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ゆん様に捧げる夜語りのリク話です。
お題はキス、『「すき」が流れ込む』。

サイトでの収録は
カテゴリー「Night Story」にあります。
名前変換で読まれたい方は
そちらでどうぞ。

このお話はその4になります。

長いので分割を作っています。
その1その2その3その4 その5

1つの記事で全文を
読まれたい方は
こちらからどうぞ。


以下、創作になります。
ご了承の上、
ご理解いただけた方のみ
どうぞお読みください。

*******夏の夜の約束 その4 ******







8月10日零時ちょっと前。


部屋の電気を消した。


窓側に置いた
テーブルには誕生日ケーキ。

夜が思ったより明るい。
森の中での夜はとても深いけど
今夜の月と星の明かりで
青白いような素敵な光が入ってくるから。

吹き抜けになった天井は
ガラス張りで、星空からの光が
差し込んでくる。


零時になったら
ケーキに立てた蝋燭に火をつけて
中岡さんに吹き消してもらうの。


蝋燭は26本準備した。
小さめで可愛い蝋燭。

今日で1本増えるんだね。



誕生日ケーキに
2人で飲む飲み物。
中岡さんにはシャンパン。
樫原さんが中岡さんの誕生日に、と
一本持たせてくれたから。


あたしはまだ
お酒を飲めないから
スモモのサワーを
コックさんが持たせてくれた。
季節のスモモを漬け込んだのを
炭酸で割ってくれる。


紅い色が綺麗で
ちょっと酸っぱくて甘い。
見た目はとてもお洒落。


2人で準備して零時を迎える。


しーっと口に指を当てて
2人で時計の音を聴く。
勿論、あたしは中岡さんの傍に
ぴったりと寄り添って座ってる。


中岡さんの傍に座って
彼の膝に手を置く。
中岡さんがあたしを包むように
片手で抱きしめてる。


部屋の時計の針が
重なって0時になる。

別荘の時計はとても静かで
ゴーンって鳴ることもないけど
チクタクチクタクいっている時計が
きちんと零時を教えてくれた。


「誕生日おめでとう、中岡さん」

零時を確認して
あたしは中岡さんに微笑む。

すぐ傍にある中岡さんの顔。

薄暗がりだけど
でも少し目がなれて
中岡さんがあたしをじっと
見つめてるのがわかる。


「ありがとう、***ちゃん」

じっと見つめられるのが
嬉しいはずなのに切なくて。


思わず涙が出そうになった。


中岡さんの誕生日の
今大事な瞬間なのに。


おかしいよ、あたし。
2人きりの時間で
とても幸せなはずだけど
こんなってずっと
年の差のことばかり考えてる。


「****ちゃん?」



誕生日迎えないで。
あたしとの年の差が増えちゃうから。


そんなわがままで
どうしようもないことが
言えないあたしは
ケーキに立てた
ろうそくに火をつけようと
マッチを取り出した。

マッチをしゅっとすると
ぼわんっと明るくなる。


その柔らかい光の向こう側に
心配そうな顔をした中岡さんがいる。


ごめんね中岡さん。
誕生日祝いだっていうのに
なんだかちょっと
悲しそうな顔をしちゃって。


気づいてるであろう中岡さんに
何も言わせないために
あたしはちょっとだけ
顔を見られないように
目を伏せながら
蝋燭に火をつけようとしたら。


その手を掴まれた。

そして指先で持っていた
マッチの火を吹き消される。


「え・・・・?」

火を消されたマッチ棒を
つまんだ指先から
中岡さんがマッチ棒を摘んだ。


そっとテーブルの上にあった
テーキの受け皿の横に置く。


「****ちゃん」

真剣な中岡さんの声が聞こえる。


「帰りたい?」

「え?」

「さっきから浮かない顔をしてる」

「・・・・」

「それにオレの顔を見ない」

