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ゆん様に捧げる夜語りのリク話です。
お題はキス、『「すき」が流れ込む』。

サイトでの収録は
カテゴリー「Night Story」にあります。
名前変換で読まれたい方は
そちらでどうぞ。

このお話はその1になります。

長いので分割を作っています。
その1その2その3その4

1つの記事で全文を
読まれたい方は
こちらからどうぞ。


以下、創作になります。
ご了承の上、
ご理解いただけた方のみ
どうぞお読みください。









******** 夏の夜の約束 *********








風が・・・・気持ちいい。


少しだけひんやりとした風が
あたしの髪の毛をなびかせる。


「****ちゃん」

あたしの手を引いて
前を歩いていた中岡さんが
ゆっくりと足を止めた。


「風が気持ちいいね」

「うん」

こんなに空が近いのは久しぶりだ。

空が晴れ渡っているけれど
でも夏のピーカン照りや
むくむくと大きい入道雲じゃなくて
もっと柔らかいパステルカラーの
ブルーを広げたような空。

森の木々の間を
風が通り過ぎていく。

あたしたちが歩く
畦道の傍に生えている
雑草でさえ、風に身を任せて
さわさわと揺れている。




あたしと中岡さんは
九条院家の別荘に来ている。


ゴールデンウィークに来た別荘じゃなくて。


今回遊びに来たのは
もっともっと森の中。
コテージみたいな
そんな山小屋に近い別荘。

中岡さんが夏休みを取ったから。




連れてきてもらったの。





・・・・・・・・・・・・・


つい先日、義兄さんが姉さんと
スイスに行くからと
お屋敷みんな数日間休暇を
取っていたんだけど
その間も、あたしの専属執事で
そして恋人の中岡さんだけは
きちんとお仕事していた。


といっても、中岡さんを誘って
2人で釣りに行ったり
クルーザーに乗ったりした。



そうやって2人だけで過ごした
お屋敷全体の夏休みが終わったあと
中岡さんは、数日お休みをもらえた。


そのお休みに。

中岡さんが

「2人だけで泊りがけでどこかに行かない?」
オレの誕生日もあるし・・・。

そう誘ってくれた。
勿論、あたしの返事は。




嬉しすぎて
中岡さんに抱きついたら
びっくりしながらも
中岡さんは優しく抱き返してくれた。



一緒にいたいと想ってたの。
中岡さんの誕生日は
ずっと一緒にいたいから。






・・・・・・・・・・



仕事中ではない日に
恋人として誘うんだ。


だからずっと恋人同士の時間。


クルーザーで海に出たときも。

このまま2人でどこかへ
行ってしまおうかといってくれた。
このまま海にいれば
ずっと2人っきりだから、と。


(中岡さんにだったら、どこにだって連れ去られてもいいよ)



あたしと中岡さんが
2人きりで入れる時間は
本当はとても少ない。


夜、中岡さんが仕事終りの挨拶をして
それからの一時だけ。
その短い間の逢瀬が
あたしと中岡さんを繋いでる。

ずっと一緒にいるんだけどね・・・。

ずっと一緒にいれて
幸せなんだけど・・・
でも一緒にいれても
「恋人」じゃない「恋人」と
一緒にいて
お嬢様のフリをするのは
なんだかたまに辛いんだよ。


だから。


誘ってくれた夏休みの計画。

2人っきりで。
恋人同士の時間が過ごせるなら。
中岡さんが「執事」から解放されるなら。

あたし、どこへでも
一緒に行こうと思ったんだ。








中岡さんと一緒に
泊りがけで遊びに行くね。


その一言でまず義兄さんがびっくりした。

「え?中岡と2人っきりで?」

「うん」


「うん、って・・・・・***ちゃん!」

義兄さんが少し難しい顔をしてる。
あたしと中岡さんが
恋人同士なことは知っている。

「まだ高校生だから泊りがけで遊びにいくなんて・・・・」

渋い顔をして多分・・・ダメって言いそうな雰囲気。

(あたし、義兄さんが反対しても今回は中岡さんと一緒に行くよ?)

