2017 08 / 07 last month≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09 next month
スポンサーサイト  --/--/--  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 | スポンサー広告  | Page Top↑
『執事達の恋愛事情』の創作になります。

お誕生日だった、執恋おともだちのナナコさまへ
捧げるお話になります。

いつも仲良くしてくれてありがとうござます。
お誕生日おめでとう!!

携帯からだと、全文が読めないとのことで、
3分割しております。


1つの記事で読まれたい方は、
『〔執恋〕捧げ夢:「Special Day!」FOR NANAKO!』でどうぞ

以下、創作になります。



↓↓↓





****** Special Day ! 1  *********

HAPPY BIRTHDAY NANAKO!





今日は、義兄さんと姉さん、
そして樫原さんと4人で
お花見を来ている。



九条院家から、
車で30分ばかりのところ。



桜並木が出来る川原を歩いている。



突然、仕事を途中で切り上げてきた義兄さん。

仕事が休みだった姉さんと、
午後から授業がなくて、
部屋でのんびりしていた
あたしを連れ出して、
お花見に行くと言い出したのだ。



(多分、あたしが誕生日だからかな?)



義兄さんはあたしに甘い。


だから、多分仕事を早めに切り上げて
お花見に行こうって、
昼から休みにしちゃったのは、
今日は一日、
家族団欒したいからなんだと思う。



(多分、本当に忙しくて抜けれないのなら、樫原さんがそれを許さないよね)



あたしは、隣を歩く
樫原さんをちらっと見る。



その横顔は前を歩く義兄さんと
姉さんに注がれている。


今日は、あたしの専属執事はついてきてない。


義兄さんが、

「せっかくの家族団欒だから、家族だけで!」

と言い張り、あたし専属の中岡さんは
お留守番になった。



(でも・・・樫原さんは違うんだね)



思わずくすっと笑ってしまう。


中岡さんは違うけど、義兄さんの中で
樫原さんは家族なんだね。



義兄さんと姉さんが並んで歩く。
その後ろをあたしと樫原さんが歩く。



こうやって、2人づつで歩くと、
義兄さんと姉さんは夫婦だからいいとしても、
あたしと樫原さんは、・・・なんていうか。


微妙な距離だよね。




でも、こうやって樫原さんと
2人っきりで歩けてるのが
本当は嬉しかった。



だって、あたしは樫原さんのことが
好き・・・。



正確に言ったら二人っきりじゃないけど、
義兄さんと姉さんは2人の世界で、
ラブラブな感じだから、残された二人ってことで。



(樫原さん・・・)



いつもは、中岡さんが傍にずっとついてて、
もちろん、義兄さんの専属である
樫原さんは義兄さんの傍にずっとついている。



だから、あんまり2人っきりになることがない。



それが今日は・・・・。





「ナナコお嬢様?どうかなされましたか?」





ふと声が聴こえると思ったら、
樫原さんがこっちを見つめていた。



(やだ、あたし、考え事をしながら、ずっと見つめてたんだ)



思わず頬が赤くなる。



「な、なんでもありません!」



樫原さんがカッコよすぎて
見惚れてたなんて、言えるわけない。


思わず見つめられた樫原さんの顔が
瞼に残って、あたしは
ドギマギしてしまいそうなのを
必死でごまかした。



「えー、えっと、ど、どこら辺で休憩するんだっけ?」


目をあわすことが出来ない。


だって、樫原さんがカッコよすぎて。
樫原さんと話をするとき、あたしはいつも
ちょっと緊張して、どもってしまうことがある。


それがまた恥ずかしい。



(ああ、ちゃんと話したいのに!)



