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〔夜語り〕第六夜は、山科晶さんのお話です。

タイトルは『rainyday』。

執恋お友達の蓮様と
一緒に作ったお話です。

蓮様があたしの誕生日に送ってくれた
SSをもとに、このお話が出来上がりました。

「」のセリフは、蓮様が全て書いてます。
あたしが書いたのは、「」以外の
情景や心理描写など。

2人で1つのお話を作りました。
雨へのあたしの想いを
汲んでくださった蓮様が
書いてくださったセリフが
あったからこそ
このお話が出来ました。

蓮様、ありがとうございます!

雨の優しいお話になっていると思います。

少し長いので、分割を作ってて
この記事は、その1になります。

1つの記事で読まれたい方は、
こちらから


以下、創作になります。
ご興味のある方のみ、
どうぞお読み下さい♪
******* Rainy Day *********




夜がそろそろ深夜に近付く頃。

あたしは、窓際に置いた
長いすに座って、
白いぽっこりと丸い
カフェオレボオルに
入れてもらったチャイを
啜りながら、
自分の部屋の窓から
外をずっと眺めていた。


こうやって、寝る前の時間を
1人でゆっくりと窓の外を見ながら
チャイを飲むのが好き。


特別な時間。


今日あったこととか、
色んなことを考えられる。



明日はあたしの誕生日。
あともう少しで、日付が変る。


カチカチ・・・・


時計の音が鳴るだけの
静かな部屋。

執事になってもらっている
晶さんには、さっき
おやすみなさいの挨拶をした。



窓の外。


外套に照らされた九条院家の庭。
黄色い電灯の光が、月の光より
もっと黄色くて温かい。



今日は闇夜だ。



月が見えない。
沢山の雲で隠されてて、
じっと見ていると、
不意に雨の匂いがしてきた。




ぽつぽつ、雨が降りだしてくる。



(あたしの誕生日は雨になったな)



雨は嫌いじゃない。
むしろ、好き。

雨が降っているときの静寂さ。
静かに、規則正しく下りてくる
雨の銀色の線。
そして、雨だれの音。


どれも、すごく綺麗だと思う。


晴れの日より、
ずっと情緒があって、
雨の日は少しだけ心が温かくなる。


そして、特に夜の雨は。



(あたしの誕生日に雨が降るなんて、少し嬉しいな)



カフェオレボオルのチャイの
暖かい湯気が鼻をくすぐる。


この温かさが
とても優しくて大好き。


少し目を閉じると、
降り出した雨の音が
聴こえてくる。

屋根を伝う音。
窓辺にたれてくる雫。
そして、木々が雨で濡れる音。


耳を澄ませば、
色んな音が聴こえてくる。


少しだけそれに耳を傾けていたあたしは
唐突に、あることを思いついて、
カフェオレボオルをテーブルに置き、
部屋を後にした。










そうっと、裏口の方から出る。
もう夜の時間。



屋敷の中も静まり返っている。


隣の部屋にいるはずの
晶さんは、まだ起きているのかな?


ドアの隙間から光が見える。


(もしかしたら絵を描いているのかも)



こんな雨の夜は、
こうやって絵を描いたり、
本を読んだりするのが
一番似合う。



だって、すごく雨で囲まれているような
不思議な時間になるから。
雨の世界に包まれているような
優しい時間を過ごすことが出来る。


晶さんに気づかれないように、
自室のドアは、
ゆっくりゆっくり閉める。




そして、廊下を降りて、
裏口へ向かった。
















裏口の扉そばに置かれていた
赤い傘を差す。


傘を差した途端、
傘に落ちてくる雨の音。
じんわりと自分を包む雨の匂い。


そして、雨の気配。
柔らかくあたしの身体を包んでくれる。



思わず、優しい気持ちになった。













・・・・・・・・・・・・・・・







雨は小降りで、そして霧雨。
この細かい雨がすごく綺麗。



傘を差しながら、空を眺める。



空から一直線に降ってくる銀の糸。
それが、風で少し揺れて、
弧を描くラインがとても綺麗。


雨の落ちる瞬間が好きだ。


(雨の鑑賞も、いいものよね)