「オレが無理させてしまってる?」

困らせるつもりはないんだ。
呟くように苦しそうな声が
聞こえた、気がした。


「ぜ・・・・全然そんなことないよ?」

「そう?」

「うん」

あたし中岡さんと
一緒にいられるの嬉しいから
帰りたいなんて全然思ってないよ。

「でも帰りたいなら、樫原さんに電話して迎えに来てもらうから無理しないで」

辛そうな声。

「え、どうして?」

あたし、ここにいるよ?
中岡さんと一緒にいるもん。
だって2人っきりで過ごせるなんて
すごく楽しみにしてたんだから。

「・・・・・でも、さっきから****ちゃんは考え事ばかりだ」

「それは・・・・・」

中岡さんがいつものように
にっこりと笑っていう。
多分あたしに気を使わせないように。

「無理しなくていいから。こうやって2人っきりで泊りがけ、ってオレが誘ったの、悪かった」


・・・笑顔でこんな風に
無理して言わないで。


「そんな・・・・誤解だよ」

中岡さんの顔から
笑顔が消える。
もっと真面目で・・・・
真剣な顔でじっと見つめられる。

「でも****ちゃん、ちっとも楽しそうじゃないよ」

あたしの目を見つめながらも
中岡さんが目を伏せた。


「そ、それは・・・・・」


辛そうな中岡さんの顔を見ていたら
あたしは、自分がどんなに今
この人を傷つけてるのかがわかる。


「ごめんね、中岡さん」


でも、帰りたいのを無理して
一緒にいるとかじゃないの。



そうじゃなくて・・・。

そうじゃなくて?


・・・中岡さんの誕生日を祝うのが
ちょっとだけ辛いの。

「え?」

「中岡さんがまた1歳年を取ってしまうのが」


「・・・・・・****ちゃん?」


中岡さんがちょっとびっくりしてる。
・・・・当たり前だよね。
誕生日を祝うのが辛いって
恋人から言われちゃったら。


でも・・・・。

ここまで言ったのなら
ちゃんと話さないといけない。
なんであたしが
こんな切ないのか。




あのね。あたし。

いつも中岡さんとの
年の差を考えちゃうの。

大人で素敵な中岡さんだから。
早くつりあうような大人になりたくて。
でも、現実のあたしはとても子どもで。

8年って年の差が
とても切なくなるの。



こうやって誕生日が来て
大好きな中岡さんが
生まれてきた日なのに・・・・。

あたしと中岡さんの
年の差が縮まることが
無いっていうのを
すごく実感するの。

こんなのわがままだってわかってる。
言っても仕方ないことだって
わかってる。


中岡さんは今日で
26歳になっちゃうのに
あたしはまだ17歳で。
全然子どもで。


・・・17歳の子どもだから
中岡さんもあたしに手を出さない。

大事にしてくれてるのは
わかってる。
大人になったら、きっと今以上に
中岡さんがしてくれるって
わかってる。

わかってるけど・・・・。

でも、あたし
そうやって大人な中岡さんを
感じるたびに
年の差を感じて
寂しくなるの。



「****ちゃん・・・・」


話しているうちに
なぜか涙がぽろぽろと
零れていくのがわかる。

あたし、切ないほどに
中岡さんのことが好きなの。

傍にいるからこそ
感じてしまう年の差。

その距離を縮めたくて。
大好きなこの人に
もっと近付きたくて。




「ごめんね、気がついてあげられなくて」

そんなに年の差を気にしてるって
思ってなかったよ、****ちゃん。

そう言って中岡さんが
あたしの頬に両手をあてて
自分のほうを向かせる。


仕方ないなぁって
そんな笑顔に見えるけど
でも、その笑顔はとても優しい。

あたしのことを
とても大事に思っているのが
伝わってくる。



summerdream






「それなら・・・・」

ねえ、****ちゃん。
オレに考えがあるんだけれど。


・・・・・なあに?


