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玻璃の天  10/11/2007  
玻璃の天玻璃の天
(2007/04)
北村 薫

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『玻璃の天』北村薫

直木賞候補になった作品。

久しぶりに北村先生(なぜか先生と呼びたくなる)の
作品を読んだ。『玻璃の天』、シリーズ作品の1つだった。
シリーズ名はわからないけど、時代は昭和初期、
戦争が本格的に始まる前。
主人公は(多分)学習院に通う花村商事のお嬢様。
そして、その傍に寄り添うのが女性運転手の別句、通称ベッキーさん。

収録されている作品は、『幻の橋』『想夫恋』『玻璃の天』。
『幻の橋』は現代版ロミオとジュリエットのお話。
『想夫恋』は箏の上手な同級生を平家物語の小督になぞらえた話。
『玻璃の天』が文字通り、綺麗な光りの天井を指したお話。

一番気に入ったのは、『想夫恋』だ。

≪峰の風か松風か、たづぬる人の琴の音か、おぼつかなくては思へども
駒をはやめてゆくほどに≫

平家物語の「小督」のくだりから。
秋の月夜に嵯峨野で松の並び立つ辺りに来ると、妙なる調べが聞こえてきた。
その部分を踏まえた一番最後のしめが気に入った。
国文らしいなぁ、北村先生。

その時代、昭和初期時代の男女のあり方、たるものや、
お嬢様の話し方指南などもステキだった。
『この方』が『貴方』って意味だなんて、最初わからなかった。
小督になぞらえた綾乃さんと、主人公の交流が乙女らしくて仕方ない。
お互いに名前を決め合って、風流な愛称で呼び合ったり、
「あしながおじさん」を書いたウェブスターの作品にでてくるように
主人公の寮生活を真似て、植樹祭を二人でしてみる行とか眩しすぎるー。
(福寿草を植えるところが可憐な少女を彷彿させる)

ウェブスターといえば、「あしながおじさん」の作者として有名だけど、
実は、其の他の作品も残している。短命な作家だったので作品数は少ないけど、
実は「続 あしながおじさん」たる作品もあり、それは「あしながおじさん」の
主人公であったジルーシャの同室の親友、サリーの奮闘記であり、
あたしは、なぜか「あしながおじさん」より続編の方が好みで
時々また読み返したりする。その話は別として。

『想夫恋』の綾乃さんの人物設定がとても印象深い。
箏の宮城道雄の『春の海』の演奏会の話や、川端康成の小説の話。
少女でありながら、理知的で情熱的で、ディートリッヒのスパイ映画に模して
ピアノを弾いてみせるところも好きだ。
音楽の才能に恵まれているというのも気に入る点ではあるけど、
秘密を抱え、恋心で燃えている一途さが心を打った。
最後の結末は、事件の結果、まではいかなかったけど、
綾乃さんが幸せになるといいな~。

あの時代の空気が伝わってくる静謐なる文章で、恐れ入った。
表題作『玻璃の天』ではベッキーさんの身の上話が出てくるのだけど、
目から鱗、というか、そんな設定の人物像だったとは。
昭和初期、日本が戦争に加担していき、戦争の色で真っ白になるまでの
あの時代の空気が流れてくる作品だった。

資生堂パーラー、あたし、まだ行ったことないんだよね~。
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