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重力ピエロ  09/21/2007  

重力ピエロ (新潮文庫)重力ピエロ (新潮文庫)
(2006/06)
伊坂 幸太郎

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『重力ピエロ』 伊坂幸太郎 2003年

神様に突然質問をぶつけ、どうすることが正解なのか、と
問いただしたところ、帰ってきた答えは『自分で考えろ!』。
これって、凄くシンプルだけど、神のあり方としては
まっとうで正しいと思う。

泉水と春の兄弟、そして父。この家族の物語だ。
泉水と春は血が繋がっていない。
春は、20年前、母がレイプされた時の子供だ。
そのことを知りながら、父母は春を家族として向かいいれた。
春の遺伝子の半分は、レイプ犯のだ。
しかし、遺伝子が繋がっているから「家族」なのではない。
家族とは?というテーマを、この本の中で何度も語られる。

上記の神様への質問は、父が母からレイプ犯の子供を身篭ったと
告白された時のこと。父は「自分で考え」て、「産もう」と決断した。
「春は俺の子だよ。俺の次男で、おまえの弟だ。俺たちは最強の家族だ」

それから20年。

事件が起こる。

落書きと放火。落書き消しを仕事としている春に
引き摺られるように遺伝子工学の仕事をしている泉水が、
落書きと放火の事件の犯人を捜す。

あたしは、この本の中で一番、父が好きだ。
そして、一番好きな章は、「父の価値とゴッホ」。
人の凄さを知るには、それ相当の時間が必要である。
ゴッホがレンブラントの絵を見た時のエピソードから、
父の人間像にについて描いている。
地味で目立たず、特技もないが、父は凄い。
「最強の家族」という表現がまさにピッタリ。
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
なにもかもが終わった後での父の言葉は、
とても胸に響いた。
最後の言葉を読むためだけに読み始めても
この本は良いかもしれない。

タイトルの「重力ピエロ」。
これは泉水と春が子供の頃に観たピエロの話から。
楽しそうにブランコを移動しているピエロを見て、
落ちてしまう心配をするのじゃなくて、
ふわりふわり飛ぶピエロには重力なんて消えてしまうってこと。

楽しそうに生きていれば、地球の重力なんてなくなる。

まさにそのとおり。

そんな風に生きていたいと思う。
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死神の精度  09/17/2007  
死神の精度死神の精度
(2005/06/28)
伊坂 幸太郎

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『死神の精度』 伊坂幸太郎 2005年

主人公は死神の「私」。
調査を行って、「死」を実行するのに適しているか判断し、
報告するのが仕事。
調査は、1週間前に相手に接近して、2,3度話を聞き、
「可」もしくは「見送り」か判断するだけ。
判断基準は、死神故人の裁量に任されてて、
よほどの事がない限りは「可」。

作品は、主人公の死神が調査に赴く1件1件で
6つの短編に分かれている。
一番最後の短編で、それまでの物語が少しづつ
繋がったのが面白かった。
キーワードがここで繋がっている!という
パズルの楽しみ。

表題となった「死神の精度」。
死神は音楽が好き、という意外なツボの設定と共に
書かれているのだけど、一番最後に死神が未来に向けて
賭けをするのが小気味よかった。
生死がない死神が未来を望むというのも変な話だけど、
こういう楽しみを抱くところが妙に人間臭い(笑)
読んでいる自分でさえ、どうなるんだろう~と
その賭けの面白さにウキウキしてしまった。

あと、印象に残ったのは「死神と藤田」。
藤田という任侠のヤクザの調査に出向いて、
藤田と敵の抗争に巻き込まれた死神の話。
「死ぬことについてどう思う?」と聞いた死神に
「死ぬことよりも、負けることのほうが怖い」と答える藤田。
任侠…、弱気を助け、強気をくじく。
任侠=ヤクザなんて、映画の世界だけで、
実際は、任侠の心なんて、いまどき、
ヤクザの世界でも滅多に見られないものだろな。
任侠の男、藤田の生き様がカッコいい。
(いまどきの日本で任侠っていうと哀川翔くらい?)
哀川翔をイメージしながら、これを読むと非常にはまります(笑)
映画化するなら、是非哀川翔でお願いします!!
(映画化の話なんて出てないと思うけど)

