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大木隆也誕生日祝いの「夜の遊園地」の
アンサーストーリー。

「夜の遊園地 Side TAKAYA」を
お送りします。


(*´ェ`)、なにかやりたいな。

その言葉でお誘いして、
「Cream-Kei」のNaNaさまと、
「MADE IN LOVE」
ゆんさまにご協力いただきました。


まず、隆也のお誕生日のお話、
「夜の遊園地」をヒロイン視点から
あたし、つぐみが書かせていただきました。

その先行のお話に対して、
アンサーとして、隆也視点から
NaNaさまが書いてくださったのが
このお話になります。

「夜の遊園地」は、対の形で
この「4月の雨」ブログでもUP、
NaNaさんの「Cream-kei」でもUPされます。

NaNaさんところでのUPでは、
夢小説の名前変換もあるので、
そちらで、すごく楽しめると思います!
だって、大木が名前を
読んでくれるんですからね♪

NaNaさんが書かれたお話の後ろ
いつもだったら、あとがきを書くとこに、
あたしの感想、いや叫びがかかれてますww


あたしが書いたヒロイン視点の
「夜の遊園地」 前編 後編
こちらからどうぞ。

隆也視点からのお話も
分量あるので、分割を作っています。

その1その2その3



以下、創作になりますので、
ご興味のある方のみ、お読み下さい。








********  夜の遊園地  *********
******** SIDE TAKAYA  *********



5月12日、火曜日。
この日は、俺の誕生日。

お嬢さんと
付き合い始めてから
初めての誕生日。

今まで、
あんまり誕生日なんか
意識したことが
なかったけど。

今年は違う。

自分が生まれた日が
彼女にとって
とても特別なのだと
改めて思い知った。

こんなにも
愛されてる。
正直、疑った瞬間もあった。

でも今はそんなの
どうでもいい。

俺、やっぱ
****が好きだ。

生まれてきてよかった。

生まれてこなきゃ
会えなかっただろ?

****と出会えて
俺、サイコーに幸せだから。

二人きりの空間。
その中で****を
この腕の中にきつく
抱きしめながら
ここ最近の日々を
思い出していた。

・-・-・-・-・-・-・

いつもと何も変わらない1日。

朝は部屋に起こしに行って、
食事時間は配膳や待機、
学校の送り迎え、
帰宅後のティータイム。

そして、夕食後は
執事としての仕事を終えて
お嬢さんの部屋か
2人で散歩しながら
恋人の時間。

寝る前のキスでお別れしたら、
おはようのキスでまた会う。

普通の人からしたら
驚くぐらい俺たちは
いつだって一緒に居る。

離れてるのは
お嬢さんの学校の時間か
寝てるときくらいかもな。

今日も学校へ送っていって
自室で一息いれる。

今日の予定を確認するために
スケジュール帳を
開いて、ふと気づく。

(あ、もうすぐ俺
 誕生日じゃん。)

もうすぐ19歳。
今年はいろいろあったなぁ・・。
執事に昇格して
お嬢さんの専属になって。

はじめはいろいろ
失敗して、真壁さんや樫原さんに
迷惑かけたっけ。

「はは。」

今、思うと情けない失敗ばかりで
思わず苦笑してしまう。

まぁ、今でも
まだまだ新米執事だけど。

お嬢さんの初めてのお茶会のときも
失敗したよな・・。

でも、お嬢さんは
怒るわけでも、誰か他の奴に
変えるでもなく
俺を専属として
ずっとそばにいさせてくれた。

そして
いつからか・・・
どんどんお嬢さんが
俺ん中で大事な人になって。
執事としてじゃない、
男として
そばにいたいって思うようになった。

そばにいるために
執事をやめようとした夜。

その口から言われた言葉が
今も忘れられない。

抱き上げた体の軽さも、
伝わってくる
ちょっと高めの体温も。

きっとこの先
何十年たっても忘れねぇ。

『大事なお嬢さん』が
『大事な恋人』に
かわったあの瞬間を。


一人物思いにふけっていると
ドアがノックされる。

「ん?あ、やべ。」

一人物思いにふけっていると
次の仕事の予定時間を
軽くオーバーしていた。

急いでドアを開けると
誠吾が仏頂面で立っていた。

「・・・遅いっす。」
「わりぃ。今行くから。」

そういって慌てて手帳を
片付けて、
俺は誠吾と庭へ向った。

そしてすっかり
誕生日のことを忘れてしまっていた。



---------------------------------

お嬢さんのお茶を入れに
厨房へ向う。

今日は何にしようかな、
なんて
お嬢さんのために
お茶を選んでいる自分が
なんだかガラじゃない気がして
いまだにムズムズする。

でも・・
そんな俺も悪くねぇよな。

ここ最近、
お嬢さんのお気に入りの
チャイの準備をして、
台車を押していく。

すると部屋にいるはずの
お嬢さんが
玄関の階段下で
何か瞬と話をしていた。

「お嬢さん?」

上から声をかける。

すると何か慌てた様子で
瞬に話しかけて、
凄い勢いで
階段を駆け上がってきた。

「あ、隆也君、どうしたの?」

「いや、お嬢さんこそ。
 今、すごい勢いで
 階段昇ってきたっすけど?」

思ったままを言う。

「あ・・・ううん、
 なんでもないの」

「瞬となにかお話されてたんじゃ
 ないんですか?」

「う、うううん、
 なんでもないよ。」

・・なんかすげぇ
不自然な気がするけど・・

「え?瞬のヤツ、
 こっちを見てますけど?」

瞬が階段の下で
お嬢さんにぺこっとお辞儀を
している。

??
これでなんでもないの?

