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『執事達の恋愛事情』の創作で連載している
「ダンスのお相手は?」15話の分割分、
2つ目(15-2)になります。


なお、分割じゃなく1つの記事にまとめられているのは、
こちらになります。『ダンスのお相手は?15』




以下より創作になりますので、
ご注意ください。
↓↓
『ダンスのお相手は?15』その2

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





着ていけるドレスが決まって、
あたしは、すごくほっとしていた。

でも、首もとまで詰まっているとはいえ、
耳元につけられたキスマークが・・・・。

髪型もどうしようと思っていたら、
中岡さんが髪の毛のアレンジまでしてくれた。

少しカールを巻いて、ゆるくラインを作った後に
逆毛を立てて、ふんわりまとめて
片方に回す。そして、髪の毛がない方の耳下に
珊瑚色や桃色が基調になった花びらが散る
大き目のコサージュを飾ってくれた。

コサージュから垂れるリボンや、レースや
パールの光が、とても綺麗で、女らしい。

白いドレスで、モノトーンチックにまとめているとはいえ、
髪型に珊瑚色の柔らかいピンクを持ってきたものだから、
ものすごく目立つ。
そして、そこに視線が集中して、他が目立たない。



(・・・・なんかすごく中岡さん、あたしがカバーしたいところわかってるみたい)



お化粧も手伝ってくれて、
少しアイラインを強く引いて、
目元を強調しながらも、
頬をピンク色に染めてくれた。
口紅は少し強いピンク色。
コサージュの色を濃くした感じだけど、
色合いは似ている。



なんだか、いつもは真壁さんが手伝ってくれるのに、
人が変わっただけで、あたしの着替えや、
化粧や・・・・、見た目がすごく変わることが不思議だった。




これって、中岡さん好みなのかな?



でも、中岡さんが好きそうな服のタイプより
これは大人っぽいと思うけど・・・・。




「――――お嬢様、完成です」


そういって、中岡さんがパフを置いた。


鏡の中に写る自分をじっと見てみると、
やっぱり、自分で化粧するのとは違って、
もっと・・・・なんだろう、女の子らしい、というか
女らしい自分が居た。



「・・・・中岡さん、お化粧上手だね」


顔色もすごくいい。
昨日までやっぱり熱を出していた分、
少し肌荒れもしてるし、顔色も悪かった。
でも、全然違う!



「いえいえ、お嬢様は元が良いですから」



そんなことをいって微笑む中岡さん。
優等生ランキングがあったら、
中岡さんの回答は多分90点越すよ?


「ありがとう、中岡さん」

そう微笑んで、中岡さんを見たとき、
パウダールームのドアが開く音がした。


え?



