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******** Special DAY ! 3 ***********

・・・・・・・・・・・・・・・・・





いつものように仕事をし、終わる一日だった。


(今日はナナコの誕生日だ)


数日前から、心の中のカレンダーには
大きく赤い丸印をつけていた。
実物のカレンダーにつける必要はない。
だって忘れるわけないのだから。


今日の仕事は早めに片付けて
ナナコの誕生日祝いをするために屋敷へ帰ろうと、
相変わらず、義妹のナナコには甘すぎるほど
甘い慎一郎様が、言い出すのを待っていた。



たまに・・・・慎一郎様が手放しで
ナナコのことを甘やかすのを見て
私の心の隅で、少し嫉妬することがある。


恋心に気づくまでは、
それを私が慎一郎様を大事にして
主人と執事として慕っているからだと思っていた。

しかし蓋を開けてみれば、実は
自分がナナコに心を奪われているからだった。


それに気づいてからは・・・・。



たまに複雑な気持ちになる。




慎一郎様は義兄として、
ナナコを十分に愛することができる。


義兄なので、男として
ナナコを愛しているわけではないと
わかりながらも、それでも、ナナコが誰かから
無条件で甘やかされているのをみるのは
正直、いい気持ちはしない。



それは、ナナコの専属である中岡もそうだ。
何かあると、ナナコは、中岡の背中に隠れるように
すぐに中岡に頼る。

それは、専属執事としてついているからだ、
と分りながら、中岡に軽く嫉妬する自分がいる。


ナナコを好きだと気づいてから、
本当に私は色んな自分を発見する。
それに振り回されて、
いやになることもあるけれど
何かの拍子で、屋敷にいるとき
ナナコが笑っている姿をみかければ、
その気持ちは綺麗に消えていくのがわかる。



ナナコがこの屋敷にいるだけで、
同じ空間にいるというだけで、
それだけで、満足できる。


たった、それだけで。



・・・・それだけで満足していたのに。


・・・・・・・・・・・・・・・・・





ナナコの誕生日だからということで
仕事を早めに(無理やり)片付けた
慎一郎様から言いつけられ、
たまたま仕事が休みだった夏実奥様と
ナナコと、自分の4人で、近くの川原へ
お花見に出かけた。



慎一郎様と奥様が2人仲良く先を歩く。


その後ろをナナコと私が。



(家族団欒を楽しみたいから)
という一言で中岡は留守番になった。


私も・・・・家族なのか、と、
なんだか心が温かくなった。


たまに、慎一郎様のこうやった鷹揚で
そして育ちのよさからくる思いやりが
私の心を満たしてくれる。
私を、ただの執事ではなくて、
人間として、特別扱いで大事にしてくれる。
だからこそ、これまで専属として使えてきた。



ナナコと歩く桜並木。

この並木がずっと続けばいいと願う。



取り留めない会話をしながら、
私は隣を歩くナナコを盗み見する。


春の風に散らばる髪の毛をかき上げる指。
桜の綺麗さに目を奪われて上気した頬。
少し緊張した様子でありながら、
私と一緒にいることを嬉しいと表現している。


今日でこの子はまた1つ年を重ねる。


いつまで経っても、
自分との12歳の年の差が埋まることはない。
でも、1つ年を重ねるたびに、
彼女はとても美しくなる。

だんだんと大人びていき、
そして、今では私だけではなく、
歩くたびに誰か男の目を惹くほどだ。

1つづつ年をとるたびに、
彼女が大人の女性になるのを
喜んでいる自分がいる。
彼女が大人になるたびに
だんだんと12歳の年の差が
気持ちの分だけ埋まっていくと思うから。


私と一緒にいるのを緊張しているのが
少し嬉しくて、思わず意地悪をしてしまう。


菱餅を今日のお花見のお菓子に
持ってきた、などと。


彼女が雛祭りの日に何も言わず
ただ菱餅を食べるのをみていて、
私は、もしかしたら、
ナナコも自分のことを・・・と気づいた。


慎一郎様の言葉に真っ赤になって
うつむいたまま、
ずっと菱餅を食べていたのだから。


その動揺の具合が・・・・
妙に心に残ってて。


案の定、話の中で菱餅の話題を振ると
ナナコが真っ赤になって慌ててしまった。


ふふ。
本当に分かり易すぎる。
その真っ赤になった理由は、
私に関係しているんだろ、ナナコ?


恥ずかしがって、
少し早足で歩いてしまったナナコ。
その後ろで、私はくすくす笑いながら、
ナナコの華奢で小さい背中に呟いた。



ナナコ、あなたのことが好きです



春の突風や、花見をする人々の声で
自分が呟いた声が聞こえるとは想わなかった。


でも、私がそう呟いた時、
ナナコが急に振り返った。


それも、大輪の花のように、
ふわっと美しく笑いながら。

(聞こえてしまってたのか)


一瞬で、思わずそう思って、
私はいつもの自分ではないように
焦ってしまった。



そして、すぐ、
聞こえたわけじゃないってことが分かる。
でも・・・・顔が赤くなるのが分かる。


こんなことで恥ずかしく感じるなんて、
まだまだだな、私も。
そういう自分に苦笑する。


「ど、どうしちゃったの、樫原さん?な、なんか、いきなりびっくりさせちゃった?」

そう言いながら、
私の顔を覗き込むナナコ。
心配そうな表情がとても可愛い。


(気持ちを知られてもいいじゃないか)
どのみち、私は
ナナコのことが好きなのだから。
いつかは・・・ナナコの恋人に
なりたいと想っているのだから。


そして、このことは
私1人だけの気持ちではないはず。

きっと、ナナコも・・・・。



そう想うと、妙に肩に力が入っていた
自分に気がつく。
初めて、本当の恋、だからか?


