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〔夜語り〕第六夜:rainyday の分割その2になります。


1つの記事で読まれたい方は、
こちらから。

分割のその1を読まれたい方は
こちらから。


以下、創作になります。
ご興味のある方のみ、
お読み下さい。
********* rainyday その2 ********




え?

そして、ぎゅっと後ろから抱きしめられる。


「あ…晶さん?」


思わずびっくりしすぎて、
少し裏返った声しか出なかった。


片方の手で傘を持ち、
片方の手で、あたしを
後ろから抱きしめてる晶さん。

心臓がどきどきする。


「こうしていれば、濡れないし、その…寒くない、よ。」


強引に抱きしめたこととは裏腹に
声はすごく優しい。



「………晶さん。」



抱きしめられたところが
温かい。

でも、あたし濡れちゃってるから・・・って
身を捩ろうとするんだけど、
晶さんの腕はしっかりと
あたしを抱きしめている。

ドキドキするけど。

でも、なんか、心地よくて、
大人しく抱きしめられてた。


(晶さん・・・・抱きしめられるとすごく安心するよ)




「…・」


晶さんは何も言わず、
抱きしめている。

抱きしめられてるところから、
晶さんが濡れていく。


「…私ね、雨ってやっぱり」

大好きなの、と、
その続きを言う前に遮られた。


「僕も、嫌じゃなくなったかも…」


「え…?」


意外な言葉が降ってきた。


思わず、びっくりしたあたしが
晶さんの顔を見ようとしたら、
腕の力が緩んで、
晶さんのほうを向けた。



ちょっとだけ不思議な色の
目をして、晶さんが、
あたしのことを見つめている。


「雨のおかげで、今、いつもよりもずっと近く、きみとこうして一緒にいられる。」




それって・・・・。


「………」


思わず、あたしは
晶さんの意外な言葉に
黙り込んでしまった。
ちょっと拗ねたい気持ち。



「****ちゃん?」



え?どうして?って
目を丸くした晶さんが
あたしの顔を覗き込んでくる。

あたしは、少し唇を尖らせた。



「ずるい」



ずるいよ、晶さん。
一緒にいたい、
すぐ傍にいたいって気持ちは
あたしも同じなのに。

いつか、その気持ちを
もっと大事なタイミングで
言おうとしていたのに
晶さんが、ここで、今言っちゃった。



「え?」


「先、言われちゃった。しかも、相合傘って…」

相合傘を大好きな人とするのは
あたしの夢だった。

大好きな人と、雨の中を歩きながら、
傘の下では、2人だけの世界。
雨で傘の周りは、
周りから線が引かれるの。
見えない雫の輪で。

大好きな人とは、
両思いになってから、
相合傘をしたかったのに。


今、あたしは片思いしている相手と
相合傘をしている。


そして、あたしたちの会話は、
あたしが両思いになったときに
したいな~と、いつも想像していた
恋人同士の会話、そのもの。



ずるいよ、晶さん・・・・。


そう、ちょっと小声でぼやくあたしを
晶さんがくすっと笑う。

まるで全てお見通しかのように。


ちょっと拗ねて、
ぷいっと横をむいたままのあたしを
晶さんの手が、ぐるっと回されて
晶さんの肩辺りに頭をぎゅっとつけられる。

!!


「…もうひとつ。 誰よりも先に言いたいことがあるんだ。」


「へ?」

思わず間抜けな声が出てしまった。


だってさっきから、
晶さんは後ろから抱きしめたり、
今度は正面から抱きしめたり。

ドキドキするのが、
最高潮まで来ているから。

あたしの気持ちに気づいているくせに、
こんな風にしちゃって。
本当は嬉しかったけど、
気持ちは複雑で、拗ねてしまった。


でも、こうやって、
晶さんに抱きしめられて、
声が抱きしめられた身体を伝って
聴こえてくる。


それが、たまらなく・・・・
あたしの思考を停止させる。


伝えたいことって・・・・。


晶さんはあたしを抱きしめたまま、
しばらく黙っていた。



そして、髪の毛を撫でてくれる。
その仕草が、とても優しい。


撫でていた手が止まって。


晶さんがなにかを言いかけながらも、
言い切れなくて、
言葉に詰まったりしている様子で
なかなか、次の言葉が出てこない感じ。


なにかが始まる予感がして、
あたしは、その、
いつもの晶さんじゃない様子に
少しづつ緊張してきた。


何度も息を呑んでいた晶さんが
不意に、あたしの耳元で囁いた。


「きみが生まれて、こうして僕の元へ来てくれて、ありがとう。」


「っ…?!」


予想もしない言葉に驚いた。
もしかして・・・・。


「よかった。今、きみを見つけたのが、僕で。」

最初の言葉が出たからか、
晶さんは、少し緊張気味の声ではあるけど
でも、優しく囁いてくれた。

その言葉の意味が、
あたしを・・・・・
もしかして・・・・!

