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いつもブログに遊び来てくださる
MOKKO様から素敵な
ウォルフのお話を戴きました♪

こちらは分割の1になります。
その2はこちらからどうぞ

1つの記事で読まれたい方は
こちらかどうぞ



AuthorはMOKKO様になります。

以下、創作になります。
創作であることを
ご了承の上、
ご理解いただけた方のみ
どうぞお読み下さい。


******** きみがくれた人生 ********

FROM MOKKO!!






夜中にふと目を覚ました
あたしの目に入ったのは、
端正な寝顔。
あたしの恋人……
ウォルフさんの顔がそこにある。

ウォルフさんが
あたしの恋人になって
しばらく経つけれど、
改めて初めて
見るもののように
じっと彼の顔を見つめてしまった。


流れるような美しい金髪。
白い肌。
彫りの深い顔立ち。
そして今は長い睫毛しか
見えないけれど
目を開けばそこにある
透き通る緑色の瞳。

あたしに甘いキスを
与えてくれる形のよい唇も、
いまは何だか
現実のものではなくて
すべてが夢で
作り物ではないかという気がして……

思わずそっと触れてしまった。

すると……

長い睫毛が数回震えて
瞼がゆっくりと開いた。


エメラルドのような緑の瞳が
真っ直ぐにあたしを捉える。


「……起きてしまわれたのですか、姫」


長い指が優しく
あたしの頬をなで
まだ少し眠そうに
でも優しい声で語りかける。

「ごめんなさい、あたしこそ起こしてしまって」


あたしも手を伸ばして
彼の金髪を指に巻きつける。


そして、起こしてしまった
お詫びに彼の額にそっと口付けた。


「……姫」


ウォルフさんは顔を上げ
すうっとあたしを抱き寄せた。


そしてごく自然に
優しいキスを落とす。



……その温かい感触に
ウォルフさんが
幻ではないことを実感して
ほっとする。


その存在を確認するように
あたしもぎゅっと彼に抱きついた。


穏やかな心臓の鼓動。

あたしにとっては
何よりも安心する場所が
そこにあった。



ウォルフさんは優しく
あたしを抱きしめながら
髪を撫でる。


「何か、不安に思うことでもあるのですか? ……わたしがこうしてそばにいるというのに」


「ううん、なんでもない。この場所が、あたしにとって一番安心する場所だって、思っていたの」


ウォルフさんは
少し嬉しそうに
そしてちょっぴり苦笑しながら。



「それだけではないでしょう? 姫は本当に嘘がつけないお方ですね」


「う……」


「……ぼくの前ではそんな強がりは必要ない」



急に口調を変えて
耳元で囁くように言う。
あたしを抱きしめる手に
少し力がこもるのがわかる。


「何を考えていたんだい?」


「うん……つまらないことだって、笑わないで聞いてくれる?」


「もちろん」


「ウォルフさんみたいな人が、あたしを好きになってくれて、こうしてそばにいてくれることが何だか信じられなくて」


ウォルフさんが
ちょっと驚いたような顔をする。



「きみを散々好きだと言って、追いかけていたのはぼくのほうだ。それをどうしていまさらきみが不安に思うのかい?」



「だって」


あたしは少し身を起こして
ウォルフさんの頬を
そっと片手で包んだ。



「さっきも寝顔に見惚れていたの。あたしからすれば、ウォルフさんは、物語の中に出てくるような美しい男の人で。生まれも育ちもまったく違う外国の人で、生まれながらのセレブで。そんな人が、あたしを好きになってくれて。こうして、抱きしめてくれて、キスをしてくれて……あたしを愛してくれる。それって、あまりにも出来すぎた、それこそ本当に物語みたいだなって、思ってしまって」



