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Happy Birthday! Dear TAKAYA !!!

★:゚*☆※>('-'*)オメデトウー!(*'-')<※★:゚*☆



大木隆也のお誕生日のために
書いたお話です。


大木の誕生日に合わせて、
なにかちょっとしたことをしたいな、と想ってて・・・。


執恋お友達のNaNaさま(HP:Dream-kei)
ゆんさま(HP:MADE IN LOVE)
「一緒に遊びませんか~?」と
声をかけたところ、
快く承諾していただき。

嬉しいことに、大木の
ちょっとしたBirthdayPartyをすることになりました。


お話のイラストをゆんさんにお願いし、
あたしとNaNaさんがお話を書く。


あたしは、ヒロイン視点から。
NaNaさんが隆也視点から。

1つのお話を、
ヒロインと隆也の視点から。

それで、先攻はあたしの書いた
ヒロイン視点の『夜の遊園地』です。


で、後攻のNaNaさんが隆也視点から
アンサーストーリーを書いてくださいます♪


あたしの『夜の遊園地』がとても
長い話なんで、誕生日前日の今日から、
11日~12日明日まで、
前編・後編に分けてUPします。


お話が長いので、いつものごとく、
分割分を作っています。

その1 その2 その3


以下、創作になります。

ご興味のある方のみ、
どうぞお読み下さい。















******* 夜の遊園地 *******






5月12日、火曜日。

この日は、あたしの恋人であり
専属執事である
隆也君のお誕生日。



もちろん、あたしは、
その日に向けて
着々と準備中。


今度のお誕生日は・・・・
あたしと隆也君が付き合って、
初めての誕生日だから。



(隆也君がとても喜んでくれることをしたいな)



隆也君はあたしの専属執事だから、
常にあたしが快適なように
お仕事してくれてる。



言ってみればいつも、
あたしは、隆也君に
してもらっているばかり。



(あたしだって、隆也君に何かしてあげたい!)



今度の誕生日が、
ちょうどいいチャンスだと思う。



日ごろのお礼も込めて。
大好きだよって思いも込めて。



恋人として、毎日傍にいる
隆也君の最高の笑顔をみたい。



(誕生日はスペシャルにするんだ!)




はりきったあたしの
「隆也君の最高な誕生日」
秘密大作戦はまず、
プレゼント選びからはじまった。







・・・・・・・・・・





―――-しかし、
作戦実行はなかなか困難だ。




だって、隆也君は始終
あたしのそばにいるから。



朝は部屋に起こしに来るし
食事時間は配膳や待機、
学校の送り迎え、
帰宅後のティータイム。


そして、夕食後は
執事としての仕事を終えて
あたしの部屋か2人で散歩しながら
恋人の時間。



寝る前のキスでお別れしたら、
おはようのキスでまた会う。



(隆也君とびっしり一緒だから・・・秘密裏に動けない・・・・)




あたしは、唯一
隆也君と一緒にいない
学校での時間、
授業中に一人頭を抱えていた。




(12日、もうすぐなのに・・・・)




まず、あたしが立てた計画は、
隆也君のプレゼントを
どうするかが最初の鍵。



この間のバレンタインみたいな
欲しがっていた靴、
とかじゃなくて。



もっともっと、
隆也君が意外に思うもの。




あたしは、できれば
今年のプレゼントは
植物にしようと思ってた。




隆也君はあたしの
専属になる前は
庭師だった。



今でも庭の手入れを
手伝ったりもするし、
植物にすごく詳しい。



植物のことをあたしに
教えてくれる時の隆也君は、
執事の隆也君より、
ほんのちょっぴり・・・
生き生きしてる。



あたしは、それを見ると、


(やっぱり庭師の仕事の方がいいのかな?)


って思ったりもするけど、
でも、隆也君は執事として
あたしの傍にいることを
望んでいるし、
あたしだって、
隆也君に傍にいて欲しい。




だから、隆也君が庭の仕事を
手伝いに行ったりするのも、
少しだけ複雑な思いを
したりすることもあるけど・・・・。



でも、あたしは思うんだ。




好きな人の
好きなものを好きになりたい。




だから、あたしは、隆也君が大好きな
植物とかも好きになりたい。




隆也君がどんなお花が好きで、
どんな樹木が好きか知りたい。




そして・・・・。




あと1つ思いついていたのは。




隆也君はあたしの
執事になるために、
言ってみれば、
これまでの自分の仕事だった
庭師を離れて、
執事になってくれた。




あたしは、それに感謝してる。



あたしの傍に寄り添ってくれたことが。


あたしの側に来てくれたことが。





だから、今回の誕生日では・・・・
あたしが隆也君の傍に
寄り添いたいと思う。




つまり、隆也君の趣味とか
その世界に、
あたしが近付きたいってこと。





(隆也君が大好きな花をあたしが植えて、それを育てて隆也君にあげよう)




きっと、隆也君は、そんな素朴な
プレゼントでも、喜んでくれる。


あたしの気持ちが入ってるって
言ってくれる。




お金で買えるものは
何でも買えるけど、
でも、隆也君はそんなのを
望むような人には思えないんだ。




もちろん、欲しかったものをもらったら
嬉しいっていうはずだけど。



当たり前のプレゼントじゃなくて、
あたししかできないような、
そんな特別なプレゼントをあげたい。




きっと、植物とか
成長していく、イノチみたいな
自然が好きだと思うから。



そういう見えないものを形にして
隆也君にあげたいと思うの。





(まずはリサーチ!)






あげたいものの
目星はついたとはいえ、
隆也君に見つからないように
秘密作戦を実行するには、
なかなか困難だ。



ばれたら面白くない。
スペシャルにしたいんだもん。




隆也君にばれないように準備して
そして、当日、びっくりさせて
余計に喜ばせるの。



隆也君が驚いたあとに
多分満面の笑みで
喜んでくれることを
あたしは予想して、
にんまり笑った。



隆也君が好きな
お花を知っている人、と
考えたときに、
真っ先に浮かんだ人は瞬君だ。



バレンタインの時に、
瞬くんから隆也君が
欲しいものを
おしえてもらったから。






今回も、まずは訊いてみよう。








・・・・・・・・・・





「ねえ、瞬君?」

「はい、お嬢様!」



にこにこ笑顔でこっちを振り向く
瞬君を玄関先で捕まえた。



隆也君は今、
あたしのお茶を入れに
厨房へ行っているはず。



「あのね、隆也君のことなんだけど・・・・」



「ええ?」



ごにょごにょごにょ。





(隆也君が大好きな花、とか何か知らない?他の植物、木でもいいんだけど・・・)