いつもこうやって、樫原さんの前で
ぎくしゃくしてしまうあたし。


常に傍にいる中岡さんは
あたしの気持ちがわかってるから、
くすっと笑って助け舟を出してくれる。


でも、今日は中岡さんがいないもんだから、
あたしは、1人でドギマギしちゃって、
なんていうか、ほんと恥ずかしい。


好きって気持ちが強すぎて、
一緒にいると緊張しちゃうよ。


樫原さんがあたしの方を見て、
少し目を丸くした後、ふわっと笑った。
いつもの・・・柔和な笑顔だ。



「もう少し先に、お花見が出来るよう、場所取りしております」



「場所取り?」



九条院家でも、お花見のために
場所取りなんかするんだ・・・・。


思わずそう思ってしまった。

それが顔に出たのか、
樫原さんがくすっと笑って
言葉を続けた。


「今日は慎一郎様の気まぐれでお花見に決まりましたので、慌てて場所取りなどもしたんですよ」


「そうなんだ。びっくりしちゃった」



「ナナコお嬢様のお誕生日なので、慎一郎様ははりきっていらっしゃるのですよ」


「そ、そうなの?嬉しいなぁ」

なんか、すごくわかる気がする。
義兄さん・・・確かに今日張り切ってるわ。
その義兄さんの妹バカな様子に
あたしは自分のことながら、
くすっと笑ってしまう。


多分、その笑いの意味を
樫原さんもわかるんだと思う。
同じタイミングでくすっと笑った。


「そうですよ。屋敷に帰ったら、またプレゼントの山がナナコお嬢様のお部屋に到着いたしますから」


「あはは。想像つくところが怖いよ」

極めつけだ、というように
もったいぶった様子で
樫原さんが続ける。

もう、想像できちゃうところが、
あたしの義兄さんたる所以だわ。


「それに、今日のディナーは全てナナコお嬢様のお好きな食べ物です」

「わあ、すごい!あたしの大好きなものか~楽しみだな」



どきどきしながら、樫原さんと話をしている。
なんか・・・・慣れないけど、
こんな感じ、好きだな。


今日はすごく普通に話せてる気がする。
そんな自分がいるのが不思議だった。


いつも・・・好きすぎて、
一緒にいるとどきどきするから、
こんなに近付いたことなかった。


でも・・・こうやって話せるなら、
今度から、もっと樫原さんを見かけたら
話せるように、近くに行こうと思う。





一緒に歩く桜並木の下。


すごく・・・これってロマンチックだな。
大好きな人と歩く桜並木。



あたしは、とても上機嫌だった。
その様子に気づいたのか、
樫原さんがふふっと笑った。
その目がきらりと悪戯っぽく輝くのが見えて
あたしの心臓はどきっと跳ねた。


「ちなみに、今もお嬢様が好きだと仰ってたものを持ってきておりますよ」


「わ~!嬉しい!なんだろう?」


あたしの好きなもの・・・・
覚えてくれてるんだね。
そういう小さいことが
嬉しく感じる。

樫原さんのことだから、
そんなの当たり前だとは思うけど
あたしはそういうことが嬉しいんだ。

あたしの好きなものを
樫原さんが知っているように、
あたしはもっと樫原さんの好きなものを
知りたいなって感じる。


ちょっと嬉しくて、えへへって笑うあたしに
樫原さんは、もっともっと目を丸くして
演劇風に言ってくれた。

「菱餅です。慎一郎様が3月のひな祭りのことを覚えてて」

またくすっと笑う。

え!!!!!
こ、ここで、菱餅!
それも、あの菱餅!!

うわあああああ・・・・。



いきなりの菱餅にあたしは、びっくりした。
だって、実は菱餅には、色々ワケがあって・・・。

あたしの好きなお菓子を菱餅って・・・っ!


いきなりカウンターパンチを食らったかのような
衝撃で、あたしは、樫原さんの隣だとはいえ
くらくらしてしまった。


「あ!あ、あれは!あれは・・・・っ!」


思わず説明ができなくて、
言葉に詰まってしまった。
う・・・ぐ・・・うう、としているあたし。


「お嬢様?あれは、と申しますと・・・?」


そのあたしの慌て具合を
目を丸くしている樫原さん。


「な・・・・内緒です!!!!」


思わず慌てて、あたしは顔を背けた。
色々事情があって!


