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『執事達の恋愛事情』の創作、
連載しております、
『ダンスのお相手は?15』を分割したものです。
15話のその1になります。
(その2まであります)

1記事で読む場合は、こちら。
『ダンスのお相手は?15』


以下より創作になります。


↓↓↓
↓↓↓↓





***** ダンスのお相手は?15 *****




日曜日の昼下がり。


あたしは、下着姿のまま、
鏡の前に立って、じっと鏡に映る
自分の首筋を見つめていた。



たくさん・・・・キスマークがある。



(これじゃあ、あのドレスは着れない)



あたしは、樫原さんからプレゼントされた
薄いピンク色のシフォンドレスを抱きしめて
途方に暮れていた。


大胆に肩が開いたデザインで、
これを着たら・・・すぐに
あたしの首や胸元につけられた
たくさんの小さな赤い痣が目立ってしまう。



(こんなにも。ここにもある)


くるっと振り返って、背中を鏡に映す。
襟足からすっと伸びた背骨や肩にも、
キスマークはある。



ため息が出てきた。



思わず、パウダールームにあるソファに座り込んだ。



真壁さんからつけられたキスマークで
こんなことになるなんて。

(絶対・・・あたしが樫原さんからもらったドレスを見ていたからに違いない)


真壁さんの表には出さない意地悪や
嫉妬心か?と思わず疑ってしまう。
ありえない、と想うんだけど、多分。




あたしは、本当にため息が出てきた。



特に用はないから、と真壁さんは休憩している。



今日は夕方から白凛学園の同級生である
緑川さんのお屋敷で誕生日パーティが開かれる。
それに出席するために、誕生日プレゼントも準備したし
いざというときの為にダンスの練習だってした。



そう、ダンスの練習だって・・・・。




―――-今夜は樫原さんとお出かけだ。




だからか、真壁さんは朝から機嫌が悪い。


金曜日の夜に熱を出して倒れ、
昨日、土曜日もずっと一日寝ていた。

まだ完全に回復してもいないのにおでかけなど、と
真壁さんが、しかめっ面をしながら
遠まわしにパーティへの欠席を仄めかしたけど、
あたしとしては、どうしても、
今日の誕生日パーティに行きたかった。



(だって、これまでダンスの練習までしてきたんだよ?)




それに、熱は1日だけぐっと上がっただけで、
昨日の夕方からは、だいぶ元気になって、
ご飯も食べれたし、それにふらつきもない。


さらにいうならば、
気持ちがすっきりしているせいか、
調子がいい、状態に近い。


出かけるのを渋るあたしの執事さんに
あたしはここぞとばかりに、
ダンスのレッスンが決まった日に
真壁さんがあたしにいった言葉を繰り返す。



「だって、緑川家とは九条院家との家同士の付き合いもあるし
今日になって欠席などとは言えないわ」



と、お嬢様の立場から説得した。



もちろん、そのことは、あたしの執事さんも
重々承知で苦い顔をして、
眉間に皺を作りながらも、
しぶしぶ承知してくれた。



ぶすっとしたままだし、話しかけても
本当に返事もしないから、
少し不機嫌が直るまでと思って
下がってもらった。




不機嫌な理由なんて・・・・わかってる。
わかってるけど・・・・、でも、ごめんね。



心の中で、あたしは、恋人である
あたしの執事さんに両手を合わせて謝った。



(・・・・この状態を、真壁さんには相談できないわ)




まさか、キスマークを「沢山つけられた」から
「樫原さんからもらった」ドレスが着れなくて困ってる。
なんて、そんなことを、当の本人にいうのも、な。


多分、真壁さんに言ったら、
少し困ったなって顔をしながらも
無表情で(内心喜んでる)、
真壁さん好みのドレスを
あたしが今持っている中から
選んでくれるだろう。


でも、それを着ていくと、
今度は樫原さんの目が痛いと思う。


いいえ、ただでさえ、プレゼントされたドレスを
着てこなかった時点で、
まず、樫原さんを傷つけるだろう。




不必要に誰かを傷つけるのは避けたかった。




真壁さんが選んだドレスを着ていったら、
絶対に樫原さんを傷つけるし・・・・。



(どうすればいいかな・・・)



頭を抱えて、ソファに座り込む。
そっと丸まっている体の間から
クローゼットの中に並んだドレスを眺める。


着ていける・・・ドレスは並んでいる。
それを選んで着ていけばいいってわかってるけど、
でも、それって、どう言い訳すればいい?