あたしの意外な質問に
少し目を丸くした瞬君だったけど、
すぐさま笑顔で答えてくれた。



「隆也さんはどんな植物でも好きですよ?」



・・・答えになってないよ、瞬君。



「そうじゃなくて、なんか・・・気に入ってる、とか、好きそうな花とか、・・・・」





「お嬢さん?」



そこまで聞いたときに
不意に階段上から
声が降ってきた。



振り向くと、ティーセットを載せた
台車を押す隆也君だった。



(意外と早くお茶入れれたんだ・・・・)




「しゅ、瞬君!今のはナイショで」




小さな声で急いで言ったあと、
あたしは、隆也君のところへ走った。





「あ、隆也君、どうしたの?」


「いや、お嬢さんこそ。今、すごい勢いで階段昇ってきたっすけど?」



「あ・・・ううん、なんでもないの」



「瞬となにか話されてたんじゃないんですか?」



あまり疑うことをしらない
隆也君だから、
とりあえず、瞬君から
話題を逸らせば大丈夫!



「う、うううん、なんでもないよ。」



「え?でも瞬のヤツ、こっちを見てますけど?」



あ・・・・。



下を見ると、瞬君がこっちを見て
会釈してくれてる。


その笑顔が・・・。



ばれたらこまる。
さっきのあたしの質問なんて!



「だ、大丈夫だよ。早く行かないとお茶が冷めるから、部屋に行こ?」



あたしは、いぶかしげな
隆也君の背中を押して
部屋まで行った。







・・・・・・・・・・・・・・・・




瞬くんは隆也君
好きなお花や植物が
わからなかった。



第一候補、消え。



第二候補は・・・・やっぱり。



一緒に庭仕事をしていた
誠吾君だ。




誠吾君は・・・瞬君より、
捕まえにくい。




瞬くんはフットマンだから、
だいたいは玄関先とかにいるから
隆也君の目を盗んで(!)
聞きにいけたけど・・・・。



誠吾君は、
さて、今日はどこで
庭仕事をしてるんだろう?




あたしは、自室で
隆也君が入れてくれた
お茶を飲みながら、
窓の外の九条院家の庭園を
じっと見つめていた。




(どっかでお花とか植えてるのかな?)




見える範囲に誠吾君の姿はない。


・・・むやみやたらに
誠吾君を探して
庭を歩き回るのは
さすがに隆也君に
見つかる恐れがある。



(庭にいる誠吾君を探すには・・・・)




「隆也君。今日のアフターヌーンティーはあずまやでやりましょう」



この方法が一番だ。






・・・・・・・・・・・・・・・・・









「今日は、キャラメルチャイですよ、お嬢さん」



いきなり、あずまやで
お茶をしようと言い出して
さっきのティーセットを持って、
隆也君と2人で庭に出た。




チャイが冷めるから、
もう一度入れてくると厨房へ
行った隆也君の背中を送った後、
あたしは、目を凝らして
庭仕事をしているであろう、
誠吾君を探した。




よーくよーくみてみれば、
庭の片隅の作業小屋の近くに
誠吾君がいる。








「誠吾君~!」




少し遠くから声をかけたら、
その声に気づいたのか、
誠吾君が振り返った。



なにか、花の植え替えを
しているのか
スコップを持ってる。



おおい、と手を振りながら
近付くのを、誠吾君が
怪訝そうな顔で見ている。




「誠吾君!」



「・・・・・なんすか?」


誠吾君はシャイだから、
口数が少ない。


それも、もう
わかっていることだから、
そのまま続ける。



「いきなりなんだけどね、隆也君のことで・・・・・」



隆也君の名前を出すと、
少しだけ誠吾君の表情が変わる。
誠吾君は隆也君にすごく懐いてる。


隆也君のことを話すときの
誠吾君の顔が、少しだけ
嬉しそうなのは内緒。


だって、そんなことを言ったら、
誠吾君、絶対照れて、
どっかに行っちゃうもん。



「隆也君の好きな・・・お花とか、わかるかな、誠吾君?」



少し周りをはばかりながら、
小声で訊く。


そんなあたしに誠吾君は目を丸くした。
けれど、無表情のまま言った。


「隆也さんは何でも好きっすよ、花も木も」



・・・・・こっちでも同じ回答か。



ああ、ふたりともだめか。
どうしよう。



二人から聞けないとなると・・・・。
少し頭を悩ませて、
うーん、って唸ったあたしを
誠吾君が、不意に笑った。



「隆也さんは庭仕事長いっすから」



長いといってもさ。
やっぱ、好きな花ぐらいは
あるんじゃないかな?



「・・・隆也さんに訊いてみたら?」


・・・それができたら、
こうやってコソコソ
訊いてまわりません。



どうしようって、
への字になったあたしを
誠吾君がくすっと笑う。



隆也君とあたしが
恋人同士になってから、
少しづつ誠吾君と
関わる時間も増えた。



シャイで照れ屋、
警戒心の強い誠吾君は
最初の頃、あたしとあまり
関わらないようにしてた。


でも、だんだんと、
あたしと隆也君が恋人同士で
よく話題にでるようになったからか、
あたしとも、喋ってくれるようになった。




誠吾君は隆也君のこと、
だいたい知ってると
思ったんだけどな。




誠吾君は照れ屋でシャイだけど、
その分だけ人の気持ちには
意外と気づく方だと思う。
鋭いところがあるっていうのかな。



隆也君はどちらかというと
性格がマイペースで兄貴肌。


のほほんとしているわけじゃないけど、
すごく心が大きくて、
それでどしっと構えてる。



・・・・・隆也君が特に
好きな花や植物とか、
こだわりがないっていうのは、
実は少し予想していた。




だって、隆也君って、
こだわって大事にする
タイプっていうよりは、
どちらかというと
全体を愛してる、
博愛主義っていうか、
平等主義っていうか・・・・。




そこまで考えて、
うーんって唸っていたあたしを
誠吾君が目で促す。




「・・・・隆也さん、あっちいますけど」




あ・・・・。




誠吾君の答えで少し落胆して、
考え込んでいるうちに、
あずまやでお茶をすると、
隆也君を厨房に
いかせたことを忘れてた!



はっと振り向くと、
隆也君が厨房からあずまやへ
歩いていくのが見える。



「せ、誠吾君ありがとう!」



(さっきのこと、隆也君に言わないでね!)