そんなあたしを
くすっと笑って見つめる樫原さん。

その視線が優しくて、あたしは
赤くなった頬を気づかれないように
ちょっと早足で歩き始めた。







・・・・・・・・・・・・・




去った3月を思い出す。
雛祭りのときのことだ。

その時に、義兄さんが
たまたま仕事早くあがってきて
一緒にお茶をした。


これまで家族に女の子がいなかったから
雛祭りは初めてだ~と、
はしゃぎ始めた義兄さん。


急遽、雛祭りをすると言い出して、
菱餅やら、雛人形やらを調達させ、飾り始めた。


これからはずっと雛祭りを祝ってあげるよ、
ナナコちゃんが結婚するまでね、
と義兄さんは笑った。


そしたら、姉さんが、
『雛人形を1日でも仕舞うのが遅くなると
ナナコが嫁に行くのが遅くなる』
と茶化したものだから、義兄さんは慌てて、
出したばかりの雛人形を仕舞おうとした。


しかし、はたっと考えて、にんまりと笑う。
そして義兄さんは嬉しそうに言った。


『いき遅れたらずっと一緒に暮らせるね』


衝撃発言。

ええー!!って驚くあたしの声もさることながら、
その妹を溺愛している義兄さんの姿に、
もうそこにいた人たちは思わず大爆笑だった。


ちゃ、ちゃんとお嫁にいくもん!と
飾ったばかりの雛人形を握り締めての
あたしの必死の訴えを、
義兄さんがまた悲しそうな顔で見ている。

『ナナコちゃんがお嫁に行くなんて寂しくなるじゃないか』


『そんな顔をしたって・・・・もう、困っちゃうよ』


思わぬ義兄さんの反撃に
あたしは、そこまで思ってくれるなら、
って譲りそうになったけど(?)
よく考えたらそれもおかしいものだから、
思わず困ってしまった。


そしたら、樫原さんが、
『とりあえず、人形は夕食までの間は飾って
3日の夜、寝る前に片付けましょう』
と提案してくれたものだから、
あたしはほっとした。


義兄さんは
残念そうな(!)顔をしていたけど。


義兄さんが邪魔したって、
あたしはちゃんとお嫁さんになって
九条院家を出るんだ。


(うん、一番大好きな人と結婚してね!)


ちらっと樫原さんを盗み見した。
・・・その一番好きな人っていうのは
樫原さんのことなんだけどね。


そう思いながら、あたしは決意表明として
菱餅を食べながら、義兄さんにそう告げた。


あたし、好きな人が出来たら、
九条院家からお嫁に行くから安心してね、と。


そしたら、そんな日なんて想像すると寂しい・・・と
義兄さんが少し暗い顔をした後、
急に思いついたように言った。



「ナナコちゃん、侑人と結婚すればいい!」


「そしたら、ずっとこの九条院家で暮らせるじゃないか、ね、侑人?」



えっ・・・・!!!!!!


!!
!!!
!!!!!!


あまりのびっくりするような提案に
あたしは度肝を抜かれた。

ついでに樫原さんへの気持ちが
もしかしてばれていたのか?と
思いっきり、あわあわと焦った。


ちらっと樫原さんを見ると、
樫原さんは苦笑している。


苦笑しながら、こっちを見ている。
め、目があっちゃった!


(うわぁ・・・すっごく気まずい!)



でも、次の瞬間、にこにこ笑ってる義兄さんに
姉さんが、つかさずツッコんだ。


「ナナコと侑人さんの気持も考えないで、あなたったら」


それをナイスフォローというべきなのか。
思わず、あははは・・・と真っ赤な顔で
苦笑したまま、あたしは
顔を上げることができなかった。



「それもそうだね、強引だったな」

と、相変わらず自分が言った
(爆弾)発言に気づかない義兄さんと、
それを笑う姉さんに樫原さん。


「でも、それっていい提案だろ?」


諦めず、賛同を求める義兄さんに、
樫原さんが苦笑してる。


「そうですね、慎一郎様」



その言葉に、少し笑いが含まれてる。


そ、そうですねって・・・・・!!
樫原さん!!!!!


