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DIVE!!  11/16/2007  
DIVE!!〈上〉 (角川文庫)DIVE!!〈上〉 (角川文庫)
(2006/06)
森 絵都

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DIVE!!〈上〉 (角川文庫)DIVE!!〈上〉 (角川文庫)
(2006/06)
森 絵都

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『DIVE!』森絵都

文庫版では読んでいないので、4冊組だった。

『DIVE!1 前宙返り3回半抱え型』
『DIVE!2 スワンダイブ』
『DIVE!3 SSスペシャル’99』
『DIVE!4 コンクリート・ドラゴン』

先日読んだ、『風に舞い上がるビニールシート』で森絵都を見直したので、
前から、他の読書ブログでも好評な記事を見かける、『DIVE!』に挑戦した。
多分、これは読んでいて損がないし、読む前から面白さ保障つきだったので、
図書館で借りてきては、大事に読もうと思ってた。

んで、毎日一冊づつ読もう~と、木曜日の夜、寝る前に手を出したのが最後。
読み始めたら止まらなくて、結局日付を超えて、2時過ぎまで読んでしまった。
その時点で1巻から3巻まで。3巻が終わった時点で、少し落ち着いて、
一気に読んでしまうのが勿体無いから、4巻を次の日に残して寝た。
んで、次の日に最終巻の4巻をきっちり読んで終了~。

1~3巻までは、ある1つの流れの話で、4巻は一番最後の大きな大会を
じっくり描いた内容だった。だから、1~3巻まで読んで、一旦休んで
4巻を読んだのは正解だったな。

話は、飛び込み競技にかける3人の天才の物語。
主人公は、ミズノダイビングクラブ(略してMDC)に通ってて、
それぞれ、キャラや持ち味が違う。

両親共にオリンピックでの元飛び込み競技選手である、
純血サラブレッドで、負けたことがなく、リーダーシップを取る要一。
普通の家庭で育ち、要一のダイブを見て、飛び込み競技に魅了され、
コーチから、“ダイアモンドの目”をもっていると称される智季。
祖父が、時代のせいでオリンピックに出場できなかった
天才飛び込み競技選手であり、その悲運と悲願を胸に、
プールを嫌い、津軽の海でダイブをする飛沫。
この三人が、巴合戦のように回りまわって、それぞれのダイブを極めていく。

要一と智季だけでも面白いのに、そこに3番目の天才の飛沫が加わって、
どっちを応援しても面白い、って言うのがいい。

サラブレッドであり、実力派である要一も、嫌味がないかといえばそうじゃなく、
ちゃんと血が通っていて、スマートに物事をこなすだけじゃなく、
時には、無謀だとおもえるようなことをしたり、失敗したりするところが良い。
血統の遺伝の良さ、才能だけじゃなく、ただの努力を積み重ねてきた実力派だけど、
すごく人間らしくて、あたしは、3巻を読んだ時に要一がすごく好きになった。

智季も、最初の方はちゃんと勝負をして、本気に挑むのを避けていたのに、
途中から燃え出してきて、豹変してしまったのが凄かった。
自分を取り巻いている世界の枠組みを超えるところにいきたい、っていう
彼の、その意思が凄い。それでもって、別に特別なことをしたい、
とかいう野望じゃなく、純粋に自分自身を信じ、自分がどこまで出来るかと
見つめている智季の姿が眩しかった。

そんな二人に対して、飛沫は亡き祖父の影響や、飛び込みに関する因縁が
渦巻いている生まれで、その濃い出生やキャラが魅力だった。
自分らしく、自分の個性を生かせ、自分にしか出来ない飛込みを追及し、
ついには、それを晴れの大舞台でしでかす彼のスケールの大きさが魅力だった。

3人の成長や飛び込みの面白さを十分に味わいながら、
最後のオリンピック選手選考会は、じっくり読みつつ、
3人以外の登場人物からの語りが、スパイスで効いていた。
いつも、3人のように期待され成績を残したことのない選手や、
3人に憧れながら、高所恐怖症で飛び込みを楽しめない後輩。
そして、飛沫の恋人や、要一の父ではあるがコーチの立場上、
息子と相容れない父親、敬一の心境など。
ただ単に、3人の視点からの書き方で最後まで話を通してしまうより、
その3人を取り巻く別視点から描き出すことによって、理解が出来た。

