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大木隆也の誕生日祝いに書いたお話、
「夜の遊園地」の分割分になります。

長いので、お話を6つにわけてます。

前編 (その1、 その2、その3)
後編(その4その5、その6)

こちらの記事は、
後編のその6になります。

1つの記事で読まれたい方は
こちらへどうぞ。


以下、創作になります。

ご興味のある方のみ、
お読み下さい。










***** 夜の遊園地 その6 *******
















車が停車した。








「え?」

隆也君が少し驚いた声を出す。




あたしは反射的に車の時計を見る。





23:58.



すごくちょうどいい時間。


「え?ここ、まだ屋敷じゃないのに」




驚いた隆也君が、
運転手さんに話しかける。

それを制していて、あたしは
隆也君を後ろから掴んで、



「いいから!」

にっこり笑った。



え?


隆也君があたしの顔を
唖然とした顔で見る。





「とにかく、降りよう」


ね、隆也君。




そういって、
あたしはいつも
開けてもらっている
車のドアを開ける。




開けたドアから、
さっと初夏の夜の風が吹き込む。




少し肌寒い、けど、
ちょうどいいぐらいかな。



勝手に一人で先に
車から降りたあたしを
隆也君がびっくりして、
追いかけるように
車から降りてきた。





車が停車したのは、
遊園地の入り口。






遊園地の電気は消えてる。
ひっそりしてる。




計画通り。





よし、入り口までダッシュだわ。
0:00までに切符売り場の
入場門に行かなくちゃ。




車を降りたあたしは、




「隆也君、行くよ!」




そう呼びかけた後、
入り口に向かって
一人走り始めた。








あたしが走ったら、
絶対隆也君は
追いかけてくるから。




それで切符売り場まで
隆也君を誘導しなくちゃ!









お嬢さん、ちょっと待って!





そう呼ぶ声が
後ろから聞こえる。






夜の暗さで
足元がよく見えないけど、
でも、目指す場所はわかってる。









あたしは、少し急いで走って、
樫原さんと約束した入り口の
切符売り場の後ろに回って
あのプレゼントの花束を持つ。





そして、後ろ手に隠した。




息を整えて
隆也君を待つ。






遊園地を後ろにして。
入り口で。





あたしが預かった写真の
小さい頃の隆也君の様に。




後ろ手には
カーネーションの花束。






あたしよりも、普段は足が速いのに
いきなりのことでびっくりした隆也君が
急いで走ってきた。









お嬢さん!






走って近寄ってきた
隆也君の顔が
すごく焦っているのがわかる。



そして、少し額に汗をかいて
ちょっと怖い顔をしている。






走ってきた隆也君は
あたしを逃がさないようにするためか、
両手で後ろに
花束を持ったあたしの
その両手を
がっと横から捕まえた。








ちょ、ちょっとなんで走るの?
そして、なんで、ここ・・・・?!








そう隆也君が言った瞬間。














オルゴールのような音が流れて
いきなり、暗かった遊園地の明かりが
ぱっとついた。





(間に合った!!)





オルゴールの音が
0時をおしえてくれる鐘の音。






ぐぉーんって響く音がして、
0時とともに点灯された
観覧車がゆっくりと
回り始める音がわかる。








「え?」




目を丸くして、
あたしの後ろの
遊園地を見つめる。




目をこれ以上ないくらい
まん丸になっている隆也君に
あたしは。




「お誕生日おめでとう!!!」



少し大きな声で言って、
後ろに隠していた
カーネーションの花束を
隆也君に、はいって差し出した。





「隆也君、19歳だね」
おめでとう!!!










にっこり笑って花束を渡す。





隆也君が呆然とした顔で
あたしの顔を
まじまじと見つめている。




押し付けられるように
目の前に出された
花束を受け取るものの
まだ、実感がわかないのか、
目をぱちぱちしている。





「サプラーイズ♪♪」


その様子がとても可愛くて。




「隆也君。今日5月12日はお誕生日でしょ?」
だから、サプライズに
誕生日祝いを、準備しましたー!!