小声で付け加えたあたしを
誠吾君がくすっと笑って、
軽く手を上げた。




隆也君があずまやに
近付くのをみて、
あたしは、少しわざと
ゆっくり歩きながら、
いかにも、そこらへんを
散歩してました風で
歩いてみた。




その姿に隆也君が気づいて
声をかける。



「お嬢さん、どうかしました?」



「ううん、ちょっと花壇の花が綺麗だから見てたの」



いつもだったら、
あずまやの椅子に座って
隆也君がお茶を持って来るのを
待ってるのに
こうやって辺りを
「散歩」してるって
あんまりあたしらしくない。




そうわかりながらも、
とりあえず誤魔化した。




少し隆也君が
怪訝そうな顔をしていたけど、
でも、チャイおいしいね、って
盛大にその味を褒めながら
なんとか、ごまかした。








・・・・・・・・・・・・・・・





第一候補と第二候補が潰れた。


・・・隆也君の好きな花に
別にこだわらなくてもいいかな。




とりあえず、季節の花でも植えて
それをプレゼントしようか。



ああ、でもなあ。




悩みながら、
あたしは、隆也君と
お茶の時間を過ごす。



ちらっと隣を見ると、
隆也君があたしのことを
見つめてる。




「なんか考え事っすか?」




(あ・・・あたし今、考え事して心ここにあらずだったな)




いつもだったら、
隆也君と2人で弾んで
お喋りしてるはずなのに。



隆也君の誕生日を1ヶ月前に控え、
あたしは、どうやって隆也君に
喜んでもらえる誕生日にするか、
ってことで頭がいっぱいだった。




「お嬢さん、最近悩み事でもあるんですか?」
様子、なんだかおかしいっすよ?



隆也君に訊かれても答えられない。



なんでもないよ。


ただ、ちょっと春だしね。
先日のお花見疲れたし、
新学期でクラスメートも変わったから、
ただ、すこし疲れてるだけだよ。




なんて誤魔化すと隆也君は
その言い訳でさえ
真剣に受け止めてくれて、
疲れが取れる手のツボを押すって、
手のマッサージをしてくれる。


これで少しお嬢さんが
楽になれば、って
にっこり笑顔で、
あたしの手をにぎにぎする隆也君。



あたしは、すこし
罪悪感を覚えながら・・・・。




(ごめんね、今は隠し事だけど、誕生日の日は・・・とっても喜ばせるからね!)





それにしても。


なんで、あたしは
恋人なのに
隆也君の好きな・・・
花もわからないんだろう。




そう考え始めると、すごく不思議。



隆也君はあたしの好みとかを
全部覚えるために、
ひそかにメモ帳に
毎日あれこれと書いている。



隆也君はあたしのことを
よく知ってるのに
あたしは、隆也君のこと、
本当に知ってるって
いえるのかな・・・?




そう思うと、なぜか不安になる。


ただそこにいる隆也君の笑顔や
隆也君自身が彼であるって
わかっているのに。





彼のことをあんまり知らないって・・・・
なんか悔しいっていうか、
悪いなぁって思う。




(あたし、お嬢様って立場に甘えて、隆也君に頑張ってもらってるだけなのかもしれない)





そんなことを考えちゃう。



あたしも、もっと
隆也君のことを知りたい。



恋人として、隆也君のことを。




もちろん、今の隆也君自身が、
彼だってことはわかってる。




でも、もっと隆也君を
今の隆也君を作ってきた、
色んなものを知りたいと思う。



どんなことが好きなのか。


どんなことが得意なのか。


どんなことに興味があるのか。


どんな家族環境か。


どんな思い出とかがあるのか。


どんな子ども時代を過ごして
今にいたるの、とか。



そんな、基本的なこと。



どんな道を歩いてきたかってことね。




少しでもいいから、隆也君のことを
もっともっと知りたいと思う。



そんなことを考えていたら、
不意にあたしの頭に
あるアイディアが浮かんだ。


















・・・・・・・・・・・










「大木さん、ごめんなさいね」


あたしはにっこりと笑った。



あたしが今いるのは、
隆也君のお父さんとお母さんの
住んでいる家。



九条院家の敷地の外れに
使用人の人たちが住む建物がある。
住み込み・・・っていうのかな。



隆也君は祖父の代から
庭師として九条院家に仕えてきたと
聞いたことがある。


それで樫原さんに尋ねたら、
隆也君の家族が住んでいるお家を
教えてくれた。



「お嬢様、それで、隆也の何を・・・・?」


少しいぶかしげに
心配そうに訊いてくる
隆也君のお母さん。



「あ、心配するようなことじゃないないです」



あたしは、素直に話すことにした。




来月、5月の12日って、
隆也君の誕生日じゃないですか?

あたし、隆也君にサプライズで
なにかプレゼントをしたいと思って。
彼だったら・・・・
植物が好きだから、
彼が好きな花とか木でも、
なにか、あげたいな、って思って。


その・・・・隆也君の好きな植物とか
親しい友達にも聞いたんですが
特にないって言ってて。


あ、それはそれでいいと
思うんです。
隆也君らしいし。


ただ、なにか、
ちょっとでも
気に入ってるのとかを
知っていたら、
教えていただきたいなって思って。



それか、これまでの
隆也君の中で、
なにか思い出に
残るような花とかあれば・・・。




「おしえていただきたいです」





・・・多分、屋敷の「お嬢様」が
自分の「執事」について
こうやって誕生日だからといって、
あれこれと訊いてくるのは、
びっくりだったみたい。



目を丸くしている
隆也君のお母さんに
あたしは慌てて付け加えた。


「た、隆也君はあたしの専属で毎日良くしてくれます。一番傍にいる、執事・・・だからこそ、隆也君のことを知りたいっていうか・・・・」




なんだか、すごく
言い訳がましく感じて
あたしは、最後まで
言い切れなかった。



でも、気持ちは伝わったみたいで、
隆也君のお母さんは、
にっこりと笑ってくれた。



その笑顔が、
隆也君の笑顔に似てると思う。
親子なんだ・・・。
そんなところにも
あたしは目がいっちゃう。




「お嬢様がそのように、うちの隆也を思ってくださっているのは、母親としてとても嬉しいことです」


思わぬ感謝に、
あたしは少し気が引けた。


恋人・・・だから、こうやって
隆也君のことが知りたいんだけど・・・・。
でも、ここでそれを言う訳にはいかない。



「大木さん・・・。あたしは・・・」


「お嬢様。隆也は確かに植物に関しては、どれも好きです」
でも特に好きだ、
という花もなかった気が・・・。


庭仕事にしても、隆也はどの花も
贔屓目に他より多く植えたり、
というのは、なかったですね






・・・・ここでもやはり。
やっぱり、隆也君の
好きな花は訊き出せなかった。


ううん、特に好きな花っていうのは
ないのかもしれない。





(んー、作戦変更かな)




そう思って、いつも考えるときの
隆也君みたいに、
あたしは斜め上を見て
少し口を曲げながら、考えた。



その表情を見て、
隆也君のお母さんがくすっと笑う。



え・・・?