「だ、大丈夫だよ。早く行かないと
 お茶が冷めるから、部屋に行こ?」

うーん・・・
ま、お嬢さんが何でもないって
言うなら何でもないだろ。

そう思いながらぐいぐいと
背中を押してくるお嬢さんと一緒に
部屋まで歩いた。

------------------------

部屋について、
チャイの用意をする。

お嬢さんは窓際で
庭のほうを眺めている。

いつもだったら
俺といるときは
ずっと喋ってるのに。

少し不思議に思っていると

「隆也君。今日のアフターヌーンティーは
 あずまやでやりましょう」

そういわれた。

あぁ、あずまやで
お茶がしたかったのか。
はやく言ってくれればいいのに。

そう思いながら、
ティーセットを抱えて
あずまやへ向かった。

あー、冷えちまったな。

俺はもう1度、
温かいチャイを淹れなおすために
厨房へ向かう。

・・・・なんか
変な気がすんだよなぁ。

今日のお嬢さん。


厨房に戻って、
少し急いでチャイの準備を
やり直す。

野生のカンっつーのか
今ははやく戻りたかった。


準備を終えて
あずまやまで戻ると

いつもは座って
待っているはずのお嬢さんが

なんかウロウロと
あたりを見ながら歩いている。

「何してるんすか?」

そう問いかけると

「ううん、ちょっと綺麗な花壇が
 出来てたから、見てたの。」

明らかに笑顔が不自然だ。

あずまやに座ったお嬢さんに
チャイを手渡しながら
訝しがるように見つめると
チャイおいしいね、って
なんだかはぐらかされた。

やっぱり変だ。

静かにお茶を飲む
お嬢さんを見つめる。

いつもなら、楽しそうに
喋りかけてくる
お嬢さんが
まるで心ここにあらずといった
顔でどこか遠くを見ている。

なんだろう。
そんなお嬢さんを見てると
胸が痛い。

いつもみたいに
笑ってよ。

「お嬢さん、最近悩み事でもあるんですか?」

思い切って聞いてみる。

すると、この前のお花見や
新学期で疲れてるだけだって
少しだけ早口で
答えてくれる。

疲れてるなら、なおさら
もっと俺を頼って欲しい。
少しだけでも
お嬢さんが楽になればって

俺は覚えたばかりの
手のツボをぐっと押した。

小さな手。
いつも俺に触れてくれる手を
一生懸命マッサージする。

なぁ、これで元気になる?
またいつもみたいに
笑ってくれる?

そんな思いを込めながら。

------------------------

珍しくお嬢さんが
昼寝したいなんて
言い出して、
俺に休憩を言いつけた。

不思議に思いながらも
せっかくの休憩だし、
前に教わったダーツでも
やってみるかなぁ、と
遊戯室へと足を運んだ。


ガチャッ。

地下に降りて遊戯室のドアを
開けると、
ちょうど中岡さんが
ダーツをしていた。

「中岡さんも休憩っすか?」
「あぁ、お前もか?」

俺がことの経緯を
説明すると、中岡さんは
そうか、と笑って
俺にダーツの矢を手渡す。

「やるんだろ?」
「あ、はい!」

それからしばらく
中岡さんに教わりながら
ダーツを楽しんだ。

でも頭の片隅では
様子のおかしいお嬢さんが
気になって仕方なかった。

そのせいかダーツは
はずれまくり。
中岡さんに
苦笑されながら
大きく外れた矢を
抜いていると、

「最近、お嬢様とは
 どうだ?」
といきなり尋ねられた。

「へ?」

間抜けな声を返すと、
中岡さんはおかしそうに笑う。

「いや、前より
 集中してないみたいだし、
 何かあったかなと思ってさ。」

そういわれて、
俺は頭をポリポリとかく。

「やっぱわかります??」

そう聞くと、中岡さんはうなずく。

「お前とお嬢様は2人とも
 考えが顔に出やすいから。」

似たもの同士だな。
そういわれて少し照れる。
恋人同士はよく似るなんて
言うし。

照れながらも
俺は今日のお嬢さんの様子が
おかしいことを相談した。

「大木。執事というのは
 いかなるときも
 主人を疑ってはいけない。」

中岡さんの目が
少し真剣になる。
俺も表情を引き締めて聞く。

「必要なことがあれば
 おのずと教えてくれるだろうし。
 言ってくださらないことは
 今の時点で、我々執事が
 知る必要のない事だ。」

そういわれて、
少しだけ納得できた気がする。

うん。
俺はお嬢さんを信じてればいいんだ。
疑うなんてどうかしてるよな。

中岡さんに御礼を言って、
俺は遊戯室を後にした。

------------------------

「へ?」

いきなり樫原さんに
呼び出された俺は
目を丸くしていた。

「ん?わからないか?
 お嬢様のために
 はやく一流の執事になるには
 もう少し勉強が必要だと
 言ったんだ。」

樫原さんは、今日から
1日のうち、少しだけ
お嬢さんの専属を外れて
執事としての基礎を
徹底的に学ぶということだった。

お嬢さんのそばを離れるのは
ちょっと嫌だけど
いつも、もっと
お嬢さんのために
いい執事になりたいって
おもってたから、
俺は二つ返事で引き受けた。

・・・それからは
地獄の授業だった。

俺の教育係についたのは
真壁さん・・・。

完璧主義者。
執事オタク。
いろんな異名を持つ
真壁さんに
俺は毎日徹底的に
執事仕事を仕込まれた。

銀食器磨き。
「大木。まだここが
 汚れている。」
「は、はい!」

おいしい紅茶の淹れ方。

「違う。その茶葉は
 そんな淹れ方では
 風味が損なわれる。」
「は、はい!」

革製品の手入れ。

「・・そんな馬鹿力で
 磨いたら逆に傷がつく!」
「す、すいません・・。」


今日のお勉強を終えた
俺はふらふらとお嬢さんの
部屋へと戻る。

「お帰り、隆也君。」

その笑顔を見るだけで
気分が楽になる。
真壁さんのスパルタだって
お嬢さんのためと
思えば、頑張れんだよな。

「もう真壁さんったら、
 こんな顔でみるんですよ、俺のこと」

そういいながら
真壁さんのあの冷徹で
眉間に皺を寄せた顔真似をすると

お嬢さんは
可笑しそうに笑う。

その顔が見たいから
「頑張ります!」と言った。


------------------------

そうしてしばらく
真壁さんや樫原さんに
ついて執事業を学んで

気がついたら
5月にはいってだいぶ
経っていた。

もう日課のように
通い続けたお陰か
だいぶ真壁さんの
般若顔も減ってきた。

そうしてふと、カレンダーに
目をとめる。

あぁ、あと2日で
18歳も終わりか。

5月12日を
見つめて思う。

この日は、****と
一緒に過ごしたいな。
いや、いつも
一緒にはいるけど
なんつーか、
こう
特別な感じ?で
過ごせたらなーなんて
思ってるけど。

そういえばお嬢さん・・
俺の誕生日とか
知ってんのかな?

