2017 08 / 07 last month≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09 next month
スポンサーサイト  --/--/--  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 | スポンサー広告  | Page Top↑
ナイトメアの分割になります。
その4、最終話です。


以下、創作になります。
ナイトメアですので
ご注意の上
どうぞご理解いただけた方のみ
お読みください。



********** 永遠の恋人 4 **********







「行こうか」


「・・・うん」


その衝動を抑えて
あたしは隣にいる人の手を
ぎゅっと握った。





ねえ、侑人さん。
あたしはとてもずるいよ。


こんな形にしてしまった。


真壁さんを
一生離さないつもりなの。
「恋人」から「執事」に
戻してまでも。

そうしながら、あたしは
あなたの手を取っている。

あなたがあたしを
心から愛してくれてることを
知っていながら。

侑人さんのこと大好きだよ。


あなたがあたしを
愛してくれるほど気持ちは
同じぐらいではないけど
でも、感謝してるし
傍にいて、あなたに愛されて
嬉しいと想ってる。



あなたに抱かれるのも
好きなの。
あなたはあたしの中の海を
鎮めてくれるから。


空洞になった心に
光を与えてくれる。
寂しさで凍えるあたしを
抱きしめてくれる。
ばらばらになった心のカケラを
あなたが繋げてくれる。



車に乗り込んだ。
傍に侑人さんが座る。


走り出した車の中で。


目を閉じて
侑人さんの肩に
自分の頭をあずけた。

何も言わずに
侑人さんがあたしの頭を撫でる。




「侑人さん。ずっと傍にいて」

溜息と共に呟かれる言葉は
必ず侑人さんが拾ってくれる。


くすっと笑うのがわかる。


「今も傍にいるよ」
勿論、これからもね。



その言葉の強さに
思わずあたしは
侑人さんを見つめる。


「こんなあたしでも?」


「そんな君だから好きなんだ」


あたしの目を見つめ返す
その優しい目が
たまらなく痛い。


「・・・・・あたしのことわかってる?」


「ああ、全てわかってるよ」



「こんなに狡いのに?」

ひっそりと笑うのがわかった。





じゃあ君は僕のことをわかってる?



え?



ふふ。



・・・・・侑人さんは優しくて大人で、あたしのことを愛してくれる人。




正解だけど、少しハズレ。



え?



優しいかもしれないけれども
それは君だからだ。
それに・・・・。


それに?




僕は君を
手に入れるためには
なんだってした。



・・・・



その結果、君は僕の傍にいる。
ずるくても、僕は君を手に入れられて
幸せだと想ってる。





僕と君、真壁の三人で言うなら
ずるくないのは誰もいないよ。
三人、それぞれ狡い。



好きだから失いたくないと
真壁を執事に戻して
自分を愛する男の元に
逃げ込んだ君も。


同じく好きだからこそ
ずっと傍にいられる
“執事“に戻って
愛している気持ちを
隠し持ったまま
一生“演技”をし続けて
君の傍を離れるつもりもない真壁も。



君に利用されてもいいと
言いながらも、こうやって
真壁から君を奪って
手に入れ、君と真壁が
愛し合っていることを
見てみぬフリをする僕も。





それは君もわかってるだろう?



・・・・侑人さん。



だから気にしなくていいんだ。




茶番だとはわかっていながらも
僕は君を愛することができて
君が傍にずっといてくれて
とても幸せなのだから。



(きっと君は僕のことを好きになる)





・・・・ねえ侑人さん。
あたしたち、これからどうなるの?




そんなあたしの
何気ないふりを装った
疑問に、侑人さんが優しく笑う。


まるであたしの中の
不安を全て見透かしているように。



そうだな・・・・。


僕と君の二人のことを言うなら
君も僕を愛するようになる、きっと。


好きにならせるよ。


彼とは違った愛し方でね。




そして。
僕と君と彼の三人のことをいうなら。



君次第だよ。


え・・・・?


君が決めることだから。
決めてもいいし
決めなくてもいい。


・ ・・・・・。



でも僕は一度手に入れた君を
二度と離すつもりはないから。



・・・それならあたしに
選択肢残ってないじゃない。
侑人さんがあたしを
手放さないというなら。


ああ、そうだね。




ふっと笑うのがわかる。
窓越しに入ってくる光が
優しくあたしたちを
包んでくれる。






ねえ侑人さん。

ん?

あたしを手放さないの?


・・・ああ。一生ね。



あたしが逃げようとしても?




逃げようとしているのを
捕まえるのは好きじゃないけど
君が僕から逃げるとは想わないな。



どうして?



