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片耳うさぎ  11/05/2007  
片耳うさぎ片耳うさぎ
(2007/08)
大崎 梢

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『片耳うさぎ』 大崎梢

書店ミステリー以外の初の作品。
ダヴィンチで見かけて、読みたいと探したところ、
図書館にあったので、予約待ちして借りてきた。
大きなお屋敷に潜む謎、って、かなりツボなんですけど!

インタビュー記事であったように、凝った作りのディティールで、
お屋敷の見取り図や屋根裏部屋や、隠し階段、
そしてアンティークの家具など、それはそれは、
金田一耕介の事件のような、日本のお屋敷ミステリーの要素が
詰まってて、読みながら楽しかった。

ストーリーは、父の会社の倒産で、父の実家に舞い戻ってきた
母と奈都。実家は蔵波邸と呼ばれる庄屋の大屋敷で、
幾つもの部屋があって、大きなお座敷やら客間やら、蔵がある。
舞台は、この蔵波邸での事件なのだが、登場人物は
主人公の奈都と、その同級生の“姉”である、さゆり。
奈都の母が、急用でしばらく蔵波邸にいなく、
大きな屋敷で一人ぼっちが怖いから、ということで、
お屋敷マニアのさゆりが、奈都母が帰ってくるまで
一緒に泊まってあげる、というストーリーだった。
そんな二人が、蔵波邸の謎と、そこから浮かび上がる因縁と
対峙するお話。

表題の「片耳うさぎ」とは、蔵波邸に伝わる言い伝えから。
昔、蔵波に恨みを持つものがいて、それが片耳うさぎとなり
屋敷に潜入し、人々を殺したという言い伝え。
それゆえ、蔵波では片耳ウサギはタブーになっている。

うさぎのうらみ わするるがべからず
風なき夜の半の月 もののけつどいて
うたげをひらく
人の子死して うさぎおどる

蔵波の人々に襲い掛かる事件の裏には、うさぎがいたのか。
うさぎは、外から来るんじゃない、
最初から、うさぎは中にいたんだ。

そう気づいた後の奈都の行動が素早かった。
最初は蔵波の屋敷の大きさや古さに怯え、
蔵波邸から出て行きたいと、しきりに嫌がっていた奈津が
母親がいない間に、だいぶ甘えていた自分から、少し大人になって
自分のいる場所、蔵波を守ろうとする。

この作品で書かれている魅力って、
お屋敷ミステリーの魅力丸ごとだけど、それだけの話じゃなくて、
母親に頼りっきりの甘えん坊の奈都が、冒険をすることで
少しづつ自分で考えて行動できるようになる、
心理的成長の面白さもあると思う。
そこには、ハチャメチャに行動力だけは抜群のさゆりの存在も
あるのだけど、少女二人で大きな謎解きをする、っていう冒険が
すごく魅力的だ。さゆりが夜中に他人の家でごそごそと冒険するのは
流石に常識がないというか、なんというか。
あんまり褒められたことじゃないけれども。

あたしとしては、この作品で一番良かったなと思ったのが、
うさぎの存在だった。その家に忌むべき出来事をもたらすとされているうさぎ。
誰がうさぎなのか。うさぎにはなりたくないと、家から離れるもの。
自分がうさぎかもしれないと怯えながらも、家に居続ける者。
うさぎ、が象徴するものがなにであるか。
暗喩としても使うことの出来る“うさぎ”が効果的で、
心理描写にも繋がるし、印象的だった。



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晩夏に捧ぐ  09/29/2007  
晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)
(2006/09/30)
大崎 梢

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『晩夏に捧ぐ』大崎梢

駅ビル6階、成風堂書店事件メモ(出張編)

前作の『配達あかずきん』に続き、今度も書店員の杏子と
アルバイト店員の多絵が活躍する話、こちらは長編。
そして舞台は、駅ビルの成風堂書店じゃなくて、
元店員で今は地元の本屋で勤める杏子の友人、
美保のお店、『まるう堂』。

前作の『配達あかずきん』の短編集も、それぞれ味があって
小さい事件ながら、ほのぼのと終わるし気に入っていたけど、
本屋について語るなら、こちらの長編の方が力入ってる!