かといって自分から言うのも
なんだかなー。

そう思いながら
ディナーの後の
お茶の用意をして
****の部屋へ戻る。

部屋にはいると
なんだか
考え込んでるみたいだった。

いつものように
隣に座ると
そのちいさな頭を
俺の肩にのせて甘えてくる。

これもいつもどおり。

でも・・
今日の****はどこか上の空。

いつもはおしゃべりな
****がいつになく静かで
なんだかそれが
寂しくて
俺は自分からたくさん話しかけた。

でも誕生日の話はしなかった。

恋人だけど・・
やっぱり俺は執事でもあるから
自分からそういうこと
言うのもなんか違う気がしてて

わざと違う話ばっかりしてた。

でも****は聞いているようで
やっぱり何かを考えている。

俺はそっと手を伸ばして
****の頬をつまんだ。

「いたー」

「何考えてんだよ?」

「ん?あ、な、なんでもないよ?」

明らかに不自然に
笑ってごまかそうとしてる。

いつも見てるんだから
そんなごまかし笑いなんて
通用しない。

だからもう1度ひっぱる。

「い、いたいよ、隆也君」

「・・・・だって、なんか、その笑顔怪しい」

「え・・・・?」


「お嬢さん、なんかオレに・・・・」

「っ・・・・・!!」

言いかけたところで
****が大きく咳をした。


「ご、ごほごほごほっ!!!」

俺は慌てて背中を撫でる。
その目は涙目になって
少し苦しそうだった。

風邪?
お茶が不味かった?
気持ち悪い?

いろいろ聞いたけど

お茶でむせただけだって
言われて、一安心。

慌てん坊だなって
頭を撫でる。

でも、いつもなら
嬉しそうに笑うのに
今日はなんだか
凹んだ顔をしている。

なんだか切なくなって
ぎゅっと抱きしめた。

最近様子がおかしいけど、
どうかした?

そう尋ねても
曖昧に濁されるだけ。
思えば、ここ数日
ずっとおかしかった。

なんとかして
聞き出そうとするけど、
口をへの字にして
黙ってしまった。


思わずため息がでる。

最近、本当に様子がおかしいぜ?

そういっても
1人で百面相を続けるだけで
はっきりとは答えない。

俺の心の中で
不安が大きくなっていく。

疑いたくはない。

だけど、
不安は消えない。

俺が黙り込むと、
後ろからぎゅっと抱きついてきた。

「なんでもないよ」

そういわれて、
俺は笑顔を返すしかなかった。

------------------------

****におやすみの挨拶をして
部屋に戻る。

いつもはこの後すぐに
シャワーを
浴びて服を着替えるけど

今日はなんだか
そんな気分には
なれない。

頭に浮かぶのは****の
事ばかり。

ベッドに座り込んで
大きくため息をつく。

うじうじ悩むなんて
ガラじゃないのに。

一度ぱんっと
顔を叩いて
シャワーを浴びようと
立ち上がったとき。

カチャ。

隣の部屋から小さく
金属音が聞こえた。

****?

廊下で人が動く気配がする。
その気配が通り過ぎてから
ゆっくりとドアを
あけると、
予想通り****が廊下を
歩いていった。

こんな時間にどこへ?

いけないとおもいつつ、
後ろから尾行するように
隠れながら
着いていった。

****が向かったのは
執事室。

樫原さんが
いつもいる部屋だ。

なんで樫原さんの
とこになんか・・。

嫌な想像が
頭を巡る。

ブンブンと頭を振って
それを振り切ろうとする。

するとドアが開いて
中から誰かが出てきた。

あれは・・・
真壁さん?

****と真壁さんが
何か話している。

真壁さんは
例の無表情で****を見ている。

****は困ったような感じで
真壁さんを見つめ返している。
何かを言い合ってるようだけど
この距離では聞こえない。

すると
ドアが開いて
中から樫原さんが出てきた。

そして樫原さんが
手まねきをして
****を部屋へ招き入れた。

真壁さんは一礼して
こっちへ向かってくる。
やっべ。

俺は急ぎ足で
部屋まで戻った。

部屋に飛び込んで
ちょっと上がった
心拍数を抑えようと
深呼吸する。

でも何度深呼吸しても
胸の動悸はおさまらない。
それがこの動悸は
走ったせいだけじゃないって
教えてる気がした。

****・・。
なんで樫原さんのとこに
行ったんだ?
今すぐもう一度
執事室へ行って
聞いてしまいたい。

でも、それが出来ない
俺がいた。

それでもし・・

俺が想像した
事態が起こっていれば
冷静でいられる
自信がなかったから。

そして不安を
抱えたまま迎えた朝。
俺の不安は
ピークにまで達することになる。

------------------------

朝食の時間に
部屋に呼びに行って

いつもどおり
おはようのキスをする。

けど、それはいつもと
少しだけ違って
軽く簡単なキスだった。

いつもなら
首に腕をまわして
離れがたいというように
時間ぎりぎりまで
ずっと触れてるのに。


困惑して****を見ても
あまりこっちを見ない。

そんな感じで
朝食をおえて
学校まで送っていく道。

カバンをもって
いつもどおり
隣に並んで歩こうとするけど

****は1人で先に
歩いていってしまう。

また。
またいつもと違う。

いつもより早めに
教室に着くと、
そのまま少し乱暴に
俺の手から
カバンをとって

授業がはじまるからと
教室へ消えていった。

唖然としつつも、
いつまでも入り口に
立っているわけにもいかず、
俺は外へと歩き出した。

こんな様子じゃ
いつもの日課もないかな・・。

そう思いながらも
****の教室の窓を見上げる。

すると窓際に
いつものように立っている姿を
見つけてほっとする。

そして小さく
振られる手に少しだけ
安心して
笑顔で手を振り返す。

すべて不安が
拭われたわけじゃないけど
気持ちを切り替えて
俺は車まで歩いた。


------------------------

****の迎えの時間。

いつもどおり教室の前で
待って、鞄を受け取る。

あのおかしな態度が
直っていることを期待したけど

やっぱりそれは
放課後になっても
変わらなかった。

必死に話題を探して
話しかけるけど

冗談みたいにそっけない態度で
返される。

だんだんと話しかける
気力もうせて来て
最後には2人とも
黙ってしまった。

車に乗り込んでからも
沈黙は続く。
何か言おうと思うけど
何を言えばいいのか
わからない。


「お嬢さん」

たまりかねて
ストレートに
聞くことにした。


「え?なあに?」

「オレ、なんかお嬢さんの気の障ることでもしたっすか?」

「え・・・・」

「なんか変ですよ、今日」

「う、ううん。なんでもないよ」

「なんでもないって、態度じゃないって思うんですが」

****は明らかに動揺してる。

「・・・・ううん、本当になんでもないんだってば」

「・・・・それならいいんすが」

何をいっても無駄なのか。
もう、訳わかんねえ。

なんだってんだよ。

考え出すと一気に
気分が沈んでいく。

どうしたらいいのか
わからないまま
車は屋敷へと走り続けた。

------------------------

部屋に戻ってから

たまらず後ろから
抱きしめた。

オレ、本当になんかしたっすか?

苦しくて
声がすこしかすれる。

なにかオレに隠してることはある?

