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『4月の雨、夜語り』に
ご参加ありがとうございます♪

第四夜は山科晶さんのお話で、
『月夜の晩は』です。

激甘です。
最初で注意しておきます。

晶さんと2人で
山科家の別荘へ
出かけることになったお話です。


長いので、分割にしております。
1つの記事で読めない方は、
その1 その2 からどうぞ。



以下より創作になります。
ご興味のある方のみ、
どうぞお読み下さい。


↓↓↓↓










******** 月夜の晩は ********





数日前まで、季節の変わり目で
風邪をひいてた。



熱をだして学校を休んでいる間
あたしの隣には、晶さんがいてくれた。



あたしの専属執事で、
あたしの大事な恋人、山科晶さん。


そんなに高い熱じゃないけど、
ぐったりしている間、
晶さんが傍にいて手を握ってたり
「よく眠れるよ」と
クラシックの音楽をかけてくれたり
お水やお薬、ご飯を食べさせてくれた。


自分で出来るのに、
・・・・って言っても
自室で食べるときは
誰もみていないから、って
思いっきり晶さんが、
あたしを甘やかす。


そんな晶さんの手厚い看護で
元気になったあたしは。








学校休んで数日。



明日からゴールデンウィーク。



もうすっかり元気だったけど、
連休に入るんだし、と
そのまま学校を休んで。




今日から、山科家の別荘がある
海辺の浜に来ている。



ゴールデンウィークだから、
といっても、仕事が忙しい
義兄さんは休みじゃない。

姉さんも、会社の仕事を
まだ片付けているところだから
ゴールデンウィークも連休じゃないみたい。


連休はどう過ごそうかな。


お屋敷で、晶さんとのんびりしようか。
ウォルフさんとか、
お客さんもいるから
九条院家の屋敷で過ごす
連休も楽しいかもしれない。


そう想っていたあたしに、
晶さんは意外なことを言った。



「どこにも行く用がないなら、いっそのこと、山科家の別荘でも行ってみる?」


どうせ連休だし。
別荘まで着くのに時間がかかるから
日帰りでいけない。
****ちゃんさえ良いなら、
山科家の別荘へ数日行ってこよう。


(そこまで行ったら、誰にも邪魔されないしね)


そう小声で付け加えた晶さんが
とても可愛いと想った。
そして、その提案に胸を躍らせる。


そうだね。
お屋敷で過ごす休日は
いつだって出来る。


でも、晶さん家の別荘で過ごすなんて
滅多に出来ない。


2人きりに・・・なれる。




あたしは、すぐさま返事をした。


晶さんとだったら、
どこに行ってもいいんだけど。


この連休は、
執事じゃなくて恋人の晶さんと
ずっと一緒に過ごしたい。


そう想っていたのが、叶った。
























そして、あたしと晶さんは
屋敷の車に送られて、
都心から3時間。


プライベート付の
海辺の別荘へやってきた。








来ることがわかっていたから、
きちんと手入れされた別荘。


連休の3日ぐらいしかいない、
料理もほとんど出来るし、
食料もあるから、
僕と2人だけで大丈夫だよ、って
晶さんがメイドさんも断って、
本当に2人だけで過ごす
別荘での休日になった。




あたしは・・・・・。



本当はとてもそれが嬉しかった。
料理とか、そんなことは、
あたしでも出来るから。



だって、九条院家に来るまでは
姉さんとの生活で料理もしていた。


晶さんと2人で過ごせる場所だから、
他の人にはきて欲しくなかった。
2人でいたかった。


それは晶さんも同じだったようで
2人揃って、一生懸命、
義兄さんと樫原さんに
誰もついてこなくてもいい、と
説得したのを思い出して、
くすっと笑った。



結局最後は、晶さんが
執事じゃなくて、山科晶として
あたしを招待するということで
別荘行きに許可が下りた。


(最後の手段、使っちゃったね、晶さん)

そう笑ったあたしを、晶さんが
少し拗ねたような顔で睨む。


「本当に慎一郎は君に甘いんだから」
僕の恋人なのに、束縛しちゃって困るよ。


小さな声のぼやきの方が、
あたしにはとても嬉しかった。


















晶さんのおうちの別荘は。


南フランスの海辺の家のような
洒落た別荘で、白い壁に青い屋根だった。


ここ使ってね、と案内された部屋は
天蓋付のベッドに、白い壁にこげ茶色の床で
とても、シックで素敵な部屋。


僕の部屋はここだから、と指した先は
扉1枚のところだった。


え?


