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すいません。
長いです。

切れちゃうかも。

ああ、でも、途中で切ると
全然1話分の内容がないのです。
だから、許してほしい・・・・(←まじで謝ってる)


ちょっと苦しい展開に。
ああ、ラブラブ度合いから
遠のいているのですが・・・。

真壁に逢いたいです。
パーティなんてそっちのけで
真壁とラブラブしたいと
本当に心から思うつぐみです。

なんかやけに20話は・・・。
ラブラブから遠いですね・・・。
ここまでラブラブ度合いが低いのは
初めてなんですけれども(T∀T;)アセアセ

続きは数日空けてUPします。







【前回までのリスト】

・ダンスのお相手は?1 幕開け
・ダンスのお相手は?2 レッスン開始
・ダンスのお相手は?3 甘やかしてくれる人
・ダンスのお相手は?4 誘惑
・ダンスのお相手は?5 揺れる心
・ダンスのお相手は?6 告白 
・ダンスのお相手は?7 情熱
・ダンスのお相手は?8 好きという気持ち
・ダンスのお相手は?9 イアリング
・ダンスのお相手は?10 嘘の数 
・ダンスのお相手は?11 涙色の空
・ダンスのお相手は?12 熱
・ダンスのお相手は?13 廃墟の中の2人
・ダンスのお相手は?14 2人だけの世界
・ダンスのお相手は?15 口紅
・ダンスのお相手は?16 夕暮れ
・ダンスのお相手は?17 どこまでも
・ダンスのお相手は?18 禁止の言葉
・ダンスのお相手は?19 ワルツ



以下、創作になりますので、
ご了承の上、お読み下さい。


↓↓↓



********* ダンスの相手は?20 *******









「*****さん!」





え?



呼ばれて振り返ると、そこには
今日の主役の緑川さんがいて、
あたしの方へ近付いてきた。


あれ?なんだろう?
さっき挨拶はしたんだけどな?


そう想いながらも、
いつも真壁さんに習っているように
令嬢らしい振る舞いで

「どうかされました、緑川さん?」



にっこり笑って訊いてみる。


あたしの背中にまわした
樫原さんの手が、
すっと降りた。




緑川さんは、今日は主役らしく
綺麗なオレンジ色のドレスを着ている。
いつもクラスで見ている制服姿よりも
こういうドレスの方が似合うな、って
思わず想ってしまった。



やっぱり、もとから
お嬢様な人には
それなりの雰囲気があるな。


(あたし、にわかお嬢様だもんね)


思わず自分に苦笑してしまう。
どうにか、真壁さんが執事で
傍についているから、
お嬢様ができてる自分を
また実感した。




「***さんに、実は紹介したい方がいまして」



「え?」


紹介したい・・・って?
思わずびっくりして訊いてしまった。
そしてすぐさま、隣にいる樫原さんに
ちらりと視線を送る。


紹介って、なんだろう?


樫原さんは、少しも表情を動かさずに
あたしのほうを見て、
微笑んで、少しだけ頷いた。


大丈夫って言ってるみたい。



視線を緑川さんに戻すと、
いつの間にか、緑川さんの隣には、
少しよく似た顔の男性が立っている。



「こちら、私の兄の緑川貴志です」

「こんばんは、初めまして、****さん」


促されるような緑川さんの紹介に、
隣にいた、緑川さんのお兄さん?が
あたしの方に微笑みながら会釈してきた。


「こんばんは。初めまして、****です」



戸惑いながら挨拶を仕返す。


隣に寄り添っている樫原さんが
軽く会釈をするのが横目で見えた。


「最近、アメリカから帰ってきたばかりですよ、兄は」


そう、緑川さんがにこにこしながら、
そのお兄さんの、貴志さん?の
ことを話してくれる。


なにやらアメリカの大学院で博士号を取り
そして、最近帰国して、緑川グループの
系列会社の役員などをしながら、
後継者として仕事を習っているとのこと。



(へえ、そうなんだ)