あたしのこのクローゼットの中に並んでいる服さえ、
樫原さんは全部把握しているはず。


だって、専属でついていたときに、
あたしの服をクローゼットから選んで
コーディネイトまでしていたしね。



再び頭を抱える。




(どうしよう・・・・・)





そのとき、ある閃きが生まれた。




(そうだ!あの人に相談すれば、なんとかなるかも!!)



あたしは、携帯を握り締め、
いつもはメールしたことがない、
あの人に助けを求めた。




















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












「―--―-それで、お嬢様?」



「今日のパーティのために準備されたドレスが・・・・着れなくて」



あたしの前で、中岡さんが
苦笑しながら立っている。



そう、あたしは、中岡さんにメールをした。


中岡さんだったら、こんなときにどうしたらいいか、
多分、いいアイディアを思いついてくれるだろうから。


それに、前に「何かあったら相談してくださいね」と
言ってくれたのを覚えているから。

ついでに、あたしが真壁さんと一緒に雨に濡れて
熱を出したときも、中岡さんが
樫原さんにフォローしてくれたというのを聞いていたから。


あまり核心に触れることなく、
それとなくぼやかして、報告してくれて
真壁さんが樫原さんから、ひどく注意されることは
なかったらしい。




そんなこんな事情を考えて、
あたしは相談役に中岡さんを選んだんだ。





このドレスを着る予定だったんだけどね・・・・と
あたしは、ピンク色のシフォンドレスを見せた。




樫原さんからもらったんだけど、
これを今日は着ていけないんだ。
でも、持っているドレスを着るわけにもいかなくて、
なんか、他のドレスが必要なんだけど、
でも、それがなくて、困ってて・・・。
真壁さんに頼めないのは、その・・・・
彼が選んだドレスを着ていったら、
樫原さんが傷ついちゃったら困るし・・・・・
できれば、真壁さんにも樫原さんにも
顔が立つように、なんかドレスないかな?




苦しい言い訳だった。




「あ、太ったから着れなくなった、んじゃないよ?!」

あたしは慌てて言った。
中岡さんがくすっと笑う。

「全て、了解しておりますよ、お嬢様?」
これは少し肌の露出が多いですからね。


え?


必死で苦しい言い訳をしたのに、
中岡さんには笑顔ですかされてしまった。


唖然とした表情のあたしを差し置いて、
中岡さんはクローゼットの中に並んだドレスを見た後、
ちょっと考える顔をして黙っていた。



そして、急に何か思いついたように

「お嬢様、少々、こちらでお待ちくださいね」
「いいことを思いつきましたので、今お持ちします」



にこっと笑って中岡さんが、
さっとパウダールームから姿を消した。

去り方さえ爽やかだな・・・・なんて、
あたしはそれを見て思った。



あの樫原さんからプレゼントされたドレスを
着ることができない理由を
中岡さんにちゃんと言えなくて。

でも、なんだかわかってくれたみたいだから安心した。



どうやら、中岡さんが助けてくれそう。
本当に中岡さんに頼んでよかった。



あたしは、一息ついていた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




しばらくして、中岡さんが持ってきてくれたのは、
白いニット素材で、レース網のように細かい
金糸や銀糸にビーズやスパンコールが
あまり派手すぎず刺繍されたドレスだった。