驚いて聞き返すと、
晶さんが説明してくれたのは
あたしが使う部屋と
晶さんが使う部屋は繋がってて、
元々は夫婦が使う部屋だったってこと。



「どうせなら、一緒のベッドで寝る?」


軽く笑いながら余裕で訊いてくる
晶さんにあたしは赤くなってしまった。



冗談だよ、って晶さんがあたしの髪の毛にキスをする。



少し眠りなよ。
移動で疲れてるだろう。
荷物は後で片付ければ良いから。


そういって、ベッドへ連れて行ってくれた。


ベッドの中に滑り込んだあたしに
布団をゆっくりかけてくれる。
温かい手でゆっくりと
髪の毛を撫でてくれる。


目が覚めたら声かけて。


そう遠くで聞こえた。

額にキスされる。
おやすみのキス。

ぎゅっと握ってくれた手にも
キスをしてくれる。


やっぱり風邪で体力が
少しなくなっていたあたしは、
長時間の車での移動でぐったりして
そのまま眠ってしまった。


























ぐっすり眠ったせいか、
夢も見なかった。




目が覚めて気がついたら、
外は夜だった。














・・・・・・・・・・・・











「晶さん・・・?」


慣れない別荘の中を
ちょっとづつ歩いて、
階段下に降り、リビングに行くと、
晶さんがいた。


本を読みながら眠ってしまったらしく
本を傍に置いて眠っている。


その寝顔が・・・・
とても整ってて素敵。


晶さんって、本当に
綺麗な顔をしてる。


思わず、その寝顔に見惚れてしまった。
男の人にしているのが
もったいないくらいの美形。


それに・・・・
口を開けば結構辛口だけど、
でも、社交辞令的な場面では
いつも微笑んでいる晶さんは
誰から見ても王子様そのものだと想う。


(でも、あたしだけの王子様だよ、晶さんは)


ちょっと傍に座って、
晶さんの寝顔を見つめる。


少しだけ開けた窓から
まだ少し冷たい風が
ひんやりと入ってきて、
カーテンレースを揺らす。


潮騒の音だけが聞こえる。


プライベートビーチがあって、
別荘の敷地も広いから、
本当に誰もいない。


人の気配がしないって、
こんなに静かなんだと気づく。


九条院家では、どこかしこに
他人がいるのが普通だから。

少し寂しいなって想う気持ちと、
なんだか少し期待する気持ちがある。




(だって、晶さんと2人っきり・・・・)



そこまで考えて、
あたしは、1人、
頬が赤くなるのを感じた。




(キス・・・・してみようかな)




思わずそう思いついた自分に、
また恥ずかしくなる。


(でも・・・・いいよね。だってあたしたち恋人だし)


ちょっとづつ顔を近づける。
ドキドキする。


いつもキスはしているけど、
こうやって・・・・自分から
晶さんにキスするなんて
あんまりない。
それも、寝込みを襲うような形なんて。


ちょっとドキドキしすぎて、
息切れしそうなのを押さえて、押さえて
ゆっくりと近付ける。


(晶さん、本当に綺麗な顔・・・)


思わず見惚れてしまう。
唇までもうちょっと、1cmぐらい。


あたしも瞼を閉じて、
少し触れるだけのキスをした。


ちゅっとして、すぐに離れようとしたら










いきなりぐっと抱きしめられた。

ひっぱられるかのように、
ソファに眠っている晶さんに重なる。











え!!






びっくりして瞼をあけると、
そこには赤い顔をした晶さんが
目をパッチリ開けていた。




あ・・・・!




もしかして、起きてた!!??

頬が熱くなっていくのがわかる。


「****ちゃん、キス泥棒したの?」

少し掠れた声が聞こえる。
寝てたから、かな。



「ごめんなさい、晶さん」




眠っていたの起こしちゃったかな。
ごめんね、晶さん。

抱きしめられたびっくりよりも、
やっぱり眠っていたところを
悪戯でキスして起こそうとしたのに
少し反省して、しょげてしまった。


そんなあたしを、
抱きしめている晶さんが
近距離から覗き込む。



「なんで謝るの?」


「え、だって、晶さんが寝ているところを襲う・・・、あ、襲おう・・・違う!違うの!!」



思いっきり動揺しているあたしに
晶さんがクスっと笑った。



抱きしめられている腕が
しっかりあたしを包んでて、
離してくれない。


「どうせキス泥棒してくれるなら、これくらいのキスで盗んでいってよ」


そう言って、晶さんがいきなり
ぐっとキスをしてきた。


唇を押し付けられる。
少し無理やりに開かせられた唇に
晶さんの舌が入ってくる。


唇全体を食べれちゃっわれたかのようなキス。
何度も何度も少しづつ場所をかえて
吸われる唇。



「ん・・・んん」



思わずぼーっとなってしまう。
溶けそう。
ううん、溶けちゃう。


ゆっくりと唇を離した晶さんが、
あたしの額に自分の額をくっつけて
優しく告げる。


ちょっと赤くなってるけど、
でも、目はキラキラ輝かせてる。




「今度から寝込みを襲うなら、これくらいの勢いで」



「!!!」



思わず真っ赤になって
口をぱくぱくさせてるあたしを見て、
さらに晶さんが付け加える。


「ごちそうさまでした」
とってもおいしかったよ。



にっこり満点の笑顔で笑う。



晶さんッったら!!
もう!!