「どうかされました?」



「いえ。今の表情が少し・・・・隆也に似ていたもので。失礼しました、お嬢様」



あ・・・・。



あたし、隆也君と一緒にいるうちに
彼のクセが移ってしまってるんだ。
少し恥ずかしくなって
頬が赤くなっていくのがわかる。



それで。
うつむいたら。



「隆也の思い出の花・・・・・そうですねえ」




もしかしたら、あの花かしら・・・・?




隆也君のお母さんの口から出た
花の名前は意外だった。










隆也君の思い出の花、ってことで
お母さんが思いついたもの。




ちょっと待っててくださいね、って
出て行った後、
しばらくして持ってきたのが
整理されていない写真束だった。



忙しくてなかなか
写真の整理ができないものだから、
溜めてるんですよ。



そう苦笑しながら
隆也君のお母さんが
あたしに箱から出した
写真束を見せる。



あと、どこにいったかしら、と
アルバムも持ってくる。



(隆也君・・・・結構写真が多いんだ)



やっぱり一人息子だからかな?



見せてくれるアルバムをめくっていく。


どれも子どもの頃の隆也君が、
今みたいに明るくて陽気で
しっかりした笑顔を向けている。



(やんちゃ坊主って感じ)


沢山泥まみれな隆也君や
自転車で遊ぶ隆也君とか。
とても可愛い写真が多い。



(こんなの、見てていいのかな?)



ふと、隆也君に内緒で
彼の小さい頃の写真を
見せてもらってることで
ドキドキしてしまう。


可愛い子ども時代のことを
知ることが出来た嬉しさのドキドキ。


でも、内緒で見てしまってるドキドキ。


隆也君の過去をなんだか
覗き見したようなドキドキ。


可愛い隆也君の姿にドキドキ。




でも、ぱらぱらめくっていくうちに気づく。




隆也君の写真のほとんど、
その背景は九条院家の庭だ。




木登りしている写真。

おうちの前の玄関先に座ってる写真。

花壇の横をお母さんに手を引かれてる隆也君。




(本当に九条院家で育ったって言ってもいいね)



さすがに住み込みで
3代だなと感心していたら、
1枚だけ、ちょっと違った写真があった。





「この写真・・・・?」




他の写真は、日中の庭での写真や
それか部屋の中での写真なのに、
その1枚は、なぜか夜の写真、
それも野外での写真だった。




「これは、隆也が9歳の誕生日の時の写真です」




え?



「ここは・・・・遊園地?」



隆也君の後ろに写ってるのは
電気で照らされてる観覧車。



でも、立っているところは、
遊園地の入り口かな?



なんか電気消えてて
営業終了って感じだよ?





切符売り場の前で
隆也君が一人立っていて
そして、手になにか握ってて
そのままカメラを見て笑ってる。




「これって、遊園地、閉まってませんか?」


あたしが指したのを見て、
隆也君のお母さんが苦笑した。



「この写真、本当はその日遊園地に行こうって言ってたのに、なかなか仕事が終わらなくて」



住み込みで働いている
隆也君のお父さんとお母さん。
たまたまその年は
隆也君の誕生日の5月12日が
日曜日だった。


いつも住み込みで働いてて
家族みんなで
休みになるってこともなかったけど、
その日は・・・・誕生日だったから、
すごく隆也君は楽しみにしていた。


それで隆也君が行きたがっていた
遊園地に、誕生日の日、
家族で行く予定だったとのこと。


それが、当日。


屋敷に急な客人が泊まりに来て
お父さんとお母さんが
屋敷での仕事に借り出され。
結局、隆也君のその年の誕生日は
家族で遊園地に行くことは出来なかった。


でも、ずっと楽しみにしていた
隆也君が、別に不満を
いうこともなかった。


それが余計に可哀想に想えて、
その日の夜、もう深夜になっていたけど、
隆也君を連れて、夜の遊園地に来た。


閉園後だったから、
中には入れなかったけど、
いちお記念にって
入り口の前で写した。





とのことだった。







「あの子は、そういう子なんです。昔から」



そうにっこり笑った
隆也君のお母さんの笑顔は
隆也君にやっぱり似てる。




「心が大きい子なんで、めったに怒ったりすることがないんですよ。マイペースで、駄々をこねたりせず、一生懸命で、一途ですごく気も長いし。」



確かに。


それは、あたしがよくわかる。



だって、あたしのすごいワガママも
隆也君は怒ることもなく
呆れることもなく、
諌めたり、無視することなく、
全て受け入れてくれて、
それを叶えてくれる。



隆也君は本当に心が広くて。
そして、自分のペースがあって
イライラで乱れたあたしに
ひきづられることはあんまりない。



たまにそのマイペースさが
嫌になることもあるけど
でも、本当に包んでくれる心の広さがある。




「この写真のときも、隆也は別に遊園地は来年でも、次にでも行けばいいって笑ってたんです」



写真の中の小さな隆也君は、
にっこりとこっちに向かって笑ってる。



隆也君のお母さんは、
そのときのことを思い出しているのか、
少し穏やかな顔をしてる。



多分・・・・隆也君のお母さんは、
隆也君がそう言った気持ちを
わかっていたんだろうな。



あたしは、もう一度写真を見る。




こっちを見て笑ってる隆也君。





でも、その笑顔は・・・・。



たまに隆也君が頑張りすぎて
ちょっと一生懸命すぎるときに
見せる笑顔に似てる気がした。



(きっと・・・遊園地に遊びたかったんだよね、家族で)



隆也君のことだから、
お父さんとお母さんの
仕事を理解してて、
ちゃんとお留守番
できるコだったと想う。



誕生日の約束を破られて
多分悲しかったはずなのに。
こうやって笑顔で笑って
写真に写ってる



隆也君が、小さいながらも、
今の隆也君と同じような
強さを持ってる気がして
あたしは、ちょっと微笑んだ。



そうだよね。
隆也君はこんな人だ。




隆也君は、自分の中の弱さとか
寂しさを見せないだけの
強さを持っている人。



だからこそ、
あたしは好きになった・・・・。





思わず胸が熱くなった。





あたしが微笑んだのを見て
隆也君のお母さんが、付け加えた。


「隆也は、実はこの日、私にプレゼントを準備してて・・・」


え?