思わず笑いがこみ上げてくる。




サプライズな誕生日祝いが
どうにか成功して、
あたしは、すごく上機嫌だ。




にこにこ笑っているあたしの顔を
じっと見つめていた隆也君の頬が
急に赤くなった。




「お嬢さん・・・オレっ・・・・!」



ようやく実感してきたのか、
感極まってるような隆也君。



「ありがとうございます!!!!」



すごい角度で隆也君が頭を下げた。
やだ、こんな時まで
執事の口調はやめてよ。




そうにっこり笑った
あたしの顔を
また隆也君は
まじまじと見つめている。





今、この状況を
把握できてないのは
ありあり。





でも、自分の誕生日祝いで、
こういう状況っていうのは、
少しわかってきたみたい。





だって、だんだん・・・・
嬉しそうな顔に
なってきたから。






「今日は、隆也君の誕生日だから」



驚かせてごめんね。
サプライズにして
驚かせたかったから。
隆也君の誕生日の0時に
一番最初にお祝いを
言いたかったんだ。





だから、これまで色々
秘密裏に動いてきて、
隆也君を心配させたけど・・・・。



でも、隆也君の誕生日を
すごくステキにしたかったの。



今日・・・・、
遊園地まるごと貸切、じゃないけど
観覧車だけ動かしてもらってるんだ。



あとで一緒に乗ろうね。





あたしの言葉に、
隆也君は驚き顔で
口をぱくぱくさせながらも、
うんうん、って頷いた。




その様子が可愛い。




このサプライズは・・・・
隆也君にとってまったく
予想もしてなかったことで
すごくびっくりして、
そして多分・・・
すごく感動してくれると思う。





そう、あたしには
伝わってきた。





えへへ、って笑うあたし。



隆也君がようやく
驚きが納まったのか、
遊園地をみたり、
あたしをみたり、
ドキドキしている様子で
落ち着かない様子。





隆也君は、目をキラキラさせながら、
少しその目を伏せるようにして
受け取ったカーネーションの花束に
目をやる。




「そのカーネーションは、あたしが育てたんだよ?」



「えー?ど、どこで?」




あたしの言葉に
びっくりした隆也君。



隆也君の目を盗んで、実は
これ、九条院家の庭で
育ててたんだ。


もう、これを育てるために
隆也君の目を盗むのが
大変だったんだよ。




苦労話をするように、
眉をひそめて、
大変だった~って告げるあたしに
少し隆也君が慌ててる。




冗談だってば。
少しだけのことなのに、
隆也君の反応が可愛い。





「こ、これ、お嬢さんが育てた花なんすかっ・・・!」



隆也君が顔を真っ赤にして
にこにこ笑っている。
すごく嬉しそう。



種明かしは、とても楽しい。
あたしは、こんなにも
驚いてくれてるのが
ドキドキしながらも嬉しかった。




隆也君が真壁さんと
執事修行している間にね。
こっそり育ててたの、今日のために。




にっこりと笑って告げたら。
その言葉で、また
隆也君が目を丸くする。




樫原さんに協力してもらったんだよ?
お花を育てることも。
今日のこの遊園地も。




その言葉で、隆也君が
一瞬口を呆然と開けて
驚いていたのが。



いきなり大笑いし始めた。




「えー!!オレ、全然こんなこと知らなくて!!!」




なんだよー!それ!!って
大笑いしている隆也君。


サプライズなんて
知らなかったぜ!
それも、こんなに見事に騙された~!


もうずっと様子が変で!!





あたしも、その笑いに
釣られて笑う。



オレ、ものすごく心配したじゃん!