もう恥ずかしくてしょうがなくて。
こっそりと寝込みにキスをしようとした
ことだけじゃなくて。


晶さんの言葉1つ1つで
ドキドキしちゃう。


真っ赤になって
動揺してしまう。

そんな自分が恥ずかしくて。


(あたし、いつか心臓発作で死んじゃうよ)


思わず恥ずかしくて、
抱きしめている晶さんの腕から
逃げようともがいて、
腕をはずしたら、
今度は自分の腕を掴まれた。



「どこ行くの?」


「し、知らない!」


あたしの慌てぶりに晶さんが
くすくす笑う。
もう、居心地が悪すぎ!


掴んだ腕を、晶さんが引き寄せて、
あたしをぎゅーっと抱きしめた。
ソファで眠っている晶さんの上に
あたしがいて。

ソファで2人そろって
抱きしめあって、横たわってる感じ。




耳元で囁かれる。




「僕の目が届かないところには行かないで」




思わずその言葉に
びっくりして、
すくんでしまった。



ずるいよ、晶さん。
そんな言葉。

・・・すごくドキドキしちゃうじゃない。



「わかった?」


そんなあたしの心は知らず、
ううん、晶さんのことだから知ってて
絶対言ってる。

晶さんは確信犯だから。



確認するように
訊いてくる声にも、
すごく甘い響きが滲んでいる。


「うん、って言わないと、どこにも行かせてやらない」


その言葉の甘さに
あたしの心は痺れてしまって
何も言えなかった。


ずっと答えないでいると
晶さんがあたしの耳もとの髪の毛を
かきあげながら、
少し耳介を噛んで言う言葉。


子どもみたいに拗ねた響きで
ちょっと可愛いな、と
自分の恥ずかしさが、少し収まった。


同時に、甘噛みされた
耳の熱さに、ドキドキする。


このドキドキは、
あたしが晶さんのことを
とっても好きな証拠。


「じゃあ、うん、って言わない」


思わず笑いながらそう言ったら、
晶さんも、くすくす笑う。
そして、さらに少し柔らかく抱きしめる。



「本当に、どこにも行かせないから」



「いいよ」



髪の毛をすべるように撫でる手。



「僕がいないところには行っては、だめだ」


「うん」


髪の毛の中にくぐる指。
もう一方の手は、
あたしの背中を撫でる。



「ずっと傍にいる?」


首元をゆっくりとなぞるように
指が何度も往復する。

背中を抱きしめている手が
あたしの身体の横のラインをなぞる。


「うん。晶さんこそ、あたしとずっと一緒でいいの?」


髪の毛にキスされる。
そのキスが、
あたしの額に降りてくる。


晶さんが自分の鼻先を
あたしの鼻先にタッチする。
そして、少し優しく動かす。


小さな動物が鼻先を
くっつけてきてるみたいな
可愛い仕草。


目線が合う。
とても、優しい。


目元がとても涼しくて、
その瞳に見つめられていることに
心臓がぎゅっとなる。


絡み合う視線同士。







不意に晶さんがにっこりと笑う。



「さあ、どうだろう」


歌うようにかわす
余裕のある口ぶり。

いつもこうやって
するっと肩透かしされる。

でも、わかってるよ。
その肩透かしさえ、
あたしのことが大好きでしょうがない
晶さんの愛情表現なんだって。


そして、それは、
もっともっと、あたしに
好きだって言わせたい
晶さん流のポーズなんだってことも。


「そんな答え方、ずるいんだから」
思わず軽く睨むように言う。


でも、その睨みでさえ
晶さんの心には
砂糖菓子のように
甘く溶けていくのがわかる。

晶さんが喜ぶ言い方。
もう、あたし、
マスターしてるんだから。


「だってわかってることを答えるなんて、面白くないじゃないか」



あたしたち、すごく大好きで
大好きで。
確認なんかしなくたって、
もうわかってる。

でも。

確認することが楽しいの。

だって、何度貴方の口から
好きって言葉を聴いても、
ドキドキするから。

そして、その言葉が魔法のように
あたしを幸せにしてくれるから。



「面白い・面白くないの問題じゃないもん」


少し拗ねるのもポーズ。
“あたしともっと遊んで”のサイン。



「じゃあ、なにが訊きたいの?」


それはお決まりの言葉。

いつもあたしに言って欲しい。
大好きだって。
あたしも、貴方のことが大好きだから。


「晶さんがあたしのこと好きなのかどうか」


沢山、あたしのことで困らせたい。
だって、困るのは
あたしが好きだからでしょ?