緑川さんにそっくりな・・・・。
少し茶髪でお坊ちゃまっていうよりも、
もっと、普通にいそうな感じ。
親しみやすそう、かな。


妹の緑川さんも、元気で
爽やかな感じの可愛い人だけど、
貴志さんの方はもっとエネルギッシュ。


すごく元気よさそうな、
スポーツしていそうな感じ。




・・・真壁さんより少し背は低いけど
中岡さんみたいな雰囲気の人だな。




いきなり唐突にはじまった家族紹介に
面食らいながらも、いちお外見では
にこにこしながら、
あたしも緑川さんの話を聞く。



そのお兄さんも、妹の緑川さんの喋る様を
聞きながら、相槌を打つように
二人揃って話しかけてくる。


あたしは、側にいる樫原さんを
そっと横目で盗み見る。


一歩下がっているかのように
樫原さんの気配が斜め後ろでした。





「それでね、****さん?」


「え、ええ」



「九条院家と緑川家では色々とお付き合いがありますから、今後兄がそちらの方へ出向くことがあると思いますの」



ああ、そうなんだ。


あたしは緑川さんとクラスメートだから、
こういう家同士の付き合いや、
会社同士の関係は知らないんだけど・・・。



少し戸惑いながら頷くあたしに
そっと樫原さんが耳打ちする。



(緑川家と九条院家は貿易関係の仕事にて関わりがありますので、お嬢様)





そうなんだ。


やっぱり上流階級の家とか、
財閥とか、~~グループとかの家柄になると、
こうやって何かしら
関わりがあるようになるのね。



そう感心していると、いきなり緑川さんが

「九条院家のご令嬢が白凛学園に転入されていらっしゃるとのことだったので、私もすごく楽しみにしておりましたの」



同じ年頃の方が九条院家の繋がりで
いらっしゃるなんて、
本当に私は幸運ですもの。
ぜひとも、兄とも仲良くしてください、****さん。




「僕も貴女のことは妹からお聞きしてまして、どんな方だろうと、今日のパーティで会うのを楽しみにしていたのですよ」



そのお兄さんの、貴志さんが、
あたしの方を見て優しく笑う。




その意外な言葉に、
あたしは、目をぱちぱちさせた。



あたしに会うのを楽しみに・・・?


だって、あたし、緑川さんの
ただのクラスメートなんだけど・・・。


緑川家の兄妹が
二人揃って、ふふふっと笑って
少し驚き気味なあたしを見ている。




・・・・あたしの反応って変かしら?



「あ・・・えっと・・・。お会いできて、私こそとても嬉しいです」


とりあえず、社交辞令を述べた。


こういうときって
こういう言葉を返すのが
礼儀だよね?


そう確認するつもりで
樫原さんの方をちらりと見たら、
樫原さんは・・・・
いつもの柔和な笑顔で
にっこりとしていたけど、
なんだか、その目はじっと貴志さんを
見つめていた。




(・・・・ん?)



あたしの社交辞令に緑川家の2人が
いえいえとんでもない、などと言ってる。


あたしは、少し様子がいつも違う
樫原さんが気になった。




「それで、こちらの方は・・・・?」


そう、貴志さんがあたしに尋ねる。
こちらの方、とは、樫原さんの方。



樫原さんの視線に気づいたのかしら。



あたしが紹介をする前に、
緑川さんが貴志さんに



「こちらは九条院家の執事長ですって」



そう紹介をする。


「ええ、樫原と申します」




にっこりと樫原さんが笑いながら
自己紹介をした。



その笑顔が・・・やっぱりなにか
1枚の布でなにかを
隠しているかのようで
あたしは少し不安になった。




今日はお招きありがとうございました。
お嬢様のエスコートとしてついてまいりました。



などなど。



樫原さんが緑川兄妹に挨拶をした。




緑川家と九条院家での
会社同士の付き合いがあるからか、
その挨拶などを貴志さんに
樫原さんがしている。



その横で、あたしと緑川さんは
話を聞いていた。






(それにしても・・・・)