だって君のことを理解して
君のことを許せるようなのは
僕ぐらいしかいないからね。



ふふ。侑人さん、なんだかすごいね。



相手が君だからだよ。
大事な大事な
君だからだ。





侑人さんといると
なんだか全て大丈夫って
気持ちになってくる。







そう微笑んだあたしの脳裏に
さっきの真壁さんの
顔が浮かんできた。






こうなってみて
初めてわかった。


胸が張り裂けそうなほどの
痛みと共に、自分が一体
何がしたかったのか。
何を望んでいたのか。


真壁さんの全てを手に入れたいと
心のそこから望んだ
本当のあたしの望みは。


ただただ、彼の「永遠」になりたい。

それだけだった。



あたしと彼の間でしかない
特別で、誰にも変えられない
その繋がりが欲しかった。


大事なものを手に入れたいなら
何か大切にしているものを
手放さないといけない。


もし、それが本当なら。


この別れで
あたしと真壁さんが
永遠にお互いを手に入れた。


お互いがお互いの
「永遠」になった。



ずっと・・・忘れられない
忘れることができない
「運命の恋人」になった。


手放したからこそ
わかる愛がある。
手放したからこそ
守れた愛がある。


想い出は永遠に。

こんなに苦しいほどの想いを
封印して、お互い
別の道を生きていく。




終わらせてしまったのが
あたしなりの
この恋の守り方だった。


傷つけたくない。
傷つきたくない。


その想いと同じぐらい
この恋を守りたかった。


どんな形であれ。


そう願った先にあった何かを
あたしは掴めたんだろうか。




「愛している」と呟いた
痛いほど真剣な気持ちを
嘘にしたくなかった。


嘘になるぐらいなら
幸せの絶頂で失って
「永遠」にしたかった。


近くにいながらも。

お互いがお互いを想う気持ちを
封印していることを
知っている。

秘密じゃない秘密。


いつだって
あたしの心にいるのは
あなただけだよ、真壁さん。


こんな恋の終わり方だったから
ずっと・・・・もうずっと
忘れないね。
あたしも。あなたも。




・ ・・・人はどうして
愛する人に
巡り逢ってしまうんだろう。



愛なんてなければいいのに。

愛なんて
綺麗なものなんか
何も無い。
満たされるものも無く
ただ奪うだけ。


愛したいと願うほどに。
失いたくないと想うほどの人に。

願いが強ければ強いほど
その願いで
心が脆くなる。







一番欲しかったものを
手に入れたはずなのに。



どうして


どうして今
あたしの心は
こんなに寂しいのだろう。


焼け付くような胸の痛みは
何かに引き裂かれたかのよう。

ただ激しい風に吹かれる
ぼろぼろに斬られた
ただそこに風が通る
寂しさに変わっていた。

何も見えない空洞のように
ただそこに広がる無。


心の中の海風の音が
聞こえてくる。
とても寂しい音。
風を切る音。


きっとその海の上には
夜空が広がっている。



月のない闇夜。



雲の切れ目から
覗くのはただ1つの星。
北極星のように
ただそれだけが輝いている。


冬の海のように
荒立つ波を映し出す星の光は
きっと・・・・・。












****。


名前を呼ばれて
目を開けると
侑人さんが
とても優しく微笑んでいた。


あたしを幸せにしてくれる人。


そう。
あたしと侑人さんは
これからもっともっと
愛し合うようになる。



心の中に真壁さんがいても
この人は受け入れてくれた。


身勝手で狡くて
誰かを傷つけることでしか
自分を守れないあたしを。



手を伸ばしたら
侑人さんが
その手の甲に
自分の手を重ねた。


重ねた手のひらが
温かい。


もたれかかった肩だけじゃなくて
もっと甘えたくて
あたしは侑人さんの膝に
頭を乗せた。


膝枕をねだるあたしの髪の毛を
侑人さんが優しく撫でる。

その優しい指が
髪の毛の中に潜り込んで。
優しく愛撫する。




「愛してるよ」


その言葉が切なくて。



なにも答えられなかった。



「侑人さん・・・・あたし・・・・」



泣いているのを見られたくなくて
片腕で両目を覆った。



幸せな恋なんて
全て嘘だ。

幸せになんか
ならなくても良かった。
ただあの人の
傍にいれたら。



本当はただ
それだけでよかった。




でもこの言葉さえ
もう既に遅い。




荒ぶる波に
飲み込まれたかのように
涙が止まらなくなって
あたしは両手で顔を覆って
泣き出した。




号泣するあたしの頭を
ずっと膝に乗せたまま
樫原さんは
何も言わずに
ただ撫でてくれる。


あたしの中の海が
静まるように。





大丈夫。
大丈夫だ、僕が傍にいる。







頭や髪の毛、
震える身体や背中を
撫でる手がそう伝える。


膝越しに伝わってくる温度でさえ。
その手は温かくて優しかった。


言葉は無かった。


ただそっと
侑人さんは身をかがめて
涙で濡れるあたしの瞼に
優しいキスを落としてくれた。










******** Fin.*************

















□ あとがき□

ナイトメアでした。

このお話は実はあたし自身が
大好きな人に対して
気持ちが溢れてしまった時に
書いたお話がベースになってます。

最初に書いたお話が
めちゃくちゃなぐらい
ぐちゃぐちゃで
お話自体にもあまりなってなくて。

書き終わって
気持ちが落ち着いた後
そのお話は封印していました。

それが今回、
自分の中でも区切りがついたのか
きちんとお話として
整えてみようと思い
今回、ナイトメアとして
出しています。

本当にこのお話は
綺麗なものなんかは
殆ど無くて
ただ欲があって
ずるかったりするお話です。
真壁や樫原さんの登場も
本当にその二人に
申し訳ないと思いつつ
書いてしまっています。

ただ、このお話を
醜いものだけで
終わらせてくれなかったと
感じられたのは
樫原さんの懐の深さでしょうか。

誰か他に好きな人がいても
それでも包み込んでくれる
樫原さんの優しいところや
大人の部分を描きたかった。

それと同時に
ヒロインと真壁の
苦しい恋も。

永遠ってなんだろう?

そう思います。

恋を守りたかったゆえに
失うことでしか
守れなかった不器用さや
その弱さ、ずるさを
書いてしまいました。

人間ってずるい。
そう思っている
あたし自身の暗い想いが
このお話には
出ているかもしれません。


ナイトメアと題うって
記事としてUPしたものの
これを読んで
気持ちが重くなったり
すごく辛くなったりしたら
本当に申し訳ないです。

幸せな恋があるのと同じように
苦しくて辛い恋もある。

たまにはこういう話も
いいかな、と
どうぞ見逃してください。


18.September 2009 つぐみ
 | 【執/恋】創作ー分割  | Page Top↑

Blog状況

最近の記事

カテゴリー

訪問者数

メールフォーム