に
英語の宿題をしているとき
教えてくれた。







時が止まる。





いつの間にか
曲が終わっていた。







*********************


その3はこちらから。
 | 【執/恋】創作ー分割  | Page Top↑

Blog状況

最近の記事

カテゴリー

訪問者数

メールフォーム