なんでも器用にこなす自分が、
こう、ナナコに対しては、
こんな不器用なところがあるなんて
新発見だ。



・・・・だからこそ、ナナコのことを
好きでしょうがないのかもしれない。

この矛盾が、なんだか心地よかった。




「樫原さん・・・・?」

愛しい彼女が自分の名前を呼ぶ。
いつか、その口から、
「侑人」と呼ばせたい。


そう、多分、ナナコだったら
照れながらも、とても可愛い、
その声で、私に囁いてくれるだろう。


(多分・・・それは遠からぬ未来かな)


確信している自分自身に、苦笑する。
自信があるくせに、
なにかを恐れている自分の矛盾。


欲しいものは必ず手に入れる。
ナナコも。この恋も。


今日は、いい日だ。
ナナコの誕生日だし。
そして、こんな桜が綺麗な場所で、
彼女に愛の言葉を告げることができるのなら
毎年春が巡ってくるたびに、
私とナナコは、今日の、
この良き日を思い出すだろう。



まだ恋人同士になる前に、
2人で歩いた桜並木での想い出を。



心を決めた。
今日こそ、ナナコに言おう。
まだ早い、と思っていたけど、
多分・・・今日はいい日だから。


こういう風に賭けをするように
決断してしまう自分がいることにも気がつく。
全て、ナナコのせいだ。
こんな私にしたのは。

でも、それでも、いい。


2人っきりになりたくて、
ナナコを別の場所に誘う。


その手を握って歩き出す。
きっと、今日初めて握った手だけど、
これからは、何度も繋いで歩くはず。


小さくて可愛い手。



この手を引いて、
どこまでもナナコを連れて去ってしまいたい。
今すぐにでも。



下見で見つけた、特別な場所。


桜や他の春の花が綺麗な場所に
ナナコを連れて行く。


そこに咲き乱れる春の花の
色彩豊かさに目を奪われるナナコに
私の心は釘付けだ。


その仕草や、その姿、1つ1つが
心の中で何度も焼き付けられる。
花よりも綺麗で美しいナナコしか
私の目には映らない。



「ナナコ」


これから話すことは
特別なんだ、とわかってもらうために
いつも心の中で呼んでいる名前を口にする。

口に出した途端、その名前の響きが
どれほど自分の胸を締め付けるか気づく。
この名前すら、愛しすぎる。



今、ここで彼女に告げよう。
私の気持ちを。



多分、私が告げることで
この恋が始まる。
ナナコは・・・・私のことを好きなはずだから。



春の風の勢いに、桜の花びらが乱舞する。
その中にいる私たち二人。
ナナコの桜色をした唇に目を奪われる。



「ナナコ・・・・・、私はあなたのことが好きです」
だれよりも。



そう付け加えた瞬間、強い春風に
自分の愛の言葉が連れ去られた。


2人しかいないこの場所に、
ただ、桜吹雪の風だけがいて、
私たち2人の恋に悪戯をした。



「え?今、聞こえなかった」


いきなりの風で乱れた髪の毛を
耳元で押さえながら
ナナコが尋ねる。


こんな時に聴こえなかったなんて。

タイミングの悪さに
思わず苦笑してしまう。

でも、まぁ、1回で聴こえなくても
これから何度もいう言葉であるから、
なにも困ることはないのだけど。


それに、こういう風にしていて
聴こえないのなら、
抱きしめて、その耳元で聴かせてあげよう。


こっちを覗き込んでくるナナコが
可愛くて仕方ない。


2人っきりになってこれだから、
恋人になって、もっと近い距離でいることができたら
私は、多分・・・・ナナコのことが可愛すぎて
甘やかして甘やかして・・・・離れられなくなる。


ドラッグのようにナナコに溺れる自分が
容易に想像できるところが不思議だった。


多分、誰にも彼女を見せたくない、
独り占めしたいと想うようになって
彼女を独占してしまうのは、
恋人同士になったら、すぐだろう。
思わず、そんなことが頭に浮かんでしまう。

この恋が私にもたらす効果。
それは、予想外のことばかり。
なんでも思い通りに事を運んできた
自分の手に、負えそうにないような、この恋。


多分、この恋は「私」を、
「いつもの私」ではいさせてくれないはずだ。


それでありながらも、
こういう自分自身も・・・悪くないと想う。
この目の前にいる、可愛くて愛しすぎる子に
振り回されて、溺れてしまうのも。



この愛らしくて、小さくて、可愛い存在を
抱きしめることができるのなら。
自分のものにしてしまえるのなら。


「あ・・・ごめんなさい」

ナナコの髪の毛が、風に吹かれて
私の執事服のボタンにかかる。


ボタンに絡んだ髪の毛をはずそうと、
ナナコの指が私の胸元に伸びてくる。


意識せず触っているのだろうけど、
髪の毛をボタンから外しながら
ナナコの指先が私を触る。


その指先に
私の気持ちが、少しづつ乱されていく。



思わず、たまらなくなって
私はナナコを抱きしめた。

さっき、聴き逃した言葉を
もう一度告げたくて。



え?