「5月12日。そして日曜日、となれば、お分かりになられますか?」


え・・・・?
えっと・・・。
5月の日曜日・・・・って。



お母さんにプレゼント準備・・・・?





あ!


「もしかして、母の日ですか?」



その言葉に隆也君のお母さんが
にっこりと微笑んだ。


「その年の誕生日は、母の日と重なってて」


それで、その時に、
隆也が私にこの花をくれたんです。



カーネーションの花。
赤い花だ。



写真の中の隆也君は、
2輪ぐらい手に握っている。


なんかリボンみたいなのが
茎で結ばれてるけど、
セロファンなどはなくて、剥き出しだ。




これは隆也が初めて
自分が育てた花でした。

私たちの目を隠れて、
隆也はこの花を育ててて、
誕生日の日に、私にプレゼントして
驚かせようと想っていたみたいです。



庭師の家に生まれて、
隆也には、小さい頃から
屋敷の仕事を見せてきました。


でも隆也は木を植えたりするのは
好きだったけど、
なかなか花は
自分から興味を示すことは
ありませんでした。



まあ、それよりもわんぱくで
木登りばかりして、
木を折っているような子でしたから。





そういって隆也君のお母さんは
くすっと笑った。




そのわんぱく坊主の隆也が、
初めて花を自分で植えて、
そして、その花を切って、
私へ母の日のプレゼントに
してくれたんです。


このことは、大事な思い出です。






そういって、隆也君のお母さんは
懐かしそうな瞳で、
アルバムの写真を指でなぞった。



写真の中の隆也君が
握っているカーネーションの花。


あんまり大きいわけじゃないし、
剥き出しで握っているので、
ちょっと茎が折れたようにも見えるけど・・・・。




(きっと、隆也君、お母さんに喜んでもらいたかったんだな)



隠れてプレゼントを
準備していたって
あたしと同じコトを
考えちゃうんだ、隆也君。



思わず、そのことで
あたしは、ひとり笑った。




こういう思考回路が似てるって、
悪くない。
むしろ、・・・・とても嬉しい。



(ちょっと、最近あたしの行動を疑ってるけど・・・)



あたしがサプライズで
誕生日祝いをする気持ちも
きっとわかってくれるはず。




「もしよかったら、この写真を貸してくれませんか?」






ちょっといいアイディアが浮かんだ。









・・・・・・・・・・・・












あたしは、隆也君のお家を出て
九条院家の母屋へ歩いていた。



ポケットの中には、
さっき、隆也君のお母さんから
貸してもらった写真が1枚。



部屋を出る前に、
あたしは、ちょっと昼寝をするから、って
隆也君を休憩にさせた。


多分、遊戯室でくつろいでるか
自室で隆也君も昼寝してるはず。



あたしは、ちょっと考えたいことがあって
それで、庭の木が沢山植えられてる
一角に来て、そこにちょこんと座った。




ここは、月桂樹の木下で
かなり香りがいい。


昼間より夜のほうが
よく香るんだけどね。




誠吾君のお気に入りの場所と
教えてもらったことがある。



彼がいつも座っているように、
少し座りこなれた場所があるから、
あたしは、屋敷に背を向けて
そこに座った。



そして、ポケットから
写真を取り出す。




その写真は、
まだ小さい隆也君の写真。
夜の遊園地の前で
手にお花を握って
こっちを見て笑ってる写真。



隆也君のお母さんに話を聞いて。



写真を見ていて。






自然と心の中で
プレゼントは決まった。






隆也君がお母さんにあげた
カーネーションにしよう。
それも真っ赤なの。



で、プレゼントする場所は
もちろん、遊園地で。




この写真の年のリベンジじゃないけど。



多分、誕生日の日に遊園地に
行きたかったって想い出は、
隆也君の中であると思う。



それを叶えて
あげたいっていうか。




・・・・・すごく想像の中の世界なんだけど。




隆也君の誕生日を
2人、遊園地で過ごす。
プレゼントは、
あたしが育てたカーネーション。



うん、悪くない。



想い出の上書き、っていうか。
なんていうんだろう。




あたしが思うに、
隆也君はあの日、
すごく悲しかったってより、
多分「こんなものかな」って
諦めたんだと想う。




あの隆也君のことだから、
ものすごく泣いたりとか
そんなことはしなかったはず。




「まあ、こういうこともあるさ」と。



でも、手に握り締めたカーネーションは
その日、家族で遊園地にいけなかった
ちょっとだけ悔しさや
寂しさを表していると想うの。






だから・・・・。




5月12日をどう過ごすか。




あたしが隆也君に何かとても
喜んでもらえそうなこと。



隆也君にしてあげたいってことが決まった。






誕生日の日に
遊園地で笑って
想い出を作る。




それだけ。






「よし。」

人知れず、呟いた。










・・・・・・・・・・・・・・・・・









5月12日まで。
タイムリミットは2週間ほど。


(2週間でカーネーションを種から育てられるかな?)


それはちょっと不安。


とりあえず、専属でついている
隆也君の目を盗んで
あたしが、こうやって
プレゼントを準備するなら、
これは、協力してもらう人が
いないと出来ない!