なんか樫原さん、今、
少し態度が硬いよね。



いつもの笑顔だから
多分今日始めてあった(かもしれない)
緑川さんたちには
わからないかもしれないけど、
樫原さんが、すごく「外」向きの
顔をして、笑顔でいるのは、
「内面」の顔を知っている
あたしには、なんだかわかる。




(樫原さんのそういうところに気づくなんて・・・・)



やっぱり樫原さんのことを
どんどん知っている
自分自身に気がつく。



・・・それは、ダンスのレッスンをしながら
だんだんと樫原さんの人となりが
わかってきたから、かな。



社交的な会話が交わされている中、
そう思いながら樫原さんと
貴志さんの会話を聞いていると。




いきなり、また後ろから呼ぶ声が聞こえた。







「樫原!」





え?



樫原さん?


思わずびっくりして振り向く。



ここで樫原さんを呼び捨てにして
それも、すごく親しげに呼ぶ声が
したのがびっくりだった。




緑川さんと貴志さんと話をしていた
樫原さんも一瞬ふっと目線を動かした。




その声がした先には。




これまた見たことのない
男の人が立っていた。





その人は・・・・・。





前髪が目にかかりそうな
ゆるやかな肩までの長髪で
漆黒のような綺麗な黒髪だった。


薄い縁の眼鏡をかけているけど
その眼鏡の下から覗く瞳も
すごく綺麗な漆黒色だった。


端正な顔立ちで、
すっと通った目鼻立ち。
女性でいてもおかしくないくらい
すごく・・・美形だと思う。



それも、ぱっと見て
すぐ人目をひくほどの
オーラというのか、
雰囲気で
着ているスーツの着こなしは勿論
とてもお洒落な人って感じだ。



多分、一度みたら
忘れない。




なんだか
華やかというよりは、
落ち着いてて
知的でクールな印象。


不思議な感じ。


上流階級のこの場にいても
全然浮いていないけど、
周りの人が、この人をすっと横目で
注目しているのがわかる。




眼鏡をかけているところや
雰囲気が真壁さんに似ていて
あたしは思わずどきっとした。





その人はすっと近付いてきて、
樫原さんの方へ話しかけてきた。




「すまない。今、話中だったのかい?」


涼しげな眼が少し細められて
緑川さんの方をちらりと見る。



緑川さんも、貴志さんもびっくりしてる。



・・・多分、話をしている途中に
不意に会話が
中断させられたから、かな。



樫原さんも一瞬目を丸くしたけど、
次の瞬間、すっと表情が戻ってた。



「有栖川様、お久しぶりです」


後ろから声をかけてきた男の人に
樫原さんが丁寧に会釈をした。


緑川さんの2人も
この有栖川さん?は顔見知りらしく


「こんばんは。有栖川様、ようこそいらっしゃいました」


貴志さんのほうが挨拶をした。


「お話中に申し訳ありませんでした。つい、樫原を見かけて声をかけてしまいました」
お邪魔でしたか?



そうにっこり笑いながら、
この有栖川さんが話しに入ってきた。



すっと馴染むように入ってきたのに
びっくりした。


あたし・・・・自己紹介したほうがいいかな?


