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〔夜語り〕最終夜:ゆびきり

大木隆也のお話です。
テーマは約束。

長いので分割にしております。
こちらは分割のその2になります。

1つの記事で読まれたい方は、
こちらから


以下より創作になります。
ご注意下さい。
そのまま、手をひっぱられたまま
自室に帰ってきた。

あずまやに、
ティーセットは置きっぱなし。


自室に入った途端、
ドアを閉めた隆也君が
あたしをひっぱって、
壁に押し付ける。


逃げれないように、
壁に手をついて
あたしの横をふさぐ。


隆也君はあたしより
ずっと身長が高いから、
身をかがめるようにして
あたしに視線を合わせる。


逆光で隆也君の表情が
薄暗くしか見えない。


その動作に
あたしはすごくドキッとした。






「お嬢さん、なんで、あんなってオレを困らせるの?」


少し怒ってる。
ううん、困ってる。

当惑した色が
目に浮かんでるのがわかる。


「だって」


あたしが答える前に、
隆也君が話し始める。


「オレだってお嬢さんの傍に座って、一緒にお茶飲んで楽しい時間を過ごしたいよ」


「でも、それは執事としたら失格だろ?」


少しため息をつくようにして
隆也君があたしに告げる。


「だって隆也君が、あたしの恋人じゃないみたいなんだもん」


駄々っ子だってわかってる。
でも、本当にそう思うんだ。


「なんすか、それ?」

あたしの答えに、
隆也君が目を丸くする。


「・・・・隆也君、時々、あたしとの約束より、他の人のことを優先させたりする」
「それがたまらなくいやなの」


あたしの言葉に、
少しづつ、隆也君の顔が曇る。


あたしの大好きな
ピーカン照りのような
あの笑顔が遠のいていくのが
自分のせいだと分かりながらも
すごく寂しく感じる。


「オレの気持ち、疑ってるんっすか?」


少し低い声で問いただされる。
その目はとても真剣だ。


「・・・・・そうじゃないけど・・・・」

「じゃあ、なに?」


間髪をいれずに、
隆也君が訊いてくる。

あたしの一字一句を
聴き逃さないように
あたしに顔を近づけてくる。


「・・・・あたしは、隆也君がいつも沢山約束してくれるから不安なの」


「え?」


少し驚いた顔の隆也君に、
あたしの心の中にいつもある
寂しさをみられたくなくて、
顔を背けながら言った。


「・・・・約束は破られるためにあると思うから」


「・・・・・・・」


「隆也君が最初から破るつもりで約束してるとは思わない」


でも、小さな約束でも。

隆也君にとって小さな約束でも。


それをとても嬉しく思ってるあたしには
それが破られることが
とても傷つくの。

だって、大好きな人がしてくれた
約束だから。


言い終わった後、
そっと隆也君をみた。

あたしが言う言葉1つ1つを
聴いていた隆也君は
少し不思議な顔をしている。




その次の瞬間。


「ああ、わかった」

不意に隆也君が理解した。


そして、にこっと笑って、
あたしのほうを見て笑う。


いつもの明るい笑顔で。
少し頬が赤くなってる。

え?


「今わかった。お嬢さん、オレにそんなこと思ってたの?」


少し嬉しそうな声で
あたしのほうを見て、
キラキラした目をする隆也君。


「・・・・う、うん」


とっさのことで、
なんで隆也君が
こんなに嬉しがってるのかがわからない。


「いままでずっと?」

「・・・・・うん」


あたしの返事を聴いた
隆也君が、壁についていた手を離して、
少し口を押さえた。


その顔がすごく赤くなってる。
でも、すごく嬉しそうで。

・・・・なんで照れてるの?


「まいったなあ」


隆也君があたしに笑いかける。
ものすごく嬉しそうで、
そして―――





「なんで、そんな可愛いの?」


そういったと思ったら、
隆也君がいきなり
あたしをぎゅっと抱っこして
持ち上げた。


「きゃ!!た、隆也君!!??」


「ああ、もう、めっちゃ可愛い」


ええー?
!!!!



あまりの展開に
あたしはついていけなかった。

なんか隆也君、
1人で喜んでるんだけど。

抱きしめて持ち上げていた
あたしを下ろしたら
今度は、大きく腕を広げて、
あたしをぎゅっと抱きしめた。


そして、髪の毛に頬ずりするのがわかる。


すごく外国人みたいな仕草。
大きなお父さんが、小さな子どもに
可愛い可愛い、ってするような感じ。


「オレからの約束がとても大事なんだ?」


すこし問いかけるような隆也君の声。
ぎゅーっとされた腕の力が
少し強くて、窮屈。


「・・・・うん」


「それを破られないかっていつも心配って」


すこし声を潜めて、
隆也君が嬉しそうに
あたしの耳元で囁く。


「それは裏を返せば、オレのことが好きでしょうがないってことっしょ」

オレ、すっごく今、幸せ!


そう言って、
もっともっと強く抱きしめてくる。

え?どうしてそう思うの?



それに、手加減なしで
抱きしめられたら
きついよ、隆也君。


いきなりの展開で
目を丸くしちゃったけど、
でも、上機嫌な隆也君を見ていたら。
なんだか悔しくなった。


あたし、本当に隆也君のこと
好きで好きで、しょうがなくて。


それで不安に思ったりするのに。

隆也君はそうじゃなくて、
その不安すら、
自分のことを好きなゆえ、
気持ちの強さだと思ってる。


(それはそうなんだけど・・・・さ)


(ここは喜ぶところじゃなくて、もっとなんか、あたしに大丈夫だよ、とか言うところじゃないかな、隆也君?)