そう言いながら、
隆也君が大笑いしながら、
花束と一緒に、
あたしのことをぎゅっとして
一気に抱き上げた。




「きゃ!!」



いきなり、抱き上げられてびっくりした。



「もう!ほんと、なんでこんな嬉しいことしてくれるの?」



ものすごく嬉しそうな口調で、
隆也君が抱き上げたあたしを、
ぐるぐると回す。



「た、隆也君!あ、危ないよ~!!」



そういいながらも、
隆也君はめちゃくちゃ
大笑いしてて、下ろしてくれない。



しばらく、ぐるぐるとされた後、
隆也君が下ろしてくれた。



でも、抱きしめるのはやめない。



「ああ、もう本当に、****大好きだ!」



そう言いながら、隆也君が
あたしをぎゅっと抱きしめる。
隆也君はぎゅっと抱きしめて、
しばらくそのまま。




さっきまでの大笑いした
嬉しさとは違って、
しみじみと嬉しさが
こみ上げてくる。




あたしは、隆也君の
少し強い抱擁で
つぶれそうな花束を、
ちょっと体を離して、
すぐ傍の遊園地の
切符売り場のところへ置いた。



そして、隆也君の背中に手を回す。



あたしからもぎゅっとする。





「隆也君。お誕生日おめでとう」


さっきも言ったけど、
何回だって言わせて。
だって、今日、この日に
一緒にいれること、
それがすごく嬉しいから。



誕生日おめでとう、って言葉を
何度も言いたいから。





「大好きだよ、隆也君」




隆也君が少し腕の力を緩めて
あたしの顔を覗き込む。



「****、ありがとう、こんな誕生日祝い・・・」
オレ、本当に嬉しすぎて、
なんていったらいいか。



こうやって祝ってもらえるなんて
思ってもなかったから。




そう言う隆也君の目が
すごく嬉しいって色をしてて、
あたしは、その目を見れただけで、
気持ちがいっぱいになった。



「あたし、隆也君に最高の誕生日を演出したかったんだ」


だから、ここ最近、
態度がおかしかったり
そっけなくしていたりしたのも、許してね。



そう可愛く告げたら、
隆也君は赤い顔を
しながらも、めって睨んできた。




「だめ、許さない」



「え?」



意外な言葉で
あたしは目を丸くする。

でも、次の瞬間、


「本当に心配したから、ごめんなさいって思うんだったら、そっちからキスして」



その言葉で理解する。


隆也君は頬を赤らめながらも、
すごく目をキラキラさせて、
あたしの顔を覗き込んでくる。



とても嬉しがっている隆也君に
あたしは胸がいっぱいになって、
すぐさま、隆也君の首に
自分の腕を巻きつけてキスをした。


ちゅーって長く。
そして強く。



そのキスに答えるかのように
隆也君があたしの唇を吸う。
目を閉じて、
あたしは、その感触を味わう。



今、あたしたち、
すごく大好きだよ、って
キスをしてると思う。



離れた唇に、瞼を開ける。
そこには、少し目を細めて、
愛しそうに、あたしをみる
隆也君がいる。




「まだ怒ってる?」


その優しい目に
見つめられたら。


じゃれあいたくて、
“怒ってる”というだろうと
わかりながらも、
あたしはあえて訊く。




「もう少し。足りない」



やっぱり。
あたしの隆也君に
対する勘は外れない。



そう言った隆也君が、
今度は自分からキスしてきた。



両頬を包まれて、
少し上を向かされて
隆也君の唇に
あたしの唇が包まれる。




舌があたしの中に入ってくる。
そして、口の中を優しく撫でる。
軽く唇も甘噛みされる。



下唇も、上唇も。


何度も唇を吸われる。
角度を変えて、どこからも
あたしの唇を味わおうとする。




このキスが大好き。



唇だけじゃなくて。
閉じた瞼にも。
鼻先にも。
おでこにもキスされる。




目を開けると、
やっぱり
優しそうな隆也君がいて。






「これは、許してあげる、のキス」



沢山の言い訳で、
沢山のキスをくれる。



「これは、こんなステキな誕生日祝いありがとうのキス」



とろけそうなほど、
沢山キスをされて、
あたしはぼーっとしてくる。



それでも、このキスの感触や
気持ちよさだけは、ダイレクトに
あたしの脳に伝わってくる。




(隆也君、もっとキスして)



そう呟いた声を
隆也君に届いたのか、
くすっと笑う気配がする。




だめだよ。これ以上したら。
だって、****、もう限界だろ?





