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さよなら妖精  11/07/2007  
さよなら妖精 (創元推理文庫)さよなら妖精 (創元推理文庫)
(2006/06/10)
米澤 穂信

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『さよなら妖精』 米澤穂信

古典部シリーズでお気に入りになった米澤穂信の作品を借りてきた。
タイトルからして、妖精だし、ファンタジックな話かと思いきや、
全然そんなファンタジーどころじゃなく、現実感のあるストーリーだった。

物語は、1年前のある出来事を、関った人々の記憶から構成していき、
そして最大の謎を解く、という形をとっているのだけど、
その最大の謎の前に、1年前の記憶をまさぐっていくと、
段々と小さな謎をもはらんだストーリーだという事がわかる。
雨なのに傘を差さない男、墓に添えられていた紅白饅頭の話など。
大きな謎は、1年前に主人公の守屋と太刀洗(センドー)が
雨の日に出逢った黒髪の少女、マーヤのこと。
2ヶ月だけ日本に滞在していたマーヤにまつわる出来事を思い出していって、
最大の謎、マーヤの居場所を突き止めるために、守屋をはじめ、
マーヤを泊めていた、いづるや、守屋の部活仲間の文彦を交えて
色々な資料から、別れた後のマーヤの足取りを追う。

実際、ストーリーは、マーヤといた1年前のある2ヶ月間の記憶を
時間どおりに並べて、どういうことがあったのか、
そこから手がかりを掴むべく話が進んでいく。
大まかなところ、マーヤと出会って、マーヤと別れるまでの
時間が長らく、細かく書かれている。
そこで描かれるのは、マーヤという存在を通して、
マーヤの世界を覗くこと。マーヤがどんな人間であるか。
どういう風に世界を見ているか。
マーヤが生きてきたユーゴスラヴィアという国のこと。
日本では考え付かない遠い国を持ってきたマーヤを、
守屋をはじめ、他の3人も、自分たちの足場である国や、
社会情勢について考えていくようになる。

ボスニア・ヘルツェコヴィナや、サラエボの戦争など、
このストーリーとは関係ないところで、
自分自身、ボランティアで関った事があるので、
このユーゴスラヴィアの問題を取り上げているのが、
とても興味深かった。

本とは関係がないが、『サラエボの春』という映画がある。
そこで映し出されるサラエボの街並みや、住む人々の暮らし、
そして、かつてあったユーゴスラヴィアという国の話。
この作品よりも前に、自分の中にあった知識とリンクして、
読み進めながら、とても苦しい気持になった。

最後の結末、なんだか、(これで締めちゃうの?)という
不完全燃焼を感じさせる終り方で、正直納得がいかなくて、
これより先に進んだ形で終わってもらいたかったなぁと
そこが残念だった。
というより、少し予想のついた終わり方ではあったけど、
こんなにあっけなく、というか。
もうちょっと掘下げて…といっても、多分これ以上掘下げても
何も出てこないんだろうけど、なんか物足りなかった。
んー、なんでだろう。

まぁそれはさておき。

なんとなく思ったのだけど、
マーヤと古典部シリーズの千反田えるは似ている、と思う。
マーヤも黒髪だし、謎を解きたがるところ、知りたがる所、
そして、覗き込んできて質問する所作が、えると似てるなと思った。
著者の米澤さんの好きなタイプなのかしら、ね。


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遠まわりする雛  10/29/2007  
遠まわりする雛遠まわりする雛
(2007/10)
米澤 穂信

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『遠まわりする雛』 米澤穂信


<古典部シリーズ>の最新作、第4作目。
最初に3作目を読み、惚れこんで、今年の読書信条に反して、
1・2作目を文庫で購入してしまった。
そして、1・2・3作を読んだ時点で、最新作の4作目を
これまた読まなくちゃいけない、そして読みたい!!読みたい!!と
またまた、読書信条に反して、購入してしまった…、4作目。

以下、私の今年の読書信条。

買わなくていいなら買わない。
図書館で借りれる分は借りる。
なるだけ買わない、所蔵本を増やさない心構えをする
買う本は、年間5冊以内に収める覚悟で。

以上。

既に信条を立ててから、買ってしまった本は3冊。
三浦しをんの『きみはポラリス』『強い風が吹いている』
森見登美彦『有頂天家族』。
ここ最近、本って発売されてから2~3年で買わないと本屋から
消えてしまうのですよ。冗談じゃなくまじで。
重版なしで発売後数年で絶版とか普通。
だから、買う本は「買ってまで手元におきたい本」に限る。
ただでさえ、所蔵本をおくスペースがない部屋に住んでいるのだから
出来るだけ荷物は増やさない。それゆえの読書信条。