困るほど、あたしのこと
好きでいればいい。

困らせるほど、
好きにならせたい。



「・・・それ、さっき訊きたかったことと違ってない?」


「そうかな?」


思わず、2人で額をあわせて
くすくす笑う。


こうやって軽口を
叩いている瞬間が
とても好き。


ちょっと天邪鬼で
ちょっと意地悪で、
でも、すごく甘くて
ドキドキさせてくれる。


晶さんがとても好き。


にっこり微笑んだあたしに
晶さんが少し眩しそうに目を細める。


最近、特に晶さんがこんな風に
あたしのことを見つめることが多い。


その視線が愛しくて、
そして、少し切なくて、
思わずどうしようもなくなってしまう。


その視線が、
あたしの1つ1つの動作を
目に焼き付けてるのがわかるから。


晶さん。
気持ちが視線に表れすぎて、
あたし、ドキドキしちゃうよ。



だから、その視線を避けるように
晶さんの胸に、ぺったりと
自分の片耳と頬をつける。


そしたら、晶さんが
あたしを優しく包んでくれるから。
晶さんの空気に包まれるから。



「外をごらんよ」


髪の毛を撫でている手が
少し止まった。


「ん?」

ちょっとだけ顔を上げて、
窓をみてみる。


「綺麗な月が出てる」


晶さんがゆっくりとあたしの手をひいて
窓際まで連れて行く。


外は、静かに広がる砂浜。
そして濃い紺のような、
夜空が溶けてしまったかのような
そんな海が、優しく波を打ち返している。


まんまると満月が
その上で、煌々と光る。


月の光だけで十分な明るさ。


「本当だ~」

思わず、その景色に見惚れる。
誰もいないプライベートつきの別荘。
こうやって、海を独り占めできる景色が
すごく素敵だと思った。


こんな素敵なところに
連れてきてくれてありがとう、晶さん。


思わずじんわりきているあたしを
晶さんが見て微笑むのがわかる。


こうやって心をあらわにしている間、
晶さんがあたしを包み込むようにして
見つめている・・・・。


この時間がすごく好き。



「月の綺麗な晩だから、少し月光浴でもしようか?」


意外な提案だった。


「げっこうよく?」


聴いたことがない言葉だったから
問い返したら、晶さんが
空に光る月を指していった。


「うん、月光浴。月の光を浴びてお散歩だよ」


さっき沢山眠ったから、
あんまり眠くないでしょう?

それに月光浴は
身体の疲れを取ってくれる。
ずっと風邪を引いて、
まだ少し弱ってるんだから、
月の光を浴びに行こう。


歩いてすぐ砂浜だから、
少し海を見ながら、
散歩が出来る。


せっかくの夜だから
2人きりで歩く海辺もいいよね。








晶さんは、恋人同士に必要な
ロマンチックなことをいつも忘れない。


恋人のあたしには
すごく可愛いし、
すごく甘いし
そして、素敵なことを
沢山プレゼントしてくれる。


思わずあたしが喜ぶことを。




「楽しそう」


手を繋いで歩いてもいい?


思わずにっこり笑いながら
そう訊いたあたしに
もう一度、晶さんが優しくキスをした。

























・・・・・・・・・・・・



















2人で歩く砂浜。
月の光だけ。


砂の上を歩くあたしが
少し足をとられるのをみて、
晶さんがくすっと笑って、
手を差し出してくれた。



その手をゆっくりと握る。



月の光で少しだけ青白く光る
晶さんの横顔。
そのさらさらの髪の毛が
海風で少し揺れる。



砂浜の白さに、
晶さんの影が映る。



その髪の毛に触りたいなって思う。



「こっちだよ」



後ろからつづくあたしを見て
ちょっとだけ晶さんが笑う。


その表情がすごく優しくて、
あたしは、この人が
自分の恋人だってことも忘れて、
また見惚れてしまう。


本当に・・・・王子様みたいに
優雅で、そして、
品があって、綺麗な人。


いつも憧れてる。
晶さんに。


晶さんの傍に居ても
おかしくないような
レディになりたいって想う。

お似合いだって
言われるようになりたい。




(晶さん―――、大好きだよ)