何度聞いても
****は答えない。

「ねえ、答えて」

「・・・・本当になんでもないよ」

そういう瞳は
明らかに動揺でゆれている。

「嘘。態度にすぐ出てるぜ」

「・・・・・」

それでもだんまりを
続ける****に
そのままキスをする。
何回も何回も。

それなのに・・・
何も言ってくれない。

出てきた言葉は
ただ、言えるときが来たら言うから。

それだけだった。

さすがにイラつく。
そして言いたくなかった言葉が
口から零れてしまった。

樫原さんの部屋に昨日の夜、何しにいったの?

そういった瞬間、
****の顔は凍りついた。
その顔を見て、
すっげー嫌な気分になって
その言葉を取り消した。

困ったように黙り込んだ
****をぎゅっと抱きしめる。

好きだ。

そんな顔をさせたい
訳じゃない・・・。
ただ話して欲しいだけなのに。

「あたしも隆也君のこと、大好きだよ」

じっと目を見つめられて
同じように見つめ返す。

きっと、この言葉は嘘じゃない。
それでも
心のもやもやは晴れないまま。

無理に笑った。

****も笑って俺に
抱きついてくる。
それをぎゅっと抱きしめ返す。

抱えあげて膝に座らせて
思い切り甘やかす。
胸から消えない
もやもやを
かき消すように。

それでも・・・
俺の心は沈んだまま
戻っては来なかった。


------------------------

ディナーが終わると
俺とお嬢さんは
出掛ける準備をする。

今日の夜は
樫原さんの提案で
藤の花の
ライトアップがあるからと
少し前から
出掛ける予定が
はいっていた。

俺の誕生日の前日。

平日の夜だから
あまり遅くならないようにと
樫原さんに言われた。

もし休日なら
そのまま
藤のライトアップで
****と誕生日を
迎えられたのにな。

少し残念な気持ちを
押し殺す。

樫原さんは
俺と****の関係を
知っている。

だからお願いしてみようかとも
思ったけど、
あくまで今日の夜は
執事として
お供するのだから
それはやっては
いけないことだと
自分に言い聞かせた。

それに今
樫原さんと****の話なんか
したら、俺は・・
何を言うかわからない。

感情を抑えるのは
苦手だけど
今日だけは
根性で押さえ込む。

それに****の口から
ついに今の今まで
俺の誕生日の話は
出てこなかった。

きっと忘れて
しまってるんだろう。

用意された車に
乗り込みながら
俺は延々と
鉛のような思いを
抱き続けていた。


目的地に到着すると
****は目を輝かせて
藤棚に見入っていた。

「ね、隆也君、いい匂いするね」

そういわれて
鼻をくんくん、と動かす。

ほのかに甘い
匂いが漂う。

今までいろんな花に
触れて、その匂いを
嗅いできたけど、
今夜の藤の
甘い香りは特別な気がした。

それはきっと
隣に****がいるからだと思う。

その匂いに、
抱えていた不安が
少しだけ和らいで
自然に笑えた。

ほんとだ、いい匂い。
そう答えてから
ふと気付く。

「お嬢さん、匂いのある花が好きなんですね」

「え?」

「いつも、お嬢さんは花を見ると、その匂いのことをいうから」

「あ・・・・そうだっけ?」

いつも俺が花を用意すると
鼻をつけて香りを楽しむ姿が
思い出される。

「そういえばそうだね」

「でしょ?」

そういうと幸せそうに笑う。

「ふふ。隆也君、あたしが気がついていないところもよくわかってるんだね」

「当然です。だって専属執事だし、それに恋人ですから」

そう、俺達は恋人なんだ。
言葉にすると、胸がじんわりと
温かくなった。
やっぱり何も心配することは
ないんじゃないかって。

笑って胸を叩いてみせると
おかしそうに笑う。


久々に見る本当の笑顔。
ここ最近の作ったような笑顔じゃない。

「隆也君ってさ。あたしのこと、本当によく知ってるよね」
「だって、俺はお嬢さんに関しては、
 もう世界一っていうほど知っていたいんですよ」

「え?」

可愛らしく首をかしげる。

「つまり、お嬢さんの隅から隅まで
 知りたいってことです」

自分で言っておきながら
少し照れて、笑ってごまかす。

そんな俺を見て、
****も顔を赤くする。

「あたしは・・・・
 隆也君にそう言ってもらえると嬉しい」

その言葉が胸いっぱいに
広がってく。
あぁ、大丈夫だ。

「俺だって、お嬢さんのことを沢山知るたびに
 もっともっと好きになるから、だから
 もっと知りたいっていつも思うんです。」

今度は照れることなく
ストレートに俺の想いをぶつける。

こういうのが俺らしいと思うし。

すると、俯いたまま
近づいてきて
その小さな身体を寄せてきた。

胸に当たる頭。
そこに流れる綺麗な髪を
ゆっくりと撫でる。
背中に手を添えて。

甘えっ子だなって。

「ほら、あっちの方にも行ってみようか」

なんだかすっかり
元通りになった気がして
思わず笑みがこぼれる。

見ると足元が少し
ぬかるんでいて、
注意を呼びかけながら
手を差し出す。

「手を繋いでくれる?」

手を出してるんだから
当たり前だろ?
そう思いながら
にこっと笑って
手を繋ぐ。

そして手を繋いだ俺達は
人目につかないところへ
歩いていく。

立ち止まって
空の月を眺める****は
とっても綺麗だった。
いつもは可愛いとか
そう言う風に思うけど
この場所と香りのせいか、
その顔は大人びて見えた。

「お嬢さん、ちょっと上向いて」
「ん?」

そう言って、こちらを
向かせて
その唇に口付ける。

俺達の姿は
藤の花が隠してくれる。

屋敷を出ている今、
何にも縛られず
恋人としてそばにいられる。

それが嬉しくて
幸せで

その頬を両手で
包み込んで見つめる。

するとふわっと
微笑み返してくる。

そして。

ねえ、隆也君。
今日の夜は特別だけど、
でも、特別なのは、この藤棚だけじゃなくて
もっともっと、あれこれあるからだよ。

そんなことを言いながら
ふふっと笑う。

俺は一瞬意味が
わからなくて固まる。

でも、気がついて
にこっと笑う。

それってオレの誕生日のことっすか?

そう言ってみた。
忘れられてなかったんだと
嬉しく思いながら。

でも・・

「ん?それっていつのこと?」

って言われた。

え・・?
違うの?

