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執恋の創作『ダンスのお相手は?』の10です。

だいぶ、長い話になりました。
最近シリアスなんで・・・(笑)
て、笑うところでもないんですがw
すいません。
もっと軽いノリを目指していたはずなのに
いつのまにか、ドロドロだぜっ!(爆)

この先は創作になります。
真壁と樫原さんが出てきます♪


【前回までのリスト】

・ダンスのお相手は?1 ~幕開け
・ダンスのお相手は?2 ~レッスン開始
・ダンスのお相手は?3 甘やかしてくれる人
・ダンスのお相手は?4 ~誘惑の~
・ダンスのお相手は?5 揺れる心
・ダンスのお相手は?6 告白 
・ダンスのお相手は?7 情熱
・ダンスのお相手は?8 好きという気持ち
・ダンスのお相手は?9 イアリング


この下は、創作になります。


↓↓↓






******* ダンスのお相手は?10  *******






「お前・・・・・樫原さんの匂いがする」


この言葉で、あたしは、その場に凍りついた。
電気の消えたホールの中。



あたしと真壁さん。



2人しかいないのに。
耳元ですごい音が聞こえる。
ごごごごーって、体中を一気に
すごい音で血が巡ってるのがわかる。
急に眩暈に襲われたかのように、
目の前が一瞬で暗くなった。