そう想ったあたしは、
あの人に相談することにした。














「―---2週間で育てられるかな、ね、樫原さん?」



「そうですね。育てられるといえば育てられますが、種子からですと、少しお時間が心配ですね」




あたしは、執事長の樫原さんに相談した。



なんで樫原さんにしたかっていうと、
隆也君のお父さんやお母さんのことを
聞くときに、樫原さんに頼んだし。



それに、隆也君が
専属執事だとはいえども、
さすがに樫原さんだったら、
その執事の仕事を
どっかに振り分けて、
敢えて、あたしが動きやすいように
してもらえるじゃないかなって想ったから。




案の定、相談したら、樫原さんは
いつもの柔和な笑顔で笑った。



「お嬢様、種子からではなく、苗から育てられたらどうでしょうか?」


それなら、2週間ありますし、
苗の大きささえ選べば大丈夫です。




樫原さんは、確かに有能だ。



あたしが、隆也君の誕生日に
自分の育てた
カーネーションをあげたいって
相談をしたら、あと2週間の間で
どうやったらいいのか、など
すぐさま、カーネーションの
苗を手配してくれた。





そして、届いた苗の世話を
九条院家の庭の
一角にある花壇近くで
出来るようにしてくれた。




ついでに、毎日隆也君に
仕事を言いつけて、
あたしが自由に動ける時間を
作ってくれた。




その間の時間、
あたしは、こっそり苗の世話をする。



そして、隆也君は樫原さんに
言いつけられて、仕事をする。



真壁さんと一緒に銀食器を磨いたり。


真壁さんから紅茶のおいしい入れ方を教わったり。


真壁さんから革製品の正しい手入れの仕方を習ったり・・・・。




ようするに、隆也君は、
樫原さんから言いつけられて、
あたしから離れる時間は、
執事としての職務の基本を
真壁さんから仕込まれていた。



執事としての仕事に関しては
完璧主義者の真壁さんを先生に、
隆也君は毎日苦戦していた。



毎日一定時間、
専属の仕事から解かれて
真壁さんに執事の仕事を教わる。



そうすることが、一人前の執事に
早く近付く方法だから。



教育という名目で、樫原さんが
隆也君に話をしたらしい。



もちろん、一人前の
執事に早くなりたくて
自分でも努力している
隆也君のこと。



その話を断るわけはない。




「もう真壁さんったら、こんな顔でみるんですよ、俺のこと」




失敗したときの隆也君を見る
真壁さんの冷静かつ沈着で
眉に皺がよった顔を真似しながら、
隆也君が話してくれる。



その顔がおかしくて、
あたしは思わず笑ってしまう。



(真壁さんにしごかれてるんだ)



ちょっと悪いかなって想ったけど、
でも、隆也君はこのことには、
結構前向きで
「頑張ります!」と言う。



本人が前向きだからこそ、
ちょっとだけ原因を作ったあたしは
少し罪悪感。



でも、多分、いいよね。
これも、執事の勉強の機会として。



まさか・・・・あたしが隠れて
カーネーションを育ててるって
想わないだろうな・・・・。



隆也君が真壁さんに
たっぷりとしごかれている間、
あたしは、部屋で
のんびりしてることに
なってるから。



毎日、決まった時間に
隆也君が真壁さんのところへ行く。


たまには樫原さんの
ところにも行くみたいだけど。




「それじゃあ、お嬢さん、時間ですから」



そう断って出て行く
隆也君を見送ったあと、
あたしは、こっそりと
庭の隅にある苗を
置いてるところへ。



水遣りしたり、
たまに肥料を入れたり。
日当たりを調整したりする。


とりあえず、毎日様子を見に行く。









5月に入って。



あんまり沢山苗を
置いているとばれるから、
10苗だけ。


1苗から1本ずつでも
カーネーションが咲いたら
10本に出来るし。


10個の苗のうち、
5苗ほどに蕾がついた。




(咲いてくれたらいいな。12日ごろ・・・・)



毎日世話をしに来るうち、
愛着がわいてきた。


綺麗に咲いたらいいな。


これをプレゼントするときの
隆也君の嬉しそうな笑顔が
今から目に浮かぶ。



プレゼントは大丈夫そう。


と。


あとは、会場の遊園地だ。









・・・・・・・・・・・・








遊園地の手配も、
樫原さんにお願いした。



写真に写っていた遊園地は、
九条院家から、まぁ近いところにある。


一日貸切でもいいと
思ったんだけど、
でも、よくよく考えてみたら・・・・。



隆也君はあたしの
「専属執事」って立場で、
それも、両親ともに
九条院家で働いている。



その・・・・他の人からみたら、
“使用人”である隆也君の誕生日を
ご主人様であるあたしが、
九条院家の力を使って、
遊園地全体を貸切にして、
派手に誕生日パーティを
開いたとしたら、
多分・・・・隆也君は
どう思うかなって思ったんだ。



他の人の手前、
仕事や屋敷での立場が
やりにくくなったら、
こうやって誕生日パーティを
開く意味がない。



そりゃぁ恋人としては、
隆也君に最高の誕生日を
過ごさせたいから
本当は、2人っきりの
遊園地にしてしまいたい。



夜の遊園地を
2人で気兼ねなく
デートするって、
とても素敵だと思う。



樫原さんに頼めば、
すぐさま1日ぐらい遊園地を
貸しきりにしてもらえるって
わかってる。





でも、そうじゃなくて・・・・。





今回は。

この誕生日は、
できるだけ、あたしの力だけで
隆也君を楽しませてあげたい。




そう、あまり派手じゃなくて。





だから、樫原さんにお願いしたのは、
夜中0時の誕生日の時間。
遊園地の観覧車だけを
貸切させてもらうことだった。



ちょっとだけだったらいいよね。



そして遊園地を、
隆也君のお誕生日の日の
0時あたりに
数時間開園してもらうこと。



(あまりハデにしてばれないように)



ちょっとだけね。
貸切の時間は。





樫原さんにお願いしたら、
すぐさま了解してくれた。











・・・・・・・・・・・・・・・・









準備は完了。


あたしの作戦はこうだ。


まず、隆也君の誕生日前日の
11日の過ごし方。


普通どおり学校に行く。
もちろん、
「明日は誕生日ね」
なんて言わず、
忘れているふりで。



(だって、サプライズだから)




そして、学校が終わったあと、
普通どおりにディナーの時に。
「藤の花が夜ライトアップされて
綺麗なところがあるんだって。行きたいな」


と、夜のドライブに行きたいと
ほのめかす。

つかさず樫原さんのバックアップ。

(もちろん、樫原さんはOKで、GOサインをだす)