勘違いした恥ずかしさより
やっぱり忘れてるんだという
淋しさが勝っていて
俺の顔はきっと
とても残念な顔になっている。

明日は俺の
誕生日だぜって言いたくて
口を開こうとしたら

背伸びしてされた
可愛いキスに防がれた。


------------------------

そろそろ、
時間が遅くなってきた。

もっと2人きりで
いたいのは
やまやまだけど

樫原さんに言われている手前
そういう訳にもいかず
何度も帰りを
促そうとするけど

その度にキスをされる。

帰りたくないとでも
言うようなキス。

こうやって2人でいちゃついていたいから
もう少しここにいようよ

そんな可愛いことを言う。

それに負けて
俺からもキスをする。

ここに来てから
何度キスしただろう?

そう思いながらも
またキスをする。


そして、****が不意に
時計を見て口を開く。

「もうこんな時間だから、
 帰ろう?」

そういわれて確認すると
時間は11時30分。

あと少しで
俺の誕生日なのに。

執事としては失格だけど
きっと樫原さんに
怒られてしまうけど

「もう少し、ここにいない?」
そう言った。

「え・・・・?」

「ほら、もう少しで日付変わるし・・・・」

意を決して言う。

「俺、もう少しここに
 お嬢さんと一緒にいたいっす」

でも、****は困ったような顔をする。
何かを必死に考えてる顔。

樫原さんに怒られるとか・・
考えてんのかな・・。

「あ、あたしはもう疲れて眠いから、
 早くお屋敷に帰りたいんだ」

続けられた言葉に
落胆する。

全身切り裂かれたくらい
痛いけど
無理に笑って言う。

「お嬢さんがそう言うなら。帰りましょうか?」

「そ、そうしてくれると助かる」

なぜか焦ったようにいう****。

不思議そうに見つめると

「ごめんね、隆也君」

謝られた。

「そ、そんなお嬢さんが謝ることないっすよ」

急いで否定する。
その顔はしょぼんとしていて、

「ほら。そんな顔をしていたら、可愛すぎて、俺」
 まだここで2人でいたいって思うから。

そう言ってそのしょんぼり顔を
両手で包み込んで
おでことおでこをくっつけて
そのくりっとした瞳を見つめる。

するとその頬はどんどん
赤くなっていく。
ほんとかわいいんだから。

なんて思ってると
口をすぼめてこちらを睨んでくる。

でもそんな顔すら可愛くて

「疲れたんだったら、抱っこして車まで行く?」

そう言ってみた。
するとその頬は赤を越えて
真っ赤に染まる。

「疲れたんだったら、甘えていいよ」

声のトーンを甘くして
囁くと、
際限なく赤くなるその顔。

そんな子どもじゃないんだから!
なんて慌てていう姿が
また可愛い。

冗談だよ、って笑ったら
まるでイジワルっていうように
こっちを見てくる。

だからさらに続ける。
少しでも
この甘い時間を延ばしたくて。

「だって、抱っこしてる時に
 俺に甘える姿がとても可愛いからさ」

すると1人で百面相を
はじめる。
赤くなって、焦って
考えて
くるくると表情を変える。

まったく可愛い恋人だよ。

「ねえ、抱っこして車まで行く?」

もっかい聞くと

「隆也君!もう!」
行きません、絶対!!

と叫んで、俺の手を振り切ると
先に車に向かって
歩き出してしまった。

急いでその手を掴むと
歩く速度が少し落ちる。
隣に並んで歩くと
ぷーっと頬を膨らませる。

それが可笑しくて
俺は笑う。


そっと時計をみると
11時40分。

これは帰ってる途中に
誕生日になるかな。

まぁ、そばに****がいるんだから
それだけでいいか。

そう思いながら
藤棚の下を歩く。

車まですぐそこ。
繋いだ手が温かい。



------------------------

車のドアを開けて、
****を乗せようとすると

もう、今日は仕事終わりの時間だから、
一緒に後ろに座ろうよ、と
言ってきた。

その言葉に嬉しくなって
大きくうなずく。

2人で後ろの座席に
乗り込んで座る。

そっと俺の方に
頭がのっかる。

一応、運転手さんがいるから
手だけをそっと握った。

すると幸せそうに
目を閉じる。

(もう少しで、0時。)

時計を確認する。

こうして向かえる
誕生日も
けして悪くはないな。
そう思いながら
****の手を撫でる。

小さな手。
愛しい宝物のように
撫で続けていると

急に車が停車した。

「え?」

着いた場所は
屋敷の前じゃない。

「え?ここ、まだ屋敷じゃないのに」
慌てて運転手さんに
確認しようとすると
後ろからぐっと掴まれる。

「いいから!」

そういって笑う****。

え?
いいからって…。

いや、意味わかんねぇし。

「とにかく、降りよう」
ね、隆也君。

そういって****は
勝手にドアを開けて1人
降りてしまう。

それを慌てて
追いかける。

「隆也君、行くよ!」

そう聞こえた瞬間
****は走り出していた。

な!?

「お嬢さん、ちょっと待って!」

慌てて叫ぶけれど
****は止まらない。

いつもなら足の速さが
負けるはずないのに

突然のことで
身体がびっくりして
うまく走れない。

それでもなんとか
姿を捉えて、全速力で走る。

追いついて
その両手を捕まえる。

「ちょ、ちょっとなんで走るの?
そして、なんで、ここ・・・・?!」

そう、俺が
矢継ぎ早に言った瞬間。

オルゴールのような音が流れて
いきなり、暗かった場所が
ライトアップされて、
そこには遊園地が浮かび上がった。

「え?」

訳がわからず、いきなり現れた
遊園地に俺は言葉を無くす。


「お誕生日おめでとう!!!」

聞こえた声に視線を戻すと
カーネーションの花束を
差し出す****がいた。

「隆也君、19歳だね」
おめでとう。

そういってその手の
花束を俺に渡す。

あまりの驚きに
声が出なくて
穴があくほど****を見つめる。

「サプラーイズ♪♪」

すっげぇ嬉しそうな顔して
俺を見ている****。

「隆也君。今日5月12日はお誕生日でしょ?」
だから、サプライズに
誕生日祝いを、準備しましたー!!