「晶さん…」


不意に気づいた。

晶さんがあたしのことを好きなことを。



そう気づいた瞬間、
心の中で、何かが決壊して、
流れていくのがわかった。


拗ねていた気持ちが溶けていって
晶さんと気持ちが通じ合っている
嬉しさが、あたしの中で
どんどん溢れてくる。


晶さんの“好き”って気持ちが
あたしの中に流れ込んでくる。



ああ、そうだったんだ。

晶さん、あたしのこと好きだったんだね。

嬉しすぎて、
じーんとしてしまった。



(あたしも・・・・・晶さんのこと好きだよ)


抱きしめられた身体に
そのままで、呟いた。

あたしの声、聴こえたかな?


聴こえたかわからない。


でも、晶さんが少し力を抜いて、
そして、あたしを抱きしめているのを
味わっている様子がわかる。

そして、ほっとしているのが伝わる。

この抱きしめ方は、多分・・・
“好き”の抱きしめ方。


今まで、あたしばかり
晶さんのことが好きだと
想ってた。

でも、違ったんだね。


・・・・心のどこかで本当は


晶さんがあたしのことを
好きなんじゃ?って想ってた。


でも、自分からそれを
確かめる自信がなくて。

誤解していたら、
もう、心地いい関係を
修復できない気がして。


いつか、晶さんに匹敵するほど
素敵な女性になったら、
晶さんに自分の思いを伝えよう。

この気持ちをいつか。

それくらいしか想ってなかった。





でも、予想もつかないことが起こって。


あたしは、晶さんに抱きしめられてる。


そして、抱きしめてくれてる腕が
あたしのことを大好きだって
伝えてくれる。

抱きしめてくる身体から伝わる
心臓の音が、あたしに告げる。



僕の気持ち、伝わってるよね、って。





うん。伝わってきてるよ、晶さん。








抱きしめられている腕の中から
ちょっとだけ顔を上げて
晶さんの顔を覗き込む。

その瞳は・・・・・

とても優しい。



そして、その瞳の優しさは
さっきまでより・・・もっともっと甘い。

あたししか見つめていない瞳。
その瞳の輝きに心を奪われる。



目と目を合わせたまま。
晶さんが、にっこり笑って告げた。


「****、誕生日おめでとう。」

あ・・・・
覚えててくれたんだ・・・・・!