あたしは、思いっきり赤くなってしまった自分が
図星すぎて恥ずかしくて・・・・。



それになんだか、この話題で
樫原さんが笑っているのが、
少し辛くて・・・・胸がちくちくした。





それで、菱餅を食べた。


目の前にあったから。

何かしなくちゃ、もうどうしようもなく
パニくってたので、菱餅を食べた。


必死で食べた。1個、2個、3個・・・。


あんまりにも、いきなり食べ始めたあたしを
義兄さんと姉さんもぽかーんと見ていたけど、
姉さんは何か気づいたように、くすっと笑った。


こんなことさせてる原因を作った義兄さんは
「おや、ナナコちゃんはそんなに菱餅が好きなんだ?」と
目を丸くしてびっくりしていたけど。


樫原さんは・・・わかんない。


恥ずかしくて、菱餅を一生懸命食べてて
見ないふりをしてた。




その日、あたしは菱餅を4個も食べてしまった。
さすがに食べすぎだった。


菱餅の食べすぎで夕食が食べれなくて、
夕食のディナーのときに、
シェフが作ってくれた雛祭りコースというべき
豪華なフルコースもあまり食べれなかった。




・・・・・というわけで。


その日以来、あたしは、菱餅が大好きすぎて
しょうがないって、屋敷の皆から思われてる。


3月のお雛祭りの後も、よくお茶の時間に
菱餅が出てくるようになった。


そのたびに、あたしは、
(そこまで菱餅は好きじゃないんだけどな・・・)と
もう既に言えなくて、とりあえず、食べた。



なんか、思い出すと
すごく恥ずかしいんだけど。


菱餅って出されると、
すぐにこれが浮かぶ。




あたし・・・菱餅は・・・・。





・・・・・・・・・・・・・・・・・





菱餅の話題が出て、慌てたあたしは、
ちょっとだけ足を早めて、
1歩、2歩先を歩く。



その後ろに樫原さんがいる。



(菱餅攻撃が終わったと思ったのに、また久しぶりに・・・・!)



もうー、あの思い出が恥ずかしすぎて、
あたしとしては、消し去って欲しいところだったけど、
でも、樫原さんは多分、あたしの好物だと思って
準備してくれたんだよね?


(そりゃぁ菱餅は嫌いじゃないよ?)


誤解されたらいやだな。
樫原さんは、あたしが菱餅好きだと思って
きっと準備してくれたんだと思う。


でも・・・・・。


なんかさっきまで隣を歩いていたのに、
こうやって1歩、2歩先を歩いていると
樫原さんが隣じゃなくて後ろにいる。


そして、絶対あたしのことを見つめているはず。
だって、背中に視線感じるもん!


振り返るのにも、勇気がいる。


さっきのあたしの「ナイショ!」って慌ててのを
絶対に面白がっているはず。


・・・もう!
振り返って何を言えばいいかわからなかった。





でも。


ただ。
こうやって樫原さんと一緒にいられる時間。
傍にいられる時間。
隣を歩いていられる時間が貴重で。


いつか、ずっと樫原さんの傍にいれたらいい。
樫原さんが大好きだから。
こうやって隣を歩く恋人になりたいと
心から思っているんだから。


(恥ずかしがってる場合じゃないや)
せっかく一緒にいるのに、
こんな機会、滅多にないのに
素直になれないのは、いやだ。



あたしは、覚悟を決めて、
くるっと振り返った。


いちお、振り返る前に覚悟を決めて。


だって、樫原さんがあたしのことを
微笑んでみていたら、
あたしはその微笑に心を奪われて、
ぽわーんってなって、
一瞬心をなくした様に
見つめてしまうかもしれないから。






そして。
くるっと振り返ったら。






案の定、樫原さんが、
こっちを見ていた。

ううん、見つめていた。



その顔がとても優しい顔をしてて。
これまで、みたことがないような表情。
何か言いたげな気がするよ?




