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ダンスのお相手は?9  03/22/2009  
執恋の創作になります。
真壁さんと樫原さんが出てきます。

友人の誕生日パーティに招かれて、
それでダンスを練習することになった・・・・話なんですが、
だいぶ長いです。

あたし、こんな真壁さんや樫原さんを書いて、
真壁さんファンや、樫原さんファンから、
怒られはしないだろうか、と、ここ数日
不安だったりします。




だいぶ長くなってきて・・・中盤戦~最終なんですが、
どうぞ最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。





【前回までのリスト】

・ダンスのお相手は?1 ~幕開け
・ダンスのお相手は?2 ~レッスン開始
・ダンスのお相手は?3 甘やかしてくれる人
・ダンスのお相手は?4 ~誘惑の~
・ダンスのお相手は?5 揺れる心
・ダンスのお相手は?6 告白
・ダンスのお相手は?7 揺れる心
・ダンスのお相手は?8 好きという気持ち

↓↓↓↓




******* ダンスのお相手は?9 **********




普段の日々が戻ってきた。

大事な商談が入って、
兄さんの仕事に真壁さんじゃなくて
樫原さんが同行することになった。

そして、真壁さんは、あたしの専属執事に戻ってきて。




全ては元通り―――、なんだと思う。




ダンスの練習は、樫原さんが空いている時間、
義兄さんが帰宅した後の時間になった。



真壁さんがあたしの専属執事で、毎日、いえ、
いつも、そばにいてくれる。
これまで当たり前だと思っていたことが、
こんなに嬉しいことだと実感したことはなかった。

いつも真壁さんがあたしを見つめている。
そして、視線が重なると、少しだけ顔を緩めて
微笑んでくれるのがわかる。


そばにいてくれて、いつもあたしのことを考えてくれる恋人。



あたしは、とても幸せだった。




誰もみていないところで、
2人だけの部屋で、
あたしたちは、こっそりとキスをする。
何度も、何度も。
真壁さんの執事服に隠れて。
それが、たまらなく、あたしをドキドキさせた。




久しぶりに会えた夜に感じた苦しい思いも、
真壁さんがそばにいてくれたら、
あたしは、感じないですんだ。

あの暗い気持ちが、
いつか真壁さんがいなくなったらとか、
もう真壁さんから必要とされてなかったら、
いつまでも真壁さんを追いかけて捕まえきれなくて、
あたしの気持ちはどこへいけばいいんだろうっていう
妄想に近い不安や心配、そして焦りは・・・・。

多分あたしの心の奥に隠れてしまって、
あの時、真壁さんがそれに鍵をかけてくれた。


それがいつ・・・またいつ開いてしまうか
あたしにはわからなかった。
もっていることすら知らなかった、あたしの心の中の・・・。



でも、わからないでいい、と思う。
それは、ずっと一生、でてこないままで、いいものだから。
真壁さんがそばにいてくれたら大丈夫。


そう、唱えてた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






ただ、樫原さんのダンスの練習のときは、
真壁さんはホールに来なかった。
樫原さんが真壁さんを下がらせたのかもしれない。
その1時間ほどは、あたしは樫原さんと一緒にいた。

その日も、雨だった。
このところ、ずっと雨が続いている。
雨が降ると、このホールが他の世界と
隔絶されたようになるのは・・・・、
多分、本当にそうだからだ。

もう、ワルツは踊れるようになった。
ステップも間違えずに踏める。
当日のエスコートが樫原さんに決まり、
あたしは、多分樫原さんとしか踊らないだろうから、と、
今、もう踊れる分で十分だった。

真壁さんは・・・多分今頃、あたしの部屋で
鞄とか制服の手入れをしていると思う。
ついさっきまで一緒にいたのに、
こうやって少しだけでも離れるだけで不安だった。

ホールまで送ってもらったとき、
別れ際の真壁さんの顔は、少し感情が表に出てた。
なんだか、表情が硬くて―――。
やっぱり。あたしが樫原さんと一緒にいるのが
嫌なんだろう・・・・。
あたしは―――。