ぱっと振り返ると、真壁さんだった。






「お嬢様、扉が開いておりましたので、失礼いたしました」



一瞬にして、あたしと中岡さんは固まった。
無表情の真壁さんも、表情ぴくりと動かさない。




・・・・・・・・。



言葉は丁寧だけど、
絶対なにしてるんだ、と言ってる。


これは怒られる・・・かな。

真壁さんの表情をそっと上目遣いで見てみたら
案の定、無表情だけど、
すごくぶすっとしてるのがわかる。
眉間に皺がよってるし。
怒るよね、やっぱりこの状況だと。



「ま、真壁!」

少し慌てた様子で中岡さんが立ち上がる。



「これは、」

「中岡さんにあたしがお願いしたの。義兄さんからの新しいドレスを持って来てくれたから」



中岡さんの声をさえぎって、
先にあたしが喋った。
ウソはついてない、うん。
だって、本当のことだ。

まぁ、そうなったのには、色々理由があるけど。




中岡さんが、多分その場の雰囲気を読んだのか

「それでは、お嬢様、後は真壁がやってくれますので」

そう言って、足早にパウダールームから出て行った。
背中が焦ってるよ、中岡さん。







残されたのは、あたしと真壁さん。


・・・・相変わらずだけど、
この雰囲気はいたたまれない。




でも、前回これと同じような場面だった、
ダンスレッスン中だったホールでの
樫原さんと真壁さんを思い出すと、
まだ大丈夫だ、って妙な確信があった。





中岡さんが出て行った扉を、
真壁さんが閉めにいく。




あたしの部屋の入り口の鍵が、カチリ。



そして、すっと入ってきた
パウダールームの鍵も。


カチリと鳴った。









途端に、この部屋の空気が濃くなる。
密度が増してきて、息苦しくなる。







鍵を閉めた真壁さんが、
こっちへ歩いてくる。

あたしは、その場で足が固まってしまったかのように
立ち尽くしてしまった。



真壁さんが乱暴にあたしを引き寄せる。
視線を合わせた状態で問う。



「どうして中岡に化粧とかさせるんだ?」



「お前に触れていいのは、俺だけだと言っただろう?」



いきなりの恋人モードで、
あたしは、ドキッとした。


その声がどこか冷たくて、
少し怖い・・・・。


でも・・・・、こう言われるのも悪くない。



「そうだよ。真壁さんだけだよ、あたしに触れていいのは」



「・・・・だったら、なぜ中岡がここに?」


「・・・・あたしの執事さんは、機嫌損ねてるから頼めなかった」



「・・・・・・・・・」



「それにあたしの恋人が、首や胸元にキスマークを沢山つけてくれたから、着ていくつもりだったドレスが着れなくて困ってたの」



この言葉に真壁さんが少し顔を背ける。


少し気まずいと思ってるのかな?
無表情だった顔が少し赤くなってるのがわかる。

・・・・・こんなことで、真壁さん、
赤くなることもあるんだ。
あたしには新たな発見だった。

照れ隠しなのか、少し真壁さんが小さな咳をした後に



「それで?」


と訊いてくる。

「キスマークにはびっくりしたけど、嬉しかった。でも、それでドレスを着れないなんて、恋人にはいえなかったの。ただ、それだけ」



あたしの言葉を聴きながら、
真壁さんの瞳の色が優しくなるのがわかった。
もう、怒ってないかも。



「このお化粧、どう?」



じっと真壁さんがあたしの顔を見つめる。



「あたしは、真壁さんがお化粧してくれた方が好きだけどな」
真壁さんのタイプの顔になるのが嬉しいから。
でも、これも新鮮だよね?




「・・・・・・」



じっとあたしの顔を見つめていた真壁さんが
不意に、あたしの唇を舐めた。



「っ・・・・!」


思わぬことで、びっくりして目を見開く。
キスはされても、そんなに驚かないけど、
そんなぺろっと舐められることって、あまりないから。


驚いた顔のあたしに満足したのか、
さっきまでの冷たく怒っていた様子を消した真壁さんが
ゆっくりとあたしに顔を近づける。





「・・・・・その口紅の色が気に入らない」




そう言って、強引にキスをしてきた。

舐めるように、舌であたしの唇をなぞる。
食べられちゃうんじゃないかと思うほど、
吸い尽くされて、力が抜けてくるのがわかった。

すごく、気持ちがいい。
思わず息が上がってきてしまう。

あたしは、それだけで頭がぼーっとしてしまった。




不意に離された唇と唇。
さっきまでの温かさが消えていくのが、
とても現実感があった。

目を開けると、真壁さんの口の周りに
あたしの口紅が沢山ついている。
それを、真壁さんが手の甲でぬぐう。
真壁さんは満足げに微笑んでいた。




「これで、口紅は全部落ちたな」



「っ・・・・!」



まだ少し口元に残る、口紅の痕を
真壁さんがまた、手の甲でぬぐっている。


その仕草が、なんともいえないほど扇情的で。
あたしは、その仕草に見惚れてしまった。



さっきまであたしの唇の色だったものが
真壁さんの口元についているのが、
たまらなく・・・あたしをドキドキさせる。



そんなあたしにお構いなしに、
真壁さんは、あたしの腰を
片手で抱きながら、もう片手で、
ドレッサーの前に置かれた化粧品の中から
口紅類と筆を取り出す。




「少し上を向いて?」



あたしよりも、背が高い真壁さんを見上げるように
あたしは、少し上を向いた。
さっきのキスではみ出した口紅を
真壁さんが、丁寧に拭いてくれる。



真壁さんが指であたしの唇をなぞる。

そして、ゆっくりと、リップライナーで縁を描く。
あたしは、真壁さんがそんなお化粧の仕方を
知っていることにびっくりしつつ、
目を閉じてされるがままになった。

中岡さんもお化粧を上手にしてくれたけど、
真壁さんもこんなことできるんだ・・・・。


その後、口紅を含ませた筆で輪郭を描き、
ゆっくり内側を塗っていく。



その筆の動きを、じっと目を閉じて、
感触で追う。たまらなくなる。

息を吐き出すのも惜しくて。
目を閉じたまま、真壁さんの動かす筆の動きだけ
集中する。ゆっくり、優しく塗ってくれる。
その筆だけで、愛撫されているかのような
感覚に陥ってしまう。