ここであたしが折れたら
きっと執事の中岡さんが
あたしと一緒に出かけたいなんて
言えるわけないもの。

「それに中岡も・・・」

義兄さんがあたしの傍で
控えている中岡さんを
少し睨んでなにか言いそうになるのを
先に牽制する。
中岡さんが目を伏せているのがわかる。

「大丈夫。中岡さんだもの」

中岡さんはあたしの専属執事よ?
2人っきりで泊りがけで出かけても
別に何もないじゃない。

「でも***ちゃん、2人きりで泊りがけなんて感心しないよ」

「中岡さんはあたしの専属執事だから、2人きりで出かけることだって普通にこれからあるよ」

粘ってみる。
中岡さんは何も言わない。
多分・・・中岡さんは「執事」だから
そんなことは言わない。
だからあたしが頑張らなくちゃ。


「あたしを信頼してよ、義兄さん」

「・・・・・***ちゃん」

「せっかくの夏休みなんだもん。あたし、どこか中岡さんと遊びに行きたいの」

そう言ってもなぁ、専属だとは言えども
中岡は男だし、大事な****ちゃんと
泊りがけで2人で、なんて僕としては・・・・。

義兄さんが渋い顔をして
考え事をしている。
そんな義兄さんに・・・

「中岡さんとなら大丈夫よ」

「え、夏実?」

思わず義兄さんの隣にいた
姉さんからの応援がきた。

「姉さん!」

思わず嬉しくてにっこりになってしまう。
姉さんが義兄さんを説得してくれたら・・・。
そんなあたしの嬉しそうな顔を見て
姉さんがくすっと笑う。

「中岡さんと****は付き合っているとはいえ、8歳も年の差があるのよ?」

****が高校生なことは
中岡さんだって重々承知なんだから
そんな、あなたが思っているようなことは
中岡さんはしないわ、ね、中岡さん?

「え?は、はい!」

いきなり姉さんから話が振られて
中岡さんがちょっと
びっくりした顔をしながらも
しっかりと頷いてくれた。


あたしはそれを聞いて。

嬉しいんだけど
ちょっとだけ心に
チクっとなにかが刺さる。


気づかないフリをした。


「そうはいっても、夏実」

義兄さんが姉さんにそれでも
だめだといいそうな雰囲気だったけれども
姉さんが中岡さんは信頼が置けるから
妹と一緒に行かせても大丈夫よ、と
説得してくれる。

あたしは話の展開を見守ることにした。

「侑人はどう思う?」

姉さんがあたしと中岡さんを
応援してくれてるのをみて
義兄さんが困り果てて
樫原さんに話を振った。


「そうですね。中岡なら、大丈夫でしょう」

樫原さんの答えは即答だった。

「え・・・?!」

思わずその答えの速さに
あたしも義兄さんもびっくりして
樫原さんを見ると、
樫原さんはちょっと苦笑しながら
あたしを見つめた。

「いくらお嬢様と中岡が執事と令嬢の関係以上の関係だとはいいましても、中岡はお嬢様より年上の大人です」

分別がある付き合いをしていると
私は思っておりますので
問題はないでしょう。
中岡のことは保証いたします。

そうにっこり笑いながら
樫原さんが義兄さんに請け負う。

あたしは思わぬ力強い応援に
とても嬉しくなったけど
でも少しだけ樫原さんの言葉が
気になってしまった。



(8歳年上の大人・・・・)



うん・・・・・
あたしと中岡さんの間には
8年の日々が、年の差がある。

それはわかっていたけど・・・・
こういうところで、保証されるときに
このことが使われるなんて。

少し胸がちくりと痛む。
でも、今はそれを
気にしている場合じゃなくて。

気づかないフリをした。
ちょっとだけ痛んだ胸を。



・・・・樫原さんの言葉に
義兄さんは渋々ながら折れてくれた。



でも。

義兄さんから出された条件は2つ。

九条院家の別荘を使うこと。


知らない土地に2人だけで
行かせるなんてダメだ、と
義兄さんが樫原さんに
あちらこちらにある別荘を
リストアップして
あたしと中岡さんに
渡すことを言いつけていた。


そして、もう1つの条件は。

「****ちゃん」

「なあに、義兄さん?」

「・・・・何かあったらすぐに帰って来るんだよ?」

「え?」

帰ってきたいと思ったら
すぐさま連絡して。
すぐ迎えに行くから。

「何かあったらすぐ僕の携帯か侑人の携帯に連絡するように」

「え・・・・、あ、うん、わかった」

・・・いつでも帰って来たい時は
すぐに帰れるようにしておくという
義兄さんの優しさと気遣いだった。

(中岡さんと2人きりでいて、何かあって帰りたくなることって早々ないと思うよ?)

そう思いながらも
義兄さんがすごく心配そうな顔で
約束させるものだから、
あたしはにっこり笑って
義兄さんに大丈夫だよ、
ってサインを送った。


義兄さんは少し目が潤んでいる。


渋々ながら許したけど・・・
きっと心の中では
あたしが中岡さんと2人で
泊りがけに遊びに行くことを
嫌がっていたり
寂しがってるんだろうな。


本当に義兄さんったら・・・・。
思わず苦笑してしまう。

目に入れても痛くないほど
可愛がってるって
このことかしら。


どうにか了解が取れて
ほっとしたあたしは
すぐ傍に付き従っている
中岡さんをちらりとみた。

(あれ・・・・?)

なんだか中岡さんは
目を伏せて横向いちゃって
何か考え事してる。

どうしたのかな?
嬉しい・・・はずだよね?

「中岡さん・・・・?」

小声で呼んだら
すぐに気がついてくれて
いつもの笑顔に戻ってくれた。














中岡さんと2人で
樫原さんから渡された
別荘のリストを見ながら
どこへ行こうかと相談した。



この間は海へ行ったから
今度は山に行ってみようか。


意外とアウトドア派は中岡さんが
山の中にあるコテージを
選んでくれた。









********* その1おわり*******

その2はこちらから。

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