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僕の双子の妹たち  10/22/2007  
僕の双子の妹たち僕の双子の妹たち
(2004/06)
白石 公子

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『僕の双子の妹たち』 白石公子

読書ブログを通して知った本。
この作家の作品も初めて読んだ~。
知らない作家の作品を読むのは最初躊躇うけど、
ブログで紹介されていた文章を読む限り、
面白そうだ、と、自分に合いそうな匂いがしたので
手に取ってみた。

ストーリーは、両親を事故で亡くした
主人公の『僕』と双子の妹、実のりと穂のかの物語。
失われた両親の影を感じながら、残された家族が再生していく物語。
両親を不慮の事故で失って、数ヵ月後から、それから1年以上後まで
断続的に3人を巡る物語が続く。

顔は美形だけど、中身は頼りない郵便局の配達員である僕。
年上の教授と不倫をしてて、両親の事故の時に逢引をしてて、
死に目に会えなかったことに、罪悪感を感じている実のり。
壊れてしまった「家族」をもう一度取り戻すため、
兄と双子の姉妹、実のりに執着心を見せる穂のか。
美しい兄妹として賞賛される三人。

家族としての繋がりをいきなり両親の事故で
関係性が崩れてしまった後、その不在感を抱えながら、
残されたものには、きちんと日常は訪れる。
ご飯を食べて、同じ家で眠り、生活をする。

ストーリーは、特に問題をあからさまに浮き彫りにするような
激しい語り口ではないのだけど、どこか柔らかいなかにも
頼りない寂しさが漂っていて、それが僕と双子の妹たちの
心の中に消えない悲しみであるような気がしてくる。
大事な人が突然居なくなってしまった不在感から
残された三人がそれぞれバラバラになってしまうのを
ふさいでくれたのは、祖父の料理だった。

一緒におうちでご飯を食べること。
これは「家族である」ってことの1つの印な気がする。
美味しい料理があるからこそ、
「今日もちゃんと家に帰ってご飯を食べよう」と
誰か一人でご飯を食べないように、それぞれが気をつけて、
そして一緒にご飯を食べて、喜びを分かち合う。
ご飯を食べる、って、ただ単純なことで、
そんなに効果がないように思えるかもしれないけど、
内なる『家族』を失いつつあった三人が、
祖父の料理がキッカケで、形を取り戻しつつあるのが、
流石だなぁと思った。ご飯を一緒に食べること、その力を知ってて
そこを描いているのは、家庭的な視点だなと思った。
女性的である、というより前に、
きちんと『家族であること、あり続けること』の絆を
食べ物で表現しているのが、とても印象に残った。

ストーリーは、祖父の料理だけじゃなくて、
僕の昔の恋人が再会し、、復活の予感がしたり。
それ以外に死んだ父の愛人が訪ねてきて、僕が恋をしたり、
不倫相手と泥沼になってしまう実のりや、
兄や双子の実のりを失いたくないと過剰に縛りつけようと、
精神的に追い詰められていく穂のかの姿も描かれている。

ただ、全編を通して感じたのは、失ったものの痛みを抱えて
傷を悼む物語ではなく、残されたものが喪失感から抜け出し、
新しい生活を歩むまでの道が、温かい目線で書かれているということ。

最後の章で、主人公の僕が、亡くなった父に向けて、
「出せない手紙」を書いている。その手紙を読むと、
季節が一周して、そして時間が経つことでしか癒されないこと、
そしてわかることってあるんだな、と思う。

ストーリーの話はこれくらいで。

装丁がステキだった。紫の花、大きな花弁でパンジーかな。
ボタニカルアートで描かれているのが繊細な印象で
素敵。この装丁、物語の雰囲気をよく伝えているなぁ。


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