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ゆん様に捧げる夜語りのリク話です。
お題はキス、『「すき」が流れ込む』。

サイトでの収録は
カテゴリー「Night Story」にあります。
名前変換で読まれたい方は
そちらでどうぞ。

このお話はその2になります。

長いので分割を作っています。
その1その2その3その4

1つの記事で全文を
読まれたい方は
こちらからどうぞ。


以下、創作になります。
ご了承の上、
ご理解いただけた方のみ
どうぞお読みください。



******* 夏の夜の約束 その2 *******







中岡さんに手を引かれて
コテージ近くをお散歩する。


昼過ぎに着いて荷物を整理して
ちょっと一休みしてからのお散歩。



まだ夕方じゃないけど
少しづつひんやりしてきてる。
山の空気は澄み渡ってて
どこまでも緑が広がっていて。




海もいいけど山もいいね。


そう呟いたら
中岡さんが振り返って
にっこり笑った。


君とだったらオレはどこだっていいよ。


そう言ってくれた。


中岡さんの髪の毛も
ふわふわと風で揺れている。
あたしの髪の毛は
風で遊ばれて
毛先がふんわりと浮くのがわかる。


髪の毛が乱れちゃうな。
でも気持ちいいからいっか。


広がる髪の毛を
あたしは耳にかけた。


こっちを振り返った中岡さんが
やさしく笑いながら
風になびいた髪の毛を
耳元で抑えていた
あたしの手に触れた。


「風が悪戯してる」

「うん」

中岡さんがポケットから
蝶の形をした
小さなピンを出した。

散歩に出かける前に
そんなものを
準備していたなんて。
それもこの蝶のピンは
みたことがない。

きっと彼があたしが知らない間に
買ってくれたものだと思う。


相変わらず用意周到で
いつもあたしのことを
考えてくれてる
優しい恋人に
思わずにっこりした。

その笑顔を見て
中岡さんもにっこり笑う。

そして、ゆっくりと
あたしの耳の上に
蝶のピンを留めてくれた。

「中岡さん、本当に準備が良いね」

「多分必要だと思ったんだ」

中岡さんがゆっくりと顔を近づけて
さっき蝶のピンで
留めた髪の毛に
優しくキスをした。

「この蝶がすごく可愛いから」

きっと君に似合うと思って。
うん、すごく似合ってる。

「可愛いよ、****ちゃん」

少し頬を赤らめて
じっと見つめられて。
あたしも少し恥ずかしくなってしまう。


中岡さんって・・・・。

なんだかとても
ロマンチックだったり
すごくあたしに甘かったり・・・・。


こんな風に甘やかされて
可愛いって言われると
あたし、なんだか
幸せな気持ちで
心が満たされちゃうよ。



「可愛いのはあたし?それとも蝶?」



答えなんてわかってるのに
もっと中岡さんから
甘い言葉が聴きたくて。


甘い言葉を囁いて欲しいから。


中岡さんはそんなあたしの
思惑に気がついたのか
しょうがないなって笑いながら
繋いでないほうの手で
あたしを引き寄せた。


「勿論、俺の****ちゃんだよ」


もう一度髪の毛にキスしてくれる。
その片手であたしの頭を
自分の胸にくっつけるようにして。

中岡さんに軽く抱きしめられて
胸に耳を当てると
中岡さんの心臓の音が聞こえるよ。

ちょっとだけ早い。



ドキドキしてるの、中岡さん?


そう言ったら

「こら。大人をからかうもんじゃありません」

そう言って、もっとぎゅっと
抱きしめてくれた。


甘い言い回しが大好き。


あたしは繋いでいた手を解いて
中岡さんの腕に
自分の腕を絡めた。

「ねえ中岡さん」

「なんだい?」

「・・・・今日一緒にここに来れてよかった」

「俺も君と一緒にこれてよかった」

誘って断られたらどうしようかって
本当は思っていたんだ。

え?


「断るわけないよ」

だって大好きな中岡さんと
2人っきりの休暇だよ?
中岡さんの誕生日もあるし。
あたしが断る訳ない。

「それに・・・・旦那様も反対していらっしゃったから」

少しだけ中岡さんの顔が曇る。

「うん・・・・そうだね」

「でも、姉さんも樫原さんも中岡さんとだったら大丈夫って言ってくれたから」

あたし達、応援されてるよ。

だから大丈夫!と
笑顔で中岡さんを見たら
中岡さんもようやく
ほっとした顔で笑ってくれた。



絡めた腕をそのままに
周りに広がる森の木々に目をやる。



少しだけ心に浮かんだ
あの時心をチクッと刺した棘の痛み。


8歳の年の差。

その年の差が一緒にいるときに
感じてしまうこと。

中岡さんに比べて
とても子どもな自分。

こんな中岡さんだったら
あたしみたいな子どもじゃなくても
いつかもっと年相応な
素敵な女の人と
恋に落ちても不思議じゃないと
思っている不安。

子ども過ぎる自分に対する不満。

2人きりで出かけるといって
応援されると
あたしが子どもだから何もないと
思われてるんだという
不思議な失望感。

恋人同士なのに
キス以上進まない
あたしと中岡さんの関係。


(もしかしたら2人で出かけるなんて危ないって皆が言ってくれたほうが、少し嬉しかったかも)

そういう「危険性」さえ
感じさせないほど
あたしは中岡さんにとって
「子ども」なのかな?