ウォルフさんは
目を細めて微笑むと
あたしが頬に当てた手を
その上からぎゅっと握った。


そしてそのまま
口元にあたしの手を導き
軽くその手にキスをしながら言う。



「……そうか。ぼくにとっては、こうしてきみと一緒にいることこそがむしろ、こうなるべくしてこうなった必然ともいえることであり、自然なことだと感じているのだけど」


優しい目でじっと
あたしの瞳を見つめる。


「確かに、きみにとってはちょっと不思議な気がするかもしれないね。ぼくもこの幸せにすっかり酔ってしまって、きみにそのことをきちんと話したことなどなかった」


「……そのこと?」


意味がわからず
問いかけると
ウォルフさんがくすっと笑う。


「ぼくが単に調子のいい外国人だと思っている人は多いだろうからね。きみだって最初はそうだっただろう?」


「……そんなことないよ」


そう言いながら
あたしは出会った時の
ウォルフさんの様子を
思い浮かべていた。



突然の求愛に始まり
大げさな身振りに
次から次へと繰り出される
美辞麗句の数々。


好ましいか不快かという
感情を抱く間もなく
ただひたすら
呆然としてしまったことを
思い出して
くすっと笑ってしまった。


「ほら、またそうやって嘘をつく」



ウォルフさんは
いたずらっぽく
めっと叱るような顔をして
わたしの瞼にキスをした。


「ともかく。きちんと、ぼくのことをきみに話そう。聞いてくれるかい」


「うん、聞かせて」


ウォルフさんは
私に微笑みかけて
体を起こした。


「少し長くなるからね。温かい飲み物でも飲みながらゆっくり話そう」


ウォルフさんは
ウインクをして
さっと部屋を出て行った。










ウォルフさんが
淹れてきたのは
ハチミツの風味が優しいミルクティー。


ガウンを羽織り、
ソファに並んで腰掛ける。


「寒くないかい?」

「うん、大丈夫」

ウォルフさんは
自分の膝に私の手を置かせて
その上にそっと自分の手を重ねた。


「どこから話そうか。ああ、でも、ぼくもまた、嘘をついていたことを、まずきみに詫びるところから始めないといけないかな」


「嘘?」


ウォルフさんは
ちょっとばつが悪そうに笑った。


「まあ、聞いて」






「まずね」

「きみの写真に一目ぼれして来日したというのは、実は半分は本当で、半分は嘘なんだ」

だいたい冷静に考えれば
たった一枚の写真で
異国に赴いてしまうほど
一目ぼれすることなど
あり得ないと思わないかい?
でもあの一枚の写真が
ぼくの人生を変えたことは
間違いないんだ。
だからこそ今、
こうしてぼくはここにいるのだからね。





ウォルフさんは
優しい笑みを浮かべた。




ぼくは、この現代にあっても
いまだに存在する
上流階級といわれるような家に生まれた。


物心つくころから
そんな『家』に対して
なんとなく違和感を覚えていた。

不満があったわけじゃない。
特に嫌な思いをしたこともない。


何もかも恵まれた
環境であることには
感謝もしていた。
けれど、そこにいるぼくが
本当のぼくのあるべき姿なのか──。



そんな不安が、
ことあるごとに
ぼくの中に浮かんでは消えていた。


その不安の根拠は何なのか? 


答えを模索するかのように
興味の赴くままに
さまざまな文化・芸術を学んだ。

音楽、絵画、小説、劇作、食文化……。


多くの芸術に出会い
多くの感動を味わった。

その中の一つとして
出会ったのが日本の芸術だった。



日本という国から生まれた
文化芸術は、見るもの聞くもの
すべてがなぜか
ぼくの心にすっと
染み込んでくるようだった。


好きというのとも違う
馴染むような感覚。


たとえて言えば
和の色使い。
琥珀色、芥子色、萌葱色、菫色……
これらの色は普通の
ヨーロッパ人の感覚からすると
すこし澱んだような
濁ったような印象を受ける色だ。