樫原さんの匂い。
抱きしめられたときに。
髪の毛をかき上げられたときに。
耳元に顔を寄せられたときに。



きっと、匂いがうつったんだ。




「・・・・・・・そ、それは、さっきまでダンスの練習をしていたからだよ」


動揺しながらも、そうとしか言えなかった。



「・・・・どうして嘘をつくんだ」



「・・・・・嘘じゃない・・・さっき、練習していたから」



暗闇で顔が見えない。


外套の光が背後で、真壁さんの顔が見えない。


ただ・・・・、その空気で、真壁さんが
こっちを見つめているのがわかる。
熱いくらいに、ううん、刺すような厳しい目で。



「ダンスだから、身体を近くにくっつけるから、匂いが移っても―――」

「きゃっ」


いい終わらないうちに、
あたしは、急に腕を引っ張られた。


ぎゅっと抱きしめられる。


さっきとは違う。
もっときつくて、あたしが息できないくらい。
手加減なしの抱きしめ方。



「・・・・俺以外の匂いがするなんて」



「ま・・・真壁さん」



「・・・・・・ごまかせると思うか?」




あたしは何も言えなかった。
痛いほど抱きしめられて、
なんて言ったらいいのかわからなかった。



何もなかったんだよ。


そう言うのは嘘になる。
だからといって、樫原さんに
抱きしめられたなんていったら、
多分・・・真壁さんは、あたしを許してくれない。

ううん。

そうじゃない。
言えないようなことを、したんだ。
なんでそうなったか、を。
理由を、言えない。


―――、そう思った。



「ごめんね」



それだけしか言えなかった。
謝るのが、イコール肯定だとしても。


なんでこんなことになったのか、
わからない。
さっきまで、すごくいい雰囲気で。
真壁さんが優しくて。
あたしも幸せで。



それが、今は、とても苦しい。


なんだか・・・・
真壁さんの身体から伝わってくる感情が痛い。




「・・・・俺は2回までしか嘘は許さない」

そう呟く掠れた声が聞こえた。


「1回めはおとといの夜。ホールに見に来たときだ」



「そして2回目は今。」



「3回目は無しだ。」




「今のは、嘘じゃない。ダンスの練習で――――」


最後まで言い終わらないうちに、
あたしは、もっときつく抱きしめられて、
喋ることもできなくなった。
腕がきついくらいに、抱きしめてくる。



「ま・・・・ま、真壁さん・・・・」


伝わってくる感情にくらくらする。


足元がふらついてきた。
真壁さんの激情が、あたしの中に
皮膚や空気を通して、流れ込んでくる。

真壁さんのことしか
あたしは見てないよ。
真壁さんのことが、大好きだから。
好きで好きで、しょうがなくて。
嫌われたくない、から。

嘘なんかじゃない
嘘じゃない・・・・。


真壁さんの胸にあたしの頭が押し付けられて、
すごい力で、抱きしめられてる。


男の人の・・・・力だ。



あたしは息が苦しくなって、
どんどん、意識が遠のいていきそうになった。
真壁さんの背中を一生懸命叩く。



空気がなくて、苦しい。
一人で立っているのが辛い。



必死で吸い込む空気は、
真壁さんの匂いがすごくしていて。
それが体中に回ると思うと、
それは、ドラッグのようにあたしを喜ばす。

こんな状況なのに。


その事実が、とても切なくて、苦しかった。
好きで好きでしょうがないって、こういうことなのか。



・・・・・・だから、背中を叩いた手をやめた。
もう、いい。



くらくらして、ぼーっとしてくるなか、
あたしの頭にあったのは、
真壁さんがこれだけあたしのことを愛してるんだって
幸福感と、切なさと、真壁さんへの愛しさだった。

そして、どれだけ自分が真壁さんを愛してるか。


あたしが、真壁さんのことを好きでたまらなくて
とても切なくなって不安になるように、
真壁さんも、こうやって不安になるんだ。


そう感じられて・・・・。





そのままにしておいた。







叩くのをやめたら、しばらくして、
真壁さんがゆっくりと腕を緩めてくれた。



一気に開放されて、空気が入ってきた肺が
激しく、苦しくて、咳き込む。



がくっと、膝から力が抜けて、
座り込みそうになった、あたしを、
真壁さんが抱きかかえた。



「悪かった・・・・力加減しないで」



その声が、とても辛そうだったから。
あたしは。




いいよ。


そう呟いた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





ホールの壁際に置かれた長いすに
真壁さんが、あたしを抱えたまま座って、
抱きしめてくれた。
ゆっくりと、髪の毛を撫でてくれる。



外の雨が優しく降る中、
あたしは、真壁さんの胸に頭をあずける。


心配そうに、こっちを窺っている。




優しい時間―――。



このまま、ずっとこうしていられたらいいのに。
他の世界から隔絶されたような、
このホールの世界だけで。


2人しかいない世界で、こうしていられたら。



ずっと、ずっと雨が降り止まなければいい。



ずっとずっと、夜が続けばいい。





あたしは、心の底からそう願った。




でも、こういうことを考えると、
泣きそうになる。


なんだろう。


この、胸にこみ上げてくる複雑な思いは。


真壁さんのことが好きで好きでたまらない。
好きすぎて、辛い。
・・・だから、逃げたくなる。


でも、どこへ?



逃げたくなる、って言葉が頭に浮かんできて
思わず、あたしは自分自身の考えを笑った。


あたしに逃げる場所なんてない。


逃げても、あたしが真壁さんのことを
好きで好きでしょうがないのは、変わらない。
そう、もう真壁さんに身も心も囚われてるのに。



好きすぎて辛いっていうのは、
こういうことだ。


八方塞な袋小路に追い詰められて、
そこから出られなくて。
いいえ、出ることを望んでいなくて、
そこに追い詰められて幸せだと感じていること。
そこでただ、彼のことだけを思って朽ち果てること。


こんなに、誰か他の人を好きになっていいんだろうか。




ただ―――


好きだって気持ちだけがあればいい。
余計なことは考えずに、
あたしは、しっかり真壁さんだけを見ていればいい。


真壁さんもあたしのことを見ている。
ううん、あたしだけしか見ていない。

それで、いいんだと思う。
あんまり、考えるのはやめにしよう。


あたしは、真壁さんのことが好き。
それだけ、見つめていればいい。
迷うことは・・・・何もない。


今のこのあたしには、
この選択肢しか残ってない。
だって、もう囚われてしまってるのだから。
苦しむのはやめよう。
あたしは、多分・・・幸せすぎて目がくらんでいるだけだ。


ぶれないでいる、って、とても難しい。
そう思った。



「真壁さん、そろそろお部屋に戻ろう?」

「もう、大丈夫か?」

「うん。大丈夫」


後ろで抱きしめてくれてる真壁さんを、
首だけで振り返ると、額に優しくキスされた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ホールからの帰り道。
まだ、雨が降り続いている。
霧雨・・・・。細かい雨の雫が空から降ってくる。
水しぶきのようで、少しひんやりしながらも気持ちがいい。

