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2009年7月22日。
皆既日食の想い出を
残したくて書きました。

真壁のお話です。

長いので分割しています。
この記事はその3になります。
その1その2

全文を1つの記事で
読まれたい方はこちらからどうぞ。


以下、創作になります。
ご了承の上、
お読みください。




******* eclipse of the love その3 *********




「と、とりあえず、言い訳させて!!」

慌てふためくあたしの言葉を
真壁さんがさえぎるように言う。


「言い訳なら今から聞くだけ聞いてやるよ」


・・・ああ、本気で怒ってるかも。

ああ、やっちゃった・・・。
真壁さんを怒らせちゃった。

あたしは黒眼鏡で
よく見えない中、
手探りで近くにいる
真壁さんの腕にすがりついた。


「・・・・怒らないで、真壁さん」


ちょっと泣きそうになった
あたしの様子を見たのか、
真壁さんが眼鏡を
はずさせまいと
両手で遮っていた
力を緩めてくれた。




そっと黒フィルムの眼鏡を外す。



辺りはさっきよりも明るさが
落ちてきてる。


月光が明るい夜のような
青がかった灰色の空の下、
あたしは真壁さんをじっと見つめた。

(ああ、やっぱり怒らせてしまってたんだ・・・・)


真壁さんは、いつものように
眉間に皺をよせてむっつりして
下をむいちゃってる。

機嫌が悪かったり
何か考えているときの
執事モードの時のフェイス。



さっきあんなに・・・・
甘くキスしてくれた人だとは思えないぐらい。





「・・・・真壁さん、来て」



あたしはそっと真壁さんの
腕をひっぱって、
木陰に行った。


そして屋敷に背を向けるように
木の幹に隠れて真壁さんの首に
腕を伸ばして絡みつくように抱きついた。


「機嫌直して、真壁さん?」

相変わらず、黙り込んで
眉間に皺を寄せている
真壁さんの唇に
あたしは軽くキスをする。


ちゅっと軽くキスをしながら、
真壁さんの名前を呼ぶ。


「ね?機嫌直して」
「ねえ、真壁さん?」
「なんでもなかったんだから」
「ごめんね」
「機嫌直して」



ご機嫌とるように
何度もキスをしていたら、
不意に背中に回された
真壁さんの腕が
あたしをぎゅっと抱きしめた。



あ・・・・・。



そうおもった瞬間、
真壁さんの胸の中に包まれる。
あたしの全てを包むように。


ぎゅっと強く抱きしめられる。


その強さが
真壁さんの気持ち、
そのものだと感じた。


耳元で真壁さんが囁く。
吐息混じりに。


言われる言葉は
わかってる。

もう怒ってない。
呆れているような・・・。

ううん、それよりも
少し苦しそうで
切なそう。






「・・・・・いくら俺と皆既日食が見たいからといって、あんな風にしてはダメだ」


「他の男になんかに抱きつくなんて、許せないだろ?」



(・・・・ばれてたんだ・・・・)

どうしても、今日みたいな日は
一緒に過ごしたかったんだ。



「・・・・だって何十年かに1度の皆既日食だから」


「きっと今日のものが見れたら、その次の皆既日食も、真壁さんと一緒に見れる気がしたの」



ううん。
その次も一緒に観たいと想ってるから。



その次に見るときに
「前に見たときは~」って
想い出話を真壁さんとしたいの。


だから、絶対に今日は
次のためにも一緒に観たかった。



大好きだから。
1つ1つの想い出を
沢山作っていきたいの。

だから今日みたいな
貴重な日は絶対に一緒にいたかった。


一緒の空を眺めたかった。
何十年かに一度ぐらいの
割合でしか観れないという
珍しい皆既日食。

いつもあたしたちがいる
この庭、ここで観ることが出来るのが
すごく素敵な想い出になると想ったから。




(ちょっと切ないけど、でもこれがあたしの本当の気持ち)



大好きな人と、
貴重な一日を過ごしたい。

ううん。
真壁さんと過ごすなら
どんな一日だって
大切な一日だってわかってる。

わかってるけど・・・
今日はもっともっと
特別な日になると想ったの。



「・・・・その気持ちは俺も同じだよ、***」


お前と一緒に皆既日食見れて嬉しい。

でもそのためにお前が俺以外の男に抱きついたのは許せない。

わかるだろう、
この複雑な気持ちが?