聞こえる声が
頭にダイレクトに響いて・・・
ようやく頭が動き出して

俺の顔はぼっと赤くなる。

「お嬢さん・・・オレっ・・・・!」
「ありがとうございます!」

勢いよく言うと、

やだ、こんな時まで
執事の口調はやめてよ。

そういってにっこりと
笑っている。

その顔をみて、どんどん
状況がわかってきて
俺の顔は勝手に
ゆるゆると笑みを作る。

「今日は、隆也君の誕生日だから」

そういってこれまでの
不審な態度。
サプライズにして驚かせたかった。
隆也君の誕生日の0時に
一番最初にお祝いを言いたかった。

隆也君の誕生日を
すごくステキにしたかった。

遊園地まるごと貸切、じゃないけど
観覧車だけ動かしてもらってるから
あとで2人で乗ろうね。


一気に言われて
とりあえずうんうんとうなずく。

目の前でえへへと笑っている
****と遊園地を見比べて
落ちつかない気分になる。

そして、渡された
カーネーションを見つめていると

「そのカーネーションは、あたしが育てたんだよ?」
びっくりするような事を言う。

「え?ど、どこで?」
慌てて聞き返すと
俺に隠れてこっそりと
庭で育てたと言う。

「こ、これ、お嬢さんが
 育てた花なんすかっ・・・!」

興奮してそう言うと
****も嬉しそうに笑う。

『隆也君が真壁さんと
 執事修行している間にね。
 こっそり育ててたの、今日のために。』

そう言われて、またびっくり。
俺、今日何回
びっくりしてんだ。

ってか真壁さん・・・
そういうことかよ。

『樫原さんに協力してもらったんだよ?
 お花を育てることも。
 今日のこの遊園地も。』

俺は口を開いたまま
ぽかーんとする。

そして、次の瞬間
笑いがこみ上げてきた。

「えー!!オレ、
 全然こんなこと知らなくて!!!」

なんだよー!それ!!

安堵と嬉しさが
混じった笑いはもう止まらない。

サプライズなんて知らなかったぜ!
それも、こんなに見事に騙された~!
もうずっと様子が変で!!

俺が興奮してそう言うと
可笑しそうに笑う。

オレ、ものすごく心配したじゃん!

掛け値なしの本音をぶちまけて
笑いながら
もう目の前の****が愛しくて
可愛くて、もう、ほんっとに可愛くて
ぎゅーーと
花束ごと抱き上げる。

「きゃ!!」

驚いたように悲鳴をあげる。

「もう!ほんと
 なんでこんな嬉しいことしてくれるの?」

そういいながら
抱えあげたままグルグルとまわる。

「た、隆也君!あ、危ないよ~!!」

そんな声が聞こえてくるけど
とまんねー!!

しばらく2人でまわり続けてから
地面に降ろす。

それでもその身体は離さない。

「ああ、もう本当に、****大好きだ!」

今だけは力いっぱい
抱きしめる。

すると、ぐいっと俺の身体を
押して近くの切符売り場に
花束を置きに行く。

そして戻ってくると
俺の背中に手を回してくる。

「隆也君。お誕生日おめでとう」

改めて言われる言葉。

「大好きだよ、隆也君」

少し腕の力を緩めて
****の顔を覗き込む。

「****、ありがとう、
こんな誕生日祝い・・・」
「オレ、本当に嬉しすぎて、
 なんていったらいいか。」
「こうやって祝ってもらえるなんて
 思ってもなかったから。」

そう告げると幸せそうな
顔をする。

そして
「あたし、隆也君に最高の誕生日を
 演出したかったんだ」
だから、ここ最近、態度がおかしかったり
そっけなくしていたりしたのも、許してね。

可愛らしく言ってくる。

でも、
「だめ、許さない」
そういって睨む。

「え?」

意外そうに目を丸くする。

「本当に心配したから、
 ごめんなさいって思うんだったら、
 そっちからキスして」

俺は照れながらも
そう言って
****の顔を覗き込む。

すると、抑えられないとでも
言うように、俺の首に
腕を巻きつけ
キスをしてきた。

長く、強く。

そのキスを追うように
唇を吸い上げる。

今までで一番、
幸せなキスだと・・そう思う。

誕生日に驚かされて
びっくりして
こんなに喜ばされて
キスされて。

これが幸せじゃないなら
何が幸せなのか
俺にはわかんねぇ。

唇を離すと
ゆっくりと****が
目を開く。

その顔が愛しくて
じっと見つめる。

「まだ怒ってる?」
なんてわざと聞いてくる。
わかってるくせに。

だからちょっとイジワルして

「もう少し。足りない」
そう言って

今度は俺からキスをする。

両頬を包んで、少し上を向かせて
俺の唇で****の唇を包む。

舌を差し入れて
****の口の中をそっと撫でる。
軽く噛み付いて
全部俺んだって、
どこもかしこもに触れる。

瞼に。
鼻先に。
おでこに。

そして目を開けた****に

「これは、許してあげる、のキス」

そういってもう一度キス。

「これは、こんなステキな
 生日祝いありがとうのキス」

またキス。
理由をつけて何度もキスをする。

このまま一生
キスしてたっていい。

すると小さく呟く声が聞こえる。

(隆也君、もっとキスして)