この作品が、何度目かの直木賞候補作になったのだけど、
正直、直木賞にこの作品が?という疑問がある。
実力があり、独自の世界観で物語を紡ぐことの出来る
伊坂なのだけど、この作品で直木賞を目指すのは、
なんというか・・・、作品にまだ力が足りないな。
勿体無い、他の作品で直木賞にチャレンジしていたら
獲れると思うんだけどなぁ。



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チルドレン  09/15/2007  
チルドレン (講談社文庫 (い111-1))チルドレン (講談社文庫 (い111-1))
(2007/05/15)
伊坂 幸太郎

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『チルドレン』 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎…、友人からお勧めされていたのにも関らず
(それも二人から)、偏食してしまって避けていた。
伊坂幸太郎の本をちらりと捲って粗筋を文庫本の裏で
見たりするときも
「この人の設定ありき、の作風は・・・」と思っていた。
独特の設定で書かれるからこその世界。
SFとかファンタジーじゃないんだからさぁという思いが
偏食する原因の一つだったに違いない。

でも、読書ブログを書くのなら若手作家の中でも
実力と人気を兼ね備えている伊坂幸太郎ぐらいは
チャレンジしてみよう~、いい機会だし、という思いで、
図書館の「作家別 イ」で探してみた。
何冊もあったし、友達がお勧めしていた「グラスホッパー」や
「オディボーンの祈り」もあった。
まずはお勧めしてもらった作品から、と思ったのに、
なぜか、この本「チルドレン」の表紙に猛烈に惹かれた。
(えー、お勧め本じゃないけど、これが読んでみたい…)と
猛烈に思って(多分あの脱力系の表紙が凄く好き、犬もいるし)
インスピレーションのまま、借りてきた。

収録されている短編は、
・バンク
・チルドレン
・レトリーバー
・チルドレンⅡ
・イン

5つの短編は、小説現代に掲載されたのを1冊にまとめるにあたり、
手を加えて、初めから終りまで1つの長い物語になっている。

主な登場人物が、あちらこちらで出てくるのが面白い。
時代もそれぞれ交互に並んでいて、回想録になっているのもある。

あたしが好きな登場人物は陣内だ。
勝手気ままで、自信に満ちていて、屁理屈を捏ねるのが得意で、
そして、真っ直ぐなところが好き。
妙に「世間帯」とか「良識」とか「常識」を振りかざすことない
正直に、自分の生きたいように生きている姿が眩しい。
自分の周りで陣内がいたら、すぐ惚れるんだけどな~。
陣内に関するエピソードが面白すぎて、
それを書いちゃうとネタばれなので、あまり書けないのだけど、
読みながら、陣内の活躍(迷走ぶり?)に、
非常にほがらかな気持になります(笑)

あと、盲目の永瀬と、その盲導犬レトリーバーのベスも好き。
陣内が人間よりかなり犬に近い存在で、
ベスが陣内のことを気に入ってるのがわかる気がする。
盲導犬として「立派」な姿が書かれているより、
盲導犬の日常的な、犬らしい姿がところどころに見え隠れするのが
読んでいて微笑ましいです。

陣内って、トラブルメーカーだけど、にくめなくて、
そしてギターと歌が天才的に上手い。
魅力的な人物設定で、陣内がキーワードになって
短編が進んでいくんだけど、年代設定が変わっても、
いつもいつも陣内は陣内で、明るい光で照らし続けているのが嬉しい。
明るい作品が続いてて、奇抜な設定もないけど、
普通な毎日でも、小さな事件はちょこちょこあって、
でも、それは悲惨さを伴うものではなく、明るさが消えない。
スゴイ展開が待ち受けているわけではない作品だけど、
ほのぼのとした作風が、あたしはツボに入りました。
何度読んでも陣内に笑ってしまう(笑)

この作品が伊坂幸太郎の直木賞候補作への最初のノミネート。
まだ直木賞を獲っていないけど、いつか、
というか、多分ここ数年の間では獲るだろうな。

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