あたしと隆也君がほかの車で
夜の藤のライトアップを見ている間、
樫原さんは、遊園地に行って
準備をしてくれる。



樫原さんの車には、
あらかじめ準備した
隆也君へのプレゼント、
カーネーションの花束を積んである。



準備ができたあと、
あたしは連絡を受けて、
藤のライトアップを見た帰りに、
遊園地前に車で寄ってもらう。



遊園地の入り口あたりに
あらかじめ、樫原さんと相談して
ある場所に隠してあった
プレゼントを持って、
0時になったら隆也君を出迎えて






「サプラーイズ!」





って叫びながら、プレゼントのお花を渡す。



ちょっと、夜に
藤のライトアップを観にいくから、
夜のドライブなんて、
苦しい言い訳だけど、
でも、とりあえず、自然な流れで、
0時には遊園地前にいること。





・・・・隆也君のお誕生日に
他の誰よりも最初に
おめでとうをいうのは、
あたしでいたいもん。






色々考えて、
カーネーションの花束に、
お誕生日のメッセージカードを書いた。



メッセージカードを
買いに行くのも大変で、
とりあえず、
ファンシーな文具を買いたいと
学校帰り、街に出たときに、
隆也君の目を盗んでこっそり買った。



お買い物の御代は全て執事の
隆也君が払ってくれるんだけど、
そのときは、かなり女子高生しか
入らないようなお店で、
恥ずかしがる隆也君を
入り口に待たせて、
任務を完了した。




隆也君におやすみなさいをした後、
そのメッセージカードに
日ごろからのお礼と、
あたしの気持ちを書く。




(いつも傍にいるけど、カードを書くって照れるね)




カードでちょっとだけの文章に
しようって思ったのに
書き始めたら、
あれこれと書きたくて。




考えに考えて、
ちょっとした手紙になってしまった。




(よし。カードの準備は完了!)




あとは、無事に当日を迎えるだけだった・・・・。



そう、迎えるだけなはずだったのに。














・・・・・・・・・・・・・・









前々日の夜。



ディナーも食べ終わって、
隆也君と2人、
お茶をいれてもらって
部屋でのんびりしていた。



もちろん、あたしの関心は
いつも隆也君だけど、
この日の一番の関心は
明後日のサプライズな誕生日祝い。



(明日の夜は、どうにか理由つけて藤のライトアップにいかなくちゃ・・)
樫原さんがいてくれるから、
どうにか大丈夫かなぁ・・・・。



いちお、自室だから、
隆也君があたしの傍に座ってくれて、
お茶を飲むあたしの
話し相手をしてくれてる。



誰も見ていないあたしの部屋だから
恋人同士・・・なことをしてもいい。



あたしは、隆也君の肩に
もたれかかって
甘えながら、
隆也君とお喋りする。




・・・・いつもだったら、
この時間が一番楽しいのに
あたしの心は上の空だった。



だって、明日の準備で樫原さんに
隆也君へのメッセージカードを
預けなくてはいけない。



それに・・・・。



話が弾んで、隆也君が
明後日は俺の誕生日~、なんて
言い出したら・・・・。



もちろん話の流れ的に
「おめでとう」っていうはずなんだけど、
サプライズなお祝いを
準備している身としては
そのようなことは!!



断じて避けるべき。



そのサプライズを明かす時間までは
「お誕生日?ん?誰の?」
ぐらいの勢いで
とぼけておかなくては、
全然驚かせる楽しみがない!




ちらっと隆也君を見る。




いつもだったら、お喋りなあたしが
沢山喋っているのに、
今日は口数が少ない。



だから、隆也君がにこにこしながら、
自分の話をしてくれてる。
でも、自分の誕生日の話は
一切なし。


それが不思議。


(隆也君、あたしが気づかなかったら誕生日のこと、自分から言わないつもりかな?)


もうそろそろ誕生日だから、って
自分から言ってくれてもいいのに。
遠慮、とか、恋人同士にはいらないよね。


やっぱり、あたしが“ご主人様”だから、
それで言えないのかな?




そんなことをぼんやり考えていたら、
不意に、片方の頬をつままれた。



「いたー」


「何考えてんだよ?」


「ん?あ、な、なんでもないよ?」


笑ってごまかす。


そのあたしの様子を
じーっと見ている隆也君。



(う・・・疑われてるかな?)




最近、ちょっと隠れてお花を育てたり
樫原さんと打ち合わせしたりで、
実は、なかなか隆也君と
2人っきりの時間っていうのが
少なかったりする。



(それはそれで・・・寂しいだけどね)




でも、全てはサプライズな誕生日のため!


顔では笑って、心は鬼に!!




作り笑いで、にっこりした
あたしの頬を
隆也君がまた、
いーって横にひっぱる。



「い、いたいよ、隆也君」


「・・・・だって、なんか、その笑顔怪しい」


「え・・・・?」



「お嬢さん、なんかオレに・・・・」


「っ・・・・・!!」




そ、それ以上言わせたらだめだ!
思わず、それを遮るために
あたしは嘘の咳払いをした。


「ご、ごほごほごほっ!!!」




真似だけのはずだったけど、
思わず一気に
咳払いをしたものだから、
むせてしまった。



大丈夫?って隆也君が
背中を撫でてくれる。
とりあえず、
誤魔化されてくれたかしら、今ので。



ごほごほと、涙目になるように
(嘘だけど)
ちらりと、隆也君を見ると、
すごく真剣そうな顔をして、
あたしの心配をしてくれてる。




(あ・・・・・・)




風邪?
お茶が不味かった?
気持ち悪い?



思わず隆也君の
疑問を遮るための
演技だったんだけど、
なんかすごく心配されてしまって。





・・・隆也君ったら。




だ、大丈夫だよ。
ちょっと慌てて
お茶を飲んだから
むせたみたい。



そういって見せたら、
隆也君が
本当に慌てん坊なんだから、って
にこっと笑って
背中を撫でてくれる。




・・・・そう簡単にあたしの言葉を
信じちゃうんだね、隆也君。



その、絶大な「信頼」が、
今のあたしにはちょっと
後ろめたいっていうか・・・。



ううん。
なんていうか、
隆也君に隠し事してるのが
ちょっぴり苦しい。



申し訳なくて凹んだあたしを、
不意に隆也君が
ぎゅっと抱きしめた。



え?



抱きしめられながら、
隆也君があたしに呟く。



最近様子がおかしいけど、
どうかしたって。


・・・・どうかしたことあるけど、
それが隆也君の
誕生日のためだって
いうのは、言えないよ、まだ。




ごめんね。
言える時になったら
隆也君にちゃんと言うから。




なんか、微妙な濁し方で答えた。




(明日になったら・・・・明日の誕生日祝いさえ終われば!)



問い詰められて
への字口になって
黙ったあたしをみて、
隆也君が少しため息をつく。



最近、本当に様子がおかしいぜ?



(ごめんね、まだ言えないの・・・・)

それならいいけど。



そう言って、
あたしのお茶のお代わりを
入れようと後ろを向いた
隆也君の背中にあたしは
テレパシーを送る。



明日になれば!