そう言って離された唇が寂しくて。
あたしは、隆也君の胸の中に
自分を埋めた。



この広い胸にあたし自身を
埋め込みたい。


そのままの意味で。


抱きしめられてるだけでは
物足りないから。
もっと密着してくっつきたい。






密かにそう願う。






ぎゅって抱きつくあたしを
隆也君が抱きしめてくれる。





ありがとう。
こんなステキな誕生日祝い。
オレ、初めてだよ。
こうやって誕生日の日の0時を
恋人と一緒に迎えられるなんて。




あたしだって。
今、こうやって隆也君と
過ごせるのが嬉しいよ。




ひとしきり、ぎゅって
抱きしめられてて。
その温かさに酔いしれる。



隆也君の胸、すごく暖かいや。












「ねえ、隆也君」


「ん?」


こっちを見つめる瞳は
限りなく優しい。
すごく、大きな海を
眺めてるときみたいな
そんなゆったりした気持ちになる。




「観覧車、乗ろう?」



あたしたちは、
まだ遊園地の入り口。



抱きしめあうあたし達の後ろには
きらきらと夜の空に輝く
観覧車の光。




星のように、
赤や青や黄色、緑色の
カラフルな光で、
ゆっくりと回っている。





「ああ、乗りに行こう」




少し興奮が収まった隆也君が
あたしの手を繋いで、
遊園地の入り口をくぐる。




もう片手には、
あたしがプレゼントした
カーネーションの花束を
しっかりと握っている。






今日は切符無しで入れるんだ~。





そんなたわいもないことを喋りながら。






隆也君がしっかりと
あたしの手を握ってくれて、
観覧車のところまで歩く。




他の遊具は電気ついてないけど、
道のりは優しく外灯がついてて、
それに照らされた道を歩く。





急いで歩いて観覧車まで
歩いていくのが惜しくて。
一緒にこうやって
歩いている今が愛しくて。






あたし達はこころなしか、
ゆっくりと歩く。













どんなにゆっくり歩いても、
観覧車が近付いてきた。







観覧車の入り口で、
係りの人らしき人が
一人待っていた。



ごめんなさいね、こんな夜遅くに。



そう言って会釈をしたら、
その人もにこやかに
会釈を返してくれた。



そして、観覧車の扉を開けてくれる。




あたしと隆也君は乗り込んだ。





「いってらっしゃいませ」
降りられるときは
お声をかけてください。








そう一言告げられて、
あたしと隆也君は
夜の空のお散歩へ出かける。










観覧車の動きが伝わってくる。



観覧車がゆっくりと上がり始めた。











「すげえな・・・・」



二人揃って、
観覧車の窓から
夜景を眺める。




0時を過ぎているからか、
明かりは少なかったけど、
上っていくにしたがって、
遠くにある港や橋の
ライトアップとかが見える。
道路の黄色い光とか。



それをじーっと
2人で魅入っていて。


ふと気がついて、
お互いが無言なことに、
顔を見合わせて笑う。



「こんな綺麗な夜景のプレゼントもありがとう」



そう言って隆也君が、
窓に手を当てて、
外を眺めるあたしを
後ろから抱きしめた。



そのまま、首筋や肩に
隆也君の温かい息が吹きかかって、
その生暖かさにこそばゆいあたしが
身を捩って笑う。



すると隆也君が
悪戯っこのように、
ぎゅっと後ろから
抱きしめた腕を弱めず、
くすぐったくて笑うあたしに
もっともっと、くすぐったいことをする。




「やだよ、隆也君」




そう言いながらも、
動物みたいに、あたしの匂いを
嗅ぐ真似をしたり、
息を吹きかけてくすぐったいことをする
隆也君がとても好きで好きで。
こんな風にスキンシップしてくる
隆也君がとても可愛いと思う。




こんなただ、一緒にいるだけで
すごく好きだって思う。



こんな幸せな時間が
続けばいい。





じゃれあっているうちに、
どんどん観覧車は上がっていった。












不意に隆也君が尋ねた。




「でも、なんで、今日、ここだったんだ?」




その言葉がものすごく純粋に
質問だったから、あたしは少し笑った。




「隆也君、覚えてないの?」



「え?何を?」




あれ?
なんか・・・・ん?