「・・・・樫原さん?」




一瞬、樫原さんの視線が
あたしの瞳を強く刺す。




(え・・・?)




そして、次の瞬間、樫原さんが
一気に赤くなった気がした。



(あれ・・・・?)



なんか、いつもの樫原さんじゃないみたい。

でも・・・・なんか頬が赤いし、
自分の口を手でふさいで、
天を仰いでいる。
そして、目を合わせてくれない。
なんだか少し取り乱しているみたい。
焦ってる様子だよ。



あたし、ヘンなことしちゃったっけ。
えーっと、菱餅のことをナイショっていって、
それで先に歩いて、振り返った・・・だけだよ?



「樫原さん、どうしたの?」



あたしの問いかけにも、
樫原さんが答えない。


ヘンなの。
多分、あたしの顔には、
沢山のハテナマークが飛び交っているはず。



「ねえ、樫原さん?」

「樫原さん・・・・?」



思わず立ち止まって
樫原さんを見つめる。


目をあわさず、
少し頬を赤らめていた樫原さんが
口をふさいでいた手をそっとはずして、
あたしのほうを見た。



その瞳がとても優しくて、
射抜かれたように、
あたしはどきっとする。




「ど、どうしちゃったの、樫原さん?な、なんか、いきなりびっくりさせちゃった?」



思わず、ドキドキしすぎて、
どもっちゃったあたしは、
樫原さんに負けずに、
自分の頬が赤くなるのを感じる。


いきなり、樫原さんの雰囲気が変わったから。
すごく・・・なんか、今までより
とても優しい感じがする。



少し慌て気味のあたしを不審に思うどころか
樫原さんは、急にくすっと笑った。


そして言う。



「お花見の場所取りした場所も綺麗ですが」
あちらの方にも、すごく綺麗な桜があるんですよ?
観にいってみませんか?



そう聞こえた。



綺麗な桜か~。


お花見の場所取りした場所に座ったら
多分、そこから歩いて桜を愛でるってことはないし。
それに、樫原さんが誘ってくれたのが
とても嬉しかった。


「それに・・・慎一郎様と奥様を2人っきりにさせてあげたいんです」
めったに2人っきりで外出などままならない2人ですからね。




前を歩く義兄さんと姉さんの姿。

それを暗に指差して、樫原さんが
(内緒ですよ)という仕草をした。
あたしは、にっこり笑った。



「そうね。樫原さん、行きましょう」


自然にそう言えた。


その答えを待っていたかのように、
樫原さんがいきなり、あたしの手を握ってきた。


「!!」


驚くあたしを横目に、
樫原さんが、こちらです、と手を引き出した。
一足先を歩く樫原さんの表情は見えない。



いきなり繋がれた手に、
感覚が全て集中する。


(す・・・すごくドキドキするよ)


それに、あたしの手を
引いて歩いてるから。
ちょっとだけ遅れ気味に歩く
あたしが見るのは
樫原さんの執事服の背中。



肩に桜の花びらが1つ舞い落ちる。



あたしは、歩きながらそれに手を伸ばした。
そして、そっとその花びらを取る。



それに気づいた樫原さんが、振り返る。



あたしは指でつまんだ桜の花びらを
ひらり、と見せて落として、微笑んだ。



「ありがとうございます、ナナコお嬢様」


いつもの柔和な笑顔だけど、
どことなく、いつも
お屋敷で見てるのとは違う顔。


樫原さんって、こんな顔もするんだ。
すごく優しそうで・・・・。
じっと見つめられると、
いたたまれなくなる。
恥ずかしさとか、照れ、とか・・・・。


樫原さんって、プライベートの時は
どんな顔をするんだろう。
いつも、執事の仕事をしてる時しか
みることがないから。

普段、仕事終わって部屋とかで
どんなことをしてるんだろう。

よく気がつけば、あたしは
樫原さんのことを全然知らないことに気がついた。

多分・・・樫原さんは有能な人だから
あたしについては、色々知っているはず。
屋敷のお嬢様だから。

でも、あたしは樫原さんのことをあまり知らない。
その事実に気がついて、
少しショックだった。


(でも・・・多分これから知っていけばいい)