びっくりした声が聞こえる。

ナナコの身体を自分自身の身体で包むように
ぎゅっと抱きしめる。


ずっと本当はこうしたかった。


ナナコのこと、好きで、
ずっと触れたかった。



(ナナコ、私はあなたのことが好きです)


正攻法に自分の気持ちを伝える。
これ以外の言葉が、あるだろうか。

一緒にいたい。

その言葉だけでは、伝わりきれない
想っていることは全て。




(ナナコのことが好きだ)



それだけ。


好きだと伝えることで
この恋が、2人の運命が
最初の鍵を与えられて
動き出すのが分かる。


ねえ、ナナコ、わかるかい。

今、ここから私たち2人の恋が始まる。

私のことを好きだと言ってほしい。
傍にいたいといってほしい。

その言葉を聴けたのなら、
きっと、私は一生君を離さないのだから。


耳元で囁く愛の言葉。
言葉にならない言葉。



ナナコ、私のことを好きだといってくれ。
ナナコ、ナナコ、ナナコ


何度も、名前を繰り返す。


ずっと驚いたように固まっていた彼女が
少し笑う気配がした。
そして、私の背中に腕が回されて、
しがみついてくる。


(樫原さん・・・・あたし、樫原さんのことが好きだよ)



初めて抱きしめた
ナナコの身体から伝わる鼓動の音。
この音を、ずっと・・・忘れはしない。
何度、これから先、抱きしめたとしても。


胸の中で小さく震えるナナコ。
春風に舞う彼女の髪が
優しく私に触れてくる。
さわさわ、と微かな音が聴こえる。


少しだけ顔を上げると、
そこに広がるは、桜吹雪の中、
ゆったりと流れる水面。
水面に浮かぶ薄紅の桜の花びら。


愛してるよ、ナナコ。


この言葉だけで十分。

樫原さん・・・・って
私の名前を呟く声が
抱きしめた身体ごしに響いてくる。


季節が巡り、また春がきたら
ここに、この場所にまた2人で来よう。
約束だ。

今日のような綺麗すぎて
幸せすぎて泣きたくなるような日々は
多分・・・これからもずっと続いてくるけど。


今日は、とても特別な日だから。


ナナコ、誕生日おめでとう。


心から愛してる。



この気持ちを伝えられて良かった。
これからは、ずっと君の傍にいるよ。












******** Special DAY ! Fin . ***********

HAPPY BIRTHDAY NANAKO!
















◇あとがき◇

いつも仲良くさせていただいている、
執恋お友達のナナコさん(『It‘s lovers』)の
お誕生日祝いとして捧げます。

ナナコさんが大好きな樫原さんで書きました。

どちらかというと、誕生日祝いなので、
恋人設定で2人で誕生日祝いをしている話を
書こうと思っていたのですが、
丁度ナナコさんの住んでいらっしゃる場所の
お花見の時期のことも考えて、
桜を題材に使って、誕生日と絡ませました。


いやぁ・・・・樫原さん。


なんか、書いていると、
めちゃくちゃヒートアップしてくるんですがっ!
書きながら照れるというより、
もっとこんなことを言わせたい、とか
こんな風に言ってほしい、っていう思いが
広がりすぎて、お話が長くなりました。

あたしの話は、SSじゃないな・・・。
これじゃぁ、立派に
前編後編にすれば良かった。


文の量が半端ないです。


もっともっと、甘く甘く・・・・
恋人同士の糖度高い話も好きなんですが、
片思いから両想いになる瞬間の
あのときめきを書きたくて。


樫原さんのキャラを大事にしたいと思いながら、
なんだか・・・(どうなんだろ?)
ちょっと菱餅のこととかで
ギャグに走りそうだと
心配させてしまってすいません。

真面目に書いてます、あの菱餅は。


ちなみに、あたしは菱餅好きです。
雛祭りからの話題をひいて、
この4月の話なんで、
ちょっとネタ詰めすぎですね。

いつもより、長めのお話。
それも、甘い・・・というより、
なんていうんだろう。
切甘、というより、甘、かな。
激甘ではないと思いますが(笑)


ここまで読んでくださった皆様、
ありがとうございます。
誕生日祝いのお話なので、
すごく個人的なお話になってるかとは思いますが、
読んでよかったよ~とか思ってくださるなら、
本当に嬉しいです。

いつも、いつも、ありがとうございます。





14.APRIL.2009 つぐみ

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