そう思いながら、もう1人黙っている
妹の緑川さんをみると、
彼女は、はっとした顔で
有栖川さんに見惚れていた。




(・・・・わかる気がする・・・・)




思わず、緑川さんの反応が面白くて
あたしは、少しだけ口元でにっこりした。


そしたら、その雰囲気に気がついたのか、
いきなり、その有栖川さんが
あたしの方をじっと見つめてきた。



「樫原、この子は・・・・もしかして?」



その言葉で、樫原さんが、
少しあたしの背中に手を添え
促した。


「こちらは、慎一郎様の奥様の実妹でいらっしゃる****様です」


じっと、有栖川さんが
あたしの顔をしげしげと見ている。



なんか・・・・とても綺麗な顔の人で
初めて会ったこともあって、
あたしは少し緊張した。



すると、その有栖川さんが
ふっと花が咲くように笑った。


(あ、笑った・・・・)




はっとするような気持ちで
あたしは、その微笑に見惚れた。


すごく男の人にしては、
綺麗な人。



そうやって笑うとは
思ってなかったので
思わず見入ってしまった。




「こんばんは。僕は九条院慎一郎の親戚筋の有栖川翠です」


君が夏実さんの妹さんなんだね。


そう添えられた言葉と共に
握手を求められた。


え?親戚筋?
披露宴で挨拶しなかった、
・・・と思うんだけど・・・。


あたしは、びっくりしながらも
おずおずと出された
有栖川さんの手を握った。


すると握った手を軽く握られて
軽く振られる。




頭の中で、数ヶ月前の
義兄さんと姉さんの披露宴で
挨拶した人たちの顔が
めまぐるしく記憶のなかで
ばらまかれる。




(こんな綺麗な人だったら、絶対覚えてるはずなのに)


そんなあたしの疑問を
軽く消すように有栖川さんが告げた。


「結婚式にいけなくて、まだ挨拶もしたことがなかったね」
どうぞ、よろしく。


にっこりと目を見つめながら
挨拶をする有栖川さんに
あたしは圧倒されつつも、
こちらこそどうぞよろしくお願いします、と
慌てるように言った。



そっか。披露宴に出席されてなかったら
確かにわからないよね。



自分が覚えてなかったんじゃないんだと
安心したあたしは少し息を吐いた。


そのあたしの慌て方が面白かったのか、
有栖川さんがくすっと笑う。



「それにしても、樫原、今日は彼女のエスコートかい?」


「ええ。エスコート役を仰せつかってきました」



有栖川さんと樫原さんが
なにやら話し始めた。
・・・親戚筋だったら、樫原さんが
顔見知りでも不思議じゃないわね。



「少し樫原に話があるんだが、今、大丈夫かい?」



そう切り出してきた有栖川さんに
樫原さんが少し目を丸くして、
すぐさまあたしのほうへ向いた。


「お嬢様」


「あ・・・・だ、大丈夫ですよ。」


今、取り立てて、
樫原さんがいないと
不味い場面ではないし。



そう思って、行って来てもいいよと
サインを出すと、樫原さんが
少し申し訳なさそうに会釈した。


「ごめんね、****ちゃん、樫原を横取りしてしまって」


思わず親しげに有栖川さんが
話しかけてくる。
その優しい口調にびっくりしつつ、
あたしも、にっこりと笑って答えた。



「いえいえ。あたし、しばらくここで緑川さんたちと一緒にいますので」



その返事に有栖川さんもにっこりと笑う。
笑顔がとても綺麗だなと感じた。


そして、やっぱり緑川さんが
有栖川さんに見惚れているのがわかる。



(お嬢様といっても、やっぱりかっこいい男の人には目が行くよね)



なんだか、上流階級のご令嬢って感じの
緑川さんに急に親近感がわいた。


「できるだけすぐに樫原を帰すから」
また会おうね、***ちゃん。



そう言いながら、
有栖川さんが樫原さんを促して
外のテラスの方へ足を向ける。




「できるだけすぐに戻りますので、お嬢様」

そういいつつ、申し訳なそうな顔をした
樫原さんが会釈をして、
有栖川さんと共にパーティ会場の
テラスの方向へ。
人ごみを掻き分けて消えていった。






(なんか、樫原さん、急な用事で呼び出されて行っちゃったね)



