2017 07 / 06 last month≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫08 next month
スポンサーサイト  --/--/--  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 | スポンサー広告  | Page Top↑
1つの記事で読まれたい方は、
『〔執恋〕捧げ夢:「Special Day!」FOR NANAKO!』でどうぞ

以下、創作になります。



↓↓↓

******** Special Day ! 2 *******








「うわ・・・・!すごい・・・!とっても綺麗・・・・」





水面に流れ込むように枝垂れている桜。
その根元に群になって咲く水仙や菫の花。
薄紅の世界に、水仙の黄色と菫の紫色。
水面は空を映して、水甕色をしてる。
そこに、はらはらと落ちてくる
白くて・・・ほんのり紅がさした桜の花。



思わず見惚れるようにしていたあたし。
その横で見守っててくれる樫原さん。
手はまだ繋がれたまま。





「ナナコ」



不意に声が聴こえた。


!!!!


樫原さんの口から出てきた
あたしの名前の呼び捨て・・・・
ちょっと切なげで、どきっとした。


気づくと、樫原さんが
あたしのすぐ横に立っている。
少し・・・・距離が近い。


なんだか、真剣な顔をして、
あたしを見つめている。


「ナナコ・・・・・・・・/////」


あたしの名前の次に、
何か言ったはずだけど、
急な春の突風で、
思わず桜吹雪が舞い落ちてきて
びっくりしたあたしは、
その続きが聞き取れなかった。



「え?今、聞こえなかった」



ん?って顔をした
あたしの顔を覗き込むように、
ふっと樫原さんが微笑む。


なんか、とても真剣なことを
言ったように思えたんだけどな。



髪の毛が風でなびいて、
乱れてしまった。
すぐ傍で立つ樫原さんの執事服に、
あたしの髪の毛がかかる。



「あ・・・ごめんなさい」


そう言って、樫原さんの
執事服のボタンに絡んだ
あたしの髪の毛を取ろうとした瞬間。




樫原さんが腕を伸ばして、
あたしをぎゅっと抱きしめた。




耳元で、樫原さんが囁く声が―――。











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ちょっと過去の時間に戻るのなら














私、樫原侑人がナナコお嬢様のことを
いつから好きになったのだろうか。


それは、私自身もわからない。


ただ、雛祭りの時に慎一郎様が
ナナコお嬢様と自分のことを指した時
思わず心臓が、どくっと跳ねるのを感じた。


今まで、そういうことを考えたことが無かった。


執事長として。
自分が専属で仕える
慎一郎様の奥様の妹君。


自分よりも一回りも下の女の子。



彼女は私のことを、
すごく澄んだ瞳で見つめてくる。
そして、恥ずかしがり屋の猫のように
声をかけようとすると、真っ赤になって
するっと逃げてしまう。


すぐに、自分の専属の中岡の後ろに。
隠れながらも、私のほうを見つめている。


中岡が可愛がっているのはわかっていた。
だから、あえて
自分が出る幕ではないと思ってた。



彼女のことを、いつも
心のどこかで気に留めてはいた。



ただ、その気にとめている彼女が
ここまで自分自身の心の中に住んでいるとは
まったく思わなかった。



九条院家のことは全てお見通しの私でも、
私の心の中にいつの間にか住み着いた
ナナコお嬢様への恋心は
長らく気づかぬままだった。



それが、あの雛祭りの雛人形のことで
慎一郎様が言った言葉。



その言葉は思わぬほど私の心を揺り動かした。



心の中を沢山の思惑が浮かんでくる。




1つは、いつか彼女が誰かに愛され
九条院家を去ってしまう日がくるということ。



2つめは、それを私自身がとても恐れていること。



3つめは、もしもの話でありながらも、
私とナナコお嬢様が恋人になっても、
それはそれで・・・・おかしくないということ。
そして、それはもしかしなくても、
祝福されるであろうということ。