どこへ行く目的もなく、
雨の中、ここにいるのは
ただ、雨の中をお散歩したかっただけ。



雨の匂いと、
雨の気配と、
雨の音を味わいたくて。


あたしの誕生日、
17年前、あたしが
生まれてきた日のその時間に、
大好きな雨と
一緒にいたかったから。



傘を差しながら、
ゆっくりゆっくり庭を歩く。



雨に打たれている
花壇のパンジーたち。

その大きな花弁に溜まる水滴。
きっと恵みの雨で、
喜んでいる。


庭全体の木々が、
雨が降っているのを
喜んでいる気配がして
思わず、嬉しくなって、
そこでずっと、
雨が降るのをみていた。


雨が少し弱くなってきた。
霧のような細かい雨。



(もう傘、いらないかな)


そう思って差していた赤い傘を閉じた。

頬に霧のような細かい雨が降ってくる。

髪の毛にも。
降ってきた雨が、
肌の上で光を反射して光る。
なんだか、すごく綺麗。

その柔らかいミストの感覚を
あたしは目を閉じ、瞼で楽しんだ。



















「****ちゃん!!!」


不意に、あたしを呼ぶ声が聞こえた。


ん?と思って振り返ると、
そこには傘を差して、
少し急ぎ足で歩いてくる
晶さんの姿。


「あ。晶さん。」


さっき“おやすみなさい”をしたのに、
晶さんに逢えて嬉しい。
思わず、そう思って
にっこり笑った。


そのあたしを、
少し怪訝そうな顔で
晶さんが見つめる。


今まで絵を書いてたのかしら?
私服姿だけど、昼間、
人に逢うときの格好じゃなくて
少し着崩した格好。


少しだけ、はだけた上着から覗く
鎖骨や、首のラインが
とても色っぽくて、
あたしは思わず、目をそらしてしまう。




晶さんは、いつも素敵で。

あたしは、そんな晶さんに恋している。



「こんな夜更けにどうしたの?!」

あたしが傘を
降ろしているのが
気になったのか、
手元の傘を、
あたしの方に差してくる。


それじゃ、晶さんが濡れちゃうよ?


あたしは、やんわりと
晶さんの傘を押し戻した。


晶さんが何か言いたそうな顔をしている。


あ・・・・そっか。
よく考えたら、
こうやって、こんな時間に
ここにいることが、普通じゃないか。



「えっと…」


どう説明すればいいか
わからなくて、
少し口ごもってしまった。

なんていったら、いいのかな。

立ち尽くすあたし達を
外套の光が柔らかく照らす。

霧雨だった雨が、
少し小降りになってきそうな気配がした。


雨が激しくなるときは、
いっそう雨の気配や
匂いが強くなる。



「こんな雨の中何を…」


説明をしないあたしに
晶さんが優しく問いかけてきた。

そして、少しだけ手を伸ばして、
あたしの髪の毛や顔についた
水滴を、手で軽く撫でてくれる。


その仕草が、とても自然で。


たまに晶さんはこうやって
何気もなしに触れてくる。
そのとき、いつも、あたしの心臓は
・・・・ドキドキする。


「あ…。えっと、ほらあたし、雨が好きでしょ。」


動揺を隠すように、
あたしは、話はじめた。


とりあえず、雨が好きだから、
雨を見たくて、雨を感じたくて
ただ外に出ていただけなのよ。


「え………それにしたって。」


あたしの答えが意外だったのか
晶さんは目を丸くする。


こんな時間にいきなり抜け出して
庭にいるのを窓から見て、
僕がどれだけびっくりしたかわかる?