素の樫原さんのことを
あまりよく知らなくても、
でも、十分にわかることは多いよ。


とても気配りが上手で、
甘やかしてくれる人で、
そして、優しい目をしてて、
とても動作が優雅なの。


仕事ができて、すごく大人って感じ。
スマートで、そつなく物事をこなす。
入れてくれる紅茶はいつも美味しい。
柔和な笑顔で、たまに冗談を言う。
あたしのことをたまに
じっと見つめていたりする。


九条院家に始めてきた日、
樫原さんがにこって笑ってくれた時に
あたしは樫原さんに一目惚れをした。


こんなに優しそうに笑って
そして、あれこれと心配してくれて
あたしの気持ちをこんなによくわかってくれる人、
どこにもいないって思った。
すごく頼りがいがあって・・・・。
なんか、とても惹かれてしまうの。

その日から、あたしは樫原さんを
お屋敷の中で見かけるたびに
ドキドキしっぱなしだ。


あたし、樫原さんより12も下で、
そんな子どもだから、
相手にされないだろう、って思いながらも、
いつも、樫原さんに想いを寄せることを
とめることができない。


いつか、きっと、今よりもっと
大人になったら、樫原さんに
自分から気持ちを伝えられたらいいな、って
そう思っているぐらい。


今はまだ・・・・樫原さんからすると
妹レベルだろうけど、いつか、きっと・・・!

そう、あたし、あきらめないもん。
いつか、きっと樫原さんに似合う
素敵な女性になる。




あれこれ考えながらも、
握られた手の温かさや
今、この瞬間にあたしはすごく・・・
樫原さんの存在を感じていた。



「あちらをもうしばらく歩いたところにある桜です」

指さす先は、桜並木のピンク色で埋まってる。
あの2人に内緒で、
あたしと樫原さんで観にいく桜の木。


とても綺麗だという。


でも・・・・綺麗な桜より、
あたしは、樫原さんと一緒に、
2人だけで見れるのが嬉しいよ。


本当は・・・今まで
こうやって二人っきりになると、
息が苦しくなって、
沢山喋れないって思ってた。


でも、それは違うってわかった。
2人っきりになると、
それだけで幸せで、
何も喋れなくていいと思うんだ。


そのことを初めて知った。


ただ、一緒にいれることが嬉しくて。
ただ、繋がれた手が嬉しくて。


あたしは、ただ、樫原さんと
手を繋いでいる自分が、
一緒に入れることが幸せだと感じて、
何も言えなかった。


手が温かい。
でも、繋がれた部分が熱い。
樫原さんの手、大きいな。


あたしの手を包み込んでしまってる。
目指す方向へ手を引いてくれてるけど、
その包み方は、どこまでも優しくて。



「お嬢様、少し目を閉じてください」

「え?」

「目を閉じても手は握ってますから大丈夫ですよ?」


そういって樫原さんが微笑む。
その微笑がとても素敵で、
あたしの胸はドキドキする。


胸の鼓動の速さを落ち着けるように
あたしは、そっと目を閉じた。


瞼には、今まで見ていた桜並木と
樫原さんの背中。


瞼を閉じても、手のぬくもりだけで、
どこに自分が歩いていくのかがわかる。


瞼を閉じても、安心して、手をひかれるまま
歩いていくことができるよ。
樫原さんのことが好きだから。


目を閉じていたのは一瞬だったけど、
でも、瞼を開けたときに見えた景色は、
とても・・・・思っていた以上に綺麗だった。



******** Special Day !その1 *******


その2はこちらから
 | 【執/恋】創作ー分割  | Page Top↑

Blog状況

最近の記事

カテゴリー

訪問者数

メールフォーム