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夜明けの縁をさ迷う人々夜明けの縁をさ迷う人々
(2007/09)
小川 洋子

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『夜明けの縁をさ迷う人々』 小川洋子

久しぶりに小川さんの短編を読んだ。
それも、感動的なヒューマンドラマよりじゃなく、
あちらとこちらの境界線に立つような人たちの
それぞれの物語。ダークすぎず、そして寂しすぎず、
不思議なことばかりじゃなくて。
ただただ、そこにあるような、それぞれの人間だけが
語れる特別な物語。

短編集で、それぞれ色があって気に入ったんだけど、
その中でも印象に残ったのは、『涙売り』。
自分の涙に特別な効果があるということで、
涙を売って暮している女の話。
その涙は、楽器演奏者の楽器に塗ると、
たちまち効果を発揮し、良い演奏ができる。
だから、女は最初は楽器店を通して涙を演奏家に売っていたが、
そのうち、楽器屋と決別し、放浪の涙売りとして生きていくようになる。
そんな涙売りが、ある恋をして、それから・・・って話。

涙が楽器に働く力、という設定で書かれている視点も、
小川さんらしいなぁと感心した。
あと、この短編の結末も、彼女らしい締め方。
けして哀しすぎず、そして幸せすぎず。
さりげない終わらせ方が上手い。

あと、ある指圧師が出会った『ラ・ヴェール嬢』の話も好き。
老嬢ラ・ヴェールの家で指圧師として通っていた男は、
足裏を指圧する仕事中に、彼女が話す、彼女の祖父が書いた
作品にまつわる話を聞く。淫靡で肉欲的な話ではあるんだけど、
そんな雰囲気は、全て指圧している1時間でぴったりと終わる。
それ以上それ以下でもない。
小川作品では珍しい作品だけど、でも小川さんらしくまとめられてて
作品の持つ静かな品の良さは崩れてなかった。

小川さんが書いたダークな色濃い短編集とか、
最初、自分が出会った頃の作風が少し残っていて、
実はそこに安心したりした。
『博士の愛した数式』も『ミーナの行進』も読んで、
それなりに好きではあるんだけど、
最初に出会った頃の小川さんの作品『妊娠カレンダー』や
『みだらな弔い』とかの作風が自分の中のイメージだったので
(ほのぼの系の小川作品って、知られるのだけはやめてー!)と
実は思っていたんだよね(苦笑)

『夜明けの縁をさ迷う人々』は自分が好きな小川作品だったので
久しぶりに、小川作品よんだな~!と実感しました。
時々で良いから、こんなん書いてほしい。
博士やミーナで賞を取り、ファンが増えたのは事実だから、
それがより多くの大衆に受け入れられることだと思いつつ、
もともとの小川作品の雰囲気も残してほしいと思う。
ファンの贅沢な望みですな。


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おとぎ話の忘れ物  09/21/2007  
おとぎ話の忘れ物おとぎ話の忘れ物
(2006/04)
小川 洋子、樋上 公実子 他

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小川洋子が文章を書き、樋上公実子が挿絵を担当。

大きな絵本もどきの、挿絵が満載のお洒落本。
スワンキャンディという会社の売り場の隣にある忘れ物図書館のお話。
スワンキャンディの2代目(売り場話し手の祖父)が、
世界各地の忘れ物保管室で見つけてきた、おとぎ話の忘れ物を
それぞれ、世界に一冊しかない本として、装丁して、本として置かれている場所、
それが、忘れ物図書館。

スワンキャンディで、忘れ物図書館の案内から始まり、
おとぎ話の忘れ物は、
「ずきん倶楽部」「アリスという名前」「人魚宝石職人の一生」「愛されすぎた白鳥」と
4編が収録されている。

あたしが一番お気に入りなのは、「人魚宝石職人の一生」。
もともと、アンデルセンの人魚姫の話しが子供の頃から一番好きで、
あのロマンチックで悲しい物語に魅了されていたので、その世界のお話は
印象に残りました。美しい文章で書かれる静謐なる世界。
ひたむきで、献身的な愛を捧げる人魚姫と、その宝石職人の愛。
哀しく美しい話と共に語られる邪悪で毒に満ちた展開。

綺麗なものには毒がある。
綺麗な話の最後には、毒をもって死に至らしめましょう。

小川洋子の昔の作品が凄く好き。
少し病んでいるような暗さと狂気を湛えた作品が。
『ミーナの行進』や『博士の愛した数式』など、心温まる作品もあるけど、
圧倒的に、こういう病的で、かつ、狂気をはらみ、どこか捻じ曲がった
世界を描くのは、小川洋子の魅力だと思う。

この文章を書いてて、ちょっと気がついたけど、
あたしが惹かれる小川洋子の世界には、なにかしら「職人」が関ってくる。
宝石職人もさることながら、『薬指の標本』の採集家や、
そして別の作品で語られる美しい指を持つ速記など。
職人にまつわる、硬派で求道的であり、静かな情熱が胸を打つのかな。
1つのものに熱中して、それを狂気のように魅了されるのは、
ある意味、エロティックだ。

今回のコラボで、挿絵が非常に魅力的だった。
人魚宝石職人のところの挿絵もステキすぎて、部屋に飾りたいくらい。
ロマンチックで、そして乙女心をくすぐり、なおかつ扇情的で美しい。

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