あたしが見惚れていることに気がついて
晶さんがくすっと笑う。



そして、握っている手をゆっくりと引き寄せ
優しくあたしを抱きしめた。


腰の辺りを軽く抱いて、
あたしのことを見つめる。


「どうしたの?そんなに僕のことをみつめて」


理由はわかっているはずなのに。
少し悪戯っ子ぽい様子で
目を輝かして、
あたしの瞳を覗き込んでくる。



「晶さんが、とっても綺麗だったから」


そう素直に答えると、
晶さんがくすっと笑った。


「見惚れてくれるのは光栄だけど、でもそれは僕のセリフだよ」


「え?」


思わぬ切り返しに
あたしが顔を上げたら。


晶さんがこっちを眩しそうに見ている。


「見てごらん。今日の君がどれだけ綺麗か」


そう言って、晶さんが
あたしの髪の毛を撫でる。
撫でながら、それを指で遊ぶ。


「こんなに綺麗で、そして僕のことを見つめている」


月が晶さんの後ろで輝いてて
逆光で表情はよく見えないけど、
その瞳が、すごくキラキラと輝いて
あたしを見つめているのがわかる。


「こんなに素敵な服を着て」


「こんなに綺麗で」


「月の光で輝いてる」





「今の君を誰にも見せたくないよ」


何かを悔しがるような口調に
思わずどきっとする。


でも、その瞳はどこまでも優しい。


「じゃあ、ずっとあたしのことだけ見ててね、晶さん。」



晶さんが優しくこっちを
見つめてくるものだから。


思わず、腕を伸ばして、
晶さんを抱きしめた。







「―――晶さん」


あたしは、そっと瞼を閉じる。
それは、キスの合図。




晶さんが
あたしの名前を
呟くのがわかる。



おでこにかかる髪の毛が
そっと指で横に分けられ
額に優しくキスされる。


そのまま目を閉じていると
その瞼に。

そして、あたしの唇にも。

優しくキスされる。


すごくドキドキする。
大好きな人とキスしているから?