さて、どうしたらいいかな。



そう戸惑うあたしに、
傍で話を聞いていた
緑川さん兄妹が
目を向けた。



「有栖川様、久しぶりに見かけたわ」


ほうっと息をつくように
緑川さんが有栖川さんと樫原さんが
消えていった方向を見つめる。


「最近、仕事で帰国したと聞いて招待状を出したけれども、来てくれるとは」


貴志さんがそう言いながら
有栖川さんの消えた方向を
まだ見つめている妹の緑川さんに
微笑んだ。




「****さんは初めてお会いされたんですね」


「ええ」


すごく美形な方ですよね。

そう言って貴志さんが笑った。
その言葉に、あたしも思わず笑った。



「ええ、本当に人目を引くような、綺麗な人でしたね」



多分、一度逢ったら忘れられないと思う。
九条院家に滞在している
晶さんもすごく男にしているには
もったいないほどの綺麗な顔立ちなんだけど、
それとはまた違って、もっと男らしいというか、
クールな感じがする人だったな。



「****さんは、有栖川さんみたいな方がタイプですか?」


不意に貴志さんがそうあたしに訊く。


「え・・・・?い、いえ、違いますよ!」


思わずびっくりして、すぐに答えた。
その慌てぶりに貴志さんが
目を丸くした後、くすっと笑った。


「ならよかった」


「え・・・・?」


その少し安心したような口ぶりに
あたしの方が目を丸くした。



「いえ、なんでもありません」


ん?



「てっきり、うちの妹が有栖川様に夢中なように、****さんとか女性は皆さんそうかと思いまして」



そうにっこり笑いながら告げる。



・・・有栖川さんは確かに美形で
クールで素敵だなとは感じたけど、
でも、今、あたしの心の中で、
一番好きな人は・・・真壁さんだから、
そう心は簡単に動かされないよ?



なんてことは、ここでは言えない。
だから、曖昧に笑って濁した。


「だって、有栖川様、相変わらずとても素敵ですもの」



貴志さんの言葉に少しだけ
子どものような口ぶりで
緑川さんが反論する。



「あんなに素敵な方、本当にいらっしゃいませんものね」

うっとりするような口ぶり。



・・・・気持ちはわかるなぁ。
だって、あたしだって真壁さんのことが
こんなにすごく好きじゃなかったら、
あんなカッコいい人みたら
心動かされるに決まってる。



人の心を掴むような
そんな魅力の人だったから。



「確かに素敵な人でしたね」



そう緑川さんの言葉に相槌を打つ。
女の子2人が意見一致して、
あたしと緑川さんは
女の子にしかわからない
時めきで、思わず顔を見合わせて笑った。



その様子を見て、貴志さんが


「そんなに有栖川さんがカッコいいと連発されると、妬けるなあ」



なんて冗談を飛ばす。


その言葉であたしと緑川さんは
くすくす笑った。




そうやって話をしている間も、
樫原さんは戻ってこない。




(話、長く続くのかな・・・・?)



