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丹生都比売  01/08/2008  
丹生都比売丹生都比売
(1995/11)
梨木 香歩

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『丹生都比売』梨木香歩

梨木ファンの自分としては、まだ読んでいなかった、
(多分)唯一の1995年の作品。
なかなか、書店で販売もされてないし(絶版だからか)、
近くの図書館でも探しきれないので、
思い切って図書館のリクエストに出してみたら、
他の市町村から借りれました。すごいラッキーだ。
こんなにマイナーな梨木作品はないだろう、って
思わず思うほど、はじめて見るし、噂もあまり聞かない作品。

作品の舞台は、奈良時代。
天智天皇、天武天皇の時代。
主人公は天武天皇の第一皇子の草壁皇子。
幻想的な作品でした。
神や精霊、鬼が息づく頃の話。

なんというか、苦しいほど詰まり詰まった作品
(例えば、からくりからくさ、とか)じゃなくて、
どちらかというと、ふんわりと写真のように切り取った、
一直線な話。それでいながら、雰囲気がある作風がたっぷりで、
なんとも不思議な話でした。多分、こういう内容が成熟すると、
家守綺憚のような作品が生まれるんだろうな。

そういう意味でも、梨木さんがデビュー当時から応援している
古きファンとしては、彼女のこれまでの歩みの系譜を感じられた。
梨木作品の原点、というわけでもなく、マイナーな出版社から出てて、
本人の趣味嗜好が非常に現れてて、梨木作品の中でも亜流な作品。
本当に本人が好き勝手に書いているなぁと自由度を感じることができる。
マイナーな作品ではあるけど、梨木さんが好きなら、
一度はこの作品も読んでもらいたいな。

いやはや、手に入らなくなる前に読むことができてよかった。
壬申の乱とか、大きな動乱の時期の中心に巻き込まれながらも、
儚い命のともしびを感じさせ、なぜか疎外されているような草壁皇子の雰囲気。
これが伝わってきました。よるべない寂しさというのかな。

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ブックレビュー | 梨木香歩  | TB(0)  | CM(0) | Page Top↑
梨木香歩の作品の中で一番好きな本。
彼女のエッセイ第1作目。
何度も、何度も読み返しました。
いつ読んでも、静かな感動がある本。
彼女の生き様に触れることが出来ます。

書かれているのは、主に彼女がイギリス留学中に経験したこと。
ホームステイをしていたウェスト夫人や、その家に住んでいた人々との交流など。

あたしが一番好きなのは、「夜行列車」。

そこで作者がイギリスの夜行列車に乗り旅をした時の出来事を書いている。
車掌から誤解をうけた事をキッカケに、戦争など国家間の出来事で起きた
謝罪問題について書いている。



(本分より)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

謝罪要求する彼或いは彼女が望むことは、本当は「対等」の立場を奪回する事なのだ。虫けらのように扱われた、そのときに一瞬でも変容してしまった自分の意識--哀れみを乞う、卑屈になる、怯える、徹底的な劣位を体験する--自分の身の上に起こったそういう感情を払拭することだ。そして自分の身の上に起こったことの本当の意味を分かってもらいたい。痛みをそれぞれ個人レベルの痛みとして感じてもらいたい。それが形を変えて保証金要求になっていく。せめて相手国家の懐ろを痛めて欲しい。よくある犯罪加害者に対して、「同じ目に遭わせてやりたい」という被害者側の発言も、恨みの響きをまとっているが根は同じところから発しているのではないか。起こったことの本当の意味をわかって欲しいという。そして意識の様々な層を貫いてそういう表現になる。
彼或いは彼女らの心を相手が本当に悼んでくれたと、彼或いは彼女らが感じることが出来たら、そのときやっと本当に「それ」が終わる。

そうだ
共感してもらいたい
つながっていたい
分かり合いたい
うちとけたい
納得したい
私たちは
本当は
みな

でもそれは本当に難しく、その葛藤の中で生きることは疎ましく、時にはモンゴメリのように堅く殻を閉ざし、群れを遠く離れてしまいたくなる者も出てくるのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あたしはこの文章を読んだ時に、心が震えた。

許す、という行為は、言葉だけの意味だけで表されるほど単純ではない。
そこに秘められた様々な思いがあるからこそ、「許す」は難しくて、そして難しいが故に
人間同士の交流や絆を引き裂いてしまう。
従軍慰安婦問題のことや、そして、戦争で傷ついた人達や、
大きな問題じゃなくても、日常的に生きている上で、誰かに誤解をされたり、
そして諍いが起きた場合、誰しもがこのことを感じるのではないだろうか。

時折、この本を出してきて、この短詩を読む。
共感する、誰かと繋がる、そして分かり合いたい、打ち解けたい、納得したい。
その思いは、誰もが持っていると思う。
持っているけど、それを実践するのは難しい。
それでも諦めずにいること、それが生きることなのではないだろうかと思う。

この本に出会ったのは、大学生の頃だった。
本の中で散りばめられている彼女の思想の1つ1つを丹念に読んだ。
読みながら、作者の真摯な生き方、そして周りを取り巻く人々の優しさや
交流から生み出される友情などを学んだ。
こんな風に考えられる人間になりたい、そう思った。
今でもこの本は、あたしの心の中にある核の糧になっている。
小さな本で、とりとめない日常の中から生み出されたエッセイだけども、
含まれている内容は、とても深い。

2002年発売だったが、なかなか文庫本にならず、
いい作品なのに読んでいる人が少ない、と残念がり
待ち続けていたけれども1年ほど前に文庫本になった。
手に取りやすい値段で、これでこの本が沢山の人に読まれることになるんだと
本屋で感動したことがある。「いい本だから読んで」と押し付けるような本ではない。
面白いから読んで欲しい、という言葉だけでは、この本は表せない。
あたしのように、この本と「出逢ったしまう」人が増えてきますように、と
心から祈っている。


春になったら苺を摘みに (新潮文庫)春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
(2006/02)
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