目がうつろになって
そんなことを言う。

くすっと笑って

『だめだよ。これ以上したら。
 だって、****、もう限界だろ?』

そう言って唇を離すと
追いすがるように
俺の胸に顔をうずめる。

ずっと我慢してたんだろうな。
今日のサプライズを隠すために
慣れない嘘をたくさんついて

わざと俺から離れて。

ありがとう。

その想いを込めて
抱きついてくる身体を
ぎゅっと抱きしめる。

「ありがとう。
 こんなステキな誕生日祝い。
 オレ、初めてだよ。
 こうやって誕生日の日の0時を
 恋人と一緒に迎えられるなんて。」

浮かんでくる言葉を
すべて口にして伝える。

「ねえ、隆也君」

「ん?」

とろんとした瞳で俺を見つめる。
そして

「観覧車、乗ろう?」

そういった。

そういわれて
俺達の後ろで煌いている
七色の観覧車を見つめる。

「ああ、行こう」

そっと手をとり、
遊園地の入り口へと足を進める。

片手にはしっかりと
カーネーションの花束を持って。

今日は切符無しで入れるんだ~。

そんなことを言いながら
しっかりと手を繋いで歩く。


予想もしなかった
こんな幸せな時間を
少しでも引き伸ばしたくて
どちらともなく
歩調は遅くなり
ゆっくりゆっくりと
時間をかけて歩く。

でも限られた距離は
やっぱり限られていて

あっという間に
観覧車の下についた。

そこには1人の
係りの人がたっていた。

その人にむかって
****がぺこっと会釈する。

ごめんなさいね、こんな夜遅くに。

そういいながら。
俺も慌てて頭を下げる。

観覧車のドアが開かれて
2人で乗り込む。

「いってらっしゃいませ」
降りられるときはお声をかけてください。

そう言われて、
じゃあ声をかけなければ
このままずっと2人きりかな、なんて
夢みたいなことを
一瞬だけ考えた。

乗り込んだ観覧車は
ゆっくりと上がっていく。

「すげえな・・・・」
思わず声が零れた。

遠くのライトアップが綺麗で
それをただ無言で
見つめる。

ふと視線を向けると
互いに笑みがこぼれる。

「こんな綺麗な夜景の
 プレゼントもありがとう」

そういって後ろから
やわからく抱きしめる。

するとくすぐったそうに
身を捩って笑う。

「やだよ、隆也君」
そう言うが、否定とは
とらない。

嫌よ嫌よも好きのうち。

俺は鼻をくっつけて
****の匂いを嗅いだり、
息をふーっと吹きかけたりする。

くすくすと笑う
****にどうしようもないほど
愛しさを感じる。

人を好きになって、
同じ時間を過ごすことは
こんなに幸せなんだと
改めて思い知らされる。

そして、俺が
どれだけ****のことを
愛しているのかも
改めて実感。

うん。
俺やっぱすっげぇ
****が好きだ。

納得して、
もう1つ気になっていたことを
聞いてみる。

「でも、なんで、今日、ここだったんだ?」

そう聞くと少し笑った。

「隆也君、覚えてないの?」
「え?何を?」

訳がわからない。

すると、****は
ポケットをごそごそと
探り始める。
そして何かを掴んで
俺に差し出す。

それは1枚の写真。

「え?この写真!?」

俺はすっげぇ驚く。

それは俺が子供の頃の
写真で****が持っているはずのない
写真だった。

びっくりしている俺に
プレゼント選びで
俺の両親に会いにいったと話す。

「あたし、隆也君のこの写真を見て、
 絶対この遊園地で、0時にサプライズの
 誕生日祝いをしたかったの」

だって、この写真の隆也君、
少し悔しそうな顔をしてると感じたんだ。

そういわれて、俺は
まじまじと****の顔を見る。

「参った」
「え?」

「なんでオレがそんな気持ちだったって思ったの?」

「え?だって、たまにするじゃない、隆也君、こんな顔」

「え?」

俺、今でもこんな顔してる?

どんなとき?

そう聞くと、困ったように
考えてる。

「んー。初めてのお茶会で失敗して
 反省してるとき、とかに見たかな」

そういわれて胸が
ぎゅっと締まる。

この日、誕生日の約束をしていたのが
だめになって、やっぱり普通に考えても、
子どもだから、がっかりしたんだろうなって思ったの。

続く言葉に
たまらずぐっと抱き寄せる。

「・・・・さっき、オレが****のことを
 よく見てるって言っていたけど、
 それ、オレが****に言いたいよ」
「え?」

「確かにオレ・・・・この時、
 少し悔しかったし、がっかりしてた」

でも、誕生日に家族で揃って
遊園地に行くなんて、
うちの家庭環境じゃあ、
かなり色々都合しないといけないわけで
無理なことだっていうのも、
子どもなりにわかっていたから、
実はそこまでがっかりしなかったんだ。

でも、ま、それでも、
遊園地に来たかった気持ちはあったから
こうやって記念撮影って言われて
入り口に立たされて写されると、
やっぱり諦めていたけど、
少しだけ悔しいって思ってる気持ちが
写ってるや。

また来たらいいって、わかってたから、
駄々をこねたり、っていうのは
なかったけど。

ああ、でも、この母の日のプレゼントを
この遊園地で渡そうと思っていたのに
時間が遅くなって、
結局母の日に渡せなかったのは、
結構ショックだったかなあ。

そうつらつらと思い出しながら
写真を見て笑う。

そして視線を****に戻す。
愛しさをこめて。

「オレ、実はこの時思ってたんだ」

「ん?」

いや、俺が大人になったら、
大好きな子を連れて、ここに来ようって。
後ろに写ってる観覧車、
あれに乗りたいって思ってた。

この写真を写されたとき、
電気ついて光ってるのが観覧車だけで、
それがとっても綺麗で。

子どもながらに、いつか、
この観覧車に乗りたいって思った。
夜、きらきら光ってる観覧車に乗って
遠くの街まで見るんだって。
好きな子と一緒に見るんだって。


その夢が叶えられて―――
とても嬉しい。


そう告げる。俺の夢。
いつか****と叶えたいと
思ってた夢。

「ありがとう、俺の夢、
 叶えてくれてありがとう」

ありったけの感謝を込めて
伝える。

すると

「お花・・・」
と呟く。

「ん?カーネーション?」
そう聞き返すと

「うん」
とうなずく。

「あたし、初めて自分で育てた
 お花をプレゼントするんだ」

愛しそうにカーネーションを
見ながら話す。

隆也君が好きなお花を探すの、
大変だったよ。
瞬くんや誠吾君に訊いたり。

あぁ、いつだったか
瞬と話してたり、
庭で不審な動きをしてたな。
あのときか。

それからも****は言葉を続ける。

『あたしね。
 いつも隆也君からお花をもらうばかりで。
 毎日部屋に生けてくれるでしょ?
 あれ、すごく好きなんだ。

 あたしは、隆也君みたいに
 植物とかお花とか詳しくないから、
 そういう話をすることが出来なくて。

 隆也君が大好きな植物とかお花を
 もっとあたしも好きになりたいと思ったの。
 だって、そうやってあたしも好きになったら
 あたしと隆也君で“好き”の
 共通点が増えるわけじゃない?

 だから、今回の誕生日プレゼントは・・・・
 物じゃなくて、想い出っていうか、
“想い”を大事にしたものにしたんだ。

 お金で買えるものは
 いつでも買ってあげれるから。

ひとつひとつ
その口から紡がれる言葉が
じんわりと心に染みて
何度目かわからない
抱擁をする。

そして、****を抱えあげて
いつもするみたいに
膝の上に座らせて
抱きしめる。

「****、そこまで考えててくれたんだ」

「うん、そうだよ」
だって、大好きな隆也君のことなんだもん。

もう。
こんなに幸せでいいのかな俺。

何も言葉が出なくて、
何度も抱きしめる。

触れた身体から
想いが伝わるように。

「カーネーションの花、気にいってくれた?」

そう尋ねられて、笑う。

「ああ、本当に嬉しかった」

嘘偽りのない言葉を君に。

それからしばらく
何もいわずに夜景を眺めていた。

すると不意に
腕の中から声がする。

「ねえ、隆也君」

「ん?どうした?」

「あのね。瞬君が教えてくれたの」

「カーネーションの花言葉、何か知ってる?」

「え?知らないっすよ」

いきなりの問いに
つい敬語で答えてしまった。

すると笑いながら

「知りたい?」
なんてちょっとイジワルな
顔をして言う。

「知りたい。教えて」
そう言うと
****はくすくす笑う。

「じゃあ、教えてあげるから」
耳貸して。

そういわれて
その口元に耳を寄せた。

「カーネーションの花言葉は―――---」


聞こえた言葉に
俺の顔は真っ赤になる。

それを見る****は
悪戯が成功した
子供みたいに笑っている。

「そ、それって・・・!!」

慌てて思わず声が上擦る。

隆也君、慌ててる、可愛い~!
なんてからかうように言うから
ぐっと睨む。

でもそんなのまるで
効いてないように
俺の腕の中で幸せそうに
笑ってる。まったくもう。

得意げな顔をしている****に
仕返しとばかりに言う。

「ね。今の言葉、もっぺん言って」

きょとんとした顔をする****に
もう1度。

「もっぺん。今度は耳元じゃなくて、
 目を見て言ってよ」

そう言ってやる。

すると案の定、顔を真っ赤にする。

「ね。もっぺん言ってよ」
ダメ押しのように
何度も強請る。

「お願い」

目を見つめて待つ。

するとどんどん頬を
赤く染めていく。

「カーネーションの花言葉は」

花言葉は?

