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スコーレNo.4  10/18/2007  
スコーレNo.4スコーレNo.4
(2007/01/20)
宮下 奈都

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『スコーレ№4』 宮下奈都

新人作家のなかでも実力派といわれる宮下奈都の作品を
借りてきた。各読書ブログでも絶賛される『スコーレNo.4』。
図書館に置いてなかったのでリクエストでいれてもらった。
1ヶ月ほど待ったけど、意外と早く手元に来て嬉しかった。

物語は、骨董品店を営む家に生まれた麻子が成長していく話。
4章にわかれてて、1章は中学に上がったばかりの頃の初恋、
2章は高校生時代の切ない片思い、3章は靴屋店員として働く日々、
そして最後の章は仕事が縁で知り合った恋の話。
だんだんと、麻子が成長していく過程が描かれていて、
その時その時の彼女の年齢による視点の違いが
浮き彫りにされてて、読み応えがあった。

家族との関係、友達との関係、恋人との関係。
特に家族との関係では、双子のように育った、
1つ下の妹七葉との関係がずっと象徴的に書かれている。
正確には11ヶ月年下で、美しい子どもで気が強く、
一度決めたことは必ず遣りとげる意思の強い七葉。
一卵性双生児のように、常に一緒にいて、同じものを見ていた
七葉との来るべきにして来た決別。
その後、姉妹として、自分と一番近い人間として生きていく姉妹の姿。
好みがすごく似ているのに、性格が違うから、
七葉のように、欲しいものを欲しい、と言えない麻子。
そんなジレンマと憧れが混ざり合った複雑な姉妹間の感情を
上手く描いているのが印象的だった。

あたしが一番好きなのは一番最後の方。
ようやく出会えた最愛の人に麻子は思う。
誰かを好きになって満たされたことはなかった。
逢えないとさびしいし、声が聞きたいけど、
自分と相手の中の潮が呼び合い、繋がっているのがわかる、と。

誰かを好きになって、その人といるのが凄くさびしい、という気持は
よくわかる。側にいるのに近づけなくて、痛烈にさびしさを感じる。
ふたりいてもひとりなんだ、という寂しさ。
それがなくて、どこか心の中で繋がっている絆を感じられる相手に
めぐり合えたというのは、とても幸運で幸せだと思う。

自分自身を中途半端だと感じ、ずっと引け目に感じていて、
だから自分は誰からも何からも愛されない、
そしてこれからもこのままでいくんだろう、と思っていた麻子が
自分自身では気づかないけど、周りに言われてみれば、
自分がどれだけ色々なものを手に入れていたか気づく。

中途半端で、という自分自身を責める、そしてやりきれない思いを
抱えている麻子に、読みながら途中、かなり共感していた。
物語の最初の方は、丹念に描かれた家族像や日常の情景を追うのに
目がいっていたけど、最後のほうは主人公の麻子の気持ちが
痛いほど伝わってきて、共感していた。

別の大きな出来事がある物語でもない。
さりげない日常の1コマばかりだけど、そこには確実に主人公の人生があり、
それを取り巻く世界があり、息遣いが聞こえてくる。

久しぶりに読んでよかったな、と素直に思える作品だった。
読むと心の中に少し温かい光が灯るような。
自分のことのようにも感じられて、この作品がとても好きだ。
宮下奈都、すごいな。



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