「!……あり、がとう。」


覚えててくれた嬉しさ。


そして、「今」、
あたしに会いにきてくれてありがとう。

晶さんこそ。
あたしに会いに「生まれてきてくれて」
ありがとう。


不意に、何かにとても
感謝したい気持ちになった。


お互いの気持ちを
分かり合えたタイミングを。

今、愛しい人の傍に居ることを。


「えっ……泣いてるの?」


ちょっとびっくりしたように
晶さんが、あたしの顔を覗き込む。
傘を差していない手の方で、
あたしの涙をぬぐった。


「うん、嬉しいの。」

すごく嬉しい気持と
ちょっと切ない気持ちで。


あたしは、胸がぎゅっとなりながらも、
また晶さんの胸に、
コトンと、自分の頭を
もたれかけた。


晶さんが、ふっと微笑む気配がして、
ゆっくりと、あたしの身体を抱きしめる。



大好きな雨の匂いと、
晶さんの匂いが混じる。


この涙は、嬉すぎるから。


大好きだったのはあたしだけじゃなかったこと。


大好きな雨の中、この人と一緒に入れること。


大好きだからこそ今まで伝えられなかった。


色んな思いが、本当はお互いわかっていたこと。




「…。ねえ、*****、僕を見て。」


不意に晶さんが優しく告げる。


「え………」

顔を上げた。



「     。」



晶さんの唇が、ゆっくりと
あたしの唇に重なる。

やさしい気持ちが。
愛してるって気持ちが。
重なり合った唇から、
あたしに伝わる。




そして。





雨のように。

優しいキスの雨が。

晶さんから
あたしに降ってくる。


そう感じた。



その嬉しさに、
その甘さに。


あたしはゆっくり目を閉じた。


聴こえるのは雨の音だけ。
そして、晶さんの鼓動。

晶さんの愛を囁く声。



抱きしめられている。
キスされている。




雨の音が聴こえる。



今日の・・・・ことで、
もっともっと、
あたしは雨が好きになった。



晶さんも。


雨が好きになったはず。



今日の、この雨の夜は
一生忘れないわ。



今日、ここで、
晶さんと、
気持ちを通じ合わせることが出来て
嬉しい。



あたしの誕生日。


もっともっと、
特別な日になったよ。



ありがとうね、晶さん。








******** rainyday   FIN. *********























◇ あとがき◇

このお話は蓮さまと一緒に作りました。

蓮さまが、あたしの誕生日にまず
セリフの部分を
誕生日プレゼントのSSとして
送ってくださったのを読み、
いたく感動したあたしが、
そのセリフをもとに、
情景をつけたのが、
1つのお話になりました。

だから、セリフだけを読んでも
1つのお話になっているのが
わかるはず。

セリフが先にあって、
あとで、情景や心理描写を付け足すという
やり方で出来上がったこのお話は、
いかがだったでしょうか?

蓮さまがこのお話のセリフは
この「4月の雨、夜語り」の企画の際、
あたしが書いた雨への想いを
汲み取ってくださったからです。

雨への賛歌というところでしょうか。
あたし自身が持っている想いを
是非晶さんに伝えて欲しくて
それで、このセリフ内容になったと
蓮さまから聞きました。

そのお心もすごく嬉しくて、
本文中の独白で思わず語ってます(笑)

本当だったら、蓮さまの中では
両思い設定でのお話だったのが、
セリフをもとに情景を付け加えて
書いているうちに、あたしが
片思い→両想いのお話にしてしまいました。

蓮さまが書いた「」の鍵カッコのせりふは
付け加えも、順序変更も一切ないです。
その限られた中で、
こうやってお話を作るっていうのは、
本当に面白い取り組みでした。

晶さんのお話が夜語りでは
2つも入っています。
まさに、あたしが晶さんのことを
好きなゆえ。
大目に見てもらえると嬉しいです。

晶さんのシナリオがauでは
未配信なので、あまり晶さんのお話は
読まれてもどうなんだろう・・・って
気もしてはいるのですが・・・。

読んでくださるだけで、
本当に嬉しいです。
雨の優しさが感じられる
お話って思えてもらえたら嬉しいな。


29.April.2009 つぐみ


以下、私信です。



++++ 蓮さま +++++

このお話は蓮さんに捧げます。
あんなステキな誕生日プレゼントへの
アンサーがこのお話です。

あたしに、あんなにステキな晶さんを
いつも送ってくれて、ありがとう。
晶さんからのメッセージも・・・・
あの時のあたしには、
とてもとても嬉しかったです。

その感謝の気持ちは
お話1つだけではすまないです。
なので、晶さんとのお話、
絶対書くから、ぜひとも受け取ってください♪

このお話、セリフを先にもらって
すぐさま1つのお話に仕立ててみて。
なんだか、最初から1つのお話みたいだよね。
蓮さんが書いてくださった
セリフがとても優しかったから。
こんな仕上がりになりました。

チャイ好きは、あたしと蓮さんの共通点♪
いつか、きっとチャイを飲みながら、
晶さんについて語り合いましょう!

晶さんが縁で仲良くなって。
あたしはとても幸せです。
だって、晶さん欠乏症のときに
一緒に語り合える蓮さんがいるのだからw

いつも、忙しいのに、
気を使ってくれてありがとう。
「頑張りすぎないで」「無理はしないで」
っていつも言ってくれる貴女の優しさが
あたしを癒してくれてます。
そして、いつも感謝してます。

蓮さんにとって「おかえり」って
言ってあげられるような
そんな優しいお友達でいたいと
心から思っています。

いつもありがとう。
あたしも、蓮さんの優しさに
応えられるように。
もっと優しくて、
そして温かいお話を書いてけるよう
がんばります♪

晶さんへの愛情を
蓮さんと半分こしたい
つぐみより。



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