しかし逆にぼくは
こうした日本の伝統色にも
独特の香りを伴う美意識や
いいようのない安らぎや温かさを感じた。



それからぼくは、
必死で日本語を学び
日本文化や
日本の歴史などを夢中で学んだ。


そして学べば学ぶほど
遙かな東国へ、
憧れにも似た
強い気持ちを抱くようになった。

日本語の表現の奥深さや
日本語の持つ
言葉の響きにも魅かれていった。



「ぼくの日本語は、きみへの想いの強さから必死に勉強して身につけたと言われてるよね?」


ウォルフさんは
少しおどけたような口調で聞いた。



「たしかに、みんなそう思ってるかな」


「ふふ、それは今となっては嘘ではないけれどね。愛しいきみの口から零れる言葉のどれもを、そのニュアンスから意味するところまで一字一句狂いなく、完璧に理解するために、ぼくはまだまだ日本語を勉強し続けているのだからね」



「もう」


いつものように
ウォルフさんの口から
言葉が走り出すのを
あたしはちょっと
頬をふくらめて制した。


「……それより、続きを聞かせて?」


どんなに強い
モチベーションがあったとしても
語学がそんな短期間で
身につくはずがないからね。


日本に魅せられてから
ずっと日本語を
学んでいたのだから
ある程度の力がついて当然だ。


だけど、あの頃の
積み重ねがあったからこそ
ぼくはすぐに行動することができた。


それがすべて今
この時につながっていると
思えば、納得がいく。


回り道をしたり
独りで足踏みをしていたように
思ったこともあったけれど
今思えば無駄なことなど
何もなかった。



祖国で日本についての
勉強をしているときも。


いつかは、
日本に行きたい……。
いや、行くべきだ、と
心ではずっと感じていた。


しかしながら、
そのきっかけが
どうしてもつかめなかった。


漫然と日本に行っても
ぼくの求める何かは
きっと得られはしない。
そう思っていたから。






それが……。



そのストッパーを外したのが、****。



きみの写真だったというわけだ。




きみの姿は
ぼくの思っていた
日本女性像を遥かに超えた
鮮やかな光を放っていた。


単純に美しいという以上に
ぼくの気持ちを
駆り立てるものを秘めていた。


いま思えば
大層非礼なことだが
例えるなら、
有名な絵画の実物を
絵画展に見に行くような感覚で
直にきみの姿を見てみたい、
という強い好奇心が芽生えたのだ。


そのときはまだ、
少なくとも恋という
感情ではなかった。


でもぼくは
「きみの姿に一目惚れした」と
周りに告げて
日本に行くという宣言をした。



そうでも言わないと
きみに会いたいという
ぼくの想いは
周りの人間には到底
理解し難いものだっただろうから。



あの一枚の写真を見たとき。



パチンとぼくの頭の中で
何かがはじけた。



ぼくは日本に行くのだ。
そして、この少女に会うのだ。
そうすれば、何かが変わる──。



それは、どこか
確信に似たような
不思議な感覚だった。




そしてついに日本へと訪れ、
九条院の屋敷に押しかけ、
きみに会った……。


「それからのことは、だいたいきみが知っている通りだよ」


ウォルフさんは、恥ずかしそうに、ちょっと間を置いた。


「だけどね、これが一番重要なことなのだけれど」


それから意を決したように言った。


「ぼくが本当に恋に落ちたのは、まさしくあの瞬間だった。……今度は嘘ではなく、文字通り、一目惚れをした……実際のきみの姿を見て一瞬で心を奪われたのだ」


「えっ……」



今までのウォルフさんの
ささいな嘘は、
この言葉で完全に砕けて
「今」にはっきりと繋がった。


ウォルフさんは、
照れた様子をごまかすように
あたしに軽くキスをした。


「あの時から思えば、こうして想いが通じてきみと恋人同士になれたなんて……奇跡的なことだ」



そう言い終えると
目を細め、あたしをじっと
愛おしそうに見つめると
壊れものを扱うように
やさしくあたしの体を包んだ。



「ぼくはいま改めて、麗しき愛の女神アフロディーテや、日本におわします八百万の神々、この世のすべての精霊たちに感謝を捧げたい。この奇跡をぼくにもたらしてくれたすべてのものたちに」