ピンクのシフォンドレスのように、ふわふわしていない。
どちらかというと、身体の線がぴったり出るタイプ。


胸元は、首のほうまで少しきっちりしていて、
鎖骨のあたりにリボンを結べるようになっている。
首もとのふちを飾るレースには、
ビーズが刺繍されている。


同じようにビーズの刺繍が、袖口にもある。

これだけ、胸元が詰まっていたら、
沢山のキスマークが見えないで済むな、と
最初、この服を見たときに安堵した。

上半身はニット素材特有のぴったり感で、
下半身はマーメイドスカートのように切り替えが入り
ニット素材じゃなくて、黒サテンのような光沢のある布が
切り替えで入ってきて、裾が広がっている。

ひらひらと切り込みの入った裾は、
ターンをすると、ふわっと広がるようになっている。
そのままだと、白いニットドレスみたいに見えるけど
少し動くと、裾の切り替えから黒が覗く。
それがモノトーンチックですごくシックだ。

切り替えの裾も、ランダムに
斜めのラインで切られているから、
華奢なヒールとあわせたら、
多分足元がすごく洒落だと思う。



でも・・・・このデザインはかなり大人っぽい。



片側上半身から下半身へ流れるラインのように
黒と銀の糸で花の模様や、川の流れのような刺繍が
伸びている。ところどころ、くもの巣のような
幾何学的な模様が広がってて、ビーズのキラキラや
スパンコールの放つ光がアクセントになっている。
くもの巣に絡め取られた蝶の羽のような輝きが
ところどころにあるのが素敵。



とりあえず、お召しになってみてください。
微調整はお召しになった後にやりましょう。



そう勧められて、手渡されたドレスを着て、
あたしは、ため息をついた。



「・・・うわあ・・・これ、すごく大人っぽいね」



中岡さんがにっこりと笑う。



「こちらは、慎一郎様が新たに取引を始めましたイタリアのインポート服飾関係からのサンプルでございます」

「ちょうど、サンプルとして届いておりましたものを思い出しましたので、1枚、お嬢様に似合うものと思い、僭越ながら、私の判断でこちらのドレスにいたしました」



あたしが試着してみたドレスの背中で、
余っている部分を微調整している中岡さんが言う。



「こちらでしたら、慎一郎様からのプレゼントということで、お嬢様が今日のパーティでお召しになっても、誰もなにもいわないことでしょう」



中岡さんの顔は見えないけど、
少し苦笑しているような声だ。


確かに・・・・、義兄さんからのプレゼントだ、といえば
樫原さんだって納得するだろうし、
それに、真壁さんと樫原さんの仲にも角が立たない。



「なんか・・・あたしがこれまで着たことのないタイプだからドキドキしちゃうな」



いままで、あたしが着てきた服よりも、
すごく大人っぽい。
着ているあたしが、あたしじゃないみたい。
なんか、一気に大人になった感じだ。



似合うかな?



ちょっと不安そうに聞いたら、
中岡さんがすぐに顔を上げて、
微笑んでくれた。



「お嬢様にぴったりですよ」



「そ、そうかな・・・・?」



なんか、ぴったりすぎて、
胸の辺りとか、余っているんだけどな、布が。


思わず、胸の辺りだけ、
少し余裕があるのをつまんでみていたら、



「お嬢様は成長期ですので、そのあたりはいずれきつくなるかもしれませんね」


と中岡さんが言った。




!!


その言葉の意味に、あたしは
思いっきり赤くなってしまった。



「な、中岡さん!!」



あたしがあまりにも焦った声で言うからか、
中岡さんがびっくり顔で目を丸くしていたが、
自分の言った言葉の大胆さに気づいたのか、
一気に頬を赤らめて焦っている。

「す、すいません、お嬢様!つい!」

ついって!
うわぁ・・・・・。

焦って、どうにかフォローしている中岡さん。

「あ、でも、えっと、お嬢様は華奢なので、バランスとしては、胸は今くらいのほうが・・・ってあ!」

「っ・・・!!な、な、なな、なかおかさん?!!」


あたしは、いきなりの中岡さんの
男性目線からの意見で
もっともっと赤くなってしまった。


中岡さんも、顔を赤くしたまま、
黙り込んでしまった。


中岡さんが(何か言わなくちゃ言わなくちゃ)と
焦っている様子がよくわかる。
だって、あたしのドレスの微調整を背中部分で
糸と針をつかってやりながらも、少し手が震えてるもん。