そんな雰囲気にはまだならない
恋人同士として
周りの目には映ってるのかしら?



墨の一滴のように
一度心の中に
ぽつりと落とされたら
水面にじわじわと
黒い円が広がるように。

あたしの心の中に
不安が広がっていく。



顔が曇っていく自分に気がつく。
でもあたしは
なんでもない振りして笑った。


「大丈夫よ、中岡さん」

抱きついている中岡さんの胸に
自分の顔を埋める。


多分、今のあたしは
大丈夫って言葉の裏腹に
少し不安そうな顔をしているはずだから。


そんな顔、みられたくない。


「連れてきてくれて、ありがとう」


ぎゅっと抱きついたあたしを
あやすように中岡さんが
ぎゅっと抱きしめながら
背中を抱きしめてくれる。

そして、あたしの名前を呟いて
髪の毛に何度もキスしてくれた。

柔らかい風と
柔らかい光。

誰もいなくて・・・・
静かなんだけど
風の音と共に
大好きな人が
あたしの名前を呼んでくれる。

こんな幸せな一瞬なのに。




きっと・・・・
名前を呟いたのは
あたしに顔を上げるように
促していたんだろうけど
泣きそうな顔をしているのを
見られたくなかったから。


ぎゅっと
抱きついたままでいた。


「中岡さん、大好きだよ」


思わず呟いてしまう。

自分の中の気持ちに
負けたくなくて。

その言葉は
泣きそうなくらい
あたしの中の
本気の気持ちだった。






・・・・・・・・・・・



夕ご飯はコテージで
バーベキューをした。

中岡さんが美味しそうなお肉を焼いてくれた。

中岡さんがほとんど
あたしの身の回りも世話できるし
ご飯も作れるから、って
別荘には誰も来ていない。


せっかくだから
2人で過ごしたいね。


その言葉どおり
2人っきりの夜。

森の中にあるコテージは
とても静か。
テレビも置いているけど
2人の時間に必要なのは
お互いの存在と
楽しいお喋りと
優しい音楽だけ。


散歩に行っていたときに感じた
あの気持ちの重さは
まだ少し心の中にしこりのように
残っていたけど・・・・。


でも中岡さんがあたしに注ぐ
優しい視線や言葉や
一緒にいられるこの時間が
あたしの心を満たしてくれる。


いつもは一緒のテーブルで
食事をすることはないけど
こうやって2人っきりのコテージで
同じテーブルに席ついて
向かい合ってご飯を食べると
とても嬉しかった。

ほんのちょっとだけ
中岡さんと一緒に暮らしている
あたしと中岡さんの家って気がする。

(まるで新婚さんみたいだな)

そう感じて、思わず恥ずかしくて
ドキドキして、食べている肉を
喉に詰まらせそうになる。


「ごほっ!!!」

「だ、大丈夫?****ちゃん?」

すぐさま中岡さんが
あたしの背中を叩いてくれる。


「だ、大丈夫。ちょっとむせただけ」

差し出されたコップを受け取って
ちょっとだけ水を飲む。
咳が落ち着くまで
中岡さんが背中を撫でててくれる。

心配そうな顔。

もう中岡さんったら心配性なんだから。

(心配させてるのはあたしだけど)