最近あたしが変だった理由はわかるはず!
(ついでに真壁さんにしごかれてる理由も!)

あたしの不審な動きも!



あたしのへの字口が
伝染した隆也君に
あたしは、ぎゅーって
後ろから抱きついた。






心配することなんて、
なんにもないよ。



今はまだ内緒だけど、
明日はきっときっと特別になって、
そして、全て疑いが解けるから!



そう心の中で呟いた。



隆也君は、なんか
勘づいてるっていうか、
ちょっとあたしの様子が
最近おかしいのを
気づいてるみたいで・・・・。


誤魔化されないっていうか、
納得していない顔をしていたけど。



でも、あたしがぎゅっと抱きついて



「なんでもないよ」


って言ったら、ちゃんと
いつもの笑顔を返してくれた。











・・・・・・・・・・・・・









隆也君におやすみなさいをした後。





あたしは、こっそりと
部屋を抜け出した。




(樫原さんにカーネーションの花束に入れてもらうカードを届けなくちゃ)



こっそりと自室のドアを
開けて確認する。



カチャ。




鍵の音さえ響かないで!って思う。
隣の部屋には隆也君がいるから。



(・・・いつもだったら仕事終わったらすぐにシャワー浴びるはずだから)


そう計算して、あたしは、
物音を立てないように
そっと自室を出た。



こっそりと廊下を歩きながら、
あたしは隆也君の部屋の前で
ちょっとだけ忍び足になる。



絨毯が厚いから
別に忍び足にならなくても、
足音が聞こえるとは思わないけど。



気持ちだけ。


ドアの下からは、
部屋の光が見える。


(隆也君・・・ごめんね)


でも、明日までの辛抱だから!



目指すのは、
執事長の樫原さんのところ。


多分、まだ執事室にいると思う。
いつも、樫原さんがお仕事をする部屋。



部屋の前まで来たときに。


ドアがいきなり開いた。


真壁さんが、
するっとドアから出てくる。




ぶつかりそうになったけど、
直前で真壁さんが避けてくれた。



「お嬢様、いかがなさいましたか?」


顔色ひとつ変えずに尋ねられる。



しっかりと目を見据えて訊いてくるから。



(こ、これが隆也君の言っていた無表情ね・・・・)


思わずどぎまぎしてしまう。



「あ・・・いえ、たいした用はないんだけど」

「そうですか」


・・・・・・・・。


「お嬢様のお部屋まで、お送りいたします」

っ・・・!


連行されちゃう!
思わず、慌てたあたしは、

「あ、え、えっと、大丈夫です!樫原さんに用があって」


そこまで言ったときに、
執事室のドアが開いた。
樫原さんが顔を出す。


「お嬢様」

「あ、樫原さん」


その間で真壁さんが、
あたしたち2人を
じっと見つめている。


「お嬢様、お待ちしておりました。どうぞ」


そう言って執事室へ
手招きしてくれる樫原さん。


「真壁は下がってよろしいですよ」


にっこりと笑う樫原さん。
それをじっと見ていた真壁さんは


「それでは、私はこれにて失礼いたします」


丁寧に腰を折って挨拶したあと
行ってしまった。



(・・・なんか、今の誤解されたっぽくないかしら?)



背筋がしゃんと伸びた
真壁さんの後姿を見ながら、
あたしは、ちょっとだけ不安になった。



なんだか、ちょっとだけ
驚いた顔をして、
樫原さんとあたしを
見比べていたよね。



「さあ、お嬢様」

そう促されて、
あたしは部屋に入った。







・・・・・・・・・・・







「お嬢様、どうされました?」

「樫原さん、これ、お願いしたくて」


カードを差し出す。
ちょっと可愛い模様の入ったカード。



プレゼントの花束は、
前もって入り口付近の花壇に
隠してもらうことにしているから。


ちょっと隆也君が
目を話した隙に
あたしがそれをとって、
0時になったら、お祝いを言う。



その間、カードを
花束に入れたりって
時間はないはずだから、
先にカードを預けておくのが
一番だろうと思った。



あたしの手元のカードを見て
樫原さんがやさしく笑う。



「大木も幸せ者ですね」



その言葉で、かーっと恥ずかしくなってしまう。



「あ・・・いえ、その・・・・」



樫原さんにあたしと隆也君が
付き合ってることはばれているのに、
こうやって言われると、
すごく恥ずかしい。



「お預かりして、花束の中にお入れしますね」


にっこりと笑う樫原さん。


「きっと、大木はとても喜ぶと思いますよ」


さあ、もう遅い時間ですので、
お嬢様をお部屋までお送りします。




カードを受け取った樫原さんが、
あたしを部屋まで連れて行ってくれる。



(これで、明日の準備はよし!)



明日の夜中、遊園地で
サプライズに驚かせた時の
隆也君の笑顔が
今から眼に浮かぶよう。



廊下を歩きながらも、
にんまり顔のあたしに、
樫原さんが微笑む。


「お嬢様、明日は楽しみですね」


「うん!」



なんか、カーネーションの苗やら
遊園地の手配やらで色々と
樫原さんには手間をかけさせてしまった。


「樫原さんがいてくれるから・・・・」


できるだけ一人で
準備したかったけど、
なかなか、お嬢様、って立場では
自由が利かなくて。
樫原さんがいてくれて
本当に助かった。



「ありがとう、樫原さん」


部屋の前でお礼を告げると、
樫原さんがゆっくりとドアを開けながら、


「お嬢様のためでしたら、私は何でもいたしますよ」


にっこり笑ってそう言ってくれる。


(樫原さんって・・・・本当に人の心を掴むのが上手だよね)



その優しい言葉に、
あたしもにっこりと笑った。



「じゃあ、明日」


「ええ、明日ですね。」


あたしと樫原さんは
暗黙の了解で、にっこり笑った。




そう、明日は
秘密作戦決行の日なのだから。




「樫原さん、ありがとうございます。おやすみなさい」


「おやすみなさいませ、お嬢様」


ぱたっと、ドアが閉められた。

ふう、と息をつく。



明日の準備はこれで終わり。
あとは、うまく・・・・その時間まで
隆也君にサプライズパーティなのを
知られないようにするだけ。


ちょっと後ろめたい気持ちを
抱えながらも
明日の悪戯と
サプライズパーティのことを思って
あたしは、わくわく気分で寝た。







*******夜の遊園地 前編 FIN. ***********

Happy Birthday ! Dear TAKAYA !!


後編は明日5月12日。


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