思わず、気持ちが飛んでしまいそうなあたしに、
真壁さんがくすっと笑っているのがわかる。
この状況を楽しんでいるのも。





「お前にはこの色が似合う」




カタっと音がして、筆をおく音がしたと思ったら
すぐ、唇を奪われた。



真壁さんが、何度も何度も、
あたしにキスをする。
唇を味わうかのように。



「お前が可愛いすぎるからいけないんだぞ」

「あんな顔を見ていて、何もしないなんて出来やしない」


キスの合間に、真壁さんが呟く声が聴こえる。



あたしのせいじゃないよ・・・・。


そう言いたかったけど、
真壁さんのキスがとても・・・・
とても気持ちよくて、
あたしは言わないでおいた。



これじゃあ、口紅塗ってもらっても、
また取れちゃうね。




でも、いい。

あたしの口紅は
真壁さんのためにあるんだから。


あたしの唇も。
あたし自身も。




あたしは自分からもキスをした。
真壁さんが喜ぶ気配がする。
2人とも目を瞑って、
お互いの唇を味わっていた。
何度も、何度も。



大好きな人と、めちゃくちゃに
キスをしてみるって、すごく・・・・
とろけそうなほど気持ちいいんだということを
初めて知った。



「口紅、真壁さんに全部ついちゃった」



大好きな人の口元が
自分の口紅で汚れてるのが、
どうして、ここまであたしを歓ばすんだろう。


誘うようにみえてくる。もっともっと。




「また塗ってやるよ」



堂々とそういうんだから。
なんて、大胆で、魅惑的な提案だろう。



あたしは、真壁さんのその呟きに心を震わす。


そうだね、ずっとキスしていよう。

こんなにも、大好きで。
こんなにも、愛してて。
こんなにも、気持ちよくて。



愛されてるってわかる。



そんな人とキスできる嬉しさで、
あたし、身体中が満たされているのがわかるよ。



なんだか、覚悟が出来たせいか、
あたしは、こんなにも自分に溺れる真壁さんも
そして、あたし自身、ここまで真壁さんの行為に
翻弄されることも、とても・・・幸せなだけだった。



