2017 08 / 07 last month≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09 next month
スポンサーサイト  --/--/--  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 | スポンサー広告  | Page Top↑
「執事たちの恋愛事情」の
2次創作になります。
連載している『ダンスのお相手は?』23話です。

長いので分割をつくっています。
その1その2

樫原さんと真壁がでてくるはずですが、
現在、樫原さんが独走中・・・(汗)

樫原さんのこと、
大事に書いてるんだけど、
なんというか、読み方によっては
非常にまずい感じに
なっていないだろうか、と
内心ひやひやしてます。

樫原さんは樫原さんのやり方で
ヒロインのことが好きだと想うから。
大事にしたい気持ちから
あれこれやってしまってるけど・・・。

樫原さんをカッコよく書きたい。
樫原さんのいいところを書きたい。
そう願いながら書いてるのだけど、
これが上手く伝わると良いな・・・・。

樫原さんごめん!!

(以上、樫原さんに捧げる懺悔でした・・・)


すぐにUPする予定が
間が空いてしまいました・・・。

長いです。
連載が始まってからも。
そして、この23話も(爆)

連載の続き、更新は週末頃。

(゜エ゜)といっても、最近連載は週末UPだしね(笑)

非常に読んでくださってる方が多くて
感想をいただけることが多くなり、
あたしとしては、すごく嬉しいです。
連載・・・・って長いから、
ショートのお話よりも、読むのも
意外と大変だろうな、と想いつつ。

好んでくれる方がいて、
本当に嬉しいです。
ありがとうございます♪





【前回までのリスト】

・ダンスのお相手は?1 幕開け
・ダンスのお相手は?2 レッスン開始
・ダンスのお相手は?3 甘やかしてくれる人
・ダンスのお相手は?4 誘惑
・ダンスのお相手は?5 揺れる心
・ダンスのお相手は?6 告白 
・ダンスのお相手は?7 情熱
・ダンスのお相手は?8 好きという気持ち
・ダンスのお相手は?9 イアリング
・ダンスのお相手は?10 嘘の数 
・ダンスのお相手は?11 涙色の空
・ダンスのお相手は?12 熱
・ダンスのお相手は?13 廃墟の中の2人
・ダンスのお相手は?14 2人だけの世界
・ダンスのお相手は?15 口紅
・ダンスのお相手は?16 夕暮れ
・ダンスのお相手は?17 どこまでも
・ダンスのお相手は?18 禁止の言葉
・ダンスのお相手は?19 ワルツ
・ダンスのお相手は?20 知らなかったこと
・ダンスのお相手は?21 執事と令嬢
・ダンスのお相手は?22

