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青い鳥  10/14/2007  
青い鳥青い鳥
(2007/07)
重松 清

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『青い鳥』 重松清

先日の『きみの友だち』が良かったので、
すぐさま、重松作品の学校ものを借りてきた。
『青い鳥』は装丁がステキ。
黒に青い鳥かごが描かれてて、
そこに住んでいる鳥は入り口が開けられてて
籠にはいない。
副題のように、青い鳥かごの下に英字がある。

My teacher cannot speak well.
So when he speaks,
he says something important.

私の先生は上手く喋れない。
だから、彼が話す時は、なにか大事なことを言う。

この作品は、国語の非常勤講師、村内先生にまつわる、
子供たちの物語だ。主人公の子供たちは何かしら
学校生活や生き辛さを抱えてて、苦しんでいる。
村内先生は、そんな子供の傍にいるのが仕事、という。
苦しんでいる子供のところへ行き、
その子の傍にいる。出会えたことを「間に合った」という。

先生は吃音で上手く喋ることが出来ない。
「カ」行、「タ」行が特にダメで、国語の先生だけど、
授業もつっかえながらで頑張っている。
そんな先生だけど、ある学校では、
「村内先生は特別な先生なんだよ」といわれてる。

連作短編を通して、村内先生はいろんな学校で
いろんな生徒に出会う。
場面寡黙症で学校では上手く喋れなくハンカチを手放せない子。
前担任をナイフで刺し、そしてカエルを殺さずにはすまない子。
交通事故を起こした加害者の子供で、罪悪感に苦しんでいる子。
いじめで自殺した生徒のいた教室。
先生いじめをしなければ学校にいられない子。
父親が自殺したことを止められなかったと苦しんでいる子。
中高一貫教育の学校から外の世界へ出たがってる子。
そして、かつて虐待で非行に走った時に村内先生に出会った
かつての生徒。

この作品を読んで、子供が本当に誰かを必要にしている時に
いてくれる先生って、自分は出会ったことがなかったけど、
村内先生のように、存在しているって嬉しいことだと思った。
どの作品を読んでも、その主人公の子供の苦しさで
息苦しくなったし、村内先生に出会って、少しづつ
心が楽になっていって変わっていくのは感動した。

連作短編なんだけど、一番心に残ったのは、
一番最後の『カッコウの卵』である。
カッコウは卵を自分では育てない。
モズやホオジロの巣に産み、自分は知らん顔をして、
他の鳥に自分の子供を育てさせる。
この短編の主人公は、親から愛されず育った子だ。
最初は児童福祉施設で育ち、その後実父に引き取られたが、
再婚先で虐待や放任をうけ、中学生では非行に走っていた主人公。
そんな主人公の傍に村内先生はいて、不良少年だった主人公の
下の名前で呼んでくれた。
卒業後、傷害事件を起こしたり、色々あったが、
今はまっとうに働いている主人公が村内先生を
偶然に仕事帰り、みかけるところから話しが始まる。

この作品だけは、主人公が学生として村内先生に出会う話ではなく、
かつて先生と関ったことがある子供が大人になってからの話。
大人になってからだからこそわかる、先生が自分にしてくれたこと。
そして、先生に出会わなければ「間に合わなかった」自分のこと。
先生と出会って、そしてそれから何かを学び、
今現在生きていること。村内先生と出会った子供たちが、
その後大人になってから、の話だから、先生に対しての思いが違う。
この『カッコウの卵』を読み返すと、
なんだか、とても哀しくて泣くし、そして主人公が出会う、
あたらしい幸せの形にまた嬉しくなって、泣いてしまう。
先生と出会っている『今』の話じゃなく、かつて傍にいてくれて、
心の励ましになった先生に再会するからこそ、
しみじみと感じる思いがある。

あたしは、これまで職業として教師になりたい、と
思ったことは一度もない。憧れることもなく、
どちらかというと嫌悪している節がある。
でも、最近重松作品を読む縁があって、
こんな村内先生の本を読むと、教師って仕事は、
本当はとても教師自身にとっても、やりがいがある仕事で、
色んな人生を見て、そして、関っていくわけで、
大変な仕事だけど、とても大事な仕事だと思う。
色んな子どもがいて、そして、苦しんでいる子がいて、
その時に傍にいる、って、ただただ簡単に思えることではあるけど、
実はとても力になっていて。

この作品、読んでよかった。
泣けるから、じゃなくて、色んな子どもがいて、
それぞれ問題を抱えながらも、一生懸命生きていて。
そんな子供のサポートで、傍にいることの大事さを教えてくれる
村内先生や、吃音で上手く喋れないからこそ、大事なこと、
大切なことを一生懸命話す気持ち。
人間がもつ温かいものが沢山詰まっている。



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