あ・・・思わず
心配かけてしまったことを知って
あたしは、どう謝っていいのか
わからなかった。


でも、晶さんが、こんな夜に、
それも、
雨を感じたくて外に出た、という
あたしの言葉をあんまり
よく理解してくれてないのが
少し歯がゆくて。


思わず言ってしまった。


「でも、なんで雨だとみんなそう言うのかな。」


それはいつも思っている疑問。


「え?」


「晴れだって、曇りだって、雨だって同じお天気よ?」

雨だったら、どうしてそんな
少し、晴れの日や
曇りの日と違うみたいに
なんだか、気が重い、って
顔をするのかしら。

雨って、ただ雨が
降っているだけじゃない。
別に、晴れや曇りと
あんまり変るわけじゃない。

それどころじゃなくて、
雨って、沢山の木々を
幸せにしてくれてる。
恵みの雨だもの。


でも・・・・世間一般では、
人にとっては、
そういう雨でさえ、
もうそういう風には
思えなくなってるのかな。


少し残念な気がした。


それで、ちょっと俯いた。
晶さんも、そういう見方で
雨を見ているのが
ちょっと哀しくて。


自分の大好きなものに
自分の大好きな人が
あまり興味がなかった時みたいな
淋しい気持ち。



「…でも、濡れるでしょ。」


「うん。」


「それに、濡れたら体も冷えるし、空はどんよりだし、いいことないじゃない。」


そういって、晶さんは空を見上げる。
夜空だから、雨が降ってきているだけ。
星は見えない。


「いいことない…か。」

確かにそれは
もっともなことなんだけど・・・・。


大好きな晶さんには、
あたしがどう思っているか
わかって欲しくて
思わず続ける。

「でも、雨がなくなったら…人は生きられなくなるよね。」


「…」


そう、雨の日なんかないほうがいい、って
簡単にいうことはできる。

でも、雨の日って、身体が濡れたり
それがどんよりしてて暗かったりとか、
そんな悪いことばかりじゃないんだよ。


わかって欲しかった。


あたしがどう感じてるか。
晶さんには。


「植物にも、生き物にも、雨は必要」

視線を庭の木々に向ける。

沢山の木々がある、
この九条院の庭園。


その全体に降り注ぐ雨は
春の雨らしく、とても優しくて
そして、柔らかい。


「ここにはさ、当たり前のように降ってくるけれど、雨を待ってる人たちもいる。そういうコトも忘れたくないって思うの。」

いつか、テレビで
観たことがある。

干ばつに襲われた国の
子どもたちが
土が浮かんでいる、
あたしたちから見たら
汚い水を一生懸命
ろ過して飲んでいる姿を。


乾燥して、土地が割れてしまって、
砂埃だけが風と共に舞い上がる土地。


あたしは、ここに生まれて、
雨が降ることが当然のことだと
思ってるけど、世界には
そうじゃないところもある。


雨が降る、降らない、は
個人の問題じゃないと
わかってはいるけど、
でも、雨が降る尊さは忘れたくない。






あたしね、雨が降るたびに、
雨が降らない国のことを想うの。


この雨を、その国の人たちに
分けてあげれたらいいのにって。

でも、そういうことは出来ない。



だから、せめて・・・・。



雨が降った日は、
雨が降ることに感謝したいって想うのよ。


雨の優しさ、激しさ、
そして恵みが「当たり前」過ぎないように
覚えておきたいの。


恵まれすぎると、
人ってスポイトされて、
忘れてしまうでしょ?
どれだけ自分がもとから
恵まれてるのか、を。



そうじゃなくて、


今あたしに“当たり前”のように
与えられていることに
感謝することを忘れたくないの。




「*****ちゃん…」



思わず雄弁に
語ってしまったあたしを
じっと見つめている晶さん。


多分、こんなに語る
あたしを見たのは
初めてかもしれない。


だって、いつものあたしは、
晶さんの前にいると、
すごくおとなしくなってしまう。


それは、大好きな晶さんの前だと
緊張しちゃうから。


でも、今は違う。

大好きな雨の力を借りて、
あたしは、堂々と真正面から
晶さんを見つめることが出来る。




夜の魔法を借りて。




・・・・でも、はっと気づく。


晶さんのすごく優しい瞳に。


そして、あたしの名前を
呼んだ後に、何も言わず、
じっとその瞳で
見つめていることに。


「って!でもこれじゃまた風邪ひいて心配かけちゃうよね!」


思わず気恥ずかしくて。

あたしは、そのまま晶さんに
見つめられているのが
ドキドキするから、
どうにかしなきゃ、と
視線をはずすようにして、
明るく言った。




「………」


こっちをずっと見つめたまま、
何も離さない晶さんに
見つめられている
緊張感に耐えられなくて、
くるっとあたしは、きびすを返した。


風邪引く前に部屋に帰らなきゃね。


そういって歩き出した
あたしの腕を
いきなりひっぱられた。



******* rainyday その1 ******


その2はこちらから。
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