隆也君があまりにも普通に、
今日この遊園地を選んだ理由が
わかってないから、
あたしは、思わず
ポケットに入れていた
あの写真を出した。




「これだよ」



差し出された写真を見た隆也君が
次の瞬間、すごく目を丸くして驚いた。



「え?この写真!?」



「これ、隆也君のお母さんから借りてきたの」



「えー?!」



ものすごくびっくりしている隆也君に
あたしはプレゼント選びで
隆也君のおうちに行ったことを話した。





かくがくしかじかで。







「あたし、隆也君のこの写真を見て、絶対この遊園地で、0時にサプライズの誕生日祝いをしたかったの」






だって、この写真の隆也君、
少し悔しそうな顔をしてると感じたんだ。
そして、淋しそうだったから。



そういって、写真を一緒に見ていると、
隆也君があたしの顔をじっとみて、
じっと・・・・穴が開くほど見た後、
ふんわりと頬を赤らめて笑った。







「参った」




「え?」




「なんでオレがそんな気持ちだったって思ったの?」



「え?だって、たまにするじゃない、隆也君、こんな顔」




「え?」



え?って言われても。
たまにしてるよ、隆也君。



どんなとき?


そう訊かれて、すぐには
思い浮かばなかったけど。




「んー。初めてのお茶会で失敗して反省してるとき、とかに見たかな」



あの時も、笑って
また頑張るって言っていたけど、
でも、この写真みたいに、
ちょっとだけ悔しそうな
顔をしていると感じたんだ。




それに。



この日、誕生日の約束をしていたのが
だめになって、やっぱり
普通に考えても子どもだから、
がっかりしたんだろうなって思ったの。





そう告げた、あたしを
隆也君が、ぎゅっと抱きしめた。



「・・・・さっき、オレが****のことをよく見てるって言っていたけど、それ、オレが****に言いたいよ」




「え?」



「確かにオレ・・・・この時、少し悔しかったし、がっかりしてた」



でも、誕生日に家族で揃って
遊園地に行くなんて、
うちの家庭環境じゃあ、
かなり色々都合しないといけないわけで。


無理なことだっていうのも、
子どもなりにわかっていたから、
実はそこまで諦めるのは辛くなかった。


でも、ま、それでも、
遊園地に来たかった気持ちはあったから
こうやって記念撮影って言われて
入り口に立たされて写されると、
やっぱり諦めていたけど、
少しだけ悔しいって思ってる気持ちが
写ってるや。