特に地元で長年愛され、全国的にも知名度が高い宇津木書店、
通称「まるう堂」に寄せて、個人経営の書店の品揃えや
ディスプレイ、そして販売について熱く語られてるのは、
非常に面白かった。

「生きてる棚、死んでる棚」
「棚が話しかけてくる」
「いつも通う本屋は居心地がいいのが一番、
でも寄るたびに新しい発見も欲しい」

面白い表現だなぁと思ったのだけど、いつも客側からの視点でしか
本屋を見ていなくて、本屋からの立場で見ると、
本の品揃えやディスプレイって、確実に客足に関係してて、
だからこそ、書店員がどういう風に本を扱って
そして売っていくのかというのが、本屋の行く末に
影響しているものだと思う。

自分がいつも寄る本屋は、大体が「死んでいる棚」ばかりだなぁ。
あんまり入れ替わりがなくて、そして売れ筋本はじり貧で、
売れていない本ばかりが本棚を占めているという(苦笑)
でも、扱っている本の数が多いから、まぁまぁ拠り所はあって、
それで行くようなもの。
それは全国展開のチェーン店だから、そんなに工夫されていないから。
でも、個人経営の本屋って、本を読む人自体が少ないし、
版数も少ないから、売れ筋本を数冊しか手に入らなかったり、
経営するにしても、本を手に入れることから難しい事が
往々にしてあるらしい。

この本の中に出てきた「まるう堂」は個人経営の本屋としては
とても理想的な本屋で、それは経営者の目が光っているから、でも
あるのだけど、実際こんな個人経営の店って、なかなかないんだよな~。
ないからこそ、理想の本屋として、本格本屋ミステリのなかで
登場するのかもしれない。

いやはや、真面目に「まるう堂」みたいな店が
もっと増えてほしいです。そして出来れば、うちの近所に!

あ、本作のミステリについて語る、どころか、
理想の本屋の話だけで終わっちゃったけど、
内容的にまぁまぁでした。難しい謎、というより、
本屋本屋本屋!みたいな感じで・・・。


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配達あかずきん  09/28/2007  
配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)
(2006/05/20)
大崎 梢

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『配達あかずきん』大崎梢

駅ビル6階にある成風堂書店が舞台。
しっかり者の書店員・杏子と、
勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、
さまざまな謎に取り組んでいく本格書店ミステリ。

本屋の謎は本屋が解かなきゃ。

存在しない本を探している老人。
亡き息子の行く先をたどる漫画『あさひゆめみし』。
配達先のお店に配られた週刊誌に挟まれた暴露写真。
書店員より詳しく本を客に勧めた謎の人物。
発売フェアのディスプレイ展示での出来事。

本屋の内情に精通しているからこそ、
生み出せる謎、ミステリーだよなぁと感心しました。

連作短編集で、表題の短編もさることながら、
あたしは、『標野にて 君が袖振る』が気に入った。

茜さす 紫野ゆき 標野ゆき 野守は見ずや 君が袖振る

万葉集に収められた額田大君の相聞歌。
ロマンティックだなぁ。
こんな歌を恋人から贈られてみたいものです。

あと、『6冊目のメッセージ』もお気に入り。
書店員ではない人物が、病床の娘に本を届けたい母親に
アドバイスして、色々な本を読ませる話なんだけど、
その選んだ本のチョイスが渋い。

病床で読みたい本って、意外と選ぶのが難しいんだよね。
自分が長期入院していたころを思い出すと、
本を読むほど元気がないときもあれば、なにかしら本が
心の慰めになって、退屈で長い入院生活の時間を
楽しめるようになったり。まぁ、病床で読むとしたら、
出来れば文字があんまり沢山詰まっていなくて
なおかつ、難しくなく、読みやすくて面白いもの。
写真集が定番かもしれないけど、意外と写真集って飽きちゃうし、
ついでに、外に出れない分、写真を見ていると猛烈に外へ出たくて
たまらなくなったりする(ようするに鬱憤が余計溜まるわけ)

この書店員じゃない方が選んだ6冊って、
バラエティ豊かで、こんな風に本を薦めるっていいな~と思いました。

この『配達あかずきん』、若手作家フェアみたいに
本屋で宣伝していて、平積みされていたんだけど、
意外と読んでみて面白かったです。
珍しく本屋が、「本屋」らしく活躍している作品というか。
本屋が舞台っていうのがいいね。
面白い設定。
この本、『本の雑誌』の2006年上半期ベストテンで
堂々の第2位だったんだね。本好きな人の聖地である
本屋を舞台にしているからか、この大好評は♪

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