ところどころ、飛び込み競技の説明が入るし、
試合での点数制の成績表とか、飛び込みをぜんぜん知らなかった自分でも
面白く読めた。それどころか、次のオリンピックでは飛び込みを見たいな、
って思うくらい。水泳は見るけど、飛び込みを見たことはないんだよな。

宙返りしながら三回転半とか、倒立したあと、ようするに逆立ちした後に
回転しながら、飛び込むってどういう風なんだろう。
こういう飛び込み方の、文字では『三回転半』とか、
『前逆宙返り二回半蝦型』とか、多分、文字通りなんだろうけど、
見たことがないから、飛んでいる姿を想像するのが難しいってこと。
つーか、前に飛びながら、後ろ向きに二回半をして、
そしてエビぞりってどんなんだよ。
10m上から飛びながら、水面につくまでの1.4秒の間に、
そんな忙しいことをしちゃってるわけ?!と、そこだけ実感できないのが
残念だったといえば、残念だった。
これは、本のせいで残念じゃなくて、ただたんに自分が見たことないから
想像できなくて、それで読みながら、その技の難易度や、
「へ~!あんな難しいのを!」って実感できないのが惜しいってこと。

いやはや。スポコンなんだけど、意外とスラスラって読めるし、
なおかつ、3人の主人公のそれぞれの立場で飛び込みを見れて、
かなり面白かった。文庫本だと2冊だから、友達にも薦められるな。
ハードのほうは4冊だから(それも1冊1000円ちょい下)高い。
文庫本で、誰かにプレゼントしてみようかな。
難しい文章じゃないし、なおかつ文章的ニックを駆使していたり、とか
難しい心情表現が続くわけじゃなく、直情的に勢い良く書かれてるから、
読んでいるほうも、読み進めやすいだろうしね。


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風に舞いあがるビニールシート風に舞いあがるビニールシート
(2006/05)
森 絵都

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『風に舞いあがるビニールシート』 森絵都

森絵都の直木賞受賞作。
同時に受賞した三浦しをんのファンなので、
森絵都とダブル受賞か~と、少し惜しい気がしていたけど、
この作品を読んで、森絵都がこの作品で直木賞を獲ったのがわかる気がした。
作家の力量が無駄なく詰め込まれた短編集。
それに比べると、三浦しをんが“まほろば駅前”で受賞したのが、少し不可解。
三浦しをんに限って言うならば、別の作品で受賞して欲しかった。

それはさておき。

短編集であり、6作収められてる。

『器を探して』菓子コーディネーターの秘書を務める主人公が
クリスマスイブの日に美濃焼きの器を探す話。

『犬の散歩』捨て犬の里親探しのボランティアをしている主婦の話。

『守護神』夜間大学に通う主人公がレポ代筆の神様と言われてる
伝説の女性ミシナミユキと対峙する話。

『鐘の音』25年前、仏像の修復師を志していた主人公が
ある寺の仏像に出会った話。

『ジェネレーションX』自分より若い取引先の男と一緒に仕事をするうちに
自分の忘れていた青春を思い出す中年男性の話。

『風に舞いあがるビニールシート』国連難民高等弁務官事務所に勤務する
主人公が、元上司で元夫であったエドが勤務地で死亡したことにより、
自分とエドの結婚生活を振り返り、その死を乗り越えようとする物語。

どの話も、よく構成を練られてて、味付けもよくまとまっていた。
ある種、よく出来すぎていると思えるような作品をずらりと並べてる
感じさえもある。それが直木賞を獲るヒケツなのかもしれないけど。
ただ、たんに森絵都がここまで書ける、という力量が
読んですぐに伝わる6編である。

自分が一番印象的だったのは、表題にもなった
『風に舞いあがるビニールシート』。
UNHCRの職員としてフィールドワークの仕事にこだわるエドが
妻である里佳に語った言葉が忘れられない。

