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包帯クラブ  10/25/2007  
包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)
(2006/02/07)
天童 荒太

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『包帯クラブ』 天童荒太


映画化されるとのことで、本屋の平積みで見かけていたので、
読んでみようかな、と覚えていた作品。
天童作品は、ほんと久しぶり。
ずーっと前にベストセラーになりドラマ化された
『永遠の仔』しか読んだことない。
図書館にあった本の装丁は、映画化決定された後の奴じゃなく、
ちくまプリマー新書、ってシンプルな緑色の装丁。
小説版の派手な装丁がイメージに合ったから、
新書版の、あの定形型な装丁には意外な気がした。

傷ついた少年少女たちは、
戦わないかたちで、自分たちの大切にしているものを守ることにした・・・。
今の社会で生きがたいと感じている
若い人たちに語りかける長編小説

新書の裏表紙に、こう書かれていた。

ストーリーは、主人公の笑美子、通称ワラが、入院中のディノと
出会うところから始まる。
手首の怪我で包帯を巻いていたワラが、ディノが傷ついたという言葉で
傷つけてしまった時にいた場所に包帯を巻くところから始まる。

なにかしら傷つけたられた時の場所に包帯を巻く。
目には見えないけれども、そこには、傷ついた心が流した血があるから。
そこに包帯を巻くことで、他人には見えない心の傷を
少しでも手当てすることが出来る。
心の傷を、誰かに話して、そして一緒に“手当て”することで
少しは傷が癒えると思う。

最初のうちは友だち同士で、それぞれ、傷を受けた場所に
包帯を巻いていたのだけど、それが反響を呼んだことで、
自分達の存在意義をかけて、倶楽部活動として、
包帯クラブを立ち上げ、ホームページで活動内容を公にしたところから、
事件は発生していく。

文頭で、ワラが述べている言葉。

自分たちのなかから、色々と大切なものが失われている。
きっと大事に握っていなきゃいけないものを、少しづつ、毎日のように失っている。
そして、失ってしまった人たちは、知らず知らずのうちに、
今度は持ち去ってゆく側に回っている。
わたしと、わたしの仲間はそれに気づいて、
戦うことにした…、いや、違う。
大切なものを守ろうとして、懸命に戦っているつもりでいると、
いつのまにか、別の大切な部分が失われている。苦い経験から、それを学んだ。

この言葉で全てが現れてると思う。

心が傷ついた時、それは自分だけにしかわからず、他人にはわからない。
しかし、自分だけにしかわからないからこそ、
自分で自覚しなければ、それは“ないもの”となってしまう。
傷を見ないふりをすることはできる。
でも、そこで失われる、なにか大事なものがあるんじゃないだろうか。
大事ななにかを零れ落ちないように、必死に守っていくことで
なにか、自分を損なわれずにいられる、ということもあるだろう。

其処に至るまでの心境、狭い街に閉じ込められ、
ここで一生を終えるのだろうかという閉塞感や、
母子家庭であまり愛情を感じられない生活に
実は自分がとても傷ついているということや。
自分自身のために戦いを宣言したワラが、仲間を巻き込み
そして、ひとつのムーブメントをおこす。

これを読みながら、ずっと思っていたのは
心の傷をどうやって自分自身で向き合っていくかということ。
誰かに話して、慰めてもらって、それで癒えるものでは、
けしてないものではあるけれども、それで救われることもあるということ。
私自身は、包帯クラブの活動に対しては疑問視しているのだけど、
だけど、私はダメでも、他の人からしたら、包帯クラブのような活動が
なにかしらの道導になり、救われる人もいるかもしれない。
誰かに話をして共有することで癒される傷もあれば、
自分自身でしか対峙できず、話すことも出来ず、
ひたすら向き合うしかない傷もある。
共感されることを望まない傷の場合もある。

あんまり、自分の肌にはあわなかった。
でも、ただただ思うのは、この作品を読むことで、
今の現代社会で生きづらい、どうにもこうにも、
損なわれていることに対する辛さを抱えている人にとって
その感覚を、誰かと共有して、そして「認められる」ことによって
前向きになれるかもしれないということ。
万人向きで、いかにも「これは感動します!」とか
「泣けます!」「共感しました!」とお勧めする作品じゃないけど、
でも、多分こういうことを「必要」とされている人にとっては、
この本の存在がありがたいんじゃないかなぁと思った。


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