以下、創作になりますので、
ご了承の上、お読み下さい。


↓↓↓








******** ダンスのお相手は?23 *********:









「みんな、君を守ろうとしているんだ」




樫原さんの優しい言葉の
1つ1つがあたしの心をえぐる。


その優しさが、
あたしにとって、
矢のように刺さって痛い。



「こんな怖い顔をしないで」


あたしは、ぎゅっと目を瞑った。

樫原さんの話す、あたしがこれまで
知らなかった真実がとても怖くて。
それを受け入れがたいと
態度で示したくて。



でも、そんな
頑なな態度のあたしを
樫原さんは許してくれない。


そうっと髪の毛をすくいながら、
あたしの顔に触れる優しい指。

その指の感触は、先週・・・・
あたしの執事としてついていた頃、
世話をしてくれて、
お化粧をしてくれたときの
その親密さを思い出させた。


ぎゅっと瞑った瞼を
樫原さんの親指が優しく撫でる。
どきどきするよりも、
切なかった。


止めていた息を
ゆっくりと吐き出す。

目を開けた先には
あたしをじっと見つめる
樫原さんがいた。


「驚かないで聞いてくれ」


そんな言葉で断られても
あたしは、ただ首を振るだけ。

いやいや、と
耳を塞ごうとするあたしを
樫原さんが両手で捕まえる。


どうしても聞かせようと。
両手を掴まれて、
ぐっと引き寄せられた。
身をそらすこともできない。

その瞳はとても真剣だった。









旦那様は****が九条院家の
対外的な付き合いに巻き込まれて
政略結婚のように
意にそぐわない結婚をするのを
非常に杞憂していらっしゃる。


旦那様も、奥様と結婚するまで
何度もそのような縁談があって、
それを断り続けて、ようやく奥様と
恋愛結婚された方だから。


巻き込まれないうちに
旦那様は****が好意を持っている
人間と婚約でもさせようと
思っている。





「その候補に挙がっているのが、私だ」








言葉の最後で、
もう聞いていられなくて
ぎゅっと瞼を瞑った。
息を呑んだまま止めた呼吸。


あたしと樫原さんが
恋人になることを、
義兄さんが望んでいる・・・?


考えたこともなかった・・・。






「・・・・それは余計なお世話だわ」


きつい言葉しか出てこない。
義兄さんの好意も、
それに対しての樫原さんのことも。


「離して」


掴まれていた腕を
あたしは乱暴に振り払おうとした。

でも、樫原さんはそれを許してくれなかった。



「****」



ただ、あたしの名前を呼んで、
あたしを落ち着かせようとする。



「・・・・候補なんてわかんない。どうしてあたしの大事なことを、他の人が決めるの?」
おかしいよ。


そう呟きながらも、
頭の中では半分わかっていた。


緑川さんから言われた言葉。
家同士の縁談のこと。

執事と令嬢の恋。
それは、あたしが思っている以上に
困難が付きまとうということ。


あたしの身に
これから降りかかるかもしれない
危険性のあることだってこと。

現実味のある話だってこと。






どうしたらいい?


これからの不安、
真壁さんへの想い、
義兄さんが期待していること、
あたしが今いる世界、
樫原さんの誘惑、
未来に対する不安。



そんな強い想いで
あたしは倒れそうになるのを
必死で堪えた。

この衝撃の嵐が
過ぎてしまうのを
待つように、
じっと目を瞑って、
息をとめた。


今にも泣きそうな気持ちを
折れそうな気持ちを
あたしはぎゅっと抱きしめた。



「*****」





そんなあたしを、樫原さんが
そっと抱き寄せる。
大事に、大事に、
壊れ物を扱うかのように。




「驚かせてすまない」




呟くようにいわれ、
あたしは抵抗すらなく
彼に抱きしめられた。



「でも、わかって欲しい」

その声は少し掠れていた。




・・・・・わかるよ、樫原さん。
今、あなたが嘘を
ついていないことくらい。


抱きしめられてはじめて、
自分が震えていることに気がつく。
そっと息を吐き出す。
心臓が激しく動悸している。


本当は今すぐ、
あたしを抱きしめている
この腕を解いて、と言いたかった。




(誰がなんといおうと、あたしは真壁さんのことしか好きじゃないの)




でも、そんな言葉は、
口に出したとしても、
樫原さんには効かない。



だって、この人はわかってるから。



あたしが自分に
心を揺らしていることを。

あたしの言葉に
一理の嘘が
混じっていることを。


あたしの弱さを。




口をつぐんで、
ただ抱きしめられるまま
抱きしめられているあたしが、
少しづつ落ち着いてくるまで
樫原さんは、ずっと
抱きしめてくれていた。




その胸は思っている以上に
広くて温かい。


抱きしめる腕の強さ。
抱きしめられた感触。



いつもあたしを抱きしめてくれる
真壁さんのことを、手にした砂が
指の隙間からさらさらと
こぼれるように、忘れそうだった。





早く帰りたいと思っていた。



でも、もう、彼のもとには
帰れないんじゃないかと
思い始めている自分がいる。



あたしと真壁さんを取り巻く現実。




今は、温室のように
薄い膜で守られている。

それは、あたしが
まだ高校生だから。

庇護する対象だから。
義兄さんや九条院家が
守ってくれている。


でも、いつ、
それが変わるかわからない。


少なくても、
庇護してくれている義兄さんは
外界から、その温室が破られる前に、
温室の中で咲く、大事にしてきたお花、
あたしを、九条院家にある
別の温室に移そうと、
樫原さんを適任に選んだ。