隆也君、マイペース過ぎ。


こうやって不安になったりするあたしって
すごく損しているような気分になるよ。


拗ねているのも
損してる気持ち。
でも、拗ねないでいるのも
損してる気持ち。


思わず、さっきの不機嫌よりも、
もっともっと不機嫌な顔をして、
ぷいっとした。


抱きしめている
隆也君の胸をぐいっと押して
離れた。


「あれ?どうしたの?」


あたしのテンションの
低さに気づいたのか
隆也君が不思議そうな顔をして
あたしの顔を覗き込む。


「どうしたも、こうしたもないよ」


隆也君、本当にマイペース過ぎ!
もう、なんていうか、
隆也君にはついていけない。


そう思って離れようとしたら

「どうして怒ってるの?」


腕を掴まれる。


「そんなの、自分で考えたら?」


思わず憎まれ口が出てしまう。
掴まれた腕のまま、
振り向かないで言う。


「なんで?オレがそんな喜ぶのってダメ?」


覆いかぶさるように
後ろから聞こえてくる声は、
まったくもって。

あたしのこの複雑な気持ちを
わかってないことが、ありあり。


「だめじゃないけど・・・・」


「じゃあ、なんで、そんな顔してるの?」


掴まれた腕で引っ張られて、
正面に持ってこられる。

隆也君がすこしかがんで、
あたしの両頬に手を当てる。


「・・・・・・」


答えてよ、って
その目線で
暗に促される。



しばらく沈黙していたけど、
隆也君はずっとあたしの両頬を
包んだままだし、
言わないと離してくれそうにないから、
あたしは、しぶしぶ観念した。



「だって悔しいから」


「へ?」


とぼけた声が返ってくる。
ああ、やっぱりあたしの中の
この複雑な気持ちとか、
隆也君はあんまりわからないんだね。


もう、それさえも悔しい。


「こんなにあたしばかり隆也君のことが好きで、悔しいから!」


思わず唇尖らせて言ってしまった。

でも言ってしまった後に
自分がどれだけ恥ずかしいことを
叫んじゃったかと気づいて、
うわあ、って目を閉じた。


頬が赤くなるのをとめられない。


こんなのって、自分のほうが
好きだっていうのを
叫んでしまったのと一緒だから。


唇尖らせたまま、
目を閉じてしまったあたしに
隆也君がきょとんとした様子で
当たり前のように告げる。


「オレもお嬢さんのこと、好きっすよ」


その言葉があまりにも、
普通な響きすぎて、
ため息が出てきてしまった。


「・・・・・もういい」


両頬に添えられた手を避けて
今度こそ、隆也君から離れようと
振り払った。


「えっ!ちょっ、ちょっと待って」


少し慌てた声。

「ねえ、なんでそんな怒ってる?」

「おしえてよ」

でもまた後ろ腕に掴まれる。
ああ、もう。


「・・・・・・」


「オレ、本当にお嬢さんのこと、好きです」


好きなら、
もっとあたしの気持ちを
分かって欲しい。

だから、なにも言わない。


「・・・その・・・・、もしかしてオレの気持ち疑ってるんすか?」


何も言わないあたしを
誤解したかのように、
少し傷ついたような
隆也君の声。


「・・・・・・・・」


「答えて」



「答えたくない」



「・・・・・・・・」


ため息がきこえた。
隆也君があたしの正面に
回るのが分かる。

でも、目を合わせたくなくて、
視線を横に逸らした。

「じゃあ、答えなくていいから、こっち向いて」

両手を掴まれて、
かがんで、
あたしの目を見ようとする。


20090428033937




「やだ」


「ちゃんと話をしよ」


「やだ」


もう、やだ、って言葉しか出てこない。


なんで、こんな展開になったか、
あたしにもわかんない。


なんか、素直になれなくて。


ずっと目線をあわさないで
横を向いたままのあたしを見て、
隆也君がまたため息をついた。


「オレ、ほんと訳わかんないよ。いきなり不機嫌になったりして」
「オレがお嬢さんのこと、すっごい好きってこと、わからないわけ?」


少しふてくされたような口ぶり。


「・・・・・・・・」


「ん?」


どうなの?って隆也君が訊いてくる。
ん?って言われても・・・。


「わからない・・・わけじゃない」


しどろもどろで答える。


「わけじゃない、けど?」


「・・・・・・・」


そう言われても。
拗ねてしまった気持ちは
簡単には戻らない。


「じゃあ、オレがどれだけお嬢さんのこと好きか証明してもいい?」

「え?」


掴まれた手をひっぱられ
くるっと身体をひっくり返され、
とんっと、押されたら、
背中は壁だった。


「そしたら、オレがどれだけお嬢さんのこと好きかってわかるはず」


と、あたしが答える間もなく
隆也君が激しくキスをしてきた。


壁に押し付けられる。
躊躇なくぶつかってくる感情。


キス。
キス。
キス。


ものすごい勢いで
隆也君から、
あたしの中に
注がれるのがわかる。


普段の隆也君の愛情って、
温かくて包み込んでくれる
優しさだけど、
これは・・・・違う。

もっと激しくて。
あたしを奪うような。
あたしをさらっていくようなキス。






********** ゆびきり その2 *******


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