樫原「お嬢様、心ここにあらず、ですね」

踊っている最中に、樫原さんが話しかけてきた。

「え?そ、そんなことはないよ」

思わず、真壁さんのことを考えていた。
それを見透かされていたのか、とドキっとした。

「お見通しですよ、お嬢様」

そういって、樫原さんはターンをリードする。
それにあわせて、あたしも、少しぎこちないながらも、
くるっと身体を半回転させるように、まわる。

続けざま、ターンが続いて、のんびりと考え事をしながら
踊っていたあたしは、その速さで、少し足をとられた。


「っ!」



思わず、樫原さんの足を踏んでしまった。



「あ!!ごめんなさい!!」



久しぶりの失態。
もう足を踏むなんて、ないくらい・・・・
踊れるはずなんだけど


少し考え事してて・・・・。



樫原さんの足も立ち止まる。
勿論、あたしも。




「お嬢様」

「・・・・はい」



「踊っているときだけは、私のことを考えててください」



覗き込むように、樫原さんがあたしの目を見て言う。

その表情は怒ってはなかったけど、
なんだか、考え事をしているようだった。
きっぱり、そう言われて、
あたしは合わせていた目を伏せた。

「・・・・・ごめんなさい」

せっかく時間をとって教えてもらってるのに
・・・・あたしったら。



「身体はここにあっても、
心はここにないお嬢様と踊ってて、
私が気づかないと思いますか?」


少し哀しそうに言われて、
あたしは、はっとした。


「ごめんなさい・・・・!」



不意に、樫原さんの右手が、
あたしの頬に触れる。
思わずびくっとしてしまう。



「・・・・だから、悩みごとはひとりで抱えないことと言ったんだ」



「え」



立ち止まった樫原さんが、こっちを見ている。
その言葉遣いで、前の・・・樫原さんを思い出した。
いつもの・・・樫原さんじゃない。
あたしの部屋で、好きだといってくれた
樫原さんだった。



悩みごと、と言われて、あたしは固まる。
どうして・・・・あたしが悩んでいるってことが
わかるんだろう。

誰にもいえなくて、ううん、
言わずに隠しているのに・・・・。



「なにを考えてる?言ってごらん?」


優しい声が降ってくる。
顔を撫でる優しい仕草。

樫原さんの顔を見れなかった。
こんなに、見通してしまうなんて、ずるい。
あたしが直視したくなくて、隠しているものを
樫原さんがいきなり、ビリビリと剥がしてしまう気がした。

表情を作れなくて。
なんて言ったらいいかわからなくて。



あたしは顔を伏せた。




樫原さんの右手が、ゆっくりと頬を撫でる。
そして、肩にかかった髪の毛をゆっくりと払いのけて、
耳に触れた。



「!!」



「真壁のことだろう、考えているのは?」



樫原さんの指が
あたしの耳についたイアリングを触る。


そのイアリングは、あたしと真壁さんが以前
お買い物に行ったときに、真壁さんが見立ててくれたものだ。



樫原さんの顔が近付いてくる。
そして口元を、髪の毛をかきあげた耳元へ寄せた。
あたしは、びくっとして思わず身体を離そうとしたけど、
腰にまわった樫原さんのもう片手がそうはさせてくれなかった。



「・・・・やめて・・・下さい」



今、ここで、真壁さんの名前を、
樫原さんの口から聞きたくなかった。
でも、あたしの抵抗もむなしく、
耳元で樫原さんは続ける。



「どうして真壁といるときに、そんな苦しそうな顔をするんだ」



「・・・・・・そんな顔していません」



耳元で繰り返される言葉が、痛い。
もうやめて、って耳を防ぎたいのに、
あたしは固まったままだった。



「あんな顔を見せられたら、真壁に渡したくはなくなるだろう」




「っ・・・・・・・・!!」



耳元で熱い息が感じられる。
指で触られているところが熱い。
ぱちん、と、イアリングが外れて落ちる音が聞こえた。



「君が心配なんだ」



そう呟くように聞こえて、
樫原さんが、あたしをぎゅっと抱きしめた。


抱きしめるがままにされて、
あたしは、どうしようもなかった。
ただ、いきなり訪れた嵐を耐え忍ぶかのように
あたしは震えていた。



「どうして、心配させるんだ?」



何もいえない。


この気持ちを、どう、正直にいえばいい?