あたしは、樫原さんと有栖川さんが
消えた方向をじっと見つめてみた。


テラスの方はここから遠くて
人影も見えない。


さて。






樫原さんが帰ってくるまで
待たなくてはね。




どうしようかな。





なんて、少し考えていたら、
いきなり、緑川さんが笑いながら



「ねえ、****さん?」


「あ、はい?」


「先ほど、執事さんと踊っていらっしゃったでしょう?」


「ええ」


「とてもお上手でしたわ」



その言葉で思わず微笑んだ。
練習した成果があったな。



「いえいえ。まだ習い始めたばかりですの」



お嬢様言葉で返事を返す。


本当に最近始めたばかりだけど、
多分上手に見えたのは、
いつも練習を一緒にしていた
樫原さんのリードだったから、
という部分は内緒。



にっこり笑いながら緑川さんが
そう言いながら、
そのお兄さんの背中を
促すように言う。


「良かったら、この兄とも一緒に踊ってください」



「え?」


思わぬ申し出でびっくりした。
目をぱちぱちしながら、
貴志さんを見つめる。



貴志さんも
びっくりした顔をしていたけど、
すぐさまにっこり笑って、



「そうですね。一曲、お相手していただけますか?」



そう、手を出しながら、
あたしを誘ってきた。



緑川さんはその様子を
にこにこしながら見ている。



いきなり、さっき会ったばかりの人と
パーティ会場だとはいえ、
2人っきりで踊るなんて。
なんだか気が引けた。



でも、断るに断れない雰囲気だ。


樫原さんが来るまで、
ここで待つと約束したけど・・・
多分、踊っていたらすぐにわかるよね。


帰ってくるまで、まだかかりそうだし。
せっかく誘ってくれてるのを
むげに断るわけにはいかない。



そう思って、あたしは貴志さんの手を取った。





・・・・・・・・









ワルツの曲、
さっきとは違う曲。



聞いたことはあるから、
どうにかステップは踏めた。


いつも一緒に踊っている
樫原さんとは違うから、
戸惑いはしたけど、
でも、貴志さんのリードも優しくて
あたしは楽しく踊れた。



踊りながらも、貴志さんが
にこにこしながら、話をしてくる。



学校生活のこととか。
あたし自身のこととか。



あたし自身は白凛で
クラブ活動をしているわけでもないから
そんなに話題はないのだけど、
とりあえず、お嬢様らしく答えていった。


緑川家って、確か大きな企業グループで
色んな会社を持ってるんだな。



その跡継ぎなはずだけど、
あまり気取ったところが無くて
すごく親しみやすいな、って思った。



もっと上流階級らしく、
気取った感じかと思ったら、
そうじゃなかったから、安心した。



そうやって、1曲踊り終わった後、
ソファのところに戻る。
先ほどまで3人で立っていた場所だ。



(まだ樫原さん戻ってこないな)



ぐるりと見渡しても、
樫原さんの姿はない。




多分樫原さんのことだから、
有栖川さんの話が終わったら
あたしがすぐに見たりする場所で
分かるように立っているはずだ。


まだ話してるのかな?


そう考えて、きょろきょろしながら
樫原さんを探すあたしに
貴志さんが話しかけてきた。





「****さん?」



「あ、はい」



思わず樫原さんの姿を探してて、
貴志さんが傍にいることを忘れてた。



「エスコートの執事を探してる?」




「あ・・・・ええ」




「今日、君に会えてよかった」



「あ・・・・あたしもお会いできて嬉しかったです」


社交辞令ながらも
とりあえず、返しておいたら。


とんでもない言葉が
返ってきた。




「父が九条院家に正式にお見合いの話を持っていく前に、まず一度は逢ってみたかったんだ」





「え!!???」



思わぬ言葉であたしはびっくりした。



正式な?
お見合いの話?




あたしの驚いた声にびっくりもせず
貴志さんは意外な言葉を続ける。



「多分、1、2ヶ月中には緑川家から見合いの話が九条院家にいくと思う」



「そ、その見合いってっ・・・・・!!」



「僕と君のだよ」




「え!!??」



「・・・・君は何も聞いてないのかい?」




「・・・・何も聞いていません」



「それなら、驚くのは当然か」



「お見合いって・・・・・??!!」



「何度か緑川家から九条院家の方へ、そういう話を水面下で進めていたんだろうけど」


聞いていなかったとは
僕もびっくりしたよ。



「あ・・・・あたしは、お見合いしません」


誰とも。


あたしには好きな人がいるから。
それにまだ高校生だし。
お見合いなんて考えたことない。
一度たりとも。



すぐさま真壁さんの姿が
心に浮かぶ。



大好きな人がいて、
その人しか見えてないのに
誰かと結婚するとか、
お見合いするなんて話は




絶対に・・・・絶対に嫌だ。



「君はまだ高校生だから、卒業したら結婚で、この話がまとまったとしても、現時点では婚約ぐらいだよ」



あたしの沈黙を別な意味で
誤解したのか、
大丈夫だよ、みたいな笑顔で
貴志さんがこっちをみて微笑む。



でも、あたしは
こわばった顔でしか
彼の顔を見れない。




「あ・・・あたし、そんなお見合いなんて・・・・」



いきなりの衝撃で
動揺のあまり
言葉にならない。



「どうして?」
誰かほかのところとの話でもあるの?