そう呟かれて
あたしの胸は少しづつ
温かくなっていった。


ごめんね、真壁さん。

でも、真壁さんも
あたしと一緒に
過ごすことを望んでくれてたんだね。


真壁さんの複雑な様子より
あたしはその気持ちが嬉しくて。

真壁さん、大好きだよ。
そんな気持ちを込めて
ぎゅっと抱き返した。

それに真壁さんが
少し雰囲気を緩める。

きっと・・・・

あたしが嬉しがってるのが伝わったから。


気持ちが一緒だったんだと伝わったから。




「・・・お前が旦那様に断りに行く前に、俺が何を考えていたかわかるか?」



「え・・・・?」


「違うよ。どうやってお前を休ませようか考えていたんだ」

「えええっ・・・・!!??」


あの時の沈黙は
真壁さんが真壁さんなりに
あたしの”ズル休み“の
理由を考えててくれたから?

想わぬ事実で
びっくりして目を見開いた。


「あたし・・・てっきり、ズル休みするなんて、お嬢様として言語道断な!と怒ってると想ったの」


その言葉に真壁さんが
ふっと笑った。

あ・・・苦笑してる。


「お前・・・・言語道断って・・・」

真壁さんがおかしそうに
笑うのをみて、あたしも笑ってしまった。

「・・・・だって真壁さん、難しい四字熟語得意だから」


恐悦至極とか。
滅私奉公とか。

きっと真壁さんの心の中では
こういう単語がよく
流れてるはずって
思っているのは
あたしだけの秘密。


真壁さんはあたしが
あんまりわからない
漢字熟語をよく使う。


キョウヨウ、っていうんだっけ?



「お嬢様。今度またお時間を作って、慣用句や熟語の使い方をお勉強いたしましょうね?」


ちょっと難しい顔で
学校の先生みたいに
真壁さんが言い放つ。


・・・・もう、執事の顔をして
こうやってからかうなんて
意地悪なんだから!


あたしが、こういう漢字とか
苦手なことをわかってて、もう!


思わず、真壁さんのからかいに
あたしはわざとふて腐れた
顔をした。


そしたら、真壁さんが
その膨れた頬にキスしてくれる。


「ほら。俺が教えてやるんだ」

楽しみにしておくんだな。



そういってまたくすくす笑う。

もう、俺様真壁様モードが
全開過ぎて、あたしは
それに、いちいちドキドキしちゃう。



「真壁さんの意地悪」


そうやって楽しそうにからかう
真壁さんがカッコよすぎて。


どうして、こうも意地悪なのに
キスは上手だし、
あたしを抱きしめてくれる腕も
見つめている瞳も
こんなに甘いんだろう?

いつも意地悪っていうか・・・
ホンロウされちゃうのよね。


真壁さんの1つ1つに。

振り回されてドキドキしちゃうの。

真壁さんもそういうあたしを
わかっているから、
こうやってからかったり
意地悪したりする。


手の平で転がされてるみたい。


真壁さんの腕の中で
いじけたり、ふて腐れても
すぐさま、甘いキスを落とされて
あたしはメロメロになってしまう。


ちょっと悔しい。



でも。


真壁さんはいつも
あたしのことを見つめててくれる。

あたしのことを好きでいてくれる。


きっとあたしが
真壁さんにメロメロなように。


真壁さんも内心、
あたしにはメロメロなんだって
想ってるから。



幸せだと想う。



そんなことを考えたら
少し胸が切なくなった。


その切なさを隠すように
あたしは思いっきり背伸びをして
真壁さんの首に絡み付いて
目と目の高さを一緒にする。



驚いた真壁さんに
あたしはつかさず言う。


想いっきり高飛車に。


「真壁さん」


「ん?なんだ?」


「この次の皆既日食も、あたしと一緒に観て」


ずーっとずーっと何十年後のことでも。


約束して。


真壁さんはあたしの傍で
皆既日食みるんだから。


これは命令だよ?