二人揃って、気まずいというか、
恥ずかしくて、ぐっと黙ってたんだけど・・・・



でも、そのうち、その妙な沈黙が
おかしくなってしまって、
思わず、あたしは笑い始めてしまった。




「あはは!ほんと、中岡さんったら、なんでいきなりあんなことを!」


あたしが、思いっきり笑い始めたせいか、
一瞬あっけに取られていた中岡さんも
釣られたように笑い始めた。
糸を切って、針を針山に刺す。


「お、お嬢様、さっきの私の発言は内緒ですよ!」


真っ赤な顔を慌てながらいう中岡さんを
ひとしきり笑った後、
あたしはなんだか、すっとした。


こんなにお腹が痛いほど笑ったのは
久しぶりだ。


だって、最近ずっと真壁さんや樫原さんのことで
辛いこととか哀しいこととか、どうしたらいいだろうと
考えることが多くて・・・。
思えばどうやって笑うのかさえ、
忘れてたかもしれない。



ふぅ、と一息ついたあたしを、
中岡さんが優しい目で見ている。


もう、頬が赤くなっているのは治まったんだね。



「-----お嬢様があれほど笑うのを久しぶりに拝見いたしました」


そういって、少し微笑む中岡さん。



「最近、全然お笑いにならないので、心配していたところですよ」



はっとして中岡さんの顔をみると、
少しだけ心配そうな表情をしていた。



あたし・・・・中岡さんに心配かけてたんだね。



思い返せば、真壁さんからメールが来ないとか
中岡さんに愚痴を聞いてもらって、
それで慰めてもらってたな。



「お嬢様がいつものように笑ってくださって、私はとても安心いたしました」

真面目な表情で中岡さんがそう言う。




中岡さん・・・・。

あたしは、胸がじんわりした。



本当に、中岡さんって、
あたしの幼馴染のお兄ちゃんみたいな人だね。
いつも、こうやってあたしのことを心配してくれる。
何かあったら、いつも一番に助けてくれる。
本当に優しい人だな。



なんだか胸がいっぱいになって、
あたしは、少し泣きそうになった。
なんでだろ、最近涙もろくなってる。


でも、ちゃんとお礼を言いたくて・・・・。




「ありがとうね、中岡さん」

「あたしのことを心配してくれて」

「あたしが一番大変なときに中岡さんが助けてくれるよ」

「中岡さん、大好きだよ」


思わず、ぽろっと涙が零れそうになるのを
我慢したけど隠しようもなく
じっと中岡さんの瞳を見て、
思ってることを伝えた。


最後の言葉の「大好き」はlikeの意味だけど。

そう付け加えた。



―----だって、あたしがお礼を言った後に、
中岡さんが一瞬で頬が赤く染まって、
なんか、びっくりしたようにこっちを見つめたまま
固まってしまったから。



あたし、変なことを言ったかな?


「前にも・・・・真壁さんのことで泣いていたときに慰めてくれたでしょ?」


あの時、泣いているあたしの背中を
ぽんぽんと叩いてくれた中岡さんの優しさが、
今でもあたしの中に残ってるよ。



「ほんと、中岡さんは、あたしのお兄ちゃんみたい」


そういって、にっこり笑った。
いつだって、中岡さんの優しさに
あたしは助けられてる。



「いつも、ありがとう」



その言葉で、あたしの顔をじっと食い入るように
見つめていた中岡さんがふっと笑った。


「いえいえ、私の方こそ、お嬢様には助けられてます」
私は、お嬢様の笑顔が好きです。
だから、いつも明るく笑っててください。
それだけで、屋敷の皆は幸せになれるのですから。


中岡さんらしい言葉だった。

中岡さんって、ほんと・・・遠慮がちというか、
こういう時にもさりげなく気配りなんだね。

あたしは、そういう中岡さんだからこそ
こうやって頼りにできるんだと思って、
にっこり微笑み返した。





************ダンスのお相手は?15-2に続く


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