真壁さんのことが好きで好きで
しょうがなくて、苦しくなる。
好きだという気持ちが、あたしの中で
沢山沢山の不安を生んで、
真壁さんを独占したくてしょうがなくて。
そして、いつか真壁さんを失ったらどうしようと
そういうことを考えてるなんて。

そして、樫原さんのこと―――。





この人にだけは言えない。






「樫原さん・・・・」


ようやく絞り出した声で、
あたしは言った。



「あたしは、大丈夫です」



それだけしか言えなかった。


ゆっくり、抱きしめられている身体を、
樫原さんから離す。
胸を両手で押すように、樫原さんを遠ざけた。

「ありがとう、樫原さん」

少し、笑ってみた。

その表情をみて、やはり心配そうな顔をしていたけど、
樫原さんは、それ以上なにも言わなかった。
拒絶した、つもりはなかったけど、
でも、そう取られても仕方がない。



「悩みごとがあったら、ちゃんと話すから」



かろうじて明るい声を作っていった。
だって、このままでは、いられないから。
そのあたしの思いが通じたのか、
樫原さんが、どうにかいつもどおりの笑みを浮かべてくれた。


樫原「絶対ですよ、お嬢様?」


少しぎこちなかったけど、
冗談めいて言ってくれた。
あたしの誤魔化しを見ないふりしてくれた
樫原さんがありがたかった。




「うん」











「ねえ、樫原さん、お茶が飲みたいな。喉渇いたの」



「わかりました・・・・少々お待ちを」



・・・・、お茶を飲みたい、なんて、口実だ。
早くこの場を終わりにしたくて。



樫原さんが給湯室へ消える。

少しふらつく身体をどうにか、腰掛させた。
動揺と、混乱で、あたしの頭はいっぱいだった。

樫原さんは、知ってる・・・・。
あたしが不安がっていることも。


そのことが、あたしをすごく動揺させていた。




腰掛に座って、飾り窓の外の雨を見ながら、
気持ちを落ち着けようと
ゆっくり瞼を閉じた。


雨だれの音が優しく聞こえる。




早く真壁さんに逢いたい―――。




心の底から、そう思った。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ダンスの練習が終わって、部屋に帰る。
真壁さんが、温かい紅茶を準備してくれてた。
少し雨に濡れながら、母屋まで帰ってきて。
アッサムのミルクティだった。

着替えをしてて、気がついた。
イアリングがない。

はっと思い出してみて、
ホールでの出来事。

樫原さんが、あたしの耳についていた
イアリングを触ってて・・・・。

あそこで落としたんだ。

あれは、あたしが大事にしているイアリング。
真壁さんがあたしに見立ててくれた。

「真壁さん、ごめんなさい!あたし忘れ物をしたから、ホールに行ってくる!」

真壁「お嬢様!お待ち下さい」

「え?」

真壁「私も御一緒させていただきます」

「・・・・外、雨が激しいから。落ちている場所わかるから大丈夫だよ?」

真壁「それなら、私一人で取りに行かせてもらいます」



「・・・・・じゃあ、一緒に行きましょう」


そういって、真壁さんの手にあたしの手を絡める。
一瞬、驚いた顔をした真壁さんが、ふっと笑う。



真壁「手を繋ぐのにはまだ早い時間だろう?」



「だって、2人で行くなら夜のお散歩だよ?だめ?」



真壁「・・・・あんまり可愛いことを言うな」



繋いだ手を軽く持ち上げて、手の甲にキスされた。
それだけで、あたしはすごく赤くなってしまう。
ドキドキしてしまう。
少しだけ、真壁さんも赤くなっているような気がする。
それが嬉しくて、あたしは笑った。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





ホールまでの道は、細かい霧雨で曇っていた。
庭園の外灯の、ふんわりした黄色い光が反射して
雨の飛沫が、地面の、砂利の道を飛び散る。

雨が降っている中、
真壁さんがあたしに傘を差してくれた。

「真壁さん、雨、濡れちゃうよ?」

あたしに傘を差しているものだから、
真壁さんの半分側が、濡れている。

「風邪をひいたら、看病してくれるんだろ?」

「あ・・・うん、もちろん、看病するよ?」

「もちろん、添い寝もしてくれるよな?」

ぎゅっと後ろから肩を抱きしめられて、
そう耳元で言われる。
どきん、っとした。


「う、うん・・・・!あ?・・・え?添い寝って!!!??」


くすくすと真壁さんが笑う。
かーっと赤くなってしまった。
添い寝・・・・なんて、まだしたことないのに!
まだ、一緒のベッドで眠ったこともないのに・・・!!