また来たらいいって、わかってたから、
駄々をこねたり、っていうのは
なかったけど。





ああ、でも、この母の日のプレゼントを
この遊園地で渡そうと思っていたのに
時間が遅くなって。




結局母の日に渡せなかったのは、
結構ショックだったかなあ。








そう言って隆也君は
自分の写真を見て微笑んだ。



そして、あたしを見つめる。


その瞳は、いつものにこやかさとか
優しさとは、違って、もっともっと・・・・
大事なものをみる瞳だった。




「オレ、実はこの時思ってたんだ」



「ん?」



いや、俺が大人になったら、
大好きな子を連れて、
ここに来ようって。


後ろに写ってる観覧車、
あれに乗りたいって思ってた。


この写真を写されたとき、
電気ついて光ってるのが
観覧車だけで、
それがとっても綺麗で。


子どもながらに、いつか、
この観覧車に乗りたいって思った。


夜、きらきら光ってる観覧車に乗って
遠くの街まで見るんだって。
好きな子と一緒に見るんだって。




その夢が叶えられて―――
とても嬉しい。







そう真っ直ぐに
あたしの瞳を見て告げる。




「ありがとう、俺の夢、叶えてくれてありがとう」




にっこりと笑う
隆也君の笑顔が眩しい。




思わぬ言葉で、
あたしは胸が熱くなった。
その言葉だけで
胸がいっぱいだよ。



こうやってサプライズな
誕生日祝いをして
本当に良かった・・・・と
心から思った。




思わず、隆也君の
素直さでじーんとくる






お礼の言葉で
涙が出てきそうになったから
あたしは、慌てて話をそらせた。






「お花・・・」



「ん?カーネーション?」



「うん」



座席に置かれたカーネーションの花束。
赤くて、綺麗にラッピングされている。



「あたし、初めて自分で育てたお花をプレゼントするんだ」


隆也君が好きなお花を探すの、
大変だったよ。
瞬くんや誠吾君に訊いたり。



そういって笑った。
そのあたしの笑顔を
隆也君が眩しそうに見ている。



あたしね。


いつも隆也君からお花をもらうばかりで。
毎日部屋に生けてくれるでしょ?
あれ、すごく好きなんだ。




あたしは、隆也君みたいに
植物とかお花とか詳しくないから、
そういう話をすることが出来なくて。



隆也君が大好きな
植物とかお花を
もっとあたしも
好きになりたいと思ったの。




だって、そうやって
あたしも好きになったら
あたしと隆也君で“好き”の
共通点が増えるわけじゃない?




だから、今回の誕生日プレゼントは・・・・
物じゃなくて、想い出っていうか、
“想い”を大事にしたものにしたんだ。




お金で買えるものは
いつでも買ってあげれるから。



そう告げたあたしを、
隆也君が、また
ぎゅーって抱きしめる。




そして、なにも言わずに、
観覧車の座席に座った
自分の膝にあたしを座らせて
横抱きにして抱きしめる。





「****、そこまで考えててくれたんだ」



「うん、そうだよ」
だって、大好きな隆也君のことなんだもん。




「****はオレにとって最高の恋人だよ」





何も言わなくても。
抱きしめてくれている身体から
隆也君の気持ちが伝わってくる。





好きだ。
大好きだ。
そんな気持ち。




「カーネーションの花、気にいってくれた?」



そう尋ねると、隆也君は優しい目で笑う。



「ああ、本当に嬉しかった」



隆也君の世界に近付きたくて。


もっと隆也君の“好き”を知りたくて。


隆也君に日ごろの感謝と
あたしの愛を伝えたくて。


隆也君の喜ぶ顔が見たくて。




(あたしの願いも叶ったかな)





あたしは、幸せな気持ちになって、
隆也君の抱っこに身を任せたまま、
甘えてた。



2人で何も言わずに、
しばらく夜景を楽しむ。
















「ねえ、隆也君」


「ん?どうした?」


「あのね。瞬君が教えてくれたの」



―――あたしは、
数日前に瞬君に
聞いたことを話した。



「カーネーションの花言葉、何か知ってる?」



「え?知らないっすよ?」


その少し敬語というか、
ちょっとびっくりした声にあたしは笑う。




「知りたい?」



わざとイジワルに言ってみる。


もちろん、それは、隆也君を
からかいたいんじゃなくて、
もっともっと、甘い時間を
二人で過ごしたいから。



「え?」



「知りたいなら、教えてあげる」



にこっと笑う。



隆也君はちょっと
びっくりしていたけど、
不意に笑顔になって、
くすくす笑う。



あたしの仕掛けた
ゲームに気がついたんだ。




「知りたい。教えて」



あたしもくすくす笑う。




「じゃあ、教えてあげるから」
耳貸して。





隆也君が笑いながら、
あたしの口元に自分の耳を寄せる。






その耳元で、あたしは囁いた。




「カーネーションの花言葉は―――---」
















言い終わった後、
隆也君の顔を覗き込むと、
案の定、真っ赤になっていた。




えへへ、小ネタ成功♪



「っ・・・・・・!!」



真っ赤になって、
少し慌てる様子の
隆也君が可愛い。
思わず、笑ってしまう。




隆也君、慌ててる、可愛い~!



そういって笑うあたしを
真っ赤な顔をした隆也君が
軽く睨む。



膝に抱っこされたまま、
至近距離で睨まれても。



その真っ赤な顔で睨まれても。



ただ、あたしはその甘い時間で
こうやってじゃれあってることが幸せ。




隆也君がこの花言葉で赤くなったのが
あたしとしては、とても嬉しかった。




いつも、隆也君の言葉で
隆也君の率直で
ストレートな愛情表現で
赤くなっているのはあたしの方だから。



思わず得意げな
顔になったあたしを
隆也君がぎゅっと抱きしめる。





え?