ウォルフさんの
口から零れると
つい表現が大げさに
なってしまうけれど
「この奇跡に感謝したい」
という気持ちはあたしも同じだった。



きみに会ってからは
きみを見るたびに
きみのことを
もっともっと知りたくなった。



そして、執事という
職務から人選をするならば
もっと適任な人間は
たくさんいたはずなのに
きみはぼくを
専属執事として選んでくれた。



ぼくにとっては常に
きみのそばにいられるという
最高のポジションを得ることができた。


それからは
きみのことを
知れば知るほど
想いが募っていった。


きみの言葉
きみの振る舞いのすべてが
ぼくに喜びと温かさを与え
心を満たしていく。


ころころ変わる
子どものような
大人のような表情。

豊かな感受性。

誰にでも分け隔てなく
さりげなく見せる優しさ。

一見、儚いようで
意外に芯が通っているところ。

滑らかで
きめの細かい肌。
流れる黒髪。
濡れたような黒褐色の瞳。


ぼくにとってはきみが
ぼくの求めていた
日本そのもので
ぼくの居場所だったのだよ。



だが不思議なことに
ひとりの男として
きみを愛しながらも
きみを恋人として
手に入れることだけが
すべてとは思っていなかった。


おそらく
きみの姿をずっと間近で
見ているだけでも、
ぼくの心は満たされたことだろう。


きみが美しく成長し
きみと愛し合う誰かが
きみの魅力を花開かせる。


それで、きみが
愛情に満たされ
ますます光り輝くのならば。

その様子を
見ることさえできるのであれば。


きみが心からの笑顔を
湛えているのであれば。


それだけでも
ぼくは充分満足できただろう。




なぜなら
きみの幸せこそが
ぼくの幸せなのだから。




……実際、ぼくは
怖かったのかもしれない。


誰よりも
きみのそばにいたいと
望みながらも。


ぼくが……きみを
本当に幸せにできるのか。


もしきみを傷つけたり
悲しませたりすることがあったなら。


ぼくは自分で自分を
許せなくなる。


愛するあまり
触れたら壊してしまいそうで
逃げていたのかもしれない。


しかし、きみは。
単に、執事としてだけではなく。
ぼくを、
この世でただ一人の、
かけがいのない存在として。
恋人として選んでくれた。



愛しいきみに、
触れることができる。
きみの耳に、
愛の言葉を囁くことができる。

きみの口から、
愛の言葉を聞くことができる。

きみの愛らしい唇に
キスをすることが許される。



そしてきみの
滑らかな肌の感触も
温かさも、そのすべても……。



きみに触れた瞬間に
ぼくの怖れは
どこかに吹き飛んでいた。
一分、一秒でも長く
きみのそばにいたい。
この手で、きみに触れていたい。


きみの声を聞いていたい。


その時
初めて気づいた。


こんなにもきみを求めていたことを。



これほどの幸せは
手に入れてしまえば
もう絶対に失いたくないのだ。
ぼくのすべてをかけて、守りたい。


もしきみを
失ってしまうことが
あるとするならば
その辛さに身を焼くよりは、
いっそぼくの存在ごと
全てを消し去ってほしい。


そう思うほどに、きみを愛している。



祖国で暮らしていた日々は
もうぼくには
古い思い出のように
懐かしい存在になってしまった。


ぼくの生きる場所は
いまここにしかない。


きみのいるところにだけ
ぼくの生きる場所もある。
ぼくは一生
きみだけのナイトであり続ける。


悲しみも喜びも
ともに分かちあい
不安や寂しさという文字は
きみの辞書から追い出してみせよう。


それこそが
ぼくに与えられた人生の役割。


きみがぼくにくれた人生なのだから。


そして
できることなら……。
きみにも一生
ぼくだけを見ていてほしい……。


それだけがぼくの願い。








******** その1 ******

その2はこちらから
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