ううん、違う。


あたしのことを大好きだって
そう伝えてくれる人が
大事に大事に、
あたしにキスをしてくれるから。


嬉しくて、
思わずにっこりしてしまう。


キスしている唇から
晶さんの味がする。


それがとても好き。


キスしながら、
晶さんがあたしの
髪の毛をまとめた
バレッタをかちっと外した。


まとめていた
あたしの髪の毛が
海風に煽られながら、
くるくると解けていく。


そして、海風が
あたしの髪の毛で遊ぶ。
ふんわりと風を含んで
肩や背中に髪の毛がおりてくる。


腰まで伸びた髪の毛が
ゆっくりと散らばらすなか、
晶さんの両手が
あたしの両頬に添えた。


「いたずらしてみた」

子どものような目をしている。

すごく楽しそうで
嬉しそうな瞳。


それに加えて滲んでいるのは
あたしへの愛しさだと思う。



「・・・晶さんったら」





だって、こんな月が綺麗な晩に
海辺で、髪の毛を靡かせている
美しい女性がいるのなら、
それは人魚だと想う


君は僕にとって、
そんな存在なんだ。


とても美しくて儚くて
どうしても手に入れたくなる。
誰にも渡したくないと願う。





そんなことを呟く晶さんが
とても愛しい。




「人魚姫はいやよ」
だって、王子さまと結ばれないんだもの。



そういって軽く笑うと、
晶さんがぎゅっと抱きしめた。


「僕があのおとぎ話の王子なら、月の晩に海辺で歌う人魚を探して、僕が海の世界に行くよ」



それも素敵だね。


晶さんの素敵な言葉に酔いしれる。




髪の毛が、
海風に乗って、
散らばり始める。



キスをしても、
海風で広がる
あたしの髪の毛で、
きっと誰にも
あたしたちのキスは
見えないね。


あたしたちがキスしているところを
上手に隠してくれる。



悪戯をしても
あたしが笑って許すことさえ
晶さんは知ってる。



軽くキス。
ちゃんとキス。
触れるようなキス。
啄ばむようなキス。
舐めるようなキス。
息が漏れるキス。


そして優しいキス。



晶さんはあたしに沢山、
色んなキスをくれる。


キスを楽しむように。
あたしを味わうかのように。


そして、この瞬間を
閉じ込めるかのように。


今、あたしたち2人は、
誰にも見られていない。


晶さんとあたしが
恋人同士なのは
お屋敷のみんなは
知ってることだけど。


でも、誰も見ていないところを
探すのは難しい。
あずまやだって。


だから、今日の、
この夜の、この浜辺は、
特別なの。


こうやって、堂々と外で
ずっとキスしていられるって素敵。


ずっと、晶さんと一緒にいたい。
一緒にいて、キスしていたい。


晶さんの全てが
あたしに注がれているのを
感じていたい。



















「少し歩こう。あっちに座れるところがあったはず」


「うん」


晶さんがあたしの後ろで
髪の毛を柔らかくまとめて
くるっと上でまとめた。


バレッタで留めてくれる。


たまにこうやって、晶さんが
あたしの髪の毛を触ってくる。

シャワーの後の
ドライヤーとか。
ちょっとだけお昼寝後に
乱れたときとか。

沢山愛撫してくれたときに
乱れた時にも。

風が強い日は、流れる髪の毛を
リボンで結んでくれることもある。



「髪の毛、伸びたね」


「うん。伸ばしてるの」


晶さんがこの髪の毛を
撫でてくれるから。

それが嬉しくて伸ばしてるの。


やわらかくパーマをかけた髪の毛は
腰の辺りまで伸びている。
前髪は少し長めに斜めに流して。


この髪の毛にしているのは、
晶さんがこういうのが好きだから。
晶さんが選んでくれる服に
似合う雰囲気だから。


抱きしめた時に、肩や腕に触る
この髪の毛の感触が好きだと、
前に言ってくれたことがあるから。


あたしの全ては、
晶さんの“好き”に繋がってる。


「僕は、この髪型、好きだな」


まとめた髪の毛を
少し整えながら、
晶さんが言う。



「ん?どうしたの急に?」


海風で煽られる髪の毛を
まとめただけなのに。


「君の髪の毛をこうやって触るのが好きだって言ってるの」


くすっと笑いながら、
晶さんがあたしの
まとめた髪の毛を
くしゅっと軽く握る。


「髪の毛とか、君があまり他の人に触らせないところも触れていいのは僕だけだから」


その言葉であたしは
思わず微笑んでしまう。


晶さんって独占欲が
あんまり無いように見えて、
たまにこうやって、
匂わせてくることがある。


自分がつけている香水が
気に入ったあたしに
それとおそろいの香水を
プレゼントしたり。


あからさまじゃない形で
あたしのことを独占してくる。


あたしの1つ1つに、
晶さんが入り込む。


多分晶さんの性格だと想うけど、
こうやって、想ってくれてるのが嬉しい。



「あたしは晶さんの恋人だもん」



だから、もっとあたしに
触れて欲しい。
もっと抱きしめて欲しい。


そう気持ちを込めて
晶さんを見つめたら、
晶さんが少し赤くなった。


「・・・・そうやって見つめてくるの、反則だから」


「え?」



「・・・・止まらなくなるから、だめだよ」


そう言いながらも、
晶さんの片手が耳元に触れる。
耳には、晶さんから前にもらった
真珠のピアスをしている。


少し切なそうな顔をした
晶さんの顔が、
あたしに近づいてくる。



「誰にも触らせないところに、キスしてあげる」



僕のレディ、と呟く声が耳元でする。
そして、耳の後ろに口づけた。


「っ・・・・」


耳元であたしの名前を囁く晶さんの声。


反則は・・・・・・
晶さんのほうだよ・・・。


晶さんのキスで溶けたくなる。
このまま、ここで溶けてしまって
波にさらわれたい。


人魚のように
愛しい人の優しい
月光を浴びて
その鱗をキラキラと
輝かせながら
波間に、海風に
愛の言葉を囁く。


愛しい人を見上げて
岩場で歌を歌うの。


貴方への愛を。


そんな情景が目に浮かんでいた。



(****・・・・)