「ね。今の言葉、もっぺん言って」



思ってもない反撃。



目をキラキラさせながら、
おねだりしてくる。



「もっぺん。今度は耳元じゃなくて、オレの目を見て言ってよ」



「っ・・・!」





あたしが一瞬にして言葉に詰まる。
顔が赤くなったのを見て、
隆也君が、今度は反対に笑う。





「ね。もっぺん言って」




え!あ・・・・あの花言葉は
さすがにちょっと恥ずかしくて、
あたし、耳元ぐらいでしか言えないよ?!




そんなあたしの言葉にも
耳を貸さず。



ねえ、ったら。
何度もねだってくる隆也君。






「お願い」




そう目を見つめて言われて。
返事をするのを待っているのを見たら。




もう言うしかなくて。



赤くなっている自分の頬を
とめることが出来ない。




聞こえてたはずなのに、
もう一回言わせようなんて、
隆也君ったら!!!





そう思いながらも、
そんな隆也君を好きだと思うし、
そして、こうやって
目をキラキラさせてる
隆也君をもっと
喜ばせたいと思う自分がいる。







「カーネーションの花言葉は」








花言葉は?









隆也君の目があたしの目を
じっと見つめてる。
その瞳の色は、かぎりなく甘くて
そして優しい。











『あなたを熱愛する』、だよ。













そう真っ赤になりながら、
小声で目を見ながら告げたあたしに
隆也君が、キスをした。






(それは、オレのセリフ)




そんな呟きも一緒に聴こえる。








観覧車がゆっくり回っていく中、
夜景がちょっとづつ変わっていく。
その変化が綺麗で、
ずっと見ていたいけど。





でも、今あたしが
一番感じていたいのは、
隆也君のキスだけ。





隆也君に抱きしめられている強さだけ。
隆也君の味や匂いや、その全て。





沢山のプレゼント、
ありがとうな。






そう隆也君の声が聞こえる。





あたしこそ。



隆也君がいてくれるから、
毎日幸せで。
毎日沢山のプレゼントをもらってるよ。




だから今日は。



最高の誕生日を
隆也君にあげたい。




傍にいるよ。
もちろん、今日だけじゃなくて
明日も、その次の日も。




来年の誕生日だって。






ハッピーバースディ、隆也君。




今年一年が隆也君にとって
とても幸せな年になりますように。





そう呟いたあたしの声は、
キスで隆也君の中に溶けていった。






















******** 夜の遊園地 Fin . *********

Happy Birthday ! Dear TAKAYA !



















◇ あとがき◇

大木隆也の誕生日祝いに書いたお話でした。

ものすごく・・・長い!!
呆れるほど長い!!
そして、前半はずっと
大木を騙して秘密裏に
誕生日祝い作戦(笑)


大好きな人の誕生日を
最高の演出したい!って
はりきるヒロインが
せっせと隆也のために~って
頑張るお話になりました。

最初書き始めたときは、
誕生日祝いにデートぐらいな
気持ちだったんですが、
書いているうちに、あたしの方こそ
(隆也の誕生日をスペシャルにしたい!)と
このように、ボリュームあるお話になりました。


夜の遊園地のデートで。
夜の雰囲気ではあるけど。

でも、大木らしさが出ていたら
いいなって思います。

前半は少し切なく。
後半は甘く仕上がるようにしました。



恋をして。

相手と同じものが好きになりたくて。

相手の思い出とか、
自分がいない時の
彼のこれまでを思ったり。

もっともっと相手のことを
知りたいという思ったり。

好きだからこそ知りたくなる。

好きだから喜ばしたくなる。

そして喜んだ顔を見て
自分も幸せな気持ちになる。


そんな太陽の下で
キラキラと光って
影さえ見えないようなお話を
書きたかったです。

大木だったら、
そんなお話をあたしに
書かせてくれます。

大木の明るさが大好きです。



大木隆也さま。
お誕生日おめでとう!



12.MAY 2009.つぐみ


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