この愛に溺れることが怖くない。
今以上に好きになることも、怖くない。
手放しで好きになっていいんだ、
って、ようやくわかったから。



自分の気持ちを全てぶつけても、
真壁さんは離れていかないって確信できたから。



ううん、違う。

どんなに自分の全てをなげうって
この人に愛をぶつけても、
この人があたしを愛してくれてる度合いには
勝てないってわかったから。


ちょっと前までは、
これだけ幸せになっていいんだろうか、
もし次がなかったら、とか、心のどこかで
セーブをかけていた。

幸せだったけど、色んな心配や不安が
付きまとってて、それを直視するのが嫌で
考えないフリをしていた。


自分の気持ちにセーブをして
愛さないと「戻れなくなる」と思っていたから。






もう、戻れなくていい。




それが・・・・折り合いがついたからか、
あたしの心は、真壁さんの愛を
充分に感じることが出来た。






鍵のかかったパウダールームには、
あたしと真壁さんしかいなくて。





今、ここにあたしと一緒に居る人は
あたしの執事で、あたしの恋人。







その幸せに浸りながら、
2人でキスの海に溺れていたら、
不意に、真壁さんの携帯がマナーモードで震えた。



それでも、むさぼるように
あたしの唇を味わっている。

でも、取り出した携帯を見ようとしている
真壁さんが悔しくて、よそ見して欲しくなくて、
その目を手で隠してしまおうとしたら
こらって怒られた。



そして、すっと身を引いて、
携帯の画面に出た名前をチェックした途端に
すっと執事の顔に戻った。




マナーモードでしつこく電話がなっている。




わかっていたことだけど、その変化が、
あたしには、ちょっと寂しかった。



口元周辺をあたしの口紅でべったり汚しながら、
真壁さんが電話を耳に当てた。


そのギャップがなんだか妙で、
あたしは、ぼんやり真壁さんの口元を見ていた。



その視線に気づいたのか、
真壁さんが少し苦笑し、
横を向いて手の甲でぬぐっている。




電話の相手はだれかわからない。




でも、真壁さんが「了解いたしました」と
畏まって言うのだけが聞こえた。



その声が、少し硬くなっていたことも。




短い数秒の通話で、電話が終わった。
ポケットに携帯をしまいながら、
真壁さんがこっちを向く。





もう、すっかり執事の顔に戻っている。



鍵をかけられた、あたしと真壁さんの世界は
普段のパウダールームに戻っていた。




執事の仮面を被った真壁さんが、
無表情のまま、普段どおり言う。




「お嬢様。今、樫原さんからお電話がありまして、準備ができ次第、出発なさるそうです。準備をお急ぎ下さい、とのことでした」




こっちを見つめる視線が、
さっきの恋人同士だったときと違う。


こんなにいきなり、執事に戻れる真壁さんと違って
あたしは、すぐには戻れないよ。




「わかったわ、真壁。準備はあと、化粧を直すだけだから、すぐ出かけられます」


でも、お嬢様として、あたしは振舞う。

「執事」としてあたしに対応してくるのなら、
それをうけたあたしは、「お嬢様」になるしかない。



そばにあったティッシュペーパーで
真壁さんが自分の口元に沢山ついた口紅を拭く。
そして、あたしの唇からはみ出した口紅も。



その動作が、2人だけの時間の終了を告げていた。
なんだか、すごく寂しい。


すぐには行きたくなくて、あたしはノロノロと
乱れていた襟元を正したり、
髪型が崩れてないか、鏡を覗いた。




「お嬢様」



そう声をかけられて、振り向くと、
真壁さんがさっきの口紅筆を持っていた。



「口紅を塗らせていただきます」



そういって、真壁さんが、ゆっくりと
またあたしに口紅を塗る。


その手つきが、なんだか、
とても辛そうに感じられるのは、
真壁さんとも、この時間が終わったことを
とても寂しく思ってるからかな。



それとも、ドレスアップしたあたしを
樫原さんに渡してしまうのが惜しいからか。


真壁さんが、あたしのことを、パーティに
行かせたくない感がありありと感じられる。




今日のパーティは、樫原さんがついていくから
真壁さんはお留守番だ。






本当は片時も離れたくない。




でも・・・・。




このまま、ここで真壁さんと一緒にいたいけど、
あたしは、するべきことがあって、
今日はパーティにいかなくてはいけない。




口紅を塗り終わって、
真壁さんがそれを片付けている。




あたしは、その無言の背中に言った。




「パーティ行ってくるから」



「・・・・・・・」



返事はなかった。


伏せられた顔には、
苦い表情が漂っている。





「帰ってくるまで、待ってて」

「真壁さんに大事な話があるから」





「待ってて欲しい」




その言葉で、真壁さんが顔を上げた。
少しびっくりした顔をしている。



驚くことなんか、なにもないよ。
だって、あなたはあたしの専属執事で、
いつも、あたしの傍にいる人じゃない。



あたしは、真壁さんに微笑んだ。
そして、あたしより背の高い
真壁さんの首に手を回して
自分からキスをした。



「っ・・・・・!」



なぜか、真壁さんが驚いて赤くなる。
下から真壁さんの顔を覗き込む。



「いい?お嬢様としての命令よ」



冗談交じりでそういうと、
真壁さんが、ふっと笑った。



この笑顔が好き。



今日・・・・出かける前に
真壁さんのこの笑顔が見たかった。


今日だけは、辛そうな顔で
送り出してほしくなかった。




「承知いたしました」




そういって微笑む瞳の優しさや、
あふれてくる感情が、あたしを包む。


そっと身体を離して、
あたしは、ソファの上に出していた
小さなバッグを持った。


出かける準備は完了している。




パウダールームを出ようと
扉の鍵を開けるとき、
不意に真壁さんが後ろから抱きしめてきた。




「必ず戻って来い、俺の元へ」



ひっそりと耳元で囁く声が聴こえる。
抱きしめられた部分が熱い。



あたしは返事をせずに、
少しだけ笑んで、
パウダールームの鍵を開けた。



名残惜しそうに抱きしめる腕を
そっとはずす。





真壁さんを部屋に残したまま
あたしは振り返らず部屋から出た。










********** ダンスのお相手は?15 **********

16話に続く


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