だけども、つい負けちゃったんだな、これが。

長々と書いたけど、それ位、私が
この『遠まわりする雛』が読みたかったってこと。
思わず本屋に電話して取り置きしてもらって、買いに走ったほど。

この作品は、これまでの3作と違って、短編連作になってる。
そして、時間軸も入学してからの1年間を横切る。
入学したての頃の話から始まった話は、夏休みの話や
お正月、バレインタインデーを挟んで、3月の雛祭りの話で終わる。
これまでより恋愛色が強い、ってレビューであったんだけど、
古典部4人の恋模様がどうなるのかと、ドキドキしながら読んだ。

恋愛の行方も気になるのだけど、
一番読んでいて興味深かったのは、折木奉太郎の心情だった。
入学したての頃から1年経つ間、奉太郎の気持が段々と変わっていく。
それが成長というものなのかな。
灰色の高校生活が、少しづつ薔薇色の傾くのかと思いつつ、
あんまり変わらない奉太郎に、安堵したり。
一年間の時間軸を横切るからこそ、奉太郎の気持の変化が
よく理解できる。特に一番最後の表題では。
上手く描いてるな、と思った。

奉太郎、だけじゃない。
他の3人の心も成長してて、どんどん変わっていく。
バレインタインの話で里志の話はとても印象的だった。
里志は、今までそんなに好きじゃなかったけど、
これを読んで好きになった。
なぜ里志が摩理花の告白を遠ざけるのか。
その心境の歯がゆさ、そしてその理屈が妙に身に染みる。

奉太郎も里志もそうなんだけど、なんか不器用で、
器用に割り切れない分、それをきちんと見ようとしてて、
そして身動きが取れなくて、動き出すキッカケをまっているような。

ミステリーとしてみるならば、安楽探偵的な要素がたっぷりの
「心あたりのある者は」が上質な仕上がり。
1冊を古典部の一年間の時間の流れとしてみるならば、
一番最後の「遠まわりする雛」が最上だった。
自分としては、時間軸の1冊としての気持で
読み始めたので、一番最後の表題に1票。

一番最後のシーンが良かった。
心が震えるような情景だった。

奉太郎らしい。
すとん、と答えが心の底に落ちてくる時がある。
わかるべきして、わかる時が訪れる時の明快な光。
彼らしい反応で、そして、自然な流れ。
千反田えるとのやりとりで、
心を打ち明けているのも彼女らしい。

見事な締めだった。


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氷菓  10/27/2007  
氷菓 (角川スニーカー文庫)氷菓 (角川スニーカー文庫)
(2001/10)
米澤 穂信

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『氷菓』 米澤穂信

先日読んだ<古典部シリーズ>第3作目の
『クドリャフカの順番』が大層気に入ったので、
文庫落ちしてる第1作目の『氷菓』と2作目の
『愚者のエンドロール』を買ってきた。
一目惚れをしたとはいえ、一気に文庫を2冊も買ってしまうなんて
あたしらしくない。予算オーバーする本代を浮かせるために
図書館で借りる方針に切り替えたのに。
(ついでに、借りるのなら出来るだけ買わない方針貫いてる)

<古典部シリーズ>第1作目の『氷菓』は、
高校1年生の春から夏休みまでのお話。
主人公の折木奉太郎がどうして古典部を知りえたキッカケと共に、
古典部4人が入部した経緯など。
古典部の部誌である『氷菓』の謎、
そして、その昔古典部に所属していた千反田えるの叔父の謎。
33年前、古典部だった叔父の関谷潤が
どうして高校中退になったのか。
そこに隠された謎を解くお話がメインかな。

事件らしい事件といえば、33年前で既に過去のもの。
過去にあった事件を調査して、そして真実を解き明かしていく展開は、
実は自分の大好きなミステリー型なので、かなり気に入りました。
クリスティでも『象は忘れない』とか『5匹の豚』とか、
過去の事件の回想に関するものは、非常に好き。
過去に何があったのか、その当時隠されてしまった真実を
掘り起こすっていうのが、たまんないのよね。

流石に30年以上も前の出来事を探るために、
それぞれ4人が視点を変えて、どういう事件があったのかを調べるのだけど、
丁度おりしも入学したのが2000年、そして事件があったのは、60年代後半。
学生運動が盛んであり、高校生といえども、生徒の権利を主張する
運動が盛んで、古典部がある神山高校でも、生徒と教師側の対立があったこと。
『優しい英雄』『静かな闘士』と称えられ、伝説でありながら、
『犠牲』であったと言われた関谷潤。
どうして彼が高校中退することになったのか。
そして、その彼が学校を去る前に自分の意見を押し通して、
古典部の部誌を『氷菓』という名前にしたのか。

この1作目の『氷菓』こそ、古典部の古典部らしき原点を照らしてて
33年前の事件に対する仮説を立てる点や、資料を探す点、
時代背景を含めるところなど、非常に理がつまっていた。
謎が全て解き明かされる時、心から哀しい気持になった。
関谷潤がどうして英雄であり犠牲であったのか。
氷菓、とつけることが唯一の自己主張だったのか。