晶さんの囁く声が聴こえる。

沢山、キスされる。
色んな場所に。
誰も見ていないから。
晶さんが、少し大胆に
あたしの服のボタンを外す。

どこかしこにもキスされる。


わかってるよ。
何も言わなくても。
あたしは、唇だけ動かして、
返事をした。





























「ねえ、晶さん」

「なに?」

抱きしめられている腕の隙間から
そうっと、海を見つめる。


「みて。月が海面に映ってる」

ゆっくりと解かれる腕。
あっちだよ、って指差しする。


「・・・・ほんとだ」


月がゆらゆらと
海面に照らされて浮かんでいる。
2つ、月があるみたい。


それを2人でじっと見ているうちに
あたしは、晶さんに伝えたい言葉が
すごく心に湧いてきた。





「晶さんは、あたしにとって、あんなお月様なの」



「ん?」


いきなり話始めたあたしの顔を、
晶さんが、ちょっと覗きこむ。



「昼間はずっと傍に居るけど、お月様のように見えないの。」


「でも、夜はその光であたしのことを照らしてくれる、優しい恋人」


いつも、晶さんに見守られてるから
あたしは、あたしでいられるの。

いつも幸せで。
そして、
晶さんのことばかり
考えてる。


あたしは、昼間も、
お月様な恋人の晶さんが
傍に居てくれたら、って思うよ。



ゆっくり2人で歩いた砂浜。

砂を踏む音。

波が打ち寄せる音。

木々が揺れる音。

海風に吹かれる
あたしのスカートの裾。

晶さんの髪の毛が
少し海風で広がる。

少しはだけた胸元が
夜の空気でひんやりする。


「昼間、あたしの傍に居ない晶さんが、たまにすごく恋しくなる」


おかしいよね。
だって、すぐに逢えるのに。
いつも一緒にいるのに。


なぜだろう。

別れた途端に
すぐまた逢いたくなる。


「あたしがいない間、晶さんは何してるんだろうなぁって」


もちろん、あたしは晶さんが
あたしが学校に行っている間
ヴァイオリンの練習をしたり、
絵を描いたりしているのを知ってる。


でも、訊きたいのは
知りたいのはそんなことじゃない。


晶さんが少し目を丸くして、
それからくすっと笑った。


「その質問ってなに?わかっているはずなのに、僕に敢えて聞くの?」
そんなこと訊かないでよ。


思わず、少し拗ねてしまう。

からかい半分じゃなくて、
あたしは、本当に
そう思ってることを伝えたのに。


そう想って、
わざと顔をそらせた。

繋いだ手をそのままに、少し
晶さんに背中をむけるように
あたしは海のほうを向いた。


そんなあたしをみて、
晶さんがくすっと笑う。


そして、すぐ傍までやってきて


「ねえ」


「・・・・・・」



「しょうがないなあ」


そういって、晶さんは後ろから
あたしをぎゅっと抱きしめた。


「僕が君のことを四六時中考えてるってことくらい、わからないの?」


「え・・・?」


「傍にいないで恋しいと想ってるのは、自分だけだと想った?」


後ろから抱きしめられてるから
晶さんの顔は見えない。
でも、多分・・・・。


「晶さん」


あたしはぎゅっと抱きしめてくる
晶さんの腕を解いた。

そして、身体を回転させて
晶さんに正面から抱きついた。
ぎゅっとする。



「晶さん」



「・・・・・・・」



「晶さんが、あたし、晶さんとずっと一緒にいたい」


本当は四六時中、
ずっと一緒にいたいの。
どこにも行きたくない。
晶さんの傍にいたい。



「****ちゃん・・・・」


「ごめんね、晶さん」


それはあたしのワガママだ。
いくら、執事とお嬢様だとはいえ、
恋人同士だとはいえ、
相手の時間を四六時中も
独り占めなんて出来ない。


晶さんがあたしと一緒にいるために
執事としてついててくれる為に
通信制大学に編入してくれたり、
習い事の時間だって
調整してくれてるのは知ってるのに。


あたし、すぐ晶さんに、
もっともっとって求めてしまう。


つい、ワガママになってしまうんだ。


沢山愛されてるし、
何も不安に思うことはない。


それはわかっているの。
でも、もっともっと、って思うの。


そういう自分が、
本当は少し苦しい。


その苦しささえ、
あたしは晶さんに
ぶつけてもいいのかな?



ちょっと複雑な気持ちになって
うつむいたあたしの顎を
晶さんの綺麗な細長い指が
くいっと持ち上げた。



「****ちゃん、僕は君のことが好きだ」



「うん」


告白してくれた日のように、
晶さんは真剣な目をしている。
たまに不安になるあたしを
晶さんはこうやって、包んでくれる。


「僕もずっと君の傍にいたい」


「うん」



「だから、・・・・もう少しの辛抱だよ」


「うん」


僕も君もやるべき事をやって、
きちんと卒業したら。
そのときは、・・・・わかってるよね?



うん、わかってる。晶さん。



僕は君を離さない。


うん


僕は君の一番傍に
いられるようにするから。


あたしも。


晶さんに似合うように、
晶さんの隣にいても
おかしくないようなレディになる。


その日までに。


その言葉になぜか、
晶さんがくすっと笑った。


「君は、もう立派なレディだよ、****」
僕の理想そのもの、のね。


まだまだ、だよ。
晶さんの目は恋人に
甘いんだから。



あたしが少し
拗ねたようにいう言葉を
晶さんの唇が塞いでしまう。



大好きだから傍にいてねって言葉も。


ずっと晶さんが好きだよ、って言葉も。


あたしを離さないでね、って言葉も。













今日は、月の綺麗な晩だから。

一緒に月光浴をしよう。

そんな誘いで歩く夜の浜辺。




夏の夜のように明るい星は見えない。


なぜなら、あたしの傍に
ずっとあたしを照らしてくれている
お月様のような恋人がいるから。



あたしが愛して止まない
愛しい人。





春の海の穏やかな潮騒の音。

海面に浮かぶ月の影。


あたしを抱きしめてくれる人の
優しいぬくもり。




今日は・・・
ずっと一緒にいてね。
誰もいない、夜だから。



朝まで一緒に過ごそう。
大好きだよ。
君のことが大好きだ。

君を抱きしめて、
今日は朝を迎える。
いいよね?