ぎゅっと目に力を込めて
「命令」した後、真壁さんに
にっこりと微笑んだ。


お嬢様な立場で
たまには真壁さんを
からかいたいもん。


いつも、あたしばかり
からかわれて
先手をとられてばかりだから。



真壁さんがちょっと
驚いた顔をした後で
すぐさま表情を整えて
執事の微笑で応えてくれる。


「この真壁直樹、一生お嬢様の傍にお仕えすることを誓っております」


そしてゆっくりと
顔が近付いてきて・・・・。


唇すれすれのところで
はっきりと言われた。


「お嬢様こそ、お覚悟ください」

その響きは
からかいもなく
真剣そのもの。

言葉と共に
激しく深く・・・
口づけされる。

「っ・・・!!」


執事の言葉なのに
恋人そのもので。


ぎゅっとされた腕に
もっと力が入る。


抱きしめられている腕のきつさも。

キスで攻められる熱さも。



全て全てあたしを満たしてくれる。


思わず息が漏れてしまう。
夢中でキスをした。




「お前が嫌がろうと、俺は一生お前の傍を離れないからな」


キスの合間に囁かれる言葉。
吐息と共に
頷いた。


「この次の日食の時も俺はお前の隣にいる。約束だ」


その独占欲と
その強い気持ちに
心が縛られるほど
切なくなって。


「うん・・・・ずっと傍にいてね」



そう呟くのが精一杯だった。

崩れ落ちそうなあたしを
真壁さんがしっかりと
抱きしめる。

離してくれない。
どこにも行かせてくれない。


むさぼるように
真壁さんのキスを味わった。



「****」


あたしの名前を呼ぶ声が聴こえる。



「真壁さん・・・」




「好きだ」



「・・・あたしも真壁さんのことが好きだよ」


何度も繰り返される言葉で
胸が締め付けられる。


好きだと囁く声が
熱を帯びて
耳元で聴こえる。


その声がもっと聴きたくて
頭を傾けた。





あたし達の頭上には
もう消えようとしている太陽の光。


この九条院家の庭も
青白い光で包まれて
いつもとは違う場所みたい。


青白くなってきた世界に
ぽっかりと浮かぶ空。


太陽の周りに虹のリングが見える。


太陽を見るフィルムがないから
きちんと太陽のリングは見えないけど。


でも、あたしたちを祝福するかのように
頭上に丸く・・・・太陽を囲むように
丸くキラキラしている虹が見える。



そんな不思議な空間の中。


太陽のリングよりも。


真壁さんのキスのほうが
すごく大切。



目を瞑ると
真壁さんの心の中で
燃えているだろう光が見える。

目を瞑ってキスをすると
その炎の熱さや強さを感じるの。

燃えさかる炎は
さっき見た太陽の光のようだ。






こうやって抱きしめあっているのを
屋敷から見えないように。


木の幹にもたれかかって。
そっと隠れたまま。

青白い光が広がる庭は
昼間なのに夜のよう。


花壇の花たちでさえ
ひっそりと息を潜めて
あたし達を見守っている気がする。


夜でもなく
昼でもなくて。

あたしと真壁さんしか
いないような世界。


いつもとは違う光に
包まれながら。




そっと愛を交わす。



真壁さんに抱きしめられ
キスをされる。
もちろん、それだけじゃない。



愛の言葉を
もっと囁いて欲しい。
あたしのことを
もっと好きだといって欲しい。

ずっと傍にいるって
今日この世界で
ここで何度も誓って欲しい。



そんな想いで
胸が一杯になりながら。




あたしと真壁さんは
太陽がまた姿を現すまで
しばらく・・・・・・
そこから出てこれなかった。







********** Fin ********












☆ あとがき☆


・・・思わず書いてしまいました。

今日は皆既日食の日。
その皆既日食を
騒ぎながら観て、
写真を写してみたりして。


あたしを包む世界の光が
変わるのを実感し、
太陽の周りに出来た
円になった虹を見て。


すごく神秘的で
ドキドキしました。


こんな素敵な体験をした後。

どうしてもこの気持ちを
形に残したくて。
(書いてみようかな?)
そう想って書き出したら
すいすいと書けました。

いつものヒロインよりも
少し明るい感じかもしれません。

確信犯的に慎一郎の抱きついたり
樫原さんと通じ合っていたり。
拗ねた真壁に自分からキスをしたり。


だいぶこのヒロインは
あたし自身に似てます(笑)
最初に書いたときに
あまりにも自分らしい口調だったので
少々修正しました。


前から執事モードの真壁を
書きたかった!
少しだけこのお話で
執事モードの真壁をかけて
その想いがちょっと収まりました。

今日の皆既日食、
どういう想い出になりましたか?
数十年後、また皆既日食があった時、
あたしは今日のことを
鮮明に思い出すだろうな。

空に広がった虹の円を見るために
地面に寝転がったこと。
欠けていく太陽の形に
歓声を上げて、じっと見つめたこと。

沢山の写真を撮って
この気持ちを大事な人に
伝えたいと想ったこと。

今日1日という
たった1日の小さな、
短い時間の思い出が
きっと将来・・・・

あの時、ああだったね。

そう言って幸せな想い出として
あたしの中に残っていますように。

そして、今日その幸せを
分かち合った人達と
次の皆既日食のときも
また笑いあえる仲でありますように。
祈りを込めて。


最後まで読んでくださって
ありがとうございました。
皆さんにとっても
皆既日食が素敵な想い出に
なっているといいな。


22.July.2009 つぐみ


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