謎というのは一度解けてしまったら、
(ああ、こういうことがあったからか)と、特別に其処で起こった
出来事が非常事態のものだとは感じないものだ。
しかし、日常的な小さな出来事が重なり合って、
最終的にそれを時間を置いてみたとき、気が付く。
原因が隠されている場合、結果だけをみて、それが難事件だと思うが、
原因が見えてしまえば、それは当然導きだされる結果だとしか言えないように。

この『氷菓』は悲しい結末だった。
でも、悲しいなりに決着が付いて、汚名が晴れたというか、
時間がたたなければ解決できない問題があると思うような事件だった。
古典部シリーズの1作目がこんな事件であり、
ある意味、折木奉太郎の輝かしい探偵役デビューだよな。

それをあれこれと工夫して灰色の脳みそを悩まさなくても
資料を結びつけて導き出される結論から推論を推し進め、
きちんと裏を取れる辺りが、凄い。
折木奉太郎、本当に省エネ主義なんだろうか?なんて
少し笑ってしまった。
それにしても、部長の千反田えるの『気になります』の言葉を
どうしても避けることが出来ないホータローって
やっぱ恐妻たる姉の影響かしらね。



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クドリャフカの順番―「十文字」事件クドリャフカの順番―「十文字」事件
(2005/07)
米澤 穂信

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『クドリャフカの順番 「十文字」事件 』 米澤穂信

2007年11月の『ダ・ヴィンチ』で、
<古典部シリーズ>最新刊の著者インタビューが載っていた。
なにやら、『「人が死なない」青春ミステリー』らしく、
インタビューのなかで、北村薫など“日常の謎”を描くミステリーが
好きで、このシリーズを書いているというのを読んで、
すごく興味を持ったので、まずは既刊されてる作品から読もうと
図書館で探してみた。

<古典部>シリーズは、伝統はあるが先輩はいない古典部に入部した
1年生4人の物語。省エネ主義の折木と旧友で快楽趣味な福部、
福部に片思いをしている漫画好きな摩耶花と、
ミステリアスな魅力をたたえる部長の千反田える。
この4人が高校生活の中で出くわす「日常の謎」を解いていく。
…、といっても、もっぱら謎に興味津々な部長千反田の希望により、
省エネ主義の折木が探偵役をやるらしい。

シリーズ1作目は『氷菓』。
伝統ある古典部の部誌にまつわる謎とき。
そして2作目は『愚者のエンドロール』。
夏休み中の話で、文化祭に出品されるはずだった自主映画の謎。
そして3作目が今回読んだ『クドリャフカの順序』。
こちらは、文化祭の3日間に起こった出来事を描いている。
んで、新刊として出たのが4作目『遠まわりする雛』。
なにやら、但し書きでは4人の入学直後からの1年間を描いた
連作短編らしい。

いきなり自分の図書費都合上(!)、図書館で借りれた
3作目の『クドリャフカの順序』から読んでしまったのだけど、
面白かった!夢中になってはまる、っていうエンターテイメント性が
面白かったわけじゃなく、あたしが大好きな北村薫の作品に通じる
日常生活に転がっている謎、気づかなければ気づかない謎を
心地いい結果に落ち着くのが良かった。
まぁ北村作品もほのぼの、だけじゃなくて、きちんと世間一般に存在する
悪や人々の悪意、良識のないことも出てくるし、
それがアクセントとなって、作品の品を保っているし、
「きちんと地についた」感がある。

こちらの古典部シリーズの方は、「高校」という特殊な空間で
もの凄い悪意、とか、誰かを傷つけるような悪意に満ちているところから
少し感傷的に、ノスタルジックに守られているような世界を舞台にしてて、
それが凄く心地よかったです。勿論、そんな「学校空間」なんて
ノスタルジーならぬファンタジーの世界であって、
ありえないのではあるけど、そういう幻想を描かせてくれるところが、
この古典部シリーズの魅力ではないかと思った。

実際に自分自身が、学校生活で苦しんだり、
割り切れない思いがあったり、居心地が悪かったぶんだけ、
ここで描かれる幸運にも良い関係を学校で得ることが出来ている
彼ら4人の関係にたいして憧憬を抱くというか。
実際に自分にありえなかったものを、ここで夢見ることが出来る、
かつて自分から失われてしまった、ついにみることなく卒業した、
獲得することがなかったモノに対するノスタルジーを感じる。

複雑な思いをするのだけど、夢物語、という言葉だけで
4人の関係を見るんじゃなくて、こんな時期もあったな~とか、
学生時代の独特な空気感を感じられて、
読んでいる間、とても幸せを感じた。

今度、文庫化しているシリーズ1作目と2作目を買ってこよかな。
とりあえず、1作目と2作目を読んだあとで、最新刊の4作目を読もう。
まだ主人公の4人は1年生だけど、これから高校3年で卒業するまで
古典シリーズは続くらしいので、これから先に続く
“生きている”シリーズを愛せるって、ことが幸せに感じられる。
楽しみだしね、次回作はどうなるだろう~とか期待するし。
できるだーけ、長生きするシリーズであって欲しい。


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