「真壁さん、からかうなんてひどい!」


もう!頬をふくらましそうになるほど、
恥ずかしくて、怒って早足で歩き出したあたしを
真壁さんがくすくすと笑いながら、ついてきた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「イアリングは・・・・と」

再び電気の灯ったホールの中を
あたしと真壁さんは、落としたイアリングを探していた。

「確か・・・・この辺だと思うんだけど・・・・」

樫原さんに抱きしめられた場所。
確か、この辺だったと思う。
その近くを探したら、イアリングが落ちていた。


「あった・・・・!よかった!」



無事に見つけられて安心した。
見つけたよ、と、真壁さんのほうを向いて
イアリングを差し出す。

それが子どもっぽい様子だったのか、
真壁さんがくすっと笑った。

こうやって2人っきりのときに真壁さんが
微笑んでくれるのが、あたしはとても好き。


吸い寄せられるように、真壁さんのところへ
歩み寄った。

真壁さんが、ドアの方にあるホールの明かりを
かちっと消す。





急に電気が消えたホールの中。




外の外套の光で、ぼんやりと見える
愛しい人が立っている姿。


電気を消したのは、恋人同士の合図。



ドキドキして、胸が高鳴る。





「ちゃんと、見つかってよかった」


真壁さんに抱きつきながらそういうと、
ふっと笑う気配がする。


すごく、ドキドキして、
真壁さんの小さな動作1つ1つが
あたしの胸をうつ。


真壁さんの胸に、頬をすりよせた。


「そのイアリングを無くされても、別のものをご用意できますよ、お嬢様?」


思わず、そんなときに執事の声で話しかけられた。

「・・・・真壁さん、これ、支払いしたのは義兄さんのお金よ?」

「それはそうでしたね、お嬢様」

そんな執事な喋り方したって、きかないんだから。
真壁さんの執事服の胸ポケットに、
あたしのイアリングをするりと落とす。

真壁さんに、口で勝った。
思わず、おかしくなってしまう。



胸ポケットを片手で押さえて、とんとん叩く。
ちゃんと預かっててね。
あたしの大事なイアリングなんだから。



そして、両腕を真壁さんの首に回す。
あたしは、背が小さいから、
背の高い真壁さんの後ろまでは
どうしても届かない。
思わず、子どもが抱っこして、っていうような体勢で、
真壁さんにもたれかかった。



「今度、俺が買ってやるっていってるんだ」



ふっと声が艶っぽくなって、
真壁さんがゆっくりとあたしを抱きしめた。
少しかがんでくれたら、あたしの両腕が
きちんと真壁さんに巻きつく。


ぎゅうっとされるほど、
あたしは真壁さんの身体に
埋め込まれてしまいたいと願う。
このまま、ずっと真壁さんに埋もれたい。




「真壁さんの匂いがする・・・・」



両腕で首に抱きついてるものだから、
真壁さんの横顔とあたしの横顔が近い。
首筋から、いつもの真壁さんの香りがする。
それに、執事服からも。
中に着たシャツが少し見える。



「やっぱり、服が濡れてるね」



傘に入れなかった分、
濡れている側の身体が湿っぽい。
濡れちゃってる、って呟きながら、
そこを手で撫でた。



真壁さんの片手があたしの髪の毛を
もう片手が背中を撫でる。

いつもされていることだけど、
いつも、気持ちがいい。
慣れないんだ、この感覚に・・・・。
気持ちよさに目を閉じた。



「お前も、いつもの匂いが・・・・」



ここまで言って、なぜか真壁さんが黙ってしまった。
同時に、背中を撫でててくれた手が止まった。



様子が・・・・おかしい?



「どうかしたの、真壁さん?」



思わず顔を上げて、そう聞くと、
真壁さんは、なんだか、表情が硬くなっていた。
そして、目を合わせてくれない。


急に、熱が冷めたように、静かになった
真壁さんの様子の変化が怖かった。



え?
どうしたの?

急に不安になってきた。



あたしの言葉に返事をしないで、
真壁さんが、あたしからゆっくり身体を離す。
目を合わせてくれない。




しばらくの沈黙の後、


掠れるような声が聞こえた





「お前・・・・、樫原さんの匂いがする」







―――、その言葉に、あたしは凍りついた。






*********** ダンスのお相手は?9 *******

続く。




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