真壁さんが後ろ斜めから傘をさしてくれる。
手は、絡めて繋いだ。


ひんやりした空気の中、
握った手のひらから温かさが伝わる。


少し指を緩めて、また握ると、
それに応じて、また握り返してくる。
その力強さが、あたしは好きだった。



あたしと真壁さんが出会った頃を思い出した。



あの頃は・・・・真壁さん、本当に笑わなかったな。
いつも執事の顔をしてて・・・・、
でも、時々どきっとさせてくれて。
こんなって、手を繋いでくれる恋人同士になるなんて
思いもしなかった・・・。






「―――何考えてる?」

不意に問いかけられた。

「・・・・真壁さんのことだよ」
「どうして、こんなに好きなんだろう、ってね」



あたしは、立ち止まり、ちょっと背伸びをして、
後ろで傘を指している真壁さんにキスをした。


「これの100倍ぐらい、好き」

どれだけ、って表すのは難しい。
言葉でいうのは、特に。

「足りない」

ちょっと不機嫌そうに、真壁さんが返してくる。


でも、口ではそういいながらも、
傘を持っていない手の方で、
真壁さんが、あたしの頭をぽんぽん叩く。
いい子いい子ってするように。

嬉しくなって、えへへと微笑んでしまう。

あたしは、こうやってされることが大好きだ。
真壁さんに甘やかされるのが。
それは、真壁さんも知ってる。
でも、あんまりやってくれない。

理由は?

わからない。

なんとなく感じるのは、真壁さんが
それ以上を求めているってこと。
でも、それを我慢しているってこと。
だから、たまにしか、こういう風に甘やかしてくれない。



「足りない?じゃあ、あたしの最上級レベルで好き」



その言葉で、真壁さんがくすっと笑う。


冗談めいてしか、言えなかった。
本当は、好きすぎて、その気持ちが
身体からあふれるぐらいだってことなんて。
好きすぎて辛くて辛くてしょうがない、
こんな気持ちをぶつけられないほど好きだなんて。


顔を見られたくなくて、
傘を持ったままの真壁さんの胸に
自分の頭をくっつけた。
真壁さんは何も言わずに、
頭をとんとん叩きながら、撫でてくれる。


こうやって、子ども扱いみたいにされても、
あたしは喜んでしまう。
ううん。むしろ、甘やかされて、
それだけで、心が満たされていく。

久しぶりにこうやって、頭を撫でられて
あたしはとても嬉しかった。




「―――俺がどれだけお前のことを好きなのか、教えてあげようか?」



「え?」



いきなり、そういったかと思うと、
真壁さんは、あたしの傘を放り出した。



「え・・・・?傘・・・・!」

さっきまで、傘の中で抱きしめていたはずの恋人が
いきなり、傘を放り出して、こっちを見ている。
この展開に、あたしはびっくりしてしまった。

「・・・傘なんか、いらない」

呟くようにいう真壁さんの声が
なぜか、とても・・・印象的で耳に残った。
傘が・・・風にのって、横を転がっていく。

「濡れちゃうよ・・・。風邪ひいたら、たいへ・・・!!あ!」

最後まで言い終わらないうちに、
真壁さんの片手が、あたしの腰を掴んで、ぐっと引き寄せた。
雨が降っているのにもかかわらず、
真壁さんは、全然気にも留めない。
その瞳の色は、すごく・・・情熱的で魅惑的に輝いていた。



「俺がどれくらい、お前のことを愛してると思う?」


どきっとした。
いきなり、そう切り出されて・・・・。

「・・・・あたしが真壁さんを好きより、
もっともっと、あたしのことが好き、位」


じいっと見つめられているのが恥ずかしくて、
あたしは思わず下を向いてしまう。



こんな風に言わせるのは・・・絶対意地悪だ。


でも、こうやって意地悪されるたびに、
あたしの胸が高鳴ることは・・・多分わかってるんだと思う。
だから、こうやって聞いてくる真壁さんを
あたしは、とても・・・・好きだと思った。