そのことが恨めしかった。


義兄さんが、樫原さんのことを
とても信頼しているのは知っている。
でも、真壁さんだって・・・・。


ううん、わかってる。


義兄さんにとって、秤にかけて
大事にしている義妹をまかせるなら
専属執事の真壁さんよりも、
自分の片腕として、長らく傍にいて
有能すぎるほど有能な樫原さんを
遠慮することなく選ぶだろう。



あたしを大事に思っているなら。
余計に。

そんな秤を使うはずだ。





(あたしと真壁さんの仲を守ってくれる人は誰もいない・・・・)




その事実にとても傷ついていた。
そして、困惑していた。
急に心細くなった。



そんなあたしに、
なおも樫原さんは告げる。




「もし、君が私のもとへ来るならば、君を守ってあげられる」



今回の緑川家のように
無理やり縁談を
もちかけられることもなく。


君だって意にそぐわない
結婚など嫌だろう?



「で、でも・・・」

あたしは真壁さんが好きなの。


そう必死で続けたい言葉は、
樫原さんの言葉でかき消される。


抱きしめられている腕から
顔を上げると、
そこには確信を持った樫原さんが
じっとあたしを見つめていた。

余裕の微笑とともに。



「少なくても、私なら君もそこまで嫌いじゃないだろうし」
キスをするような仲なんて、すぐだ。


「っ・・・・・!!」


大胆不敵な発言。
冗談のように付け加えた言葉で
あたしは目を見開いた。



「か、樫原さん・・・・!!??」


驚きすぎたあたしに
樫原さんがくすっと笑う。


・・・・多分、今の雰囲気を
和らげるためのジョークのような
ものだったんだろうと思いながらも、
あたしは、激しく動揺していた。


いつも先手を打たれてしまう。

そして、言葉の1つ1つで
ぎりぎりまで攻め立てられる。


条件を出して、
あたしに、こっちに来いと誘惑する。


その誘惑に負けまいと
反論しようとしても
言葉が続けられない自分がいた。



嫌よ。
そう言いたいのに。





そんなあたしの百面相を見ながら
樫原さんが、くすくす笑いながら言う。



「君が真壁のこと以上に、私のことを、今は、好きじゃないことはわかっているけれども」


今は、という言葉の区切りが
ずしっとあたしの心に響く。



「けれども・・・・?」



思わず聞き返す。

すると、樫原さんが、
耳元から顔を上げて、
あたしに表情が見えるところで。

じっとあたしを見つめた。






「私を選ぶなら、君はいずれ、私のことを好きになる」




「っ・・・・」


その自信のある言葉にあたしは、
またドキッとする。



好きにさせる自信はあるよ。


「待ってみようじゃないか、それまで」



微笑むように、穏やかに言われる。


あたしは、その言葉を
さらりと言われたのが、
とても悔しかった。



「・・・、待つことありません。あたしが好きなのは真壁さんだけだし、それに」

悔し紛れに早口で
反論するあたしの唇を
いきなり、しーっとするように
樫原さんが自分の人差し指を当てて、
それから先の言葉をふさいだ。


「っ・・・!!」


「仮の話だけれども、最後まで聞いてくれ」


嫌よ。


そう反射的に言いたかった
あたしの唇は彼の指に
ふさがれたままだ。







「九条院家の御曹司の片腕と
その義理の妹が結婚するならば、
世間としても許してくれるだろう」



「っ・・・・・」



あたしが揺れている隙を
樫原さんが見逃さない。



「それに考えてごらん」

真壁は君の専属執事だが、
君が政略結婚の縁談に
巻き込まれるとしたら
どうやって止める?