すぐさま質問されて、
あたしはよけいに戸惑う。




「え・・・・だって・・・・」




あたしが答えられないのを見て
貴志さんが、すっと目を細めて言う。



「好きな人がいる、とでも?」


その言葉にあたしは、
はっとして顔を上げた。


貴志さんが、
こっちをじっと見つめている。



質問に答えさせるような
雰囲気に呑まれて、
あたしは、観念して
ゆっくりと頷いた。



頷くだけだったら、
誰が好きかだなんて、
ばれない、から。



そのあたしの反応を見て。
貴志さんがすっと身を引いた。
さっきまでの親しげな感じじゃなくて
なんていうか・・・。


距離がある。



「九条院家のご令嬢となれば当主の義理の妹でも、普通はお見合いなどで上流階級同士まとまるものだ」



見合いの話を始めて聞いたのなら
その驚き具合はわかるが。



九条院家の当主の義理の妹に
決まった相手がいるということは
妹からも、また家同士の付き合いでも
聞いたことはないけれど・・・。




そう前置きをした後で
少し声を潜めて
貴志さんが言う。



「まさかさっきの・・・・執事が恋人とでも?」



その言葉に、あたしははっとした。


そして、そのあたしの驚いた様子に
貴志さんが少し目を
見開いたのがわかった。



あたしの驚きを
肯定にとったのが感じられた。




「・・・・君はまだ九条院家の縁繋がりになって長くはないからわからないだろうが」



言葉は遠慮がちだが、
しっかりとした口調で
貴志さんがあたしの目を見て言う。



「執事と恋だなんて、ただ一時のものだ」



「・・・・・・」



「九条院家の令嬢が執事と恋愛なんて、叶わないよ、そんな恋は」


使用人との恋愛だなんて、
ただの遊びで実るものじゃないよ。



その言葉がずしっと心にのしかかる。



でも、それと同時に、
どうしてこの人に
ここまで言われなくては
いけないのか。


返事をしないあたしに
重ねるように貴志さんが言う。



「九条院家のご令嬢なら、それなりの、相応しい家柄と結婚する方が、両家にとって利益があるし、先々のこともね」



まあ、九条院家との縁となれば、
この緑川家からだけじゃなくて、
色んなところから縁談は来るだろう。



良いところを選んで
結婚するのが、
やはり幸せじゃないのかな、君の。
執事との恋愛より、
そっちの方が賢いだろう。



「・・・・・・」



聞きたくない言葉ばかりだ。



あたしが沈黙なのをいいことに
貴志さんが、縁談の話を持ち出してくる。



さっき逢った時までは
すごく親しみやすい人だと思ってた。



でも、違う。

全然違う。

考え方が違う。
あたしには・・・・
この人はあわない。



さっきまでの親しかった態度が
突然手のひらを返したかのように
嫌に思えてくる。



あたしと縁談を、
ううん、九条院家と
縁談が結びたいからなんだ。



道理で合点がいく。



なんでさっき呼び止められてまで
緑川さんが紹介をしたのか。




降ってきたような
いきなりの見合いの話と
あたしが真壁さんに対して
抱いている気持ちを
汚されたかのようで、
思わず自分を抑えられず
言葉を荒げていってしまった。