「全然、足りないよ」


そういって、真壁さんはくすっと笑った。
「全然、わかってないよ、お前は」

そういって、優しく額にキスをする。



「・・・・風邪、ひけよ」


「え・・・?」

いきなり、そんなことを言われて、
一瞬意味がわからなかった。


「おれが看病してやるから」


くすくすと笑いながら、真壁さんが続ける。


「え・・・・?そ、そんな・・・・!」


「ずっと添い寝やるよ」


耳元で囁く。
こ、こんなの反則だよ・・・・!


「だ、だめだよ。か、風邪、移っちゃうよ、傍で寝ていたら・・・」

思わずくらくらしてきた、あたしは必死に抵抗した。
想像しただけで、ドキドキがとまらない。


「ふふ。移したら、風邪は早く治るっていうだろ?」


「っ・・・・・・!」


「それとも、移すようなことは、俺とはしたくないのか?」



(そ、そんな、言い方、ずるい。なんにも言えなくなっちゃうじゃない・・・)



大胆なことをいう真壁さんに、
あたしは赤くなってしまった。


真壁さんは、そんなあたしを
包み込むように抱きしめた。

まっすぐ、あたしを見た、
その瞳は、すごく真剣で、怖かった。

でも、いつものように、
両手であたしの頬を包んだ手のひらは
すごく優しくて・・・・。

あたしたちに、
細かい雨が降り注ぐ。
だんだん濡れてきて、
前髪からぽたぽたと雫が落ちてくる。


「傘は、もういらない・・・・」

「え・・・・・?」



「俺は濡れたお前がいいんだ」



そう言って。

ぐいっと、引き寄せられた。


濡れて雫がたれてくる前髪を、
真壁さんが、そっと撫でた。





「濡れてて・・・・すごく、綺麗だ・・・」



あたしに、深い・・・激しくて熱い、大人のキスをした。



「っ・・・」



雨が・・・酷くなって、
あたしも、真壁さんも、すこしづつ、濡れていった。



ぽたぽたと、飛沫が地面に跳ね返って。
真壁さんの前髪からも、すーっと流れ落ちた。
そのしずくが、あたしの頬に、落ちてくる。
一瞬びくっとしたけど、その感触が、心地よかった。



寒かったはずなのに・・・、もう身体は震えない。



あたしは、キスで溶けるようだった。




真壁さんの唇は、少し冷たかった。
でも、そこから流れ込んでくる感情は、とても熱かった。
ゆるくて、そこから溶けていきそうだった。
じーんとして、なんにも考えられなくなった。



唇が離れると―――



あたたかい、温度が、少しづつ冷えていく。


その感覚がとても寂しく思えて、
思わず、素直に自分の気持が零れた。


ずっと・・・・伝えたかった言葉。
ずっと・・・・隠していた言葉。



重荷になるんじゃないかって、
怖くて言えなかったもの。




「真壁さんに会えないと、寂しい、すごく」



「好きで好きで、辛いの。真壁さんがいなくなったら、って考えちゃって」





「ずっと・・・真壁さんがそばにいてくれなかったら、あたしはあたしじゃなくなっちゃうの」





呟きながら、涙が滲んできた。
雨なのか、涙なのかわからない。
ただ、なんだか熱い想いがあたしの中から
零れて行くのがわかった。



ずっと塞き止めていたもの。
ずっと隠そうと思っていたもの。




その防波堤が壊れたかのように、あたしは―――。
真壁さんしか見えてなかった。




真壁さんが、少し大きく息を吐き出すのが聞こえた。


ずっとつぶっていた瞼をゆっくり開けた。
間近に真壁さんの顔がある。



・・・・・・こっちを、見ていると思った。




でも、違った。


真壁さんは、なぜか苦しそうな顔をして、
ぎゅっと目をつぶっていた。


え・・・・、どうして・・・・?



なぜ、真壁さんがそんな表情をしているのか、
あたしにはわからなかった。





********* 「ダンスのお相手は?」10 終了 *********


また明日♪


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