目をそらさずに
見つめる。

『あなたを熱愛する、だよ。』

じわっと心に広がる
愛しさの波は
どこまでも優しく
身体を満たして

その想いを
伝えるために
そっとキスをする。

(それは、オレのセリフだ)
そう呟いて。

もう景色なんて
見ていられない。

1分1秒
この時間を
身体中に刻み付けたくて

****だけを
感じていたい。

沢山のプレゼント、ありがとうな。
そう言うと

ハッピーバースディ、隆也君。
今年一年が隆也君にとって
とても幸せな年になりますように。

そう呟くから
その言葉ごとキスで飲み込んだ。

・-・-・-・-・-・-・

観覧車から
降りた俺達。
名残惜しそうに
観覧車を見つめる****に
花束を持たせて

よっと抱えあげる。

「ちょ!隆也君!?」

「車まで抱っこだ。」

そう言って笑うと
じたばたと暴れる。

「やだー!恥ずかしいよぅ。
 降ろしてー!」

でもいくら暴れたところで
****の小さな身体では
俺から逃げられない。

「だーめ。
 絶対はなしてやんねー。」

そう耳元で囁くと
しばらくかぁっと赤面してから
大人しくなった。

そして観念したように
俺の服をぎゅっと掴む。

「よっしゃ!」

そういって俺は
歩き出す。

19歳になって
あらためて手に入れた
最高に可愛いプレゼントを
この腕に抱えながら。

Happy Birthday ! Dear TAKAYA !





******** Fin *********

















**** あとがきならぬ感想♪ *****


お読みいただき、
ありがとうございました!

NaNaさまが書かれた、
隆也視点の「夜の遊園地」は
いかがだったでしょうか?

あたしは非常に隆也の雰囲気が出てて
言葉の端々に時めいていました(爆)

同じ話なのに、
視点が違うと、
ここまで違うのか~!!

なんて思ってしまったお話です。

ステキな隆也・・・・♪

先行に書いたヒロイン視点の
「夜の遊園地」のセリフを使っていただき、
NaNaさんが隆也視点から
自然なストーリー展開で書かれてるのが
あたしとしては、とても新鮮で、
ドキドキしてました。

どういう企画をやろうか?って
最初にNaNaさんとやりとりをしていた時は
取り立てて計画も無くお誘いしたので、
ぐだぐだだったんですが(!)
どちらも、文章を書くし
(NaNaさんはイラストも描かれますw)
2人でできることをやってみようと
話し合った結果、対で書くことになりました。

隆也視点とヒロイン視点の
分け方は簡単ww
あたしが単に隆也視点の口調が
書けない~~難しい~~!!
と言ったからです(爆)

なので、NaNaさんが隆也視点で。
あたしがいつも通りヒロイン視点でw

誕生日祝いだから、準備する方の
ヒロインの方からの話が
先だよね、ってことで
先攻があたしになりました。

「好きなように書いてください」
「大暴れしてくださいっ!
頑張って引き受けます」

などの、ありがたいお言葉のもと
文字通り、大暴れをし、書きたいだけ書いて(!)
NaNaさんにアンサーを託しました。

いつも以上に張り切って
書きすぎちゃった(T∀T;)アセアセ

・・・・そういう事態になったんだけど。

でも、ゆんさんのステキなイラストや
NaNaさんからのアンサーも頂けて。

あたしはすごく嬉しいです。
ありがとうございます!
お2人に対しては、心いっぱいの
感謝の気持ちです。


あと、読んでくださって
一緒に大木の誕生日を
祝ってくださった方々など。


5月12日の誕生日を
キーワードに、沢山
繋がれたんじゃないかな、
って思ってます。


同じ執恋の世界が好きで、
サイトを持っていらっしゃる方の
ところでも、ネットサーフィンが主で
一人でプレイされている方でも、
なにかしら、大木の誕生日で
気持ちにちょっとした
サプライズがあったり
少しばかりの楽しさが
訪れていたらいいなって思ってます。

今度、次の誕生日は・・・・。

6月の晶さんの誕生日なんで!

(*´ェ`)、張り切らないわけがない(爆)

誕生日の度に
ちょっとしたことができたらな、って思ってます。
いちお、執恋のファンサイトなんでw
(もちろん、非公式www(爆))
あと、二次創作のサイト?っていうのかな。

ここまで読んで頂けて
心より感謝申し上げます。

大木のお誕生日祝いのお話、
楽しんでもらえたらいいな♪


May.15.2009 つぐみ


以下、私信になります。




+++++ NaNaさま +++++


今回は、とてもステキな隆也を
ありがとうございました!

なんていうか・・・・。

胸いっぱいの感謝でいっぱいです。

隆也の誕生日になにかしたい。
一人でなにかしてもいいけど、
でもこれを機会に、
なにか面白いことができたらいい。

でも、特にこれをやろう!って
企画というのは無くて。

NaNaさんを誘ったところで、
さてどうしようか?と思っていたら、
対でお話を書くことが決まり。
ゆんさんのイラストも
お願いできることになり。

思っていた以上に
豪華に(!?)隆也のお祝いができて、
とても嬉しかったです。

隆也のお話も、大暴れして、
沢山沢山、あれこれと詰めて。
最後に回収するのが苦労したけど(笑)

でも、アンサーのお話として、
このようにステキな隆也、
ヒロインを愛する隆也に会えて、
本当に嬉しかったです。

NaNaさん、お誘いを
受けてくださって
ありがとうございます。

予定が立てこんでいるなか、
このように書いていただいて、
恐縮ながらも、とても嬉しかったです。

すごく楽しかった!
いえ、それ以上に嬉しさが大きいです。

今度また企画をやるとき、
お誘いしますねー★
そして、また一緒になにかを作ったり
楽しめたりできたらいいな♪


NaNaさんの描く隆也に
惚れたつぐみより。





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