「・・・・あたしが誰を好きでいようが、緑川さんには関係ありません」



きっぱりと言い切った。
言葉を出すたびに
身体が震えてきそうになる。



「お見合いもしません。そんな、あたしは何も了解していません」



あたしがいきなり
厳しく言ったせいか
貴志さんがひるむのがわかる。



「あたしが望まないことを義兄さんがするわけないわ」

思わず睨むようにして言う。




一気にまくし立てた後。


はっと気づくと、あたしの言葉に
少し怒ったかのような
困惑したかのような顔をした
貴志さんがいた。





・・・いくらなんでも、
感情にまかせて、
きつい言葉を言ってしまった。



それも、今日初めて逢った相手に。
今日はその人の妹が主役の
パーティだというのに。


あたしは、今ここで
大失態をしてしまったことに
気がついた。



「・・・・すいません・・・・」



とりあえず、場を収めるために
小声で謝りながらも。
・・・気持ちは治まらなくて。
あたしの心の中では
怒りが渦巻いていた。



この場にもう、
これ以上いたくない。


座っていたソファから
立ち上がり、
あたしは、少しだけ頭を下げた。


「・・・気分が悪いので、失礼します」


あまりのことで、
声が震えるのが押さえられない。


初めて逆上という気持ちに近いほどの
怒りや、動揺を感じた。



いくらクラスメートのお兄さんだとしても。



あんな風に言われるなんて
許せなかった。
それに・・・・お見合い、だなんて。
執事との恋愛は実らないなど・・・。



聞きたくない。



ちょっと待って。


立ち上がって去ろうとする時に
腕を軽く掴まれた。
それさえも、厭わしくて
あたしは、それを乱暴に振り払った。



引き止める声が聞こえる。






でも、その時、あたしは既に
貴志さんに背中を向けて
人ごみの中に紛れて
早足で立ち去っていた。




あたしは、会場の人ごみに紛れながら。



怒りで震えながらも、
心の中では不安と
そして、この今起こった出来事で
混乱しながらも、
必死で樫原さんを探した。




(どうして?どうして?どうしてこんなことに?)




ダンスの曲が流れているから、
踊っている人たちの流れが
会場を満たしていて、
壁近くで談笑する人たちの波に
当たらないように避けながら。




震えそうな足で
逃げるように会場の中を
ぐるりと回りながら。



ぱっとテラスの方に目をやると
樫原さんが立っていた。




(樫原さん・・・・っ!!)



そして、こっちを
ガラス越しに見つめている。




あたしは、動揺と怒りと
そして不安と、色んな気持ちが
ごっちゃ混ぜで、
苦しくてしょうがなかった。



苦しくて、泣きたいほど
混乱しててしょうがない。




行き場のない想いが
心の中で黒く渦巻いている。




そんなあたしをみて、
樫原さんがゆっくりと近付いてきて
テラスのドアを開けた。





「お嬢様・・・・」




樫原さんはそんなあたしを見て
にこりとも笑わなかった。




動揺して、表情を隠す余裕なんて
全然なくて。



今にも泣きそうな顔を
しているはずなのに。



ただ、それだけ言って、
樫原さんは・・・・
テラスの入り口に
立ち尽くしている
あたしを見つめていた。



(いつもの樫原さんと・・・やっぱり違う)



いつもだったら、
すぐ駆けつけてくれる
樫原さんなのに、
どうして、そこで・・・・。

あたしは
自分の中の渦巻く思いで
言葉が出ない。


その表情が
なんだか、とても苦しいような
切ないような顔をしている。



どうして?











目と目が合う。




次の瞬間、
すぐに心の中で理解した。




(樫原さんは緑川家からの縁談の話を知っていた)




その事実に、
あたしは愕然とする。



「どうして・・・・?」


この言葉しか出てこなかった。




ワケがわからない。



さっきのお見合いのことや
そして、今、樫原さんの前に来て
わかった事実。



この衝撃で立ち尽くすあたしを
すっと近付いてきた樫原さんが
背中に手を当てて、
テラスの奥に促した。





「・・・・奥で話をしましょう」











*********** ダンスのお相手は?20 ********


続きは数日後。




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