涙目で鼻声になってしまってる
あたしを、中岡さんの手が
あったかく包んでくれる。

視線を絡ませて。
中岡さんが優しく
あたしが大好きな笑顔で笑ってくれた。






年の差が気になるなら・・・・



「君がオレとの年の差を感じてるのなら、君が追いつくまで、歳をとらないでおくよ」

「え?」

「そんな風に感じているのなら」

にっこりと中岡さんが笑う。

あたしの顔に当てた手が離れて
そしてケーキに立てられた
ろうそくを1本抜いた。

ケーキには25本のろうそく。

抜いた小さなろうそくを
中岡さんが大事そうに
ケーキ皿の上に置いた。


「オレの誕生日をしなければいい」

君がこの25歳になるまで。


「え・・・・?」

8年なんて
あっという間だよ。

中岡さんの顔が近付いてきて
あたしの額に自分の額を
くっつける。

すぐ至近距離で
見つめてくる優しい瞳。



君が8年後、25歳になった時。
オレが君が出逢った歳になった時。

その時から誕生日をしよう。

それまでオレはずっと
「25歳」で君のこと
待ち続けるから。

きっとその頃には
8年の月日が2人の間にあるから
先に生まれた「8年」なんて
感じなくなっているよ。


「8年後まで・・・・?」

「そうだよ」

「中岡さん・・・・」


それまで、俺は「25歳」で
止まっておくから。
毎年君の誕生日を数えて
8回目になったら・・・・
そのときお祝いしよう。


それまでの間ゆっくり
2人で過ごそう。

追いつくまで待ってる。


急いで大人になることないよ。
今の君が好きなんだ。


きっと8年後には
君がこんなに8年の差を
切なく思うことはない。


約束しようっか。




そういって中岡さんが
優しくあたしの額にキスしてくれた。




たまらなくなって
ぎゅっと抱きついた。



「中岡さん・・・・・」

とても嬉しい気持ちで一杯になる。

優しい、優しい中岡さん。
すごく愛されてる、って感じる。
年の差を気にするあたしに
誕生日を祝わないで
待っててくれると言ってくれた。



8年後・・・・。


あたしが中岡さんの歳になる。
中岡さんがあたしに出会った歳に。

そんな8年後も一緒にいてくれるの?

「中岡さん・・・・ずっと一緒にいて」
ずっとあたしの傍にいて欲しい。

大好きだから。
8年後、を過ぎても。
ずっと傍にいて欲しい。

いつでも好きだって
何年経っても
あなたのことが好きだって
確信してるから。


「いつだってオレは君の傍にいるよ」

それがオレの望みなんだから。
君だけの執事だし
なによりも君の恋人だから。

おれが大事なのは
君なんだ。

だから・・・・。


「・・・・・大好きだ」


・・・胸が締め付けられるほど
切なくなって。
中岡さんを見上げた。

切ないほど幸せで
目を閉じると
中岡さんが優しくキスしてくれた。




「すき」が流れ込む。





中岡さんの沢山の「すき」が
あたしの中に。



暖かくて少し潤った唇が
あたしの唇を開かせて
優しく教えてくれる。


彼の気持ちを。
大好き、の伝え方を。
愛してるって言葉を。


言葉にならない気持ちが
溢れてくるような
優しいキスで
あたしは自分の中にあった
悲しさ、苦しさ
焦りや不安が
ゆっくりと溶け出していくのがわかる。


中岡さんの優しさが
中岡さんの気持ちが
あたしを溶かしてくれるの。



目を閉じても
中岡さんの暖かさが
ここにある。

暗闇の中でも
中岡さんがいてくれて
全然怖くないの。

中岡さんに
抱きしめられているから。
身体も心も。

あたしと中岡さんは
長らくキスしていた。
気持ちが満たされて
うっとりとしてしまうほどの時間。










********その4おわり*******

その5はこちらから。
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