4つめは、その言葉で赤面して何も喋れなくなった
ナナコお嬢様が、もしかして、ではなくて、
私のことに心を寄せてるのではないかという確信。



最初の2つは危惧するべきことで、
後の2つは自分にとって嬉しい解釈。



もし、彼女が私のことを好きならば・・・
彼女のことを自分のものにしたい。



初めて、そう思った。




最初、その想いが自分の中に生まれたとき、
正直にいうならば、戸惑った。



なぜなら、彼女は私よりずっと年下で。
自分が仕える屋敷の主人の義妹。



これまで、沢山の女性が私の前に現れ
そして消えていった。
愛した女性がいるのか?と言われると
それは、今までの私の中ではいない。
命短く美しい花のように、ただ、
枯れるまでの短い時間を過ごすだけなら。
何度でもあったが。



心に決めた相手、や、
心の底から愛する相手、などは
いなかった。

私の心にずっと居座ってしまって
心を占領してしまうような恋などしたことなかった。


なぜなら、私はこの職務が好きで、
そして、自分の主人である慎一郎様と
出逢ってしまっていたから。


天職だと思う。


彼の世話をし、彼の片腕となって手腕を振るうことに
魅力を感じてて、それ以外の楽しみや幸せまでも
手に入れようとは思ってなかった。



そういう自分が、今、
1人の女の子に執着し、手に入れたい、
と感じていることが不思議だった。


同時に戸惑った。



もはや、この想いが消せないものであること。
堂々と私の心の中心に居座っていること。
彼女に愛されたいという自分が存在すること。
そして、彼女に愛されたいと想う自分がいるということ。


(ナナコが見つめるのが自分であって欲しい)



雛祭りの慎一郎様の言葉は、
軽く、夏実奥様にいなされて
終わってしまった。


その言葉のもつ力は、
とても強いものであったけど。



私と結婚すれば慎一郎様の言うとおり
九条院家から出ることなく
ずっとここで暮らしていけるよ。
君はその選択をどう想う?



そう、試しにナナコに言ってみたかった。
彼女がどういうか、知りたくて。


でも、一番好きな人と結婚するんだって
宣言するナナコを前に、私は、
ただ微笑むことしかできなかった。


その微笑が、じりじりと私の心を
刺すように痛かったことを知っているのは
私だけ。



(ナナコは好きな人がいるんだろうか?)



思わず浮かんでくる疑問に、自分で苦笑する。
情けない。
そんな一言さえ聞くのが怖いと想う自分がいる。


ナナコをひそかに観察してて、
多分・・・・、ナナコのこの態度は、
私を意識しているのだろう、
だから私のことが好きなのかもしれないと感じる。

しかし、自分の推測が正しいのか
もしかして、自分の都合の良いように
解釈してるのかの判断が、私にできない。


なぜか、ナナコに関しては、
計算できないから。
私心が邪魔をするから。
冷静な判断ができない。




答えを怖がったり、妙に期待したり、
ナナコと出逢ってから、私の中には沢山の感情が
自分の中に眠っていることに気がついた。



(いつか、ナナコと2人きりになれたら・・・・)



そう想いながら、ひっそりと
彼女に気づかれずに見つめる私は、
年甲斐もなく、ただ、1人の男だった。


これまで、本気で誰かを愛したことがなく、
うまく人間づきあいをしてきた自分自身が、
ここで1人の女の子に心を絡めとられてしまうとは。


どうしても、自分自身では
コントロールできないものがある。
この恋心もそうだし、ナナコの心も。
自分とナナコのこれからも。


人間の心は執事の仕事のように
手腕を振るって、自分の望む方向へ
もって行くことはできない。
予測することはできたとしても。






樫原侑人、29歳。




ナナコへの恋心があることを認めたことは
これまでの人生で一番の不覚だ、と想う。


しかし同時に、
運命の相手と出逢った幸せを感じた。








******** Special Day ! 2 *******


その3はこちらから。
 | 【執/恋】創作ー分割  | Page Top↑

Blog状況

最近の記事

カテゴリー

訪問者数

メールフォーム