晶さんからの返事で
あたしは、とても嬉しくなって
少しだけ涙が出てきた。


その最後の言葉は
質問じゃなくて、
もう答えは決まってる。



今までだって、側にいてくれた。


ずっとずっと、
貴方があたしのお月様のように
煌々と輝いている。


一番星の輝きさえも
消してしまうかのような
優しい光で。


いつもキラキラと輝いてて
あたしのことを照らしてくれるの。


貴方の光で、
あたしはとても幸せで
やさしい気持ちになれるの。


昼も、夜も。
いつだって。



見えない昼も、
どこかで見守ってくれている月のように。


夜はあたしだけを
優しく照らしてくれる月のように。



大切なものは、貴方だけ。

いつまでもそばにいて。

大好きだよ、晶さん。





ぎゅっと抱きついたあたしを
晶さんが、優しく抱きしめ返してくれた。















































********* 月夜の晩は Fin. ********





































◇あとがき◇



夜語り第四夜は、山科晶さんのお話でした。

晶さんのお話を書いたのは、
これが2度目です。

晶さんは、大好きすぎて、
本当に書けない。

だから、今回も夜語りでは
晶さんのお話はパスしようと思ってました。

それが、予想もしていなかった
執恋お友達からの晶さんプレゼントで
思わず、心に火がつき、
書いてしまいました。

あたしに晶さんへの愛を
充電させてくださったお友達の皆様、
心より感謝申し上げます。


実はこのお話は、ある曲を
モチーフに書いています。

モチーフというか、その曲の雰囲気が
大好きで、晶さんの話を書くなら、
ぜひとも、と、その曲を探してきました。

すごく昔の曲です。あたし自身も
リアルタイムで聴いたことはないのですが、
メロディと歌詞がすごく好きで、
聴きながら書きました。興味のある方は
『You’re My Only Shinin’ Star 』 で
探してみてください。

晶さんのお話を書くと、
どうしても、月を入れたくなります。
彼には夜の雰囲気が似合うと思うんです。

夜の雰囲気といっても、
繁華街のような明るさじゃなくて、
森に沈む月や星たちのような雰囲気。

砂浜を晶さんと2人で
月夜の晩に歩きたい。

ただそれだけの気持ちで書きました。
途中のいちゃつき具合は、
あたしが晶さんとそうやって
愛し合いたかったからです。


あたしが思うに、晶さんとの恋愛は
他の執事たちとの恋愛とは
一味違って、もっと未来に
繋がってる気がします。

いつも傍にいる恋人の目線でしか、
執事な晶さんも見られない。

執恋のシナリオの中でも、
あたしは一番晶さんのシナリオが好きです。
本当に切なくて、胸がきゅんきゅんして、
プレイ中は、とてもじゃないほど
毎日晶さんに魅了されてました。


晶さんが好きすぎて、
なかなか、表で「晶さんが好き」と
言えないのですが、
でも、いつも執恋で
好きなキャラと訊かれたら、
晶さんの名前も答えてます。
(もちろん、真壁の名前と一緒に)

晶さんのいいところは、
物事の本質を語るところだと思います。
言葉はきつくても。
でも、彼の誠実さが
率直で隠しの無い言葉に
表れてると思います。

このお話では、ひたすら恋人に甘い
晶さんなんで、そういう場面は
入れてないのが残念ですが・・・。


晶さんシナリオをプレイ終了後、
ヒロインと晶さんの
その後を知りたいと
あたしは強く願いました。


その願いは、
実際のイベントアプリなり、
創作なりで、
叶えられてはいません。


でも・・・。

晶さんがヒロインと
幸せになる姿はもう瞼には
しっかり浮かんでいるので。


こうやって愛し合っているお話も書けました。


疑う余地も無いほど
愛し合っていて、
お互いがお互いを信頼してて
心を開いている。


そんな恋人同士の姿を書きたかったです。


てらいもなく好きだと言ってみたり。

キスをしてみたり。

不安の影が差さないほどの
愛情で包まれる幸せ。

めちゃくちゃ愛されている幸せ。

そして、めちゃくちゃに愛している幸せ。


いつも、相手がいてくれるからこそ
自分が幸せでいられて、
それは相手にとってもそうだという愛。


そういうのが少しでも伝わるといいな。



最後まで読んでくださって
ありがとうございました。

月夜の晩、貴方はどういう風に過ごしますか?
よかったら、お聞かせくださいね。



26.April.2009 つぐみ


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