色んな国の難民キャンプで、ビニールシートのように軽々と
吹き飛ばされてしまうものたち、それは、人の命だったり、
尊厳だったり、ささやかな幸福だったり、もみくちゃに飛ばされる。
暴力的な風が吹いた時、真っ先に飛ばされるのは、老人や女性や子供、
そして生まれて間もない赤ん坊達で、自分はそれに手を差し伸べずにはいられない。
だから、自分の子供を育てる時間や労力があるならば、
すでに生まれた彼らのために、それを捧げるべきだ。
それは、責任、もしくは贖罪である。

あくまでもフィールドでUNRCHの職員としての責務をまっとうすることを
生きる道として選んだエドと、その彼を愛し、彼を連れ去るフィールドを
敵のように憎み、そして彼と家庭を持ち、幸せになりたかった里佳。
熱烈に愛しながらも、すれ違ってしまう二人が悲しかった。
愛しぬくこと、そして愛されぬくこともできなかったと、
元夫のエドの死さえ、自分自身の悲しみをも控えてしまう
里佳の苦しみが痛かった。

人間それぞれ生まれてきて、その人が選ぶ、自分自身の生き方、
自分なりの“幸せかたち”がある。
それと共に、“自分が為すべきこと”というものもあるものだと思う。
エドと、里佳の、“幸せのかたち”と“自分が為すべきこと”は
違っていた。それが最大の不幸だと思った。
相手を尊重しているからこそ、譲れないものがある。
二人が結婚という形でなしえたものは、二人で過ごした時間だけで、
そこから何も発展することなく、一度交わった二人の人生が
またそれぞれのあるべき道に戻っていったのは、自然の成り行きだと思った。

愛し合っているからこそ、相手を自分の領域に引き込みたい。
自分の思う“幸せのかたち”に閉じ込めたいと思う。
なぜなら、それが自分の“幸せのかたち”だから。
しかし、それは相手にとって幸せなんだろうか。

この『風に舞いあがるビニールシート』を読んで、
自分がすぐに思い出したのは、映画『追憶』である。
映画でも、主人公の二人が惹かれあい、そして結婚するが、
結局、二人の結婚生活はうまくいかず、別れてしまう。
お互いが、お互いの幸せの形に収まる事が出来ず、
自分らしく生きたいと思った結果、子供を産んだ日に別れて
それぞれの道を行くことを決意する話である。
どんなに愛し合っていても、一緒にはいられないことがある。
『追憶』を観るたびに、この哀しさと決断するほろ苦さが
胸にせまってくる。この寂しさを、エドと里佳にも感じた。

エドと里佳の結婚生活で、一番印象に残っているエピソードは、
二人が離婚し、エドがコソボへ戻る日、
二人が最後に過ごした朝のことだ。
二人で最後に訪れた旅行先のバナナワニ園で買ったワニ人形を
眠っているエドが左手に握り締めているのを里佳が、
こっそり抜き取って、代わりに自分の右手を滑り込ませる。
眠っているエドが目を覚ますまでの間、どうか、忌まわしい風で
ビニールシートを飛ばす風を思い出して、エドが苦しみませんようにと、
祈りながら迎えた朝のシーン。

丁度、その辺りを読んでいたときに、自分は
ご飯を食べながら読んでいたのだけど(行儀が悪い!)、
思わず、目から涙がボタボタと落ちてきて、文字通り
号泣してしまった。ご飯を食べながら、いきなり泣いてしまったのは
後にも先にも、この時だけだ。自分でもびっくりした。
でも、泣かずにはおれないほどの、激しい衝動が
自分の心を揺さぶったほど、印象的なシーンだった。

私事な感想で申し訳ないんだけど、この本、
あのシーンを読むだけでも価値があると思う。
なんであんなシーンに、って思う方もいらっしゃると思うのだけど、
それでも、ここ最近一番印象に残った読書経験は?と問われると、
この表題の『風に舞いあがるビニールシート』のある場面で
ご飯を食べながら、いきなり泣いてしまったことをあげるだろう。

なぜ、あんなに泣いたのか。
自分にも、以前、同じようなことがあったから、かもしれない。
里佳にかなり感情移入して読んではいなかった、けど、
あのシーンを再び、そこだけ出してきて読んでも、心が揺さぶられる。
エドと里佳の間にあった愛情が、そこに現れてると思うからか。
あのシーンが忘れられない。



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