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天国はまだ遠く  10/08/2007  
天国はまだ遠く (新潮文庫)天国はまだ遠く (新潮文庫)
(2006/10)
瀬尾 まいこ

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『天国はまだ遠く』 瀬尾まいこ

文庫落ちしているのだけど、買うのを躊躇い、
図書館で借りてきました。
まだ読んでいなかった瀬尾まいこの作品。
よく考えれば、数年ほど前に発表された作品で、
瀬尾まいこの作品の中では古い方に入るんだろうな。
物語としても、定番のベタではあるんだけど、
彼女のほのぼのとした持ち味があって、瀬尾作品らしかったです。

主人公の『私』は仕事と人間関係に疲れ、自殺するつもりで
日本海の山奥の村を目指し、木屋谷に到着。
そこで民宿たむらに泊まるものの…。

自殺をする、と決めた私の、心労ぶりっていうのが、
やっぱり薬を大量に飲むまでに書かれているんだけど、
(どうしてここまで思いつめちゃうかな~)と
ちょっと醒めた目で見てしまった後、不意に、
(こんな風に思いつめるようになったら、他が見えなくなるんだ)と
気づきました。思いつめなかったら自殺なんて、誰もしないっつーの。
なんて自分自身にツッコミをいれてみたり。

心がクタクタになるまで磨り減らして働くって、
ありえんだろーと思っても、実は「ありえんだろー」と思う気持さえも
もつより先に、人間として追い詰められることがある。
自分は気がついていないのに、いつの間にか自殺への道の階段を
ちょっとづつ登らされるようになっていた、というか。

まぁ、自殺の話はおいておいて。

登場人物としては、田村さんが好きです。
有機野菜を作って、無精ひげを生やして、先祖代々の土地を守って
ちゃんと「生活している」人。
きちんと地についた生活をしている人って、なんだか傍にいるだけで
安心できる気がする。そんな安心感を与える暖かさっていうのは、
多分その人の生き様からくるんだと思う。

主人公の私が、ちゃんと出発できるように、
日々の生活、時間が癒してくれるものと、
そして田村さんが傍にいて一緒に「生活」することで得るものと。
家族のような優しさ(家族じゃないから出来る、というのも言える)が
さりげなく散りばめられていて、人の温かさを感じました。
海に連れて行くところとか、宴会につれていくところとか。

自然の中で心も身体も癒されて元気になる、って
陳腐なように思えて、実はかなりの特効薬なんだよね。
勿論、自然の中で暮していても、それなりのストレスもあるし、
疲れることもあるし、嫌になることはあるんだけど、
まぁ環境を変えて生活するだけで気持も変わる、というのは
かなりありえることなので。

読み終わったあと、ベタな落ち着き方だな、と思いつつも、
こういう風にベタに終わってくれる作品って、あんまりないから、
それは貴重だなと思いました。
安心して読み終えることが出来て、あらためて
「人の温かさって大事なんだよ」と言い聞かされているかのような。
嫌味じゃないです。そういう人間の良い面を肯定的に書いているのを
読むことが、時には自分の心の平穏を作り上げてくれることもあるので。
ドラマとか映画では多いけど、本でこういう平坦で、平凡かつ、
人間の心の暖かいところを抜き出している作品って、あんまりないな。

時々、教訓話みたいに読むのも良いかもしれない、瀬尾まいこ。



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卵の緒  09/10/2007  
卵の緒 (新潮文庫 せ 12-2)卵の緒 (新潮文庫 せ 12-2)
(2007/06)
瀬尾 まいこ

商品詳細を見る


『卵の緒』 瀬尾まいこ

いつも図書館で借りているのに、なんとなく立ち寄った本屋で
買ってしまった文庫本。可愛いカンゴールの絵が好きだな。

表題作の『卵の緒』と『7’s blood 』の2編を収録。

気に入ったのは、表題作。育生という小学4年生が主人公。
育生は捨て子だったらしい。祖父母の反応を見てもそうだし、
母親の自分に対する知識があやふやだから。
そんな母親に育生は自分のヘソの緒を見せて欲しいと頼むと、
卵の殻を見せてくれた。「母さん、育生は卵で産んだの」と。
そんな母に気になる人、朝ちゃんができ、
どんどん距離が縮まっていって、そして、朝ちゃんも一緒に暮らすようになる。

家族の形ってどんなのだろう。多分、この表題作は家族の愛について
書かれたものだと思う。いな、母親が育生を愛していることについて
書いたというべきか。勿論、母親は育生の実母ではない。
実母ではないけど、母親は育生のことを愛していて、
ことあるごとに、育生に対して愛しているときちんと伝えている。

祖父母も、血が繋がっていないとわかりながらも、
そんなことを感じさせず、育生を大事にしてて、孫として可愛がっている。

家族って、血が繋がっているから家族、っていう血族の意味もあるけど、
愛していて、「この人が自分の家族だ、大事にしよう」っていう、
その気持と行動でも、”家族”になるんじゃないかと思う。
血が繋がっている、繋がっていないだけが問題じゃなく。
きちんと家族として大事にしているか、相手を愛しているかという気持が
血が繋がらない家族(たとえば、夫婦間も血が繋がってないけど、家族だよね)を
繋ぐ力になるんだと思う。

クライマックスの母の独白は、読みながら号泣してしまった。
きちんと相手に愛してる、と伝えるのは、すごく強いことだと思う。
母の愛強し、という意味で感動した、わけじゃなくて、
もっと深いところで、母親が育生のことを愛しているというのを知って、
それで感動して泣いてしまった。

育生と朝ちゃんの卵の赤ちゃん対応は、微笑ましかったけど、
こういうことが出来る大人、朝ちゃんって、やっぱり
育生の母親が選んだだけあるなーと感心しました。
良い女性には、良い男性が。(理解がある男性、というのかな)
育生の母親みたいな女性になりたいな。
ちゃらんぽらんなところもあるし、めちゃくちゃなところもあるけど、
それでも、きちんと誰かを強く愛する事ができる人。

こんな登場人物をかけてしまう瀬尾まいこに感服です。


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