「大丈夫だよ、ありがとう中岡さん」

息を吐きながら中岡さんに
微笑むと、中岡さんもにっこりとしてくれた。

あたしが食べやすいように
お肉も切ってくれる。

「ほら、あーんして」

「え?」

思わず中岡さんから
そんな風にされて
あたしは顔が赤くなってしまった。

中岡さんも顔が赤くなってる。

「あーん、って・・・・中岡さん」

思わず笑ってしまう。
こんな風にしてくれる
中岡さんが嬉しくて。
そして恥ずかしくて。

「いつも****ちゃんがオレにするじゃないか」
だから今日はオレが****ちゃんに
こうやって食べさせてあげるよ。


・・・・あたしがいつもあずまやで
ケーキを食べるときに
中岡さんに「あーんして」って
困らせることを言ってるんだわ。

ちょっと恥ずかしがる中岡さんが
可愛くて。恋人同士の甘い時間が欲しくて。
あんな風にしてしまうあたし。

そんな困ったお嬢様のあたしに
執事の職務中の中岡さんは
これまた困った顔をしながら
でも赤い顔をしてても
ちゃんと「あーん」って食べてくれるの。


「ほら、あーんして」

もう一度促されて
あたしは仕方なさそうに
口を開ける。

くすくす笑った中岡さんが
あたしの口の中に
お肉を一切れ入れてくれた。


美味しい。

「ありがと」

もぐもぐしながら
中岡さんを見たら
こっちを見て優しそうに微笑んでいた。

「ほら、口元にソースが」

そう言って、あたしの口元についた
ソースを親指で拭った後
それをぺろって舐めてしまった。

「あ・・・」

「ん?」

思わず顔が赤くなる。
でもそんなあたしにお構い無しに
中岡さんがくすっと笑った。

「まだついてる」

「!!」

え?と思った瞬間には
中岡さんに口元へキスされてた。
ぺろり、って中岡さんが
あたしの頬を舐めた。

ぼっと自分の顔が
赤くなるのがわかる。

「な、中岡さん!!」

思わずびっくりしたけど
中岡さんは全然気にしないように

「このタレ、美味しいね」

とちょっと赤い顔して笑った。

・・・・中岡さんって今
すごく大胆なことをしたけど
でも、きっと中岡さん
平気なんだわ・・・。

あたしはこうやって
不意打ちに
キス・・・みたいにされると
すごくドキドキするのに。

一人ドギマギして
フォークとナイフを持つ手が
ぎこちない。

「だめだった?」

そんな風に訊いてくるものだから。

「だ、だ、だめじゃないけど」

思わず中岡さんを
赤い顔をして睨んでしまった。

「中岡さん、不意打ちなんてズルい」

「え?」

「びっくりするよ」

大好きな人がいきなり
あたしの口元を舐めたら。

あたしが赤い顔をして
少し睨んだから中岡さんも
同じように赤い顔をして
優しく言ってくれた。

「だって、****ちゃんが可愛いから」

「っ・・・・!」

「それもここはオレと****ちゃんしかいないし」

可愛いからって
誰も見ていないからって・・・!!

ドキドキしすぎて
胸が詰まるから
そっと息を吐いたら
中岡さんがにっこり笑ってた。


中岡さんって
たまにすごく大胆。

「ほら、もっとお肉食べる?」

あたしのお皿にお肉を取り分けてくれる。

なんか・・・・
中岡さんってやっぱり
大人なんだと思う。

さっき、あんなことしてても
次の瞬間には
普通になってるから。

あたしなんか・・・・
まだドキドキしすぎて
お肉が喉に通らないとか
そんなことより
中岡さんのことを意識しちゃって
上手く食べれないよ。

中岡さんが余裕あるのが
ちょっと悔しい。
あたしは・・・・ちょっとだけでも
中岡さんにされちゃうだけで
舞い上がって、ドキドキしちゃって
ぼーっとしちゃうのに。


(やっぱり中岡さんって、あたしより年上なんだ)


一緒にいる恋人同士の時間。

中岡さんも
そりゃあ心臓ドキドキ
させているだろうけど
でも、とても上手に振舞う。

あたしに甘い言葉をかけたり
キスしたり、ハグしたり。

でも一線は越えない。

あたしにとっては、
そうやって男の人とするのは
初めてだから
慣れないまま、いつも中岡さんの
1つ1つの動作やすることに
翻弄されてる気がするよ。


やっぱり
あたしと中岡さんの間にある
年の差って大きいのかな?

でもこれって年の差?
あたしが中岡さんのことを
中岡さんがあたしのことを好きより
もっと好きだったりするからかな?


中岡さんがあたしに注いでくれる愛は
すごく優しくて包んでくれるような愛。


あたしは優しい中岡さんも
大好きだけど、2人きりの時は
たまに見せる大胆な中岡さんに
なって欲しいと思ってるよ。

たまには、あたしのことで
動揺して欲しいんだ。
あたしのことで
うろたえて欲しい。
あたしのことで
ドキドキして、
何もできなくなってしまえばいい。

大人の余裕なんて
なくなってしまえばいい。

それくらい、あたしに
ドキドキしている中岡さんを
見てみたいと思うの。

こんな願いを持つのは
贅沢だってわかってる。


中岡さんはあたしにとって
すごく最高な恋人だから。
これ以上の人はいないって
思っているのに・・・。

でも・・・・たまに・・・。

寂しくなるの。
大人な中岡さんに。
そんな大人な中岡さんに
翻弄されているような
「子ども」でしかないあたしに。


(こんなこと、上手く伝えられないな)


思わず気持ちがぐしゅぐしゅに
なってしまったあたしは
ちょっと無言でご飯を食べた。










******その2 おわり *********

その3はこちらから。

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