どうやって九条院家の令嬢である
君を守ることができる?





抱きしめられている腕から
顔を出して、樫原さんを
見つめていたのが
もう、見つめられなくて。




代わりに涙がこぼれた。



その涙をすくうように
樫原さんが、
そっと唇を指先でなぞりながら
涙をふき取り、唇を開放してくれた。



こぼれる涙は、
真壁さんへの気持ちだ。


真壁さんに逢いたい。

今、こうやって、
2人の仲を揺さぶられて
苦しい想いをしているのを
助けて欲しかった。


あたしを助けられるのは
真壁さんだけだから。


守ってやるといって、
誘惑してくる相手に
どう言えばいい・・・?


(真壁さん・・・・)



思わず募る気持ちで
涙が一筋、流れるのを
そのたびに、
樫原さんがゆっくりと指でぬぐう。


そして、
(さあ、何か言ってごらん)
そう促されるように見つめられる。

その視線は限りなく優しい。



優しいから、あたしは何も言えなくなる。



「・・・・あたしは・・・・」


言葉に詰まってしまう。
そんなあたしに
冷静に樫原さんが言う。



「私にはできて、真壁にはできないことがあるんだよ」


その言葉から
樫原さんの自信が伝わった。

悔しいけれども、
それは否定できない。




でも。

樫原さんにできて、
真壁さんにできなかったとしても。



これだけは確実だ。
あたしの心を握っているのは
真壁さんだけ。

あたしが好きなのは、
いつも傍にいる専属執事で、
惜しみない愛を
あたしに注いでくれる
真壁さんだけ。







「あたしは、自分の好きな人以外とは結婚しません」

・・・もしそんなことになったら、
あたしは、九条院家を出てもいい。
真壁さんと一緒に出て行くわ。

きっと真壁さんだって、
そんな結婚をあたしには許さない。

だって、一生離れることを
許さないと誓ったんだもの。

だから、樫原さんに
守ってもらわなくてもいい。







ようやく、あたしは
樫原さんの言葉に反論できた。

抱きしめられていた腕を
解くように離れようとした。
でも、その腕はあたしを
放してくれなかった。



離して。



そう樫原さんを見ても、
樫原さんはその腕を解かなかった。

抵抗しながらも
じっと見つめあっていたら、
樫原さんがふと笑った。



え・・・・?



その微笑に
あたしの胸はざわついた。
あたしの反論さえ、
微笑んでしまう樫原さんに。





「****、じゃあそれは真壁にとって
本当に、幸せな決断だと思いますか?」


静かに優しい声だった。






ぎくりとする。




幸せな決断・・・・。




「それは・・・・・」


思わず言葉に詰まったあたしに
樫原さんが、優しく微笑みかける。


まるで、小さい子に諭すかのように。


「真壁は執事の職が天職で
その仕事に誇りを持っています。
その男に、貴女は自分のために
執事である自分を捨てろというのですか?」


「っ・・・・・・。」




貴女が、もし真壁のことを
本当に心から愛しているなら、
彼を執事の職を取り上げるなど、
出来ないはずだ。






あたしはそれ以上
聞いていられなかった。


樫原さんが言っている言葉は
いつもあたしが
思っていることだったから。


執事の仕事を真壁さんから
取り上げることは
絶対にしてはいけない。


だって、あの人は執事の仕事を
あんなにも愛しているんだもの。

そう、一緒にいたいのなら。


「執事」と「お嬢様」の関係が
あるからこそ、
側にいられている事実。



思わず、とても悲しくなって
あたしは涙がまた
頬を伝うのがわかる。



どうして?
どうして?



その言葉しか出てこない。


堪えられなくて、
両手で顔を覆うように
泣き出してしまった
そんなあたしを
樫原さんがまた
ゆっくりと抱きしめた。


「そんなに哀しそうに泣かないでくれ」


そう言われても
涙は止まらなかった。



反論しても反論しても、
あたしは樫原さんに
勝つことができない。



「どうして・・・・どうして樫原さんは、こんなにあたしのことをいじめるの?」



いじめてなんかいないことは
わかっている。

樫原さんが言っているのは、
多分・・・・事実なのだから。
いじめようとして
言ってるんじゃなくて
現実を言っているだけだ。



「君を守りたいだけなんだよ」



「・・・守らなくていい・・・守らなくていいよ」
もう放っておいて欲しいの。



あたしの言葉は
届かなかった。




仮の話でも、
それはありえること。
それはあたしだって、
頭の隅で・・・わかってる。
ありえないことではないってことが。


「君のことをとても大事に想っているからだ」
だから、君を放っておくことができない。
みすみす傷つく結果を迎えるような
そんな状況に君を置けるわけがない。



泣いて泣いて
肩を震わせるあたしを
樫原さんがぎゅっと抱きしめている。


そして、落ち着かせようと
背中を優しく撫でながら叩く。

その仕草でさえ、
あたしは悲しくてしょうがなかった。



「大事に想っているなら、あたしと真壁さんがずっと一緒にいられるようにしてくれたらいい」

それが、あたしの望みなのだから。



泣いているのをそのままに、
あたしは樫原さんに訴える。


そんなあたしに、
樫原さんがそっと微笑みかけた。


その微笑が、とても淋しそうで
あたしは泣きながらも
自分の今の胸の痛みを忘れて
樫原さんをじっと見つめてしまった。



「真壁が君をこんなにも泣かせたりしないのなら」

私がこうやって強引に
君を守ろうとすることはない。

「結果的に君を守ることが出来るのなら、私は悪役でもいいんだ」


君を守りたいんだ。
令嬢ということでまとわりつく策略からも。
君を「令嬢」に縛り付ける真壁からも。
真壁への愛で苦しむ君自身からも。



****にもう泣いて欲しくない。



だから、君がこうやって泣くのなら、
私は君を傷つける、その愛からも
君を遠ざけようと思う。

苦しむ恋をしている君を
その恋からも守りたい。
傷つく君をもう見たくないんだ。





「そんな・・・・守ってくれなくてもいい」



苦しく搾り出すような
小声で言った
胸がひりひりする。

樫原さんが
あたしを大事に想ってくれて
そういってくれるのはわかる。
でも、それを受け入れることはできない。



あたしの言葉を
樫原さんが聞きとめて
ひっそりと笑う。




「君が想うより、この世界は色々なことがある。」



「私は一生を君に捧げて、君を守って尽していくことを誓うよ」




「そう、君が私を選んでくれるのなら」



だからこっちへおいで





真剣な声で樫原さんが
あたしに語りかける。

涙でぼやけていた
樫原さんの姿が
急にはっきりと見え出す。

その瞳はあたしだけを
見つめていた。


気持ちが伝わってくる。



抱きしめられている腕からも。
身体越しに伝わる温かさからも。



きつい言葉であたしに
現実を突きつけて追い詰めるのは
樫原さんがあたしのことを
愛しているせい。



自分を選ばそうとしている。

君の幸せのためなんだ、と。





樫原さんが、あたしの心に
手を伸ばしてきているのを感じた。





こっちにおいで



そう、聞こえない声が
心の中で聴こえる。





あたしがどれだけ弱くて
脆くて、そして誘惑に弱いか
この人は知っているから。


その弱さゆえに、これから先
傷つくかもしれないのを
危惧して、樫原さんが
あたしを守ろうとしている。



それは樫原さんの、
あたしへの・・・・愛だと想う。



あたしを手に入れるために
樫原さんが容赦なく
迫ってきているのがわかる。


その強い気持ちに・・・・
押されそうな自分がいた。


守りたい。

そう言われて、
断れるほど、
あたしは強くない。


いつだって、何かから
誰かに守って欲しいと想っている。
できることならば、どんなことであれ
傷つきたくない。


















―――-今、樫原さんが
重大な決断をあたしに迫っている。




その答えは・・・・?









じっと見つめられていることに
苦しくなって、あたしは視線を外す。






横を向いたあたしの耳元で
真壁さんからもらった
ハートのピアスが、きらりと
揺れるのに、ふと気がついた。








ピアス・・・












真壁さん・・・・・。









ぎゅっと目を瞑った。









目を閉じた先に見える
誰かを見極めようとして。













今、ここで誰が見えるか・・・・・

































ふっと、見えたのは。











あの雨の夜、
電気の消えたホールで
あたしを抱きしめていた
真壁さんだった。










息が止まるほどに
抱きしめられた
真壁さんの腕の力。


彼に抱きしめられて
雨の音を聴きながら。









ずっとずっと
雨が降り止まなければいい。
ずっとずっと
この夜が続けばいい。




2人しかいない世界で、
ずっと一緒にいたいと願ったこと。















あたしは急に走馬灯のように
思い出していた。








ぐっと、時間が
真壁さんの元へ戻る。







あの晩、熱に浮かされて見た夢。

そして、目が覚めたときに
傍にいてくれた真壁さんの
優しさや苦しみ。


あたしの決意。



誰を傷つけても。
自分が傷ついたとしても。
この恋を守ろうという決心。






樫原さんとだったら
幸せになれる。
それはわかっている。


彼はあたしのことを
守ってくれるだろうから。

外からも。
そして、あたし自身からも。
その愛で包んでくれるはず。


だから、真壁さんと
一緒にいるような
苦しさはないだろう。




でも、それが本当に
あたしの幸せだろうか?




あたしは・・・・
自分が幸せになる以上に
真壁さんに何かしてあげたい。


真壁さんと一緒に
幸せになりたい。



一緒にいることで
もし苦しんだとしても、
あたしは真壁さんの
傍を離れたくない。




(ずっと手を繋いでいれますように)


そう誓った時の気持ちは
今も・・・・変わらない。


その切実さは、
今も、あたしの心の中にある。



















(こっちにおいで)





その声も聴こえる。


心を決めて、今日、
ここに来たというのに。




すぐに、さらわれそうになる
自分の弱さを知った。









苦しいほどの悲しい。
悲しいほどに苦しい。



人を愛するという気持ちが
痛いほどわかる。




真壁さんのことを
とても好きだから。

樫原さんがあたしのことを
全てのものから守りたいと、
愛してくれる気持ちがわかる。








でも、その気持ちに応えることは
・・・・できない。


だって、あたしは
真壁さんのことが好きだから。



誰に何を言われても、
この気持ちは変えられないの。


今、ここで
樫原さんの手を取るのは
間違っている。
一番好きな人じゃない人の手を
取ることはできない。




そうすることは・・・・





樫原さんがいくら待ってくれて
他の人を好きなあたしを
許してくれても・・・。


樫原さんに悪い。


そんなことはできない。



自分のために樫原さんを
・・・・利用するなんて。
利用してもいい、といわれても、
それができるわけない。





でも・・・・。

樫原さんの気持ちを
踏みにじりたいとか
そんな気持ちはない。


好きじゃなくても
いつか好きになるまで待つという
譲歩をくれるほどの気持ちを
無下には扱えない。



人を好きになる気持ちが
わかっているから
好きになってくれた人の気持ちを
大事にしたい。























「・・・・・樫原さん、あたし・・・・」






あたしのことが
本当に好きならば、
あたしの気持ちを聞いてほしい。







あたしは、そう樫原さんに切り出した。










********* ダンスのお相手は?23 ********




 | GAME:【執/恋】創作  | Page Top↑

Blog